【双子まとめて『カノジョ』にしない?】  白井 ムク/千種 みのり 富士見ファンタジア文庫

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優等生美少女&奔放美少女。双子からの同時アプローチラブコメ!

品行方正、成績トップの同級生美少女・宇佐見。
校内で俺をライバル視して突っかかる彼女には放課後、別の顔がある。
彼女は放課後、ゲーセンで遊び、学校では想像できない無邪気な笑顔を見せるのだ。

俺は宇佐見と仲良くなるため、校内では寄り添い、放課後は一緒に遊ぶ。
それぞれの場所で仲を深め、ついに……学校帰りの宇佐見から告白が!?

俺も思いを受け止めて、ゲーセンから帰る彼女に想いを伝え返す。

これで彼女と両想い……と思ったら、そこにもう1人の彼女が現れて!?

「えっ、告白したの私だよ!?」
「でも…いま告白されたのは、うちだし」

彼女の名前は、宇佐見千影と光莉。
じつは双子だった!?

同時に告白成立してしまった結果……
双子からの提案で、まさかの両方と付き合うことに!?
時に日替わり、時に3人で。

大人気ラブコメ「じつは義妹でした。」
著者:白井ムク&イラストレーター:千種みのりがおくる双子同時アプローチラブコメ!!

最初双子とは知らずに二人と知り合う系統なのか。
双子とのラブコメって、姉妹が他人に見分けつかなくても主人公だけは同じ格好をしようと入れ替わってみてもちゃんと判別できる、というパターンが多いんですよね。そういう場合、だいたいにして幼馴染だったりするのですけれど。
でも、二人そっくりだからこそ、そんなそっくりは二人をちゃんと区別できるからこそ、二人は別々の人間、独立した一人の人間同士で、どちらと付き合うかって話になっていく事が多いんですよね。
あっさりと、じゃあ二人一緒に付き合っちゃおうか、という展開はメインストーリーとするには逆にこういう場合だと難しかったりするのでしょう。
こっちの双子と主人公。咲人と光莉・千影の姉妹は咲人と千影は初対面じゃなく、中学の頃にちょろっと塾でささやかな交流があり千影の方が強く意識していた、という接触はあったものの、咲人と宇佐見姉妹はお互いにお互いのことを殆ど知らない間柄。人となりなんか全然知らなかったわけだ。
だからこそ、光莉と千影はそれぞれが咲人という人物と交流があった事を知らなかったし(意識してる人がいるよ、という話は姉妹仲いいのでしていたのだけど)、咲人の方も宇佐見さんが双子の姉妹で二人いるなんて思いもしなかったわけだ。
光莉の方が不登校で、殆ど学校に通学していなかったので、そもそも宇佐見がそっくりの双子という事実を咲人だけじゃなく学校の殆どの人が知らなかった、という点で咲人が知らなかったのもま仕方ないと言えましょう。先生ですら、担任じゃなかったら把握していなかったみたいですし。
というわけで、学校内と学校外で咲人はそれが別人、双子の姉妹と知らないままそれぞれと交流を深めていき、それぞれに惹かれていってしまうわけだ。
咲人くん、印象の異なる学外と学内の二人の宇佐見のどっちが、じゃなくてどっちのキャラクターにも魅入られていくわけだけれど、ギャップ萌えとかじゃなかったよね? 違うよね?
まあどちらの面も非常に魅力的、と感じていたので、あとで双子とわかったときにどっちも好き、と言ってしまったのもまあわかる、気持ちはわかる。
告白もキスも錯綜してしまったのは、控えめに言ってもややこしいことで、ヘタをしなくても普通ならここでドロドロの修羅場にハマっていきそうな勢いだったのですけれど、その勢いをじゃあこのまま三人で付き合おうよ、と強引に着地させるのに転換してしまったんですよね。
光莉主導ではあったのですけれど、千影も咲人もそれを受け入れてしまった。軽い気持ちではなかったでしょう。それぞれに本気だったからこそ、手放したくなかったという気持ちではあったでしょうし。
同時に、それだけ人間関係というものに対して経験不足、あるいは未成熟な側面がある子たちであった、というのも事実なのではないでしょうか。特に咲人くんについては、生来からの特殊な要因もあって普通の人間らしさというものから逸脱した領域を歩んできた子だったから、未熟じゃなくて未成熟、そして深い傷を抱えながらもある種の無垢さを失っていなかったからこそ、社会的な正しさ、体面、常識に意識を引っ張られず、心からの純真な欲求として選択による片方の切り捨てを選べなかった。
それは、弱さと言えば一つの弱さではあるのでしょう。学校に通うことが出来ずにいた光莉の方も、同じような弱さを抱えていて、彼ら二人は極めて突出した天才でありながら、いやだからこそか非常に脆い在り方をしていたように見えます。
だからこそ、一人では自分をすらも支えきれていなかったし、多分二人だけでも寄りかかってどちらかに倒れ込んでしまっていたんじゃないでしょうか。
咲人も光莉も、千影と三人で過ごし付き合うことでどんどんとお互いへの理解を深めていくわけですけれど、そうやって理解が深まるほどに勢い任せとも言えた三人で付き合おうという非常識な答えが、この三人にとっては正答であったことを実感していくんですね。
この二人に比べると、千影ってまだこう自我がしっかりしているというか、自分をちゃんと持っている子だとは思うんだけれど、これは橘先生が言っていたのか。一生懸命な子だからこそ、一心不乱になれる子だからこそ、ぎゅっと視野が狭くなってしまうところがある。橘先生は、学外のイベントに参加させることで視野を広げ、千影という少女の可能性の可動範囲を広げられるように、というような目的があったみたいだけれど。
この一点集中って多分、二人きりだと本当に相手しか見えなくなる類いのものだったんじゃなかろうか。光莉と咲人の二人と一緒になることでたったひとりじゃない、左右の二人を見ることになる。左を見て右を見て、自然とぐるっと周囲を見回す形になる。広く、目を向けることができるようになる、という塩梅だったのかな、と光莉と咲人が助っ人でイベントに参加してくるまでとそのあとの様子を見ると、そんな風に思ったり。
一人では立っていられず、二人でも支えきれず、三人だからこそ勇気を出せる、前に進める。だからこの三人にとっては、三人一緒であることこそが最適で、正解で、一番楽しく幸せなことなのだ、と。
お互いのことを何も知らないところから、徐々に初めていけた三人だからこその、知れば知るほどにさらに好きになっていけた三人だからこその、辿り着いた結論だったんじゃないでしょうか。

