【凶乱令嬢ニア・リストン 4 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録】  南野海風/刀 彼方 HJ文庫

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お嬢様、国を抜け出し魔獣討伐で荒稼ぎ!

国を挙げての武闘大会を開催するため、10億クラムという大金を稼がなくてはいけなくなったニア。表立って王国で動くには顔を知られ過ぎているニアが選んだのは、冒険者リーノの弟子と偽装して、隣国ヴァンドルージュで魔獣狩りをすることだった――
「実にいい。本気で殴っても壊れない相手じゃないか」
巨大な魔獣を相手に拳を振るう機会を得たニアは、待ち望んでいた血沸き肉躍る実戦の日々を送ることに!
天使のような凶乱令嬢の最強無双譚、隣国で大暴れする第4弾!!


何気に日を跨いで思う存分暴れまわることが出来たの、生まれ変わって初めてだったんじゃなかろうか、ニアお嬢様。
というわけで、マジックテレビジョンの企画のためと自分が戦いたいがために武闘大会を開こうとして、国王陛下からやりたかったら10億クラム持って来い、と言われたがために年齢一桁で大金を稼がなくてはならなくなったニア・リストン。
もしテレビジョンが本来のポテンシャルを発揮して既にマスメディアの頂点を握っていたら、そのテレビジョンのスターでもあるニアが10億くらい稼ぐのは楽勝ってなもんだったのでしょうけれど。そのテレビは今まさに黎明期。世間に周知し盛り上げるための旗振り役をニアが担っている真っ最中なので、まずテレビで儲けられるようにするためにお金が必要って段階なんですよね。
何しろ可愛さと強さが売りのお嬢様である。仕手戦で稼ぐというわけにはいかないので、真っ当に拳で稼がなくてはならない。拳で稼ぐ年齢一桁幼女令嬢ってのはなかなか類稀なる存在なのでしょうけれど。
それも国内ではテレビである程度名前も顔も売れているし病弱だったという前歴もあるので、表立って暴れまわて稼ぐというわけにも行かず、ちょいとした伝手をたどって国外にテレビの普及営業に向かうついでにこっそり賞金掛かった魔獣を退治してお金を稼ごう、って事になったのですな。
まあこれまでも犯罪組織をプチプチ潰したりと人間相手にこっそり暴れまわることもあったのですけれど、相手は悪事には慣れていても武人ではない連中なので弱いものイジメにしかならず……と言っても弱かろうがぶん殴れたらある程度満足できるのがニアお嬢様のいいところ。いやでも、それも一発でまとめて消し飛ぶようなカトンボばかりでは中々溜め込んだ暴れたい欲も甲斐性しきれなかったでしょう。
そんな所に、本気でぶん殴ってぶっ殺せる魔獣狩りである。凶悪極まる指名手配魔獣であってもニアからするとまだまだ全然物足りない相手ではあったみたいですけれど、それでも数も質も今までで一番歯ごたえのある相手だったんじゃないでしょうか。
一匹でも本職の魔獣狩りがチームを編成して命懸けで倒すような魔獣を、バッタバッタとなぎ倒していくニアお嬢様。なんなら国が軍隊動員してもボロ負けしてしまい放置するしかなかった国崩しレベルの魔獣さえも、パンチパンチで殴って殺すお嬢様であります。幼女であります。
そりゃ、そんな魔獣ぶっ倒したら国そのものから目もつけれますわなあ。しかも、あくまでニアお嬢様はその存在を隠していて表向きはリノキスが扮するリーノという名の売出中の冒険者という体ですからね。リストン家とはなんにも関係ないという風を装っているので所詮後ろ盾も何も無い流れの冒険者と認識されているのもまあ仕方ない。
ちゃんとした王族からの招待で訪れた友好国の貴族令嬢、という身分の少女を襲撃するという外交問題どころじゃない事を帝国の暗部がやらかそうとも、まあもっと情報の裏取りしなさいよ、とは言いたいけれど仕方ないと言えば仕方ないかと。
仕方ないでは済まないんですけどね、本当なら。何も知らずに襲いかかってあっさりボコられてましたけれど。
なんで国軍動員しても勝てないような魔獣倒した冒険者にそんな安易にちょっかいかけられるんだ、と思わないでもなかったですけれど、まさかぶん殴って倒したとは普通思わんですよね。特殊な兵器を使ったんじゃないか、とまあ思い込みなんですけれど、自分たちの理解できる範疇で物事を判断して痛い目を見た、というやつである。あと、表向きリノキスが倒したことになっているので、人質として従者の幼女を攫おうとしたのも、まあ狙った相手が悪すぎたという以外は普通に暗部らしい常套手段を踏襲しただけだったんだろうなあ。ご愁傷さまである。

しかしテレビジョン普及のためにちっちゃいお嬢様たちが奔走するパートはこれはこれで面白いようになってきましたよね。あの紙芝居企画は映像放映の技術の黎明期だという事を考えると、まさにスマッシュヒットかと。
この世界、テレビの前に映画が普及している、という前史がないのでいきなり映像文化としてテレビ番組からスタートしているわけですよ。参考にするものが何も無いところから、それぞれが手探りで何がテレビの企画として盛り上がるのか、テレビの普及につながるのか、というのを試行錯誤しながらやっているのが何とも見ていて面白いわけですよ。
ニアの武闘大会やりたい、というのは自分の武人としての欲望が大いに乗っかってはいますけれど、方向性としては間違いないでしょうし。
お姫様の料理番組企画も、今までテレビも映画も見たことがない層にはズガンと来るものがあるんじゃないでしょうか。
紙芝居企画の方は、これドラマに行くのかアニメの誕生に続いていくのか。派生の方向性が非常に興味深い。

あと、ニアが気の使い方を教えた弟子たちも順調に規格外に育っていっているのだけれど、リノキス強くなっているはずなんだけれど当人がなんかポンコツなんで、どうも強くなってる実感あまりないよなあ。魔獣退治でもほぼほぼ見物に回っていたし。
それにアンゼルの方が気を覚えて、ようやくニアがどれほど途方もない強さを秘めているのかを実感できるようになっているのに対して、リノキスはなんでかいまいちニアの強さを把握しきれていなくて若干舐めてるの、なんでなんでしょうね? それもあって、実はあんまり戦闘センスないんじゃないのこの娘、と多少思っちゃったりしてるんですが。