【悪魔公女 ３】　春の日びより／海鵜げそ Kラノベブックス

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──光溢れる世界の夢を見る。
家族。学校。友達。電車。バス。映画。本。
『私』は光の世界で成長し……最後に白い部屋の中で、闇に包まれた。
夢から覚めると、魔界と呼ばれる世界で小さな一体の悪魔になっていた。
「──帰りたい──」
『私』の心に広がるのは、夢で見た光の世界への憧れ。
そしてある日、目の前に現れた『召喚門』に飛び込む。
再び『私』が目を覚ますと、人間の赤ん坊として生まれていた。
そこは神聖王国。「帰りたい」と願った世界とは異なる人間の世界。
悪魔でありながら、赤ん坊の力しかない『私』は恐怖する。
自分が悪魔だということは隠し通さなければ───……。

………ちょっと待って、あらすじ前巻と一緒なんだけど？　
２巻ではこの文言のあとに２巻のあらすじが続ける形で書かれていたんですが、３巻はまるっとそこが存在せず。各書店ならびに公式サイトも全部同じなのでこれは完全に抜けてますなあ。

７歳に成長したユールシアことユル様。ちゃんと表紙で描かれるユル様も巻を重ねるごとに成長しているように描かれているのがまた丁寧でいいですねえ。でもまだ７歳！　７歳だから！
７歳にも関わらず、ますます神がかった美貌が美しさを増していると評されるユル様。むしろ美しさに年齢が追いついてきた、とすら言われるんですよね。だからまあ７歳！
それに本人が圧倒的ゆるキャラだけに、果たして傾国の美女と成り得るのか。まあその美貌だけで随分と色々と誑かしてはいるんですけれど、ユル様そういうの一切活用できてないからなあ。

悪魔として、悪意を好物としているユル様。それも、自分に向けられる悪意をこそ大好きなんですよね。本来普通の悪魔なら別に自分に向けられた悪意じゃなくても、悪心邪心といったものはそれだけでペロペロ舐めてしまいそうなものなんだけれど、ユル様のこの嗜好は彼女限定のものなんだろうか。
悪人の魂普通にしゃぶっているので、食べる分には関係ないはずなんですよね。
だから、普通の悪魔なら様々な形で悪を助長させ、治安を悪化させて世界を混沌へと押し込むことで悪の心を持つ人間を大量発生させるのが悪魔の所業となるのでしょうけれど。
ユル様ってあんまりそういう発想ないんですよねえ。
自分に対して強烈な敵意と悪意を持っているアタリーヌとオレリーヌの二人の姉に関しては、養殖とうそぶきながら彼女たちの悪意を育てようとしていますけれど。……いや、ぶっちゃけユル様別にアタリーヌたちになにかする、という事もなく、そのやたらと好意的な言動がどえらい煽りになって敵意悪意を増幅させちゃったりもしていますけれど、彼女たち姉妹を陥れたり悪の道に誘い込んだり、というはかりごとらしいことは一切してないんですよね。勝手にアタリーヌが敵愾心燃え上がらせていってるだけで。ただ、アタリーヌだけがユル様の正体になんでか直感でヤバい存在だと気が付き始めているみたいではあるんだけれど。でも本当にわかっていたら絶対に関わり合いにならないように逃げるだろうから、ユル様が決して聖女みたいな神聖な存在じゃないとは勘づきはじめていても、だから外面よく人気を集めているあいつが許せない、となっている時点で愚か極まっているわけだ。
ユル様、そういう愚かさをこそめっちゃ好んでいるみたいですけれど。
とはいえ、そんな理想的な反応を示してくれるのはアタリーヌお姉様くらいのもので。
ユル様って自分に向けられる悪意敵意害意が大好物だからって、それを発している人に対して満面の笑み浮かべながら本心から大好きですー、と好意ぶち撒けながらガンガン接触していくんですよ、もうアホか、と。普通の人はね、そんなあけすけで無防備な好意をぶつけられたら毒気抜かれちゃうし、何ならそれまで嫌ってたのが嘘のように好きになっちゃうんです。人類って基本的にけっこうチョロいのだ。それも超絶美少女で崇め敬われている聖女様から、野放図の好意と完全に信頼してますっ、と言わんばかりの懐かれようをされてしまうとねえ。
まあそこで、本当に邪な心を持っている人間との選りわけができてしまうわけですけれど。大半の人はユルさまに対する悪意を投げ捨てちゃうわけだ。むしろ、好きになってしまう。
ユルさま、自分の大好物のご飯を自分から台無しにしていくスタイルを取ってるのである。なんでー！？じゃないよｗ
今回なんて色々とユルさまに対して悪い企みを働かせている両親に逆らってまで、この歳下の自分をお姉様と呼んでくれた妹分を助けよう、と気張ってしまう娘まで生み出しちゃうし。どうして自分を虐めてくれる悪役令嬢を改心どころか魅了しちゃうかなあ、この娘は。
もうユルユルである。さすがはユルさま。最終的にこのご令嬢も苦しい目にはあうのですけれど、結果として彼女の未来を縛る存在から解き放たれ、本当に愛してくれる家族と心つなげることが出来たということは、何だかんだと良い形に終わっていますし。実に聖女的にもいい感じに事を収めてるんですよねえ。全然悪魔的じゃないぞ。
まあユルさま大悪魔であろうと、根っこが善良なんですよ、絶対。関係ない人間に対してはドライ、悪魔であるが故に人を人とも思っていない、餌として見ている。という部分は確かにあると言えばあるんでしょうけれど。
でも無辜の民を別に自分で虐げようともしていないし、関係ない相手には無関心気味ではあっても何だかんだと大切に扱っていますし、それが親しい相手や身内となるとかなり踏み込んで大事に守ろうとしてますもんね。これに関しては念入りに配下の悪魔たちにも厳命していますし、何なら自分が正気を失い金色の獣に戻って暴走状態になってすら、ノエルやリックという身内に対しては殺してしまわないように力をセーブしていましたし。両親にはもうべったりですもんねえ。
リックやノエルくんを、あのクロと比べたりもしていますけれど、比べる時点でそれだけ大切に思っているという事でもありますし。黒い獣に殺されないように二人に加護を与えたりなんかもしちゃっているわけで。
まあそれでも、ユル様にとってあの黒い獣はあまりにも特別なようですけれど。
特別すぎて対応が塩というか辛辣というか冷たいのは、それだけ近しい存在だから、のはずｗ
あの俺様の極地みたいなストーカー相手には甘やかさずに厳しい態度取った方がいい、というのは大変理解できます。普通、ユルさまのゆるい性格上そういう対応とること自体珍しいんですけれど、それだけ特別なんだろうなあ。
まあ実際、あれは痛い目見た方がいいんじゃないだろうか。ついにユル様追いかけて現世まで降りてきちゃいましたけれど。ちょっとノエルくんとかリックにユルさま盗られてガチ泣きするがいい、と寝取られて情緒グチャグチャになる黒いのを想像すると悦な感じになります。
返す刀で黒いのの所にいってしまって、リックとノエルくんが脳を焼かれることになりそうですけれど。あかん、ユルさま将来男を弄ぶ悪女一直線になりそう、善哉善哉。




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