【乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル 7】 春の日びより/ひたきゆう TOブックスノベル

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魔族軍に囚われ砦に幽閉されてから数日。目を覚ましてすぐに脱獄したものの、アリアは更なる窮地に立たされていた。次期魔王を決める『選定の儀』を戦うべく魔族内の有力氏族長たちがこの地に集結してきたのだ。この絶体絶命の状況を切り抜けるため彼女が打った秘策。それは、カトラスでともに行動した魔国の王子・カミールを勝利させて王とすることだった!?味方陣営は弱小で、相手は数百年を生きる歴戦の猛者たち。誰もが絶望する圧倒的劣勢でも、敵を見つめるその瞳に揺るぎはない。——全ては、友【エレーナ】に再び会うために。最強主人公【ヒロイン】の孤独な死闘が今、始まる!「私には——帰るべき場所がある!」壮絶&爽快な異世界バトルファンタジー第7巻!


お互いずっと同類、同志として運命共同体、比翼の鳥である事を思いながら関係に一線を引いていたアリアとエレーナが、ついに自分たちは友達だ、と認め合って再会を約束して別れた前巻。
魔族軍に囚われたアリアは、そのまま魔王の子であるカミールに保護されて魔族国まで連れて行かれるのかと思ったんだけれど、国まで戻らず話が進むのか。
半ば出奔していたカミールだけれど、想像していた以上にその立場危うかったのね。魔族の氏族長たち全然言う事聞かないどころか、ほぼ公然と排除にかかりはじめてるし。
仮とはいえ、アリアとジェーシャのことよく庇護できたもんだ。牢獄には入れられたけれど。
意識取り戻した途端に、とっとと拘束脱して牢から抜け出しちゃうアリアはほんとアリアである。これ、一緒にジェーシャ捕まってなかったら一人でとっとと逃げて帰ってたんじゃないだろうかw
ゲーム原作でも魔族国シナリオがあるように、桃色髪の少女と魔族国には深い因縁があるらしいので、これアリアもカミールといっしょに国元まで戻って政変にがっつり関わる、つまりこの巻では魔族編終わらないんじゃないか、とも想像していたんですけれど、アリアのエレーナ愛を見縊っていたのかもしれません。そんな悠長に他国の事情に関わってる暇ないわなあ。
エレーナも転移魔術で拉致られて国外に連れ去られた以上、早々に国元に戻らないといけないですし。

というわけでなんやかんやあって、魔王が死の淵にある政治的混乱に乗じて人類領域積極侵攻派閥の魔族の氏族長たちが前線に出揃っていたのもあって、人類と和解すべしという立場のカミールを排するために選定の儀が行われることに。
それぞれが一党を率いてダンジョンに潜り、魔族の王を継ぐ証をダンジョン最深部で手に入れるか、お互い殺し合って決着をつける、という魔王を継ぐものの儀式を執り行うことに。
わーーい、それってもう完全にアリアの得意フィールドなんですけど!?
むしろ前巻のように軍勢で押し寄せてきて市街戦、という力のない身内を守りながら物量に押しまくられる、という戦争の形の方がよっぽどアリアにとっては力を発揮しきれない分野だったでしょう。
予想通り、カミールやジェーシャたちはダンジョン攻略を優先させて先にいかせて、アリアは一人残って遊撃にまわることに。潜伏、罠設置、モンスター誘引、闇討ち、暗殺、もうこんなんアリアやりたい放題やないですかー。
いっそルールもなく相手の戦力もよくわかっていなかった暗殺ギルド本部強襲の方が緊迫感があったくらい。あっちは敵さんの本拠地ということでホームでもありましたしね。しかし今回はダンジョン。魔族たちもモンスターに襲われながらですし、内部を周知しているわけでもない。
幻覚魔法系すら得意とするアリアである。これもう完全に狩り場よ、狩り場。
今のアリアだと、魔族の大氏族たちが相手でもこれじゃあ負ける気しないですよ。

それでも、急に行われることになった儀式ですからカミールの味方は従者二人とジェーシャだけでしたから、彼ら自身のまもりは手薄でしたし、師匠とネロの来援は実際かなりの助けだったんじゃないでしょうか。わざわざ助けに来てくれるお師匠様。妹のアイシェ将軍との因縁に決着つけないといけないですから、師匠来てくれないと話にならなかったのですけれど。だいたい、貴女が妹ほっぽらかして死を偽装していなくなったのが大方の原因なんですからね! 最愛の妹が自分を/姉のことをどう思っているか。そんな人が人間によって殺されたと知ったらどうなるか。想像してなかったんだなあ、この人。
そのあたり、弟子か娘か、というアリアも自分自身の価値の無頓着さについては似たような所があるので、ぜひ反面教師にして欲しいものである。
とりあえず、この姉妹が殺し合いなんて悲惨な結末にならなくて良かった。出会った途端にアイシェの復讐心が解かれ、なんて都合の良い事にはならなかったとはいえ。

まあ師匠たちはいいんですよ。アリアたちが拉致されたのを探しに来てくれた上にエレーナと行き合って魔族軍に囚われたのを知って助けに来てくれたんですから。
怖いのはカルラです。なんで普通に選定の儀に乱入してくるの? あなた国元にいたはずなのに、ふらっと転移してきて、アリアの様子伺いに来て、ついでに魔族の大氏族とその兵団を行きずりで虐殺していくの怖すぎなんですけど。魔王とかよりもよっぽど邪神なんですが。
もうただいるだけでどんどんとラスボス感が不動のものとして高まっていくカルラさま。魔族の国よりも地元の王国の方が帰るのよっぽど怖いというか、魔王城の雰囲気あるんですけど。いや、カルラの城じゃないんですが、密かに……いや全然密かじゃないよな、堂々とラスボスが待ち受けてて、早く帰ってこないと国ごと燃やしちゃうぞー、とワクワクしてる所に帰るのって何とも最終決戦フィールドに乗り込む感が募ってる募ってる。

この話、立場的に大物とか能力的に傑出した英雄だの将軍だのよりも、結局覚悟ガンギマリになってるお嬢様方が一番ヤバい、というのが話が進むにつれて如実に浮き彫りになってきた。
アリアとカルラを筆頭に、エレーナもそして本来凡庸だったはずのクララまで、自分の命度外視で覚悟決め込んでしまっていますもんねえ。結局これって乙女ゲームなんだけど、男そっちのけで乙女たちで命かけてイチャイチャしすぎである。
いや真面目な話、彼女たちにちゃんとお相手できるんだろうか。クララは王太子さまのため、と覚悟決めているわけですけれど。アリアはあれでフェルドに懐いてますけれどお子様がお兄ちゃんに懐いてるというのとは毛色が違うんだろうか。カミールはしっかり振ってるんですよねえ。
意外だったのがロレンス皇子がエレーナ相手になんとか期限付きだけど約束取り付けたこと。え、頑張ったじゃん、粘ったじゃん。エレーナそのあたり一顧だにしないんじゃないかと思っていただけに、なんとか粘ったのは意外でした。エレーナも女王になるにしても王族として独身のままじゃいけないですしね、思う所はあったのかしら。
アリアとは運命を共にする者ではありますけれど、友情の極みであって百合とはまた違う感じですしね。