【放課後の迷宮冒険者(ダンジョンダイバー) 4 日本と異世界を行き来できるようになった僕はレベルアップに勤しみます】  樋辻臥命/かれい GCN文庫

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耳長族のスクレールに続いて、尻尾族のエルドリッドを日本にお招きすることになったクドーくん。
しかし遊園地でエルドリッドとはぐれてしまってさぁ大変!
クドーくんは彼女を無事にド・メルタへ連れて帰ることができるのか?
そしてこれまで謎に包まれていたクドーくんの私生活もちょっとだけ明らかになる……?

樋辻臥命&かれいのコンビで贈る「ゆるふわ異世界冒険譚」、待望の第4巻が登場!

異世界から日本に異世界人の子を連れてくる、なんて展開になるとかなり大仰な異文明交流になるのが常なんだけれど、本作は前回のスクレといい今回のエルドリッドといい本当にただの日帰りで遠くから来た子を連れて遊び回る、というお気軽なトーンに徹しているのが逆に面白いなあ。
徹している、なんて書いたけれどクドーくんとしては全く気楽に考えていて、心からシンプルに地元で楽しんでもらおうと案内して一緒に遊んでいるだけっぽいんですけどね。
でないと初めて異世界からこちらの現代文明世界に連れてきた子を、遊園地に連れて行こうってならないでしょう。進んだ文明を体験させよう、なんて上段に構えていないで、外国から来た友達と一緒に遊ぼうくらいの感覚なのがいいんですよね。
スクレやエルドリッドの方も同じくらい気楽に普通に遊んで楽しんで、それで日帰りでサクッと帰ってるわけですし。それで元の世界に戻っても何か価値観や考え方が変わったとか「出羽守」になってしまうなんてことも一切なく、多少食い物関係で執着を見せたりしていますけれど、ほんとそれくらいですもんねえ。
このくらいの双方ともに軽い感じがなんとも好ましい塩梅なのです。

それにしても、友達を異世界から連れて帰ると必ずといっていいほど怪人と遭遇するパターンなのか。
スクレもエルドリッドも怪人のこと軽くぶっ飛ばしてましたけれど、日本に来ても能力なんかは変わっていないのを見るとこれクドー君もダンジョン探索で培った能力は保持したまんまなんだろうか。

クドー君いわく、ダンジョンには遊びに来ているわけですけれど、それとは別に師匠に鍛えられているように「強くなる」というのも目的としていると自分でも明言しているわけですが、やっぱり日本の方で強くなりたい要因みたいなものがあるんだろうか。
幼馴染の子がヒーローやってるらしいって話は前からちらほらとしていましたしねえ。

その幼馴染の子、ヒロちゃん。幕間でついに登場しましたけれど、見た目がこう……メスガキだーーっ!
でも、性格がひねてるメスガキ気質とは全然違って、純粋無垢って感じだぞ。別の言い方をすると、脳筋アホの子だーーっ! ええっ、幼馴染のヒーローってもうちょっとしっかりものでクドーくんの事も守ってくれるようなお姉さんタイプの真面目ちゃん、だと勝手に想像してしまっていましたが、アホの子だー! いや、あんまりアホの子アホの子言うてしまうと可哀想なんだが、ヒーローとして真面目に活動しているみたいだし。本能のままに動きそうな子ではあるんだけど、考えてみると異世界側にいるヒロインたちも概ね本能のままに動いているような子たちばかりなので、あんまり変わらないかもしれない。
それに、二人が話している感じだと逆にヒロちゃんを異世界ド・メルタの方に連れて遊びに行く展開もありそうだしなあ。ヒロちゃんヒーロー活動で結構忙しそうだけど。宿題も出来ないくらい忙しそうだけどw 勉強はちゃんとしような!

さて異世界の方ではクドーくんが発明したはちみつポーションの大ヒットもあって、これまで味が問題でどうしてもポーション使えなくて死活問題レベルで困っていた怪着族の人たちが恩人としてクドーくんに感謝することしきりなんだけれど、なんかクドーくん本人が知らない所で小人さん(クドーくんのこと)見守る会みたいなのが発足してないだろうか、これ。
見た目サファリ帽被ってサファリ服にでっかいリュックと現代側の冒険者スタイルなクドーくん、異世界側では見た目から変だし一見して弱っちそうだし当人も自己申告でビビりと言っているように実力のわりに腰が引けているので、彼のことよく知らないイキった若手などから絡まれる事も多いわけですけれど、最近トラブルになるたんびに近くにいるベテランパーティーから助けが入るんですよねえw
小人さん扱いなのがちょっと面白い。若干見たら幸運になるマスコット扱いとかされてない? 似たような感じのマスコットっぽいカーバンクルくんと連れ立ってる事もままありますし。

と、そんなクドーくんですけれど、ちょっと神様から、まだ右も左もわからない冒険者なりたての若者が困ってたら出来る範囲で助けてあげて、と頼まれたこともあり、ダンジョン探索初日に深入りしすぎてにっちもさっちも行かなくなりかけていたディランくんに手を差し伸べることに。
口減らしで農村から追い出されたと同然に出てきた農家の三男坊、というまあ十把一絡げにどこでもいるなり立ての冒険者の子供の一人だったわけですけれど、男の子ですよ? 男の子。でも、擦れてなくて真面目で素直で普通にいい子なんですよねえ。
同じ冒険者のミゲルと二人で散歩まがいにダベリながらダンジョン潜ってみる話があったり、とけっこう男同士の何気ない話があって、こういうのも好きだなあ。もちろん、シチュエーションだけじゃなくてちゃんと話として面白いから好きだなあ、と思えるわけですけれど。
ともあれクドーくん、此方側の一般的な冒険者とは探索スタイルからして全然違う異端の冒険者ではあるんですけれど、彼にやり方って結構基本に忠実で堅実であり無駄を少なく、実のところ誰にでもできる方法論でもあるんですよね。もちろん、発想が普通と違っていたり師匠に鍛え上げられた事もあって危険を自力でクリアできる上澄みの実力も兼ね備えているわけですけれど、新人が覚えるべき基本的なことから役に立つ大事なノウハウ、異世界では一般的ではなくても覚えておいたほうが良い方法論など、新人の教導役としてクドーくん何気に適格者っぽいんですよねえ。
ディランくんに実地でレクチャーする話なんか見ていると、教え方も丁寧でわかりやすく体系的ですし、実際にやらせてみて実感させることで身に着けさせるようなやり方もしっかりしていて、どうしてあの師匠からこの弟子が出来たんだ、というくらいちゃんと教えてるんですけど!
というか本当に教え方うまいよなあ。幼馴染のヒロちゃんがアホの子なので、こういう教える方法見に付けさせる方法を体感的に会得していたのかもしれませんけれど、これ真面目に教官役としても優秀だぞクドーくん。当人、完全に異端の冒険者なのになあw

しかし、ほんとにどの娘もどのおっさんもご飯美味しそうに食べるなあ。こと料理食べ物に関しては日本側のそれが遥かに優越しているようで、持ち込み品はさながらやべえ薬並に異世界側の人達の目をキラキラさせてよだれダラダラ垂らさせてうはうはさせてしまうわけですが、まあ美味しそうに食べるんですわ。というか、キメてる感じにイッちゃう様子は見ているだけで何ともこっちまで楽しくなってくる。
いや、異世界側の謎飯、特にギルドが提供する地雷メシがこれはこれでメシマズネタで面白いんですが。もれなく挑戦するクドーくん、チャレンジャーだ。