軽い感じでサクッと三人で付き合っちゃおうぜ、みたいなふわふわっとした展開にも思えますけれど、これがどうして最初から最後までそうなるに足る筋と理屈がしっかり通っている、だからこそトントン拍子とも思える展開にも随所に納得の行くお話になっていたと思います。
どっしりとした実を感じられる、というほどではないんですけれど、枠組みのしっかりしたラブコメでありました。

ところで橘先生、生徒指導で堅苦しい喋り方してたりポニテ様にいちゃもんつけてきたりという所業などから、ちゃんと冬子という名前や美人などの容姿などの描写、彼氏いるのかみたいなコメントなどあったんですけれど、自分が勝手に髪の薄そうなガタイのごっつい男の先生を想像して思い込んでしまっていたので、いきなり咲人と橘先生の間にあやしい関係疑惑が浮上したときには、ぶはっと吹いてしまいましたがな。
唐突に腐属性ぶっこんできたぞ!? とw
そ、そうか普通に女性の教師だったのか。ちゃんとそういう風に描いてるよな。なんでハゲたムチムチのおじさん教諭だと思いこんじゃったんだろう。咲人くんのネクタイをいそいそと直してあげる薄毛ムキムキのおじさん教諭の絵面を想像してしまっていたので、焦ったぞぃw