【【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?】  赤城大空/福きつね ガガガ文庫

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チンピラお嬢様、爆誕ですわ!

「はぁ、今日も視聴者0、登録者3……。向いてないのかしら、わたくし……」

ドレス姿でダンジョン攻略するお嬢様系配信者、山田カリン(16)。
しかし動画は伸びず、一年たっても底辺をさまよっている。

そんなある日、カリンはダンジョン下層で妙な男を発見する。

「そんじゃいまから爆破すっからな〜」
その手には国が禁じる危険物質が――

「なにやってんだてめぇオラアアアアアアア!」
「ぐはぁぁぁっ!?」

迷惑系配信者をボコったカリンは、チンピラお嬢様として人気に火が付いて……!? 
おハーブすぎるダンジョン無双バズ、開幕ですわ!

一瞬だけ、この感想記事も全部お嬢様言語で書いた方がいいんだろうか、と悩んでしまったんだが流石に難易度が高すぎて無理と判断したんですわ。
いや、ワンチャンお嬢様言葉を関西弁と定義して書いたらいけるんちゃいますやろか。いや無理だわ。

というわけで、現代にダンジョンが発生して、というシチュエーションの中でダンジョン探索を配信しようというダンジョン探索配信モノが一ジャンルとして形成されているのは、時代背景ってやつでしょうなあ。
そんな中で、さっぱり誰にも見てもらえない底辺の配信者が、ふとしたトラブルを契機にバズって誰にも知られていなかったチート能力の持ち主だというのがあらわとなり、更にバズって大人気、というジャンルの中のさらに一ジャンルがあるわけで。本作はその定番ネタを踏襲した一作となりますね。
こういう限定されたシチュエーションだと、特にジャンルが形成された初期段階は類似した展開が繰り返されて、どこかで見たような話が乱立するわけですけれど、不思議と時間が経つにつれてその限定されたシチュエーションの中でさらに趣向が凝らされアイデアが生まれ、定番を敢えて外してくるものなども現れ、なかなか想像もしなかったシチュエーションなども生まれてきて、と限定された範囲の中に多様性が生まれていく、というのは今までずっと繰り返されてきたジャンル内の変化の経過であります。
本作はそういう意味ではジャンル形成のアーキタイプに近い非常にオーソドックスな話の展開スタイル。なんですけれど、奇を衒わずただひたすら主人公であるチンピラお嬢様山田カリンのハチャメチャなキャラクターとアビリティの愉快さ痛快さアホい楽しさでぶち抜いていく、パワーオブパワの力作でありました。
カリンお嬢だけでの一点突破と言っていいかも。特に複雑な世界観とかダンジョンの秘密とか探索のギミックなどもあんまり伺えませんしね。
そしてオンリーワンの与えられたチート能力ではなく、純粋に鍛え上げて常識を突破してしまっていたにも関わらず、当人全く自覚のない……これは無自覚系ワンパンマンか? 知らない内に人間辞めてませんかしら? というお嬢の非常識ダンジョン探索行。これを配信してしまったことにより、全世界は知ってしまった見てしまったので……ある。ちょっとナチュラルに「ですわ」と書いてしまいそうになってたんですが、なんか侵蝕されてません?w

まあこれ、普通に配信見てもフェイク動画と思われるのは仕方ないよなあ。
たとえば普通のYouTubeとかでボーリングの玉でバスケットボールの試合していたり、ヒグマ相手にコブラいツイストキメてたり、重機のバックホーとアームレスリングして車体ごとひっくり返して勝利したりしている実写動画を見ても、誰がホンモノの動画だと信じるのか。
人工的に造られたフェイク動画だと考えるほうが自然であり健全である。信じるほうがヤバい。

……それはそれとして、フェイクでもこういう動画は普通に見てて面白いとは思うんですよね。カリンお嬢の動画ってたとえフェイクだと思われたとしても、あんまりにもあんまりな非常識映像がナチュラルに飛び交うので、普通に見てて単純に面白いことこの上ないと思うんで、わりと人気になっても不思議ではなさそうだよな、なんて思ったり。
フェイクでもあれは絵面が面白すぎるよ!

