3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 中山競馬場2,000メートル(芝・右)

藤岡康太騎手が亡くなられてから最初の競馬開催週。今まで見たことのないピンと張り詰めたような沈んだような空気感でした。騎手の方々もスタッフの方々も緊張感というよりも、グッと溢れ出てくるものを我慢しているような雰囲気で。
それが決壊したとき、もう耐えられん感じでみんなボロボロ泣いてた。月曜日の合同葬のときもみんな泣いてたし、テレビやYouTubeなどでも堪えきれんと泣いている人たくさん居ました。
ほんと、それだけ藤岡康太くんの人柄が偲ばれるというものです。辛いなあ。

悲しみを飲み込んで、皆さんは競馬を続けていかれます。
クラシック第一弾、皐月賞です。

今年の前評判としては、3歳世代は牝馬の方が強くて牡馬の方はちょいといまいちなんじゃないか、みたいな言も流れていました。
ホープフルステークスを牝馬ながらに勝ったレガレイラが桜花賞ではなく皐月賞に参戦、というのも勝てると踏んだからなのでしょう。尤も、阪神芝1600メートルよりも中山芝2000の方がレガレイラの適正に合っているから、という判断だったからなのでしょうけれど。
いずれにしても単勝1番人気が皆がその実力を認めていた、という事を証明していたと思います。

2番人気はジャスティンミラノ。まだ2戦ながら2戦目で共同通信杯を勝利。この馬、友道厩舎の馬なのですが、友道厩舎では有力馬の調教を藤岡康太くんに頼むことが多く、ミラノの仕上げに跨ったのも康太くんだったそうです。
無敗で皐月賞に挑んだ馬はミラノの他にサンライズアーズ、きさらぎ賞を勝ってきたビザンチンドリームと他に二頭いましたが、共同通信杯で2歳牡馬チャンピオンのジャンタルマンタルを下して勝ち上がってきたミラノは、1段階強い馬と見られていたと思われます。
ただ不安点としましては、新馬戦、共同通信杯ともにかなりのスローペース。特に後者は勝ったミラノが上り32.6を記録。というか全頭33秒台で上がってきた完全後傾戦だったんですね。
つまり、速い流れのレースを今まで走った事がない馬だったのです。血統的にも良馬場のスローが一番力を発揮できるレースだろう、と言われてた感じで。

そして、この日の中山は爆速速い馬場でした。8レースの2勝クラス 牝馬限定戦で1:58.2と余裕で2分台を2秒近くぶっちぎるようなレースが出てましたからね。
とかく前目につけておかないと、とても後ろからはまくっても追いつけないのが今日の中山であり、そうなるとどの馬も前につけたがるので全体的にまた速くなるという、まあ馬のスピード、巡航速度が試される皐月賞だったんですね。

とどめに、逃げるだろうなと思われていて実際に逃げたメイショウタバル。これが重馬場の毎日杯を良馬場かよという好時計でぶっ千切って勝ってしまった馬で、4番人気と人気も高めでした。
ところが、このタバルがテンション上がってしまって、掛かってしまったんですね。鞍上の浜ちゃんも康太くんの同期という事もあって気合はいりすぎてたんじゃないか、みたいな事も言われてたりもしますけど、さすがにそんな事はなかったでしょう。向正面入る辺りで重心が後ろによって手綱引いて押さえようとしているらしき所が伺えます。でも全くペース落ちず息を入れられないまま、1000メートル57秒5という超ハイペースの時計を叩き出してしまった。
タバルは直線で早々に力尽き、最下位にまで落ちてしまいます。実力は間違いなくあるんでしょうけれど、これはまたコントロールが難しそうな馬が出てきたなあ。

ともあれ、ただでさえ速い馬場で暴走気味に先頭が逃げたために、完全にこれこの早い流れについていける馬と、ついて行けない馬に別れちゃったんですよね。
レガレイラは、この速いペース無理だったんでしょう。スタッフの人がまだトモが鍛えきれていなくてスタートが遅れてしまい二の足がつかない、というような事を仰っていましたからね。北村騎手が最後大外ぶん回さなくてはならなくなったのも、このハイペースでの位置取りがあそこになってしまった以上、仕方ない部分もあったかと。うまい騎乗ではなかったかもしれませんけれど。

んで、これまでゆるい流れしか経験したことがなかったのに、あっさりとこのハイペースに追走して前目につけてしまったのが、ジャスティンミラノなのであります。
元々距離不安もあり、限界ギリギリのタイミングで攻めて前残りを狙ったジャンタルマンタル・川田をゴール前で悠々と躱して、1:57.1というレコードタイムでクラシック一冠目を戴冠。
……あれ? ちょっと待って。このジャスティンミラノって……無茶苦茶強くない? スロー展開で後方から強烈な末脚を決めることもできれば、追走できない馬も出てくるほどのハイペースの流れに悠々と乗って、ほぼほぼ馬の現状の最大能力を引き出し、これしかないという展開に持ち込んだであろう、モレイラのコスモキュランダ、川田のジャンタルマンタルを相手に完勝と言ってイイ勝ち方をしちゃったんですから。
思ってたよりスケールが2周りくらい大きい馬なんじゃないの、この子。
ストライドも大きいですし、本来なら中山2000よりも東京府中は2400の方が合ってるタイプと言われていたにも関わらず、中山の方でこの勝ち方。じゃあダービーになったらどうなるんだ!?
これは下手をするとソングラインを超えてキズナの代表産駒になるかもしれない器ですよ。クラシックはじまって、牡馬の方にも大物感感じさせる馬が出てきた。

2着は弥生賞勝馬のコスモキュランダ。なかなか最近では本番に繋がらないステップレースなんですけれど、今の中山のスピードに乗れるタイプの速い馬だったんじゃないでしょうか。それ以上に、モレイラ騎手のポジショニングがちょっと極まってるんだよなあ。ルメールが怪我でしばらく休養する以上、これモレイラ騎手無双になりますよ、さすがマジックマン。
3着はジャンタルマンタル。正直絶対距離持たないと思ったし、実際1800で限界っぽい走り方だったんだけれど、それでも踏ん張るマンタルの根性とそれを引きずり出す川田の騎乗の凄まじさ。
ただこれ、本当にここが限界の限界、上限でしょう。もう2000メートル走らすこともないかもしれない。そして最大限の力を発揮しても3着というところ。いやむしろよく3着持ってきたよ。

4着はアーバンシック。レガレイラと血統的にほぼ同じ、母が姉妹で8分の7一緒なんでしたっけ。そういう話で話題にあがってたんですけれど、現段階の完成度でいうならレガレイラより上だったかもしれない走りっぷり。そして伸びしろもこれ、レガレイラに負けてないでしょ。将来性で言うなら、ミラノに追随するのがこの馬なんじゃないだろうか。
5着には最優良血馬のシンエンペラー。兄姉がアメリカやヨーロッパのG1勝ちまくってる、世界でも頂点級の良血馬です。全兄がフランスダービーに凱旋門賞勝ったソットサスですよ。
とはいえ、さすがに欧州血統にこのウルトラハイペースをどうにかせい、というのは酷。むしろ展開も馬場も向かないだろうに能力だけで5着まで持ってきているあたり、よう走っとる。ってか、この子もう海外中心で走らせた方がいいんじゃないだろうか。超赤字になるかもしれないけど。
そしてレガレイラは6着。上り最速でここまで繰り上がってきたのですから、能力不足ではないでしょう。木村調教師は調教の仕方間違えてた、と仰ってますけれど、はてさて。まあ馬の調子自体満足いってなかった感じの物言いでしたね。これはオークス路線になるのかな。