【転生したらスライムだった件 21】  伏瀬/みっつばー GCノベルズ

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リムル消滅の報により激震が走る魔国連邦。
しかし以前とは違いリムル生存の確信を持つ幹部たちの姿に、すぐさま冷静を取り戻していった。

リムルが帰還したときに国がなくなっていたでは笑えない。今は目の前の問題に対処するべきだ。
そう考えるベニマルは、地下迷宮に侵入したディーノ率いる天使軍団に集中する。
中でもヴェガの浸食スキルはやっかいな性能をもっていた。

この難局に、二つの漆黒が敵の前に立ちふさがる。


前巻、最近読んだと思ってたんだけれど読んだの一年以上前だったのか。
リムルがフェルドウェイによって時空の彼方に飛ばされてしまい、主不在となった魔国のリムルの配下たちはいざどうなってしまうのか、というのが今回のおおむねメインの展開でした。
と言っても、むしろみんな奮起して成長パワーアップ、という流れでなんか片っ端から究極能力ゲットしだしたり。でも、大罪系美徳系もだいたい出きったのでなんかスサノオとか別の神話大系も普通に使い出したなあ。
元々、リムルが性格上自分で何でも決めてやらせるんじゃなくて、部下たちには仕事を振りつつちゃんと自分で考える余地、判断する余地を与えて勝手に回るようにずっと促してきましたからね。リムルへの尊崇と依存心はあるけれども、リムルがいないと何も出来ない何も考えられない、というような人材ってほとんど魔国はいないんですよね。シオンは例外として。まあ彼女も何も考えないけれど、愚直に与えられた命令を遂行する……自己解釈多分にありですけれど、事に関しては他の追随を許さないですから、まあリムルが居ないと何も出来ないわけでもない。
リムルの元から巣立つようなタイプはさすがにちょっと居ないんだけれど、ゴブタあたりはそういう行動に出ても不思議じゃない気もするんですが、自立回巣立ち回というわけでもないのですけれど、リムルがいなくとも自力でみんながんばれるよ、という回でもありました。
個人的にはシュナのあのサポート系究極スキルが誰も逆らえない裏の支配者というか、みんなのお母さん的な感じで好きなんですけどねえ。
そして本当に珍しいことに、ついにウェルドラが作中でも最強クラスの暴風竜としての力を存分に振るう時が来た。彼が全力発揮する機会って、なんだかんだと今まで恵まれてこなかったですからねえ。このお調子者はもったいぶることも多いから、チャンス逃すことも多かったですし。
まあ珍しく、本当に珍しくカッコいい場面が。まあだいたい、自分でそのかっこよさを台無しにしていくのですけれど。
しかし、ルミナスのヴェルドラへの反応が段々とツンデレめいてきたんですけど!? 元々仲が悪い二人ですが、というかルミナスの方が一方的に毛嫌いしていた……まあヴェルドラに与えられた被害を考えれば怒るのも当然なのですけど。ヴェルドラの方はむしろ怒ってるルミナスの機嫌を取りたいという感じで、今回ダグリュールとの戦いで絶体絶命のピンチに陥っていたルミナスたちを助けに来た際も、ルミナスにいいとこ見せてやろう、とまたぞろ調子に乗って失敗してたんですけれど、ここまで来るとヴェルドラの方もけっこうルミナス個人を意識しているように見えてくる。アホなので、下心とかなく本気で良いところ見せたいだけなんだろうけど、そうしたくなる相手ではあるんですよね。
そして、ルミナスの方は何だかんだと助けてもらって嬉しかったり、その強さに感心しているのに素直になれなくていつも以上に罵倒してしまったり、とこちらはこちらで意識してんの? みたいな反応しちゃってるの、どうなの? どうなの?
結局、ダグリュールとの決戦も圧倒する形で、それも破壊ではなくこれまでのヴェルドラの所業からすると真逆の創造をベースとした決着のさせ方で、ダグリュールの一族が抱えていた滅びの問題まで一緒に解決してしまい、となんかいい感じのハッピーエンドにまとめてしまったあたり、ヴェルドラもリムルと関わって昔と全然違ってきたんだなあ、というのが伝わる決着でありました。結局調子乗って色々と見直されたの台無しにしてしまうアホさは変わらないのでしょうけれど。

ヴェガとディーノたちの方のラミリスの迷宮攻略戦の方はもう最初からヴェガ以外の面々が完全にやる気なくてちょっと笑ってしまった。そりゃ、フェルドウェイの支配によって嫌々強制されてるんだからやる気出るわけないですわなあ。
でも、ディーノ自分だけなら支配から逃れる術あるにも関わらず、それで警戒されて古の昔からの仲間であるピコとガラシャが完全洗脳されて人格消去される可能性が高いために、仕方なく従ってるというあたりイイ奴なんですよね。怠惰だけど。これだけグダグダしているやつに、ずっと文句いいながらも千年来付き合ってるピコとガラシャからして、付き合いがいいというか、何だかんだイイ仲間なんだなあ、というのが短い描写の中でも伝わってくる関係でありました。
こうなると、あとは。異世界人のマイもこっちに巻き込みどう支配を脱するか。ゲス野郎のヴェガを出し抜くか、という話だったんですけどね。
ヴェガは本作ではかなり珍しい、性格が心底からゲス野郎の悪党でした。何だかんだ、敵サイドのやつでも事情を抱えていたり、変わってしまった理由があったりで、あとで味方陣営に加わったり、散り際に名誉を回復したり、と悪い待遇じゃなかったんですけどね。
あの序盤の悪役筆頭であったクレイマンですら、最近ではクレイマン主役の漫画がはじまってたりしましたからね、とまあ彼は悪役の中でも特別待遇いい方ですけれど。
それこそ、最序盤に魔国に攻めてきた異世界人の転生者たちくらいじゃないでしょうか、根っからの根性腐った悪役って。
そういう意味では、ヴェガって本当に数少ない一切同情の余地がない性根の腐った自己中の頭悪いクソ野郎、というわけであとはどうやってこれ以上無い痛快なぶっ飛ばし方をスルか、だったわけですけれど。
いやあしぶといしぶとい、ゴキブリ並みにしぶとく、命乞いと調子乗って増長するの反復横跳び。
これはもう普通にぶっ殺すだけじゃ全然足りないよなあ、とさすがに苛ついていたら、やっぱりよっぽどのヘイトが彼一人に集中していたらしく、最終的には死んだほうがマシ、というカーズ様パターンに。ザマアである。
にしても、あんな野郎のためにマイが犠牲になるのはなんとも納得いかないのですけれど、これってマイたちが飛ばされた所を鑑みると、リムルかユウキとエンカウントする流れですかね。