【我輩は猫魔導師である 3 ~キジトラ・ルークの快適チート猫生活~】  猫神信仰研究会/ ハム サーガフォレスト

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チートな猫さんに転生した元人間で現亜神のルーク。神獣のピタちゃん(おっきな兎)や宮廷魔導師のルーシャン様(猫力94)、そのお弟子さんであるアイシャさん(陽キャ)との出会いを経た彼は、クラリス様の兄であるクロード様に挨拶を済ませ、トマト様の普及を画策もとい王都を満喫する。ところが国王崩御の報が届き、さらには魔族の影が見え隠れしていて……!? リーデルハイン家を守るため、ルークは王都をたったか奔走する!


ライゼー子爵の嫡子であり、クラリス様のお兄様であるクロードの登場回。
リーデルハイン家の後継者ということで、将来ルークもお世話になる人物である。これまでは子爵家を継ぐために王都の学院で領主課程を受講中、ということでこの度王都を訪れることになりクロードと初対面。
リーゼルハイン家の面々や家に仕えてくれている側近のヨルダさんをはじめとして皆からの評判は総じて高く、優秀云々よりも人柄の良さが伝わってくる反応なんですよねえ。
そうして実際会ってみても、これがまたイイ子なんですよ。自己評価はあんまり高くないしお父さんのライゼー子爵とおんなじようにあんまり目立ったりしたくない、野心もなくて実家を穏当に引き継げたらいいなあ、と思っているくらいのぽややんとした少年なんですけどね。でも、実際かなり優秀な人物ですし温厚で素直で性格も良し、若干へたれで頼りなさそうな雰囲気ですけれど押しが強くないだけで意志はしっかりと強い方ですし、また幼馴染のサーシャへの一途な想いがまた実に可愛らしいんですよ。
妹のクラリスから、わんこみたい、と言われてしまうようなお兄さんですけれど、自分としてはクロードくん凄く好きなんですよねえ。
何気に転生者、という秘密持ちだったわけですけれど、そう言えばその前世の知識や転生特典みたいな能力でなにかやろう、って事は一切してないですね。女の子相手もサーシャ一途で他には見向きもしていないですし。あんまり沢山の女の子とお付き合いできるような甲斐性もなさそうですけれど。
ただ、この転生者という要素こそがクロード君をルークと一番価値観近い人物に位置づけることになってると思うんですよね。
ルークの特異性、亜神という存在階梯はこの世界ではやはり敬い崇められる次元の違う存在なんですよね。リーゼルハイン家の人たちはルークの事家族として扱ってくれていますし、クラリス様に至っては完全にルークをペットとして飼ってますし……改めて見てもクラリス様すげえよなあ。
リルフィ様は亜神とか関係なく、病んでらっしゃいますし、ルーシャン様はあれは亜神とか関係なく猫だから崇めてる感じなので、また種類が違うと思うのですが。
そういう意味ではライゼー様とヨルダさんの大人コンビが実は一番ルークと対等の友人関係築いている感じがしますなあ。とはいえ、ルークがもたらすとんでもネタに振り回されてもいるのですけれど。
そんな中でクロード君って同じ元日本人ということもあり、ルークの崇められて困ってる感覚を一番共感でき、理解してくれる存在なんですよねえ。どこか同じ知識を持つ共犯という感覚もあり、なんかこの一匹と一人には打ち解けた雰囲気が流れていて、そこがクロードくん好きだなあ、と思う要因なのかもしれません。
ただ友人というには精神的な年齢の差があるというか。クロードくんがあくまで年頃の少年であるのに対して、ルークの方は前世の記憶もしっかり持っている分、結構中身が大人なんですよね。大人というにはスチャラカな部分も多いし猫猫とした緩さも多分にあるのですが、それでもクロードくんも基幹的な年の差を感じているのか、ルークに対しては物腰が丁寧なんですよね。ただそれは亜神という頂上の存在に対する丁寧さじゃなくて、あくまで年上の人に対する敬意とか礼儀という感じがあって、そういうところにも礼儀正しい少年みたいな感覚を覚えて好感度があがります。でも、やっぱりクロードくんはワンコ可愛いが一番の要素ですよ。

さて、クロードくんとサーシャの初々しい、というにはサーシャが塩対応なのですけれど、端々からうかがえる幼馴染ゆえの距離感とか、一線引こうとしてでも憎からず思ってるサーシャさんの可愛い側面が見えてくるこのカップルの模様も美味しいことこの上ないのですけれど。
王都は国王陛下の急死により急転直下、後継者争いの暗闘がついに一線を越えることに。
いや、ほんとに本来ならここで王妃がもう一線超えていることで、内乱必至……そうでなくても、王位継承争いは血を見ることになったのでしょうけれど。
ライゼー子爵に同行してルークが王都にいたこと。
第二王子のリオレット殿下と魔族のアーデリアが出会っていたこと。
そして第三王子のロレンス殿下の存在。
この3つの要素が、どう転がっても惨劇になっていただろう、本来なら国王陛下の死で崖っぷちからもう転がり落ちているはずのこの国の未来を劇的にひっくり返すことになるのである。いや、あそこまで言ってしまった情勢が、よくぞまああんな形で着地することになるとはねえ。
こればっかりは、ルークさんが力技で収めていても決して安定しなかったでしょうから、ほんとリオレットとアーデリアの恋のはじまりと、ロレンスさまというワイルドカードが色んな意味で炸裂することになるんだよなあ。
ルーシャン先生の弟子たちとアーデリアとの交流は、ウェブ版よりも濃い形になってますねえ、これ。リオレット以外にもアーデリアにとってはじめての友人というべき相手が出来たことで、弟妹くらいしか親しいものが居らず世の中を睥睨していた魔族のお嬢様が、これまた人との繋がりの中で凄く人好きする明るい可愛らしさが溢れ出てきて、魅力的な女性になっていくのがまたいいんですよ。
リオレットさまが惚れ込むのもよくわかる。このリオレット殿下もまた人物的に好ましい人で。
この二人のどんどんと情熱的になっていく恋物語もイイんですよ、実に良き。
国王陛下がわりとこう……出来のよろしく無い軽薄な人物だっただけに、なんで息子たちこんな出来物が二人も産まれたのか不思議なくらいなんだよなあ。事故死した王太子は父親そっくりだったみたいだけどw

活発に政治活動を繰り広げ、強引な手腕や人たらしの技を駆使して息子であるロレンス王子に王位を継がせようと暗躍していた王妃、その影で人物像が見えてこなかったロレンス王子。まだ十歳にもならない幼い王子なのですから、当然……と、思っていたら思わぬ所でこのロレンス王子が動き出すわけですよ。
第二王子派と第三王子派による内乱が起こりかねないほど緊張感高まる王都で、この本来政敵であった兄弟の道が交わることで、果たして惨劇は回避されるのか。
すべてを見ているお猫様はどう動くのか。さくっと、リオレット殿下暗殺にちょっかいかけてきたアーデリアやウィルくんと系統の違う魔族のダンディーな紳士をプチっと撃破しちゃってたりもするのですが……まさか、この魔族のオズワルド氏が以降出番が増え続けるとは思わんかったなあw
さても、風雲急を告げる王都、次巻に続く、である。