【リコリス・リコイル Recovery days】  アサウラ/いみぎむる 電撃文庫

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大人気アニメ『リコリス・リコイル』新ノベルシリーズ始動!

「それじゃ喫茶リコリコ、出撃だ!」
リコリス――花の名前にして、日本の平和を守るエージェントの少女たち、だけど昼の顔は、喫茶店の看板娘!
喫茶リコリコを舞台に、TVアニメシリーズ『リコリス・リコイル』では描かれなかった錦木千束や井ノ上たきなたちのちょっぴりスリリングな非日常の物語。
二人に舞い込む依頼と迫る上映時間!? 常連客のピンチに漫画のモデルだってこなしちゃう! さらに人知れず街の平和を守るフキとサクラの日常だって!
そして、熱に浮かされたたきなが目覚めるとそこは殺人鬼が潜む森のロッジ!?
やっぱり一筋縄では終わらない慌ただしくも賑やかな日常を原案者自らが書き下ろす、新ノベルシリーズ第2弾!

新ノベルシリーズ始動! って、これ1冊じゃなくてシリーズとしてスタートするってことなんですか? 続々続刊が出るってことなんですか!?
正直このクオリティだったら、シリアスのクール1連なりの大事件みたいなバックグラウンドがなくて、日常のなんてことはない様子とか単発のちょっとした事件、アクション回とかを盛り込みつつ12話くらい普通にできそうなんだよなあ。めちゃくちゃ面白いレベルで。

にしても、前回アサウラさんのノベライズでこのリコリコが出たのって22年の9月なんですか。去年じゃなかったのか! え? もう丸一年半くらい経過してたの? 
それだけリコリコというアニメが放映されたのも昔、という事になってしまっているのか。時間流れるの早いなあ。と、同時にこのリコリコという作品がそれだけインパクトを残した作品であるということでもあるのでしょう。

今回は前回よりも特に普通の日常編多め、マシマシ。銃撃アクション回は、極道で犬と呼ばれた狂犬の男の復讐譚だけ、になるのかな。でも復讐譚で血なまぐさい話になりそうなんだけれど、これって情の深い話なんですよね。兄貴と慕った男の復讐のために組に背を向けてまで命を張ろうとする忠犬。そんな犬を愛した死んだ男と、男が残した犬を見捨てられない残された者たち。
それが殺さない暗殺者たる錦木千束とその相棒であるたきなの出陣の要因ともなったわけで。プロの殺し屋などではないものの、本能で殺す躊躇なき猛犬に対しての千束とたきなのガンアクションがまた痺れるんですわ。
犬側から見たたきな。カウンターを飛び越えるという何気ない動作ながら、片手で構えた銃の銃口と偉い定める目が全くブレずに自分を捉えたままだったことに戦慄する描写に、本格的に戦闘がはじまる前からゾクゾクさせられたんですよね。
あのアニメのアクションを文章化って本当に難しいと思うんだけれど、ことアクション描写に関してのこのアサウラさんという作家さんの腕前はちょっとどうかしているレベルなんで、もうたまらんたまらん。
1話だけでしたけれど、十分以上に堪能させてもらいました。
そうなると、ほかは必然的に日常回ベースになるわけですけれど、そうなるとどんどんと引き立ってくるのが今度は飯テロ描写である。
元々【ベン・トー】という超抜級の飯テロ小説で名を馳せた人である。どん兵衛や半額弁当を頭おかしいんじゃないかというレベルでべらぼうに美味そうに書きまくった人である。以降の作品でもまあメシの描写に関しては片っ端からやべえの一言しかない作家さんである。
今回もまあやべえ。たまごふわふわ〜〜。作ったたきなのドヤ顔の挿絵、最高です。
鍋焼きうどん〜〜、え? サイコロ状に小さくカットしたお餅いれるの!? なにそれ最高じゃない!?
この飯テロ描写、マジで食べたくなるので勘弁して欲しい。ガチでお腹が空くのよ。食前の読むのは致命的なのがアサウラ作品。

にしても、今回は千束が全体的にテンション高かった。いや、いつもテンション高いよね? と思うんだけれど、普段から絶え間なくテンション高止まりだよね、この子。そんでもって、今回はそのテンションの高さがたきなを楽しいことに引っ張りまわす、という事に多分に費やされてるんですよね。
映画館で映画を見たことのないたきなを連れて映画を見に行くお話とイイ、漫画家先生の締め切りピンチに助っ人にいく話といい、たきなを引っ張り回すことに全身全霊を注いでいる。
注ぎすぎてか、風邪引いてダウンする話なんかもあったりして、たきなの看護がまた何気に甲斐甲斐しいんですよ。
もう千束はたきなが好きでたまんない、というのがそのテンションで伝わってくるようで、たきなはたきなで仕方ないなあ、という感じで連れ回されているけれど、そんな千束を全開で受け入れちゃっているのがまた伝わってくるわけですよ。
こうしてみると、ミカが千束に対してだだ甘、甘やかしまくっているというたきなの感想も然りだよなあ、という描写が各所に現れるんですけれど、たきな自身も自覚しているように彼女もまあ大概千束に甘いんですよね。そんでもって、千束はそんなたきなに甘えまくってる。
この店で苦いのはコーヒーだけだ、なんてたきなの独白、ちょっとたまんなく好きでした。

と、アクション回もう一つあったわ。珍しく千束とたきなではなく、フキとサクラの現役リコリスの方のお話。となると、今のDAのなかのお話にもなるわけで。
サードリコリスがどういう存在なのかが明示されていて、なるほどなあ、と。セカンドリコリスになるだけで、かなりのエリートなんだ。ある種女子高生という皮を被ったスリーパーにして鉄砲玉、という扱いから戦闘の専門家として一つ脱却できるわけですし。
そのうえでファーストリコリスなんてもんが憧れどころじゃない存在、ってのもこうなると納得させられる。
フキくらいになると、もう制服着てなくてもいいんじゃないだろうか。サクラも街の風景に埋没する、というリコリスからするともう無理でしょ、という風貌ですし。いや無理でしょ、こんなJKなかなかいないぞ? ……昨今の女学生とかわざわざ調べてないから知らないんだけど、いないよね? いないことないの?
しかし、こんな意味わからん理由で殺し合いの銃撃戦をはじめるような一般人がいる時点で、この世界の社会情勢ってなんかおかしいですよね。【デスニードラウンド】のあの頭のおかしい世界観ではないはずなんだがw
伊達にリコリスやリリベルなんて組織が必要とされているわけじゃないのか、と思えてくる。

おっと、見直してみたら5話も広義にはアクション回じゃないか。全然アクション回多いじゃないか。いやこれはホラースプラッター回? 夢の中なのでどうとでもとれるけれど。厳密に言うなら映画よもやま話でもある。映画好きだよね、映画ネタ第一話でも映画館に映画を見に行く話で様々な映画の話をしていたけれど、この5話は夢の中でホラー映画っぽいシチュエーションの定番あれこれを千束とたきながドタバタしながら体験していく、明晰夢のお話。ホラー展開のはずなのに千束がひたすら楽しそうなの、映画あるあるネタを自ら次々と体験してくのが楽しくてしょうがない狂喜乱舞しているの、まあ楽しそう、という感想がぽこぽこ湧き出てくるばかり。いや本当に楽しそうでさあ。ちったあ怖がりなさいよw
かこつけてたきなと千束でイチャイチャしっぱなしだった。いやはや。

今回は折々に挟まれるいみぎむるさんの挿絵がまた絶妙というか素晴らしくて、堪能させていただきました。執事服たきなは眼福。
これはほんとシリーズとして続いてほしいですのう。