【異世界のすみっこで快適ものづくり生活 2 ~女神さまのくれた工房はちょっとやりすぎ性能だった~】  長田 信織/東上文 電撃の新文芸

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ものづくりで生活を豊かにしていく異世界スローライフ、第二弾!

神器〈クラフトギア〉を駆使したものづくりで、森を快適空間に魔改造していくソウジロウ。念願の露天風呂やサウナを作って、社畜時代の楽しみを再現!?
さらには、パン作りや果樹園など、食方面でも暮らしを充実させていく。
その様子を聞きつけた天龍族や鬼族もやってきて……気づけばキャンプ地がもはや村になってる!?
チートな元社畜の、等身大の異世界生活、第二弾!



今までウカタマやコタマやムスビなど、生産を手伝ってくれる動物? 魔物? たちとミスティアと千種とソウジロウの三人だけで森を切り拓いて、女神さまから与えてくれた神器クラフトギアによって殆ど労力を使わずに身の回りの道具類や建物なんかは自由に建てたり作ったりして、こじんまりと暮らしてきたわけですけれど。
このたび、天龍のアイシスやその父龍、そして使用人である鬼族たちが近くに越してきた事で、住人がどーんと増えることに。

これまでもちょいと離れているけれど、神樹の森の縁にあった人間たちの暮らす街ブラウンウォルスとは細々と交流はあったわけですが、ほぼ切り拓いた開拓地だけで完結してたんですよね。
それだけソウジロウのクラフトギアが万能であったのと、人間の枠にある住人が三人だけと少人数なんで、地産地消じゃないけれどほぼ自分たちの所で完結できていたんですよね。
自分たちだけ、というのはそれだけ周りを気にせず自由であるということ。前世では社畜で会社や時間に縛られていたソウジロウ。コミュ障というのもあって、外の世界では色々と苦労して人間関係に疲れていた千種。ミスティアは冒険家気質というかサヴァイバル好きで陽性な人手、ナニカから逃げてきたわけじゃないけれど、たった一人でずっとこの常人が生きていけない神樹の森で過ごしてきたようにどちらかというと社会からハズレた所で生きていく事を苦にしなかったり、むしろ好んでいる性質の人だ。
彼らにとって、好きなことをして何にも追われることなく、何の気を遣うこともなく、自由にのんびりと思うがままに日々を過ごしていけるこの開拓地というのは、楽園のようなものだっただろう。
でも、利便性やこの開拓地では賄えないものを欲したら、外の世界とは交流していかなくてはならないし、さらに天龍たちが近くに引っ越ししてきてご近所付き合い以上の密接な距離感で、ほとんどこれ一緒に暮らすようなもんですよね。ともかく、住人が増えてコミュニティが大きくなってきた。
そうなると、どうしたってしがらみやら形式みたいなものが生まれてくるし、必要になってきてしまう。コミュニティをまとめるために立場というものが生まれ、立場が出来たら責任が生じて、やりたくないけれどやらなきゃいけない事も出てきてしまう。
途中一瞬、千種が周りに合わせて働かなきゃいけない、という環境が生じ始めたことに懸念、というかそういうのいやなんですけどー、みたいは発言をしていましたけれど、気心のしれた三人だけの暮らしという今までとは、どうしても変化が生じてきてしまうんですよね。

ブラウンウォルスの領主のおっちゃんと、相方というべき商会のおっちゃんが、そのあたりまだ自覚というか認識の薄かったソウジロウに、うまいこと助言してくれてましたけれど。
そういうしがらみとか形式とかって、面倒なんだけれどこれを放置していると余計に大変なことになり、手間や不便さが増えてきてしまう。結果として、ちゃんと枠組みだの立場だのをしっかり固めておくことで、うまいこと事が回ったり便利になったり都合よく物事を進めることが出来るようになるんですよね。
このへん、ソウジロウたちとなあなあの曖昧な関係じゃなく、ちゃんとブラウンフォルスの街とソウジロウたちの開拓地とでちゃんとした約束事、条約を結ぼうと提言してきた領主のおっちゃんたち。もちろん、自分たちの利益も考えてなんだろうけれど、ソウジロウに対してもとても親切だったと思うんですよね。統率者としての心構え、というほどの大層なものじゃないけれど、近いうちに必要になってくるよ、というそれはソウジロウにとってもだいぶありがたいことだったんじゃないだろうか。後々のことを考えると、ね。
家族同然のミスティアと千種と違って、龍や鬼たちは仲良くしててもご近所さんでも、距離感がまた違いましたからね。特に鬼族たちはソウジロウの事を敬い崇めていて、対等な立場とは言い難い人たち。
どうしたって気遣いや、相手からこちらに向いて発せられる好意や尊崇に対しても、ちゃんと配慮しないといけないし、常に対応を気をつけなければいけない。
必然的に、ここで出来上がってきたコミュニティのリーダーはソウジロウに自然となっちゃってますしね。そうやって、自分の周りの人達に対して責任みたいなものが生まれてくると、自由気ままに、とは段々いかなくなってくる。自分たちの住まう家一つにしても、好き勝手にとはいかなくなって意見を聞いてまわる、なんて事をしているのもその一つとも言えますしね。
今のところ、ソウジロウはそうして生じつつある責任や立場というものに対して、必要以上身構えていなくて自然体にこなしていますし、彼って社畜やってたわりに…いやだからこそなのか? 自分の楽を保つバランス感覚、やらないといけない事を楽しくやりたい事としてこなしていく変換能力にも長けていて、まだ負担を感じたりしんどいなあと思ったり、というのはなさそうなんだけれど。
それでもちょっとずつ、色々と配慮や気遣いを考えて動かないといけない場面が増えているのも確かに見えるので、果たしてこのままずっと自由にのんびりを維持できるんだろうか、とちょっとだけ心配は生まれてきたかな、といった感じですね。

温厚なソウジロウが、はじめてブチ切れたのが、マナーを弁えずにサウナで騒ぎまくっていたアイレスに対して、というのはちょっと笑ってしまいましたけれど。
逆に言うと、こういう地雷さえ踏まなければソウジロウって別に怒ったりネガティブな感情を殆ど抱くことなく、ぽややんとしているので、負担にしんどいと感じるような事もまずはないとは思うんですけどね。
にしても、天龍のアイレスって両性具有らしいけれど、今のところその特性が目立った所はないよなあ。なんかこう、両性だからこそ、ならではの性癖というか、フェチシズムを刺激してくれる挙動があったら嬉しいんだけれど。
フェチというと、闇属性の千種さん、今もJKの制服ずっと着たまま異世界JKを気取ってるんですけれど、これもうすでに二十歳超えているというのを理解したうえでこの娘のJKムーヴを見ていると、なんか妙な性癖が開拓されてしまいそうですw