秋アニメはほんと見るものたくさんありました。第四回です。
【「カノジョも彼女」Season 2】
【ひきこまり吸血姫の悶々】
【デッドマウント・デスプレイ】
【冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた】
【暴食のベルセルク】
【魔法使いの嫁 SEASON2】
の６作品の雑感書きました。あともう一回あります。
「カノジョも彼女」Season 2 ★★★☆
温泉旅行を経て、咲と渚が対等な関係での二股を継続することになった直也たち。
最初にキスをしたミリカや、直也に密かな恋心を抱く紫乃も加えて、夏休みを迎えた5人の恋の舞台は花火大会、キャンプ、そして沖縄へ――。
ミリカの妹・理沙も登場し、ますます盛り上がるネオスタンダードラブコメの、恋の火花が散る、夏で水着なSeason 2が開幕！
ミリカの妹って原作居たっけ？ 全然記憶ないんだけど、居なかったですよね？ 結局アニメでも特に大した役割があったわけでもないし、どういう意図で登場させたんだろう。
この２期はほぼ紫乃さんの独壇場と言ってよかったんじゃなかろうか。温泉旅行の段階で相当に存在感を示していましたけれど。
一番貧乳枠にも関わらず、圧倒的なエロス担当。さらに秘めたる恋心を持て余しつつ咲との友情の板挟みになりながら葛藤する恋模様。そんな自分を脇において二股を初めてしまう直也とそれを受け入れてしまった咲への困惑と怒り。そして、ついに自分の恋心を押さきれなくなってからの圧倒的な積極攻勢。常に紫乃を中心に話が回っていた、と言って良いくらいでしたからね。愛人枠に収まることで落ち着いて満足してしまっている節のある渚と比べても、非常に貪欲に動くようになりますし。力技すぎるミリカと、恋愛の機微をまるで心得ていないアホガールな咲と比べると、乙女力が凄いんだよなあ。
そういう意味でも話の展開にドライブ感があって、一期のドタバタ感とはまた違う面白みを味わえた２期でした。
ひきこまり吸血姫の悶々 ★★★★
ムルナイト帝国の名門貴族ガンデスブラッド家の令嬢、テラコマリ・ガンデスブラッド。テラコマリ閣下の半笑いがプリントされた閣下Tシャツが、今までアニメで見たTシャツの中で一番ひでえシャツであのTシャツが画面に映ってる間ひたすら笑ってしまってたんだが。ってか今見返したらまた笑いが止まらなくなってしまったんですが。いやまじであの顔はひでえだろｗ
吸血鬼なのに血が飲めないコマリは、魔法が使えない、運動ができない、
背が伸びないという三重苦に悩まされ、３年間の引きこもり生活を送っていた。
しかし、ある日親バカの父がとんでもない就職先を見つけてくる。
その名も『七紅天大将軍』！
それは本来帝国の猛者しかなれず、３ヶ月に一度のペースで他国に戦争を仕掛け勝利しなければならない
超ハードな役職。さらに部下たちは元犯罪者ばかりで将軍に就任したコマリに対して下剋上を狙う気満々……。
絶対に断りたいけど、皇帝直々の任命なので辞めることすら許されない。
本当の実力がバレたら即破滅なこの状況……それでもコマリはハッタリと可愛さを武器に己の任務を遂行する！
「私がこれから為すことはな、単純極まりない覇業だ！
すなわち、テラコマリ・ガンデスブラッドは――他の５カ国の大将軍を
武力で全員ブチ殺し、ムルナイトの国威を全世界に喧伝してやるのだ！」
最強(!?)吸血姫による歴史に残る快進撃がここに始まる！
最後の最後までこのぶっ飛んだノリは楽しいことこの上ありませんでした。何気にろくでもない悪役がちゃんと最後に気持ちよくぶっ飛ばされるのも爽快感あって良かったです。
テラコマリ閣下の覚醒も、無闇矢鱈に連発せずさりとてやたら引っ張りすぎてもったいぶらず、いい塩梅のところでこれ以上なくスカッと圧倒的な力で蹂躙してくれる、この溜めと開放のタイミング毎回なかなか絶妙だったんじゃないでしょうか。
