【くたばれスローライフ! 2】 古柴/かねこ しんや MFブックス

Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス

とあるエルフのカラアゲ屋台繁盛記! 「鳥の料理人に、オレはなる!」

スローライフという幻想の崩壊。それによりケインこと真島景の異世界生活は悠々自適な生活を実現するための探求へと姿を変えた。……はずだったが、実状はサバイバルから一転し森ねこ亭での穏やかな生活。個性豊かな仲間たちによりなんとなく流され続けるというもう一つのスローライフ(?)のかたちであった。
そんなケインのもとに新たな個性が現れる。冒険者ギルドで因縁をつけてきたガラの悪いエルフの娘アイウェンディルは、執拗なまでにケインに絡むが、ケインに完膚なきまでの実力差を見せつけられたことで態度を大きく軟化させていく。そして森ねこ亭でカラアゲと出会ったことにより、彼女の人生は妙な方向へズレはじめ……。
新キャラ続々登場(特に猫大増量!)の一味違う異世界スローライフ第二幕!

見た目蛮族すぎてこいつエルフとは最初全然気づかなかった。どこの原住民だよ!
ちなみにこれはエルフの民族衣装とかでは全く無くて、彼女アイルことアイウェンディル個人のセンスによる勝負服だそうです。とんだエルフに対しての風評被害を振りまいていらっしゃるぞ、こいつ。
まあ奇人である。見た目通りの奇人である。名前の由来は鳥を愛する者。所が何を勘違いしたのか、この女エルフ、鳥を愛することを食い物の意味で鳥を好物として喰う事、と誤解したのか何なのか。ひたすら世界中の鳥料理を食べるために郷を飛び出したようなヤバいやつである。ちなみに彼女の故郷のエルフの里は、鳥を守護獣として祀っているそうである。食べちゃだめなやつである。
頭おかしいから、と追放されてるやないかい。
まあ実際頭のやばい奇人である。やたらと奇人変人が多数登場する本作でありますが、登場人物のおおよそ過半数近くがヤバイ奴、という作品でありますがその中でも上澄みの方に位置するだろう奇人、それがこのアイルでありまする。
まあ、主人公のケインがぶっちぎりで奇人を通り越した狂人であるので、彼以外はどれだけ奇人変人でも大差はない、と言えるのですが。
まあそれでも、森暮らしでのスローライフに見切りをつけて都会に降りてきて以降、だいぶ蛮人ムーヴも薄れて穏やかで丸くなったように見えるよ(当社比
住まわせて貰っている宿の子らや王女さまといった子供たちの面倒をよく見ているからでしょうか。でも温厚になった、というわけじゃなくて単に感情のゆらぎに波が立たなくなっている、とも見えるのですが。そもそも、こいつ普段は見た目よりのダウナー……とまではいかないけれど、比較的大人しいんですよね、傍目から見ている限りですが。見た目限りですが、内面には触れないように。
それでも結構落ち着いていて感情的にはならないんですよね。感情の偏差が0に近いというべきかもしれません。感情がないとかいうわけではまったくないのですけれど。
んでもって、普段はやたらと常人よりもフラットな感情の熱量の上下感が、ケインって突如余人には意味がわからないタイミングでいきなり感情が0から100に沸騰することがままあるので、ごくごくシンプルにやべえやつである。
そもろも森から飛び出して都会に出てきたのも、突然自分のそれまで森の中でのスローライフ、という建前のサバイバル生活に、突如こんな生き死にギリギリのスローライフなんざやってられるかっ!とキレて森を飛び出してきたのが発端でしたからねえ。
もうちょっと前触れみたいなゲージの上昇を見せてくれないと、ほんといきなりブチ切れてて怖いんですがw キレ方も、え?そこで怒るの? なんでそんな理由でキレるの? という一種のキレ芸的な噴火なのが妙に面白怖いw
まあキレても怒ってもそれを誰かにぶつける、みたいな発散法はとらないですし、なんだかんだ子供たちの面倒を熱心に見てて、教えることもしっかり教えてるし、非常に懐かれているように基本善人だし世話好きで面倒見いいんですよね。
まあそういう性格とヤバいヤツ、という狂人な所は同時に成り立つのです。やたらと自分の中で理屈こねまわして、非常に面倒くさいやつ、になることも多いですし。
シルさんはなんでこいつみたいなのがいいんだろう。かなりの趣味の悪さであります。とはいえ、扱い方さえ間違えなければ、概ね優しくて気遣いのできる……できない事も多々ありますが、まあいい奴なので、なんだかんだと細かいことは気にしないおおらかさ、或いは大雑把なところのある竜のシルからすると、ケインの狂気の部分はあんまり気にしていない事を思うと、なんだかんだとお似合いなのかもしれません。

にしても、今回は表紙アイルが前面に出張ってますけれど、今回ってエルフのアイルと猫獣人のクーニャことクリスティーニャの2大巨頭がほぼメインだっただけに、表紙にクーニャがいないのもったいないぞ。中身はともかく、傍目見た目には猫獣人系の中でも相当に可愛い部類のデザインですもんね。
まあそのデザインの良さを遥かにぶっ千切ってしまう勢いで変態なのですが。
変態の中身を大暴露暴走させてしまったために、速攻、クーニャさん聖職者やってたニャザートス教をクビっつーか破門されてましたけれど。主人公除くと一番ヤバいやつなんじゃないだろうか。半分犯罪者な気がする。主人公をすら怯ませる変態性である。ケインが怯むとか相当だぞ!?

そして騎士団からケインにつけられたシセリアちゃん。当人まったく活躍していないどころか、騎士としてさっぱり役に立っていないにも関わらず、ケイン係にアテられてしまったものだから、挙げ句に従騎士から騎士に昇進し、さらにニャザートス教の神殿騎士にまで抜擢される、という超出世の連続である。問題はこれ、ほぼ政治的案件でシセリア個人の功績は一切考慮されていない所。まあ功績らしい功績は一切あげていなくて、思いっきり実力実績関係ないところで破格の出世をはたしていくシセリアちゃん。羨ましいというべきなのか、不憫と憐れむべきなのか。まあ当人の気持ち的に、不憫としかいいようがないのだけれど。まあ器に中身がおいつくように精進です。挿絵の見事にぶっ飛ばされているシセリアちゃんのディフォルメ絵が色んな意味でおマヌケで可愛かったw

あと、ケインさんただの鑑定魔法で鑑定したものを消し飛ばすなしw 魔物の大群を攻撃魔法でもまったくない鑑定で全滅壊滅消滅させるとか、見ただけで相手を多すぎる情報量で発狂させてしまう邪神と大して変わらない気がするんだが、それw
前述もしたようにだいぶケイン、都会ぐらしでマイルドになった気もするのですけれど、やっぱり奇人変人大集合の中で一際輝く狂人具合が素敵極まる主人公ケインの珍道中、終始いい具合に頭おかしくて面白かったです。