まあホンモノだったんで、えらい騒ぎとなってしまうのですが。
この作品のすごいところは、カリンお嬢の存在が知れ渡るきっかけになったタイトルにもなっているトラブルが、まさに氷山の一角的にまったくカリンお嬢の実態を見せていなかった所にあるんですよね。
カリンお嬢、自分が本物の金持ちとか高貴な家柄の令嬢なんかじゃなく、アニメのお嬢様キャラに憧れてこのキャラクターを演じている、というのは最初から公表しているので、最初は問題ある配信者をぶっ飛ばしたチンピラっぷりと普段のお嬢様キャラのギャップが面白がられたのと、トップクラスの実力を持つ問題配信者を一撃でぶっ飛ばした実力が実は凄いんじゃないか、と見られたこと。そして明らかに無理やりお嬢様キャラ演じている、でも庶民っぽさがあちらこちらから滲み出ているポンコツっぷりが興味を引いてバズったわけで、この段階ではまだ彼女の常軌を逸した怪物性はまったく知られていなかったわけです。
それを知らしめることになるのが、初めてたくさんの視聴者に見守られながら行うダンジョン探索配信だったわけですけれど。
この1巻の大半、ほとんどその一回の探索配信だけやってるわけですよ。1章じゃなくて9話から最後の20話近くまでだから半分以上最後らへんまでずっとこの一回の探索だけ描かれてるわけです。
その一回がまた密度が濃くて濃くて。このお嬢、魅せ方というのを天然でわかっていらっしゃる。いきなりとてつもない爆弾的なネタを炸裂させて、見てる人たちを阿鼻叫喚の渦に巻き込んでおきながら、実のところ最初の一発は威力としてはまったく微々たるもの。
潜っていく回が深くなるごとに、繰り出されていく非常識ネタが限界突破して威力バイバイゲームですよ。最初の段階ですら見てる人みんなが宇宙猫になる自体だったのが、最初のネタが可愛く思えてくるほどのアホかーーっ! という人外魔境の所業を当たり前みたいに……いや当人はいつもの配信でやってたことなのでいつもどおりの当たり前のことなんですが、見せられている方としては意味不明すぎて頭真っ白、ぱーんて破裂してもおかしくないような衝撃映像がどんどんと連続で繰り出されてくるもんですから、まーオーバーキルです。
SNSのトレンドがまったく追いついていなくて、トレンドにあがっているネタがその段階ではもう「ああ、そんなこともあったね懐かしい」くらいの感覚で現在進行系で別のネタで宇宙猫真っ最中、という状態になっているのは笑いも笑ってお腹痛いw

カリンお嬢様という強烈すぎるキャラクターを完璧にいかして、ひたすら面白いしかない描き方をしているそのワザマエ、絶妙の一言であります。いやもうだってほんとひたすらシンプルにアホらしくて面白いもの。
そして、バズってからはまだ顔見世の一回目の探索しかしていないという恐ろしさ。もうアホかーーっ!ってネタを食わされすぎてお腹いっぱいだってのに、まだ一回目よ? まだ食前酒です、てなもんですよ? 前菜に辿り着いているのか?
お話としてまだ第一話の前編に過ぎない、と明言してくれているので、後半となる二巻はちょっと楽しみでしかたないです。カリンお嬢様、何をしでかしてくれるのか。すでに発売されているのでなるべく早く読んでみたいと思います。

それにしても、配信のコメントや掲示板などでなんか徐々にですけれど、お嬢様言葉で書き込んでいる人が増えているような。
お嬢様が……増殖している?
なんかこう、知らずに言葉遣いがお嬢様になっていくような感染拡大、いや存在そのものがお嬢様に侵蝕されていくハザードが発生していないか?
【すべてが「F」になる THE PERFECT FAIRLADY】てなもんですわー