原作の方はどうもギャグのテンポとノリが合わなくて離脱したんですけれど、もう一回読みはじめようかと思ったくらい、アニメの方は凄く面白かったです。
デッドマウント・デスプレイ ★★★★
はるか遠い異世界の魂が、現代の新宿に「四乃山ポルカ」として転生した。ただ、その転生した体には、喉に致命傷が…。しかも、その傷をつけた殺し屋・崎宮ミサキに、暗殺に失敗したと勘違いされ再び襲われることに。なんとか撃退し、自身にかけられた暗殺指令を解くことに成功したポルカは、新宿を根城にした裏社会の「仲介屋」・倉木リサの助力を受け、ミサキや情報屋の繰屋匠を仲間とし、夢だった「平穏な暮らし」を目指す。しかしこのポルカの「転生」は、様々な人々に波及する。待ち受ける、裏社会の「何でも屋」・レミングス、謎の放火犯・火吹き蟲、そして超絶奇術師・怪人ソリティア――「厄ネタ」と呼ばれる超常的な力をもつ犯罪者達と、それを追う新宿署第三資料編纂係、通称「三纂」の刑事。そして「四乃山ポルカ」の生い立ちと、その親族達。さらに、出会うハズのない元いた世界の滅びた帝国の面影にまで、ポルカは巻き込まれていく。この作品だけ公式サイトの登場人物紹介の人数の桁が違ってて笑ってしまう。おい、まじで５５人もいるぞ。五人じゃないぞ、五十五人だぞｗ
本作の面白さはこのやたらと多い登場人物たちが縦横無尽好き勝手動いているのが段々と収束していくところであるし、それが原作の成田良悟さんの作風であり持ち味でもあるんですけどね。
でも、流石にこれだけ登場人物が多いと幾つかグループに纏めてもどうしても視点がとっ散らかるし、話がどうしても進まない。小説だと文章量で一気に押し流してしまえるんだけれど、アニメや漫画だとどうしても構造上遅々としてしまう所なんだよなあ。とはいえ、登場人物を絞ってしまうと本作の魅力が半減してしまうのも確かで難しい限り。とはいえ、進みこそ遅いものの面白さそのものは特に後半に行くに連れてピークに達しっぱなしになってたんですよね。それぞれに割かれるリソースは少なくても密度は非常に濃いものでしたし。
また、ポルカサイドのメンバーがミサキ、匠、小夜、小幽、細呂木ペンで固まって以降は主人公サイドは腰が定まりましたし、ストーリーも細呂木さんの殺人事件の真相に近づき犯人がわかりサバラモンドが登場したあたりからぐんぐんと動き出しましたしねえ。ここで終わってしまうのがもったいないくらいには盛り上がってました。２クール２４話もやって進んだのがここまでかあ、という気持ちもありますけれど、これ以上は無理だよなあ。
しかしこれだけ登場人物たくさんいて、ソリティアのキャラの面白さは図抜けてたよなあ。これほどしっちゃかめっちゃかなトリックスターらしいトリックスター、かつて居ただろうか。
冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた ★★★☆
若き日に魔獣に襲われ片足を失った元冒険者ベルグリフは、 故郷へと戻り村民と日々平穏に暮らす中、 近くの森で捨てられていた女の子を拾い、 自分の娘“アンジェリン”として男手一人で育て上げる。皇太子ベンジャミンもっと年かさのイメージあったんだけれど、かなり若い風貌だったなあ。
やがて成長した娘は父の背中に憧れて、 冒険者になりたいと都のギルドへと旅立っていくのだった。
それから５年後――心のどこかでまだ冒険者としての自分を夢見ている父。
一方、 娘は冒険者として最高位の「Ｓランク」になっていた…！？
映像作品としてはアクションシーンがほとんど止め絵だったりと動きが少なく低コスト作品って感じは否めなかったのですけれど、本作のテーマというかコンセプトというか、田舎の村ののどかで穏やかな暮らしとか、帰郷した時に父親があたたかく迎えてくれる故郷や家族の温かさ、というものがじんわりと伝わってくる空気感をこそしっかり描いてくれていたので、見ていても満足感がありました。
このあとどんどん家族増えていくんですけれど、アンジェリンがいない時でもグラハムお爺ちゃんとミトが一緒に暮らすようになったあとの家のゆったりとした生活感がいい感じに出てましたもんねえ。
