【キラキラネームの『破滅の闇聖女』にはなりません! 1】  葉月クロル/にもし サーガフォレスト

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『おーっほほほほほほーッ、この偉大なるルミナスターキラシャンドラ様の前に、皆 、平伏すがいいわ』
イタいセリフとポーズをしている人物が映る大画面を前に、シャンドラ・リーベルトは後悔していた。 なぜなら、その画面に映ったイタい人物が自分自身だから。
愛情を知らず、わがままで傲慢な嫌われ者シャンドラは、大聖女となった義妹に恨みを募らせ、世界を消滅させる引き金になってしまった。
そんなシャンドラは死後の世界で神に叱られ、愛情を知り、新たな人生で地味で平凡な幸せを見つけていこうと決心する! しかし、落ちこぼれ聖女だと思っていた彼女のスペックは、実はかなり高かった!? 愛され美幼女になったシャンドラちゃんが、神様にお祈りしながら大活躍する、ほっこり人生やり直しストーリー!



ルミナスターキラシャンドラ!!

シャンドラ・リーベルトが闇落ちした挙げ句に自分につけてしまったアーバンネーム。御本人は、あとになって我が黒歴史と恥辱に悶絶しておられましたが……。
いや、わりとガチでイケてない? シャンドラちゃん、ちょっと格好良い感じするよ、ルミナスターキラ・シャンドラ! って。
……イケてない? なんかイケてない!?
いやまあこれを自分で名乗ってしまうというのはやっぱり本人は恥ずかしくなっちゃうかもしれないけれど、他人事だとなんかこう……琴線に触れるものがありますよ? 思わず【ウイニングポスト】の愛馬の名前に使いたくなっちゃうセンスなんですけど。ウイポって最初の方しかやってないんだけど、馬の名前考えるの楽しかったんだよなあ……。
ルミナスターキラ……やっぱりこうグッとくる響きなんですけど!
シャンドラちゃん、もう闇落ちはしないみたいですけれど、別の機会にプリキュアみたいになって名乗ってくれないだろうか。

さても、誰からも愛されず、愛を求め愛を奪うことで孤独を埋めようとして、余計に孤立を深めた挙げ句に闇落ちして、世界を滅ぼしてしまったシャンドラちゃん。
当然、この世界を作った神様には死後こっぴどく叱られてしまいました。自分が何をしでかしたのかを、懇切丁寧に繰り返し繰り返し見せつけられ、ついでに冷静になってみると恥ずかしいことこの上ない黒歴史の数々もおちょくられながら見せつけられ、泣いて謝るシャンドラちゃん。
でも彼女が本当に反省したのは。もう二度とこんな事を繰り返さないと誓ったのは。
神様にこう言われた時だったのでしょう。
神様はおっしゃいました。もう一度世界の時間を巻き戻すから、シャンドラちゃん次は成長したところを見せてね、と。
大罪を犯した自分を消滅させてくれ、と願うシャンドラちゃんに、神様は優しく仰ったのです。
存在しないほうがいい子なんて、わたしの世界にはいないのだよ。
自己中心的で、わがままで、傲慢で、短気で、高飛車で、本当は甘えん坊で寂しがりやのシャンドラちゃんも、わたしの可愛いこどものひとりなんだからね。幸せになってほしいのだよ。と。
それは、誰からも愛されないと思っていたシャンドラちゃんにとって、はじめて自分を愛してくれる存在に巡り合った瞬間でした。神様はシャンドラちゃんを叱っても、怒ってはいませんでした。心から我が子の幸せを願ってくれていたのです。
誰からも愛されないと思ったからこそ、世界を呪った子は、自分が愛されているとこの上なく感じ入ってもう一度世界に降り立ったのです。誰からも愛されなくても、神様が愛してくれていると知っているから、それを支えに頑張れる、と。
もう二度と間違えない、と心から反省して、二度目のシャンドラちゃんをはじめたのでした。

