【Re:ゼロから始める異世界生活 13】 長月 達平/大塚 真一郎  MF文庫J

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予期せぬ形で第二の『試練』と向き合わされ、地獄のその先の光景を知ったナツキ・スバル。己の罪を知り、救いを求めた魔女の本性に裏切られ、打ちのめされたスバルを取り囲むのは大罪の名を冠する六人の魔女と、それらを滅ぼした最後の魔女だった。激昂と慟哭の果てに、救いたいものを救えないナツキ・スバルの心は摩耗する。だが、どん底に突き落とされたスバルの下へ、一人の友から最後の希望が差し伸べられる。希望は硬い拳となって、諦める必要などないのだと、強く鋭く叩きつけられて――。「――賭けをしよう。俺とお前の、願いをチップに」大人気WEB小説、愛情交錯の第十三幕。――今、鳴り響く、泣きたくなる再起の音。


積んでたシリーズも偶には崩していかないとキャンペーン、その2。
これも前巻読んだのは20年の7月となってるので3年半くらい前になってしまった。しかもRe:ゼロは未だに新刊が続いてるから本編だけで36巻まで出てるから、これもう追いつけないんじゃないだろうか。
ともあれ、随分と久々に続きを読んだら、冒頭からスバルが魔女のお茶会で魔女たち相手に発狂寸前の狂態を晒していて、もう激情も激情、情緒ぐちゃぐちゃで精神もボロボロで、いやほんと久々に続き読んだ頭から主人公がここまで精神的に追い詰められてぐちゃぐちゃになってるの、きついw
いかん、こういうのは連続して読んでいたらスバルの抱いていた情緒にちゃんとこっちの気持ちも追いつけていたんだろうけれど、ブランクがありすぎて共感がついていかず、さりとてあまりにもスバルが苦しそうで一杯一杯になって幼子のように泣きじゃくっている姿に何も感じないわけがなく、どうしたらいいかわからなくて呆然としてしまった。

改めて読むと、この物語は登場人物たちがどうしようもないくらい感情を爆発させてしまう、自分の心のうちをむき出しにして吐露してしまうシーンの迫真がやっぱり凄いんですよね。
ここだけでなく、エミリアとスバルがついにむき出しの本音をぶつけ合う場面も、ガーフがこれまで堪えて堪えてずっと内に抱えてきた哀しみを吐き出すシーンも、もう無視できないんですよね。スルーして流せない。もろに波が心にぶち当たってグワングワン揺さぶられてしまうのです。
ガーフのお母さんへの想いをこぼすシーンなんか、もらい泣きしそうになってしまった。今まで理不尽で感情的で話が通じない暴力的な怒れる獣としか思えなかった最初の頃から、徐々に徐々にそのヴェールが剥がれてきて、いやスバルがついにみんなと一緒に戦うことでガーフの本当の姿が見えるように引っ剥がしてきた、というべきか。
こっちのスバルが一人で運命に抗うんじゃなくて、自分の命を無駄に消費して哀しみを振りまくのではなく、ちゃんと今ある生命を大事にして、そして皆の力を借りて戦うという今までのあり方を大きく変える心境の変化を迎えるまでも、まあ随分と色々と回り道して、オットーという同性同世代の友人から一発いいの食らって、パトラッシュからも喝入れられ、幾つも幾つも蒙を啓いてここに至るまでに随分と長い物語もあったんですけどね。そこから、こうして行き止まりにいたガーフに新たな世界を開いてみせたり、自分の殻に閉じこもっていたエミリアを引っ張り出したり、という所に全部繋がってくるのですから、この連鎖というかドミノ倒しというか、スバルが運命を乗り越えることで次々と扉が開いていくかのような展開はRe:ゼロの醍醐味ではありますけれど、今回は特にスバルだけじゃなく主だった登場人物の多くの精神的な成長にも繋がっているという意味で、大敵の撃破以上に大きな意味を持つ解決編だったんじゃないでしょうか。
……いや、まだまだ問題は山積みでようやく打開へ向けた人員のゲットと謎の解明と逆襲の開始が始まったばかりなんですが。今回、いくらなんでも問題山積みしすぎでしょ!? どれだけ関門重ねてたんだ? と思えてしまう。
よく考えると、ようやくガーフィールを墜としただけとも言えるんですけどねえ。でも、スバルのメンタルが完全回復してさらに成長もして、身内が齟齬無く一致団結出来て大兎にしても屋敷への殺し屋たちの襲来にしても、とりあえず憂いなく立ち向かえるという態勢が整った、というだけなんですよ。まだなんにも解決してない。でも、この流れ完全に変わったな! という安心感というか信頼感は凄く満たされたような感覚があって、いいですわ。