そして最後に出てきたカシム。ラストにちゃんとベルグリフとカシムの再会を描いてくれていてよかった。本作のもう一つの大事なテーマがベルグリフの旧友たちとの再会による過去の精算でしたからねえ。この二人の再会は思ってたよりも胸にぐっときてしまって涙腺緩んでしまいました。出来ればパーシーとサティとの再会まで見たいんですけれど。
本作はアンジェがS級で強いは強いんですけれど、周りの大人達がそれ以上にしっかりしていて頼りになる人達なので、若者たちが後ろを気にせず頑張れるお話なのがなかなかグッと来るんですよねえ。
暴食のベルセルク ★★★☆
スキルの優劣が絶対の世界で、城の門番であるフェイトは《暴食》という腹が減るだけのスキルを持ったせいで最底辺の生活をしいられていた。ロキシー様最後までいい人で正統派ヒロインでした。この人のためならフェイトが命賭けちゃうのもそりゃ納得ですわ。
しかしある日、城に侵入した賊を仕留めたことにより世界が一変する──
無能と蔑まれた少年の下克上が今始まる──
暴食の力はいつ力に呑まれるかとのせめぎあい、終わりのないいつかは限界が来ることが約束されてしまっている定めだけに、力の使い所としてそれを捧げる相手がいるというのは強くなれますわなあ。
そして何より、常に孤独ではなくグリードという相棒がいる状態。この男同士の気のおけない相棒同士という関係はほんと良かった。
魔法使いの嫁 SEASON2 ★★★★
すべてではない。 けれど、 エリアスを、 自分を受け入れることができたチセ。
カルタフィルスがひとときの眠りにつき、 日常を取り戻した彼女の元に
届いたのは、 魔術師たちの相互扶助組織『学院』への招待状だった――。
大英図書館の地下……今までとは違う魔術師達の社会。
”人”との出会いと交わりが、 新たな扉を開いてゆく。
これは、 私(あなた)を救う為の物語。
２クール目スタートの際も書いたけれど、ほんとOPの眠らされたリネージュが曲も映像も凄かった。
２クールに入って、それまで表層しか見えていなかった魔術師の家の闇に踏み込んでいく、特にサージェント家のフィロメラを取り巻く茨を切り払い、囚われ苦しめられ助けを求める意志さえ奪われている彼女に、チセと学院で友人になった子たちが手を差し伸べる、まあかなりハードな展開だったんですけれど、ガチでハードだったなあ。
チセも相当に酷い環境で育ってきたと思うんだけれど、フィロメラのそれは筆舌に尽くしがたいものがありました。祖母から受けていたの、DVとか虐待のレベルを明らかに超えていて完全に憎悪からフィロメラの尊厳を踏みにじり、自意識そのものをすり潰して最終的に処分してやろうという悪意の塊でしたからね。息子への歪んだ愛情が息子とその妻を惨たらしく殺害し、喪った息子を取り戻そうと孫を苦しめ痛めつけて八つ当たりした挙げ句に捨て駒として使い捨てようとする祖母のあの悍ましさ。
さすがにこれ、同情の余地どこにもなかったでしょう。もはやフィロメラとどうやっても相容れぬ状態で後悔とか介在する余地もなかったんだろうけれど、だからこそああいう楽な形で終わってほしくはなかった。
魔術師と魔法使いの違いって技術的なものだけではなく、思想的、世界との立ち位置の違うも結構あって、学院で出来た友人たちともどうしてもスタンスが違う所があるんだけれど、それでもチセにとって初めて出来た友人たちとこう……打ち解け心結んでいる姿がすごく胸を打つ最終回でありました。あのチセが学校の友達を家に呼んで一緒にすごしてるんですよ。あの暖かな空気感はなんか信じられないものがあります。ってか、銀の君が超ウルトラ上機嫌なのもわかるわーー。
なんか最後に凄まじい形でさらに裏にいた黒幕がぬるりとその本性を垣間見せてゾクゾクさせられたんですけれど、これ３期もあって欲しいなあ……いや、原作のストック使い果たしてるんであるとしてもだいぶ先になるんでしょうけれど。