反省したからといって、根本はなかなか変えられないのが人間というものです。いやもう本当に心から反省しているのですけれど、ついつい高飛車で傲慢なところがニュルっと滲み出ちゃったり、ポポポンと吹き出しちゃったりすることもあるシャンドラちゃんでしたけれど、反省して今度こそちゃんと神様に顔向けできる人生を送るんだ、と謙虚にあらんと頑張りますし、敬虔にあろうと踏ん張ります。
だから、ちょいちょい偉そうだったり、ナチュラルにわがままだったりするのは御愛嬌の範疇範疇、範疇ですよ?
そうやって自分のことばかり優先せず、自己中心にならず、短気なのもなるべく我慢して、そうして神様の愛を支えに誰からも愛されなくても大丈夫、と健気に生きていると……不思議と今度はよく周りのことが見えるんですね。もちろん、一度ある程度成長した精神のまま降り立ったシャンドラちゃんです、幼児に戻って幼児性も再獲得してますけれど、それでも大人としての理性や思慮も反省力によって得ているので、前回の幼い子供のままではわからなかった事情も見えてくるんですね。
またわがまま放題の態度と違って周りを慮った言動をしていると、周りの対応もやっぱり大きく異なってきます。人間関係なんかも大きく変わってくるし、そうなると、家族の事情や父親の態度。新たに家に引き取られた女性とその娘……義妹となるリリアンの抱える問題なんかも、前回自分が思い込んでいたものと全然違っていたことに気づくことになるわけです。
自分は、誰からも愛されない存在、などではなかった、と。
ちゃんと、愛してくれる人がいて、慈しんでくれた人もいたのだと。
そして、自分からすべての愛を奪いさったと思っていた義妹が、実は自分と同じような、或いはそれ以上の闇と苦悩を抱えていたのだという事実にぶち当たっていくのです。

ルミナスターキラシャンドラちゃんは、ただただ愛を求め、愛を欲し、愛を略奪するばかりの女の子でした。
でも、反省したシャンドラちゃんは神様から愛されている実感を得たことで、餓鬼のように愛を求め暴れまわる怪物ではなくなりました。むしろ、愛を求めるばかりではなく、まず愛を与える側の人間になっていきます。愛を注ぎ、慈しみ、神様が与えてくれたものを、皆に分け与えるようにして。
……わりと何時までも根に持つ陰湿さも欠かさないタイプのシャンドラちゃんなので、前世で自分のことをフルボッコにしてくれたやがて大聖女になる義妹のリリアンに対しては、しばらくこいつやだ、と毛嫌いしてグチグチやっているあたりはほんとシャンドラちゃんなんですけれど。
幼い心に深い傷を負い、未だ血を流し続けていたリリアンに気づいてからは、母親にも半ば見捨てられて縋る人も誰もいない中で、自分に助けを求めてきたこの小さな女の子の手を握って離さなかったその時から。シャンドラちゃんのお姉ちゃん力が噴火するのです。

とまあ、そうやって皆の光になっていくシャンドラちゃんなのですが、彼女は反省しているのを片時も忘れません。自分が大罪人だったというのを忘れなさすぎて、どこかで自分を蔑ろにしてしまう所もあったんですね。かつて神様に自らの消滅を願ったのは、決して一時の迷いなどではなく、彼女の心のどこかにこびりついた罪悪感だったのでしょう。神様に愛され、幸せになってほしいと願われた事実を胸に灯しながらも、既にもう父からも愛されていた事実を知り、新しい家族や友人とも心通わせている今を幸せに感じていた彼女は、どこかでもうこれでいいじゃない、と満足してしまってもいたんでしょうね。
あるとき、大きな火災と遭遇して自分の身を顧みずに逃げ遅れた人を助けにいってしまいます。そうして、彼女は生死の境を彷徨うことになるのです。
おかげで、闇落ちしかける人がじゃがポコ出現しかけた挙げ句に、世界の危機が密かに起こっていたり。
シャンドラちゃん、今までとは違う意味で反省すべし。
ただこのことが、彼女の周りに居た子たちにとっても大きな契機となり、岐路ともなるんですねえ。
シャンドラちゃん、天使の道を歩んでいても罪深さマシマシ油ギトギトじゃあないですか。

いつまでも幼いままではいられない女の子たち、男の子たち。
学園編に突入してから、ラブコメ度がいや増してきて。シャンドラちゃんのキラキラ具合、前世とはまた違うカタチですけれど、眩しいことになってきました、さあどうなることやら、わくわく。