しかし、WEB連載の方でもこのあたりはまだ読んでいたのですけれど、ガーフィールのこと最初はずっとムキムキの大男だと思ってたんですよねえ。だから、彼の年齢がまだ14歳だと明かされた時はスバルと同じくらい目をむいて仰天した記憶があります。やっ、それ以上に書籍版でガーフのデザインが出たときはビックリしましたけどね。いや、普通に生意気なガキンチョな見た目じゃん!て。
それ以上に驚いて、同時にものすごく納得したのがエミリアの年齢の謎の方でした。彼女の過去についてはここまでずっと曖昧に濁されていて、年齢の方もなんかはっきりしなかったんですよね。
それが、百年近く氷に閉じ込められていて、しかも少しずつ氷の中で体が成長していた、という事実がここで明かされて、エミリアが見た目年齢18歳、実年齢100歳以上、そして精神年齢が氷に閉じ込められていたときから成長していなかったことがわかり、実は中身まだ14歳くらいでしかないというのが発覚したわけである。
これがわかったとき、ものすごく腑に落ちたんですよね。
別に今までのエミリアに違和感を感じていたとかではないんですよ。それまでも普通に理知的で落ち着いた少女でしたからね。18歳という年齢に何も不思議とは思っていなかったんだけれど、こうして実際は中身まだ14歳のスバルよりもだいぶ年下の小さな女の子だったんだよ、と言われるとこれまでの言動や振る舞いに凄くシックリくるものがあって、同時に今までのエミリアに対しての印象がまたガラッと変わったんですよね。
ようやく、エミリアというキャラクターがはっきりと理解できた、これがエミリアという娘の本当の姿だったんだ、という大きな納得が、得心があったのです。実像が鮮明になった、とでもいうべきか。
今までスバルへの対応にしても、現実の問題に対する姿勢に関しても、ちょっと納得行かない部分があったのも確かなんですよ。それが、彼女がまだ幼い子供だとわかったことでこれまでのそうした部分がブレがなくなってかっちりと実像にハマって、そういう事だったのか、と納得がいき、なんか俄然このエミリアという娘が好きになってきた契機だったんですよね、ここ。
スバルにしても、エミリアが同世代じゃなくて一回り年下のまだ子供な女の子である、という事実がわかったことで、彼のエミリアが好きだ、という好意に関してもむしろ地に足がついた感があるんですよね。
ここでエミリアのダメな部分、実際面倒くさくてどうしようもないところなど、あけすけにエミリア当人に言い放って、その上で「でも好きだ」と胸を張って宣言するシーンは、なかなかくるものがありました。
お互いむき出しの本音をぶつけ合って、ようやくこの二人は本当の意味で繋がることが出来た、記念すべきターンだったんじゃないでしょうか。
オットーというこっちもあけすけにズケズケと本音ぶつけてきてくれる、それでいて体張って命張って一緒に戦ってくれる同世代の同性の友人まで出来てさ。ついさっきまで精神的にメタメタになって幼児退行しかけたくらいダメージでボロボロになってたのに、ほんとこのシリーズの墜ちる時はもうやめてあげてというくらい徹底的に落としながら、逆襲のターンになったらもう上げに上げてくるの、そのアップダウンの激しさと勢いはほんと色んな意味でたまんないですわ。
これでただの上っ面の勢いだけならまだしも、これだけの重りを溜め込んでの急上昇ですからね。これでもか、というくらい中身詰めに詰め込んで、ですからね。
たまんないですわ。

いやこれ、ほんと間隔あけて読んだらダメですね。このアップダウンに振り回されて気持ち揺さぶられたグラグラが収まらない内に次読まないと。
逆襲本番編はなるべく早めに読みます。