【俺、ツインテールになります。 19】  水沢 夢/春日歩 ガガガ文庫

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ツインテールを愛するすべての者たちよ――

敵の本拠地へと突入したツインテイルズ。しかし全てのエレメリアンを統べる者・首領との死闘の果てに、テイルレッドは敗北した。そして今度は逆に首領が、総二たちの世界への総攻撃を宣言する。
首領を倒すためには、自分自身のツインテールを犠牲にするしかない――総二は悲壮な決意を胸にする。愛香は、トゥアールは、慧理那は、イースナは……大好きな彼に寄り添い、最後まで一緒に戦うことを誓う。
そんな彼らの絆を嘲笑うかのように、かつてない数のエレメリアンが世界中を一斉に襲撃。テイルレッドは首領の策略により、全世界に正体が男であることを曝かれてしまった。
この世界は、テイルレッドの存在がきっかけでツインテールへの愛が育まれた。その幻想が崩壊した以上、人々はツインテールに絶望する。
果たして総二は、自分が守ってきたものが消えゆく悲しみに襲われながら、なお戦うことができるのか。世界の、宇宙のツインテールの行く末は……。

その少年は、ツインテールが好きだった。ツインテールを守り続けた。そして……。
ツインテールを愛する全ての者たちよ、今こそ見届けよ。
観束総二、テイルレッド。最後の――テイルオン!!


「俺、ツインテールになります!!」


うわあああ、タイトル回収きたーーーー!!
それもこんなクライマックスもクライマックス、一番ここぞという場面で。それも、世界中の人々に向かって。
正直、この「俺、ツインテールになります。」というタイトルは作中でセリフとして発せられるとは思ってもいなかったし、まさかこんな熱いシーンで告げられることになるなんて。

ついに、アルティメギル首領によって全世界に対して、みんなのアイドルみんなの天使、みんなの女神にしてツインテールの守護者であるテイルレッドちゃんの正体が、観束総二という歴とした男であるとバラされてしまう。
困惑する世界の人々。絶望する総二。そう、男である彼にはツインテールは存在しない。テイルレッドは本当はツインテールじゃなかった。
観束総二は、ツインテールになれない。

いまだかつてこれほどまでの絶望があっただろうか(いやない)。
なにより、総二自身が自分がツインテールじゃない事を認めてしまっていた。これまでずっと、もはや人間を辞めてツインテールの化身になろうかというまでに、ツインテールを愛しツインテールに恋しツインテールに殉じていた男が、自分がツインテールにふさわしくないのだと受け入れてしまっていた。
これまでずっと彼のツインテールへの狂気を見続けていたのならわかるだろう。彼がツインテールでなくなるという異常事態が。彼自身がツインテールを手放してしまうというあり得ないこの世の真理を裏切る悪夢が起こっているということを。

そもそも、それ以前から総二はちょっとメンタルおかしかったんですよね。首領に一度負けてから再戦に挑もうというそのときまで、彼のツインテールへの盲愛は揺らいでいた、と言って良い。
この男が、ツインテールを守るためとは言え自分のツインテールを失っても良い。もう二度とツインテールになれなくてもいい、なんて自らの存在意義を捨て去ってでも捨て身で戦おうなんて姿勢でいること自体が、彼のツインテールへの狂気が薄れているという事実を指し示していたんじゃないだろうか。
違和感ありありでしたもんね。
なればこそ、もう再戦を前にして彼の心は半ば折れていた、と言っていいのかもしれない。
だからこそ、首領によって変身を解かれ、全世界への中継を介して、彼が男だったという事実を知らしめられたとき。
男であるにも関わらず、世界中に嘘をついてテイルレッドとしてツインテールへの愛を説き、皆から愛されていた裏切りを思い知り、膝を折ってしまった。
皆のツインテール愛に、嘘をついてしまった、と。それが、世界のツインテールへの愛情に疑問を生じさせ、世界からツインテールの輝きを損なってしまうのだ、と。

最後の最後にして今までで最大の挫折が、観束総二を見舞ったのでした。
そんな心折れてしまった主人公を、もう一度立たせるのは誰なのか。
もう一度、彼に勇気を与えてくれるのは、どんな声なのか。

そう、これはヒーローの物語。悪の組織に立ち向かい、絶望を覆し、世界に希望をもたらす変身ヒロインたちの物語。
ならば、その声は仲間たちのそれだけじゃあ足りないのだ。
これまで彼女らが助けた人々の。かつて敵であったライバルの。いつも身近にいた普通の人々の。
そんな世界中の人々の声なのだ。声援なのだ。

たとえ、人類史上もっとも愛らしくもっとも可愛い世界みんなのアイドル、テイルレッドちゃんが男であったとしても。
その男の子に、テイルレッドちゃん頑張れと。言ってくれる人たちの声こそが。
曇りなき、ツインテールを守ってっ! という祈りこそが、彼と彼女らの勇気を奮い立たせる。

個人的には、クラスメイトの男の子たちが前々から総二が実はテイルレッドだと気づいていた。どころか、度々問題を抱えてたり強敵に苦戦して落ち込んでいる、元気をなくしていた総二にそれとなくずっと励ましてくれていた事実に、すごく感動してしまった。あれだけいつもテイルレッドちゃんキャワワワ、とレッドちゃんファンとして盛り上がってた連中が、総二のこと知ってたんですよ。そのうえで、確かにレッドちゃんを心配する体で励ましの言葉をクラスの雑談で総二に聞こえるようにいつも喋ってたわ。

かつて縁あって総二の正体を知ってしまったハリウッド俳優の人が世界中に対して、レッドと総二へのエールを送り届けてくれたことも。
何気に観束家の喫茶店の常連客の中に混ざっていたアメリカ大統領をはじめとした世界中の首脳たちが、観束ママの要請に応えてツインテイルズへの支援を表明してくれたことも。
格好良いことこの上なかったそれはそれとして、どうやってアメリカ大統領がいつも喫茶店に入り浸ってたんだよっ! スケジュールどうやってやりくりしてたの!?

一度は心折れて膝をついてしまった総二に、溺れるほどに降り注ぐ、温かくも熱い声援と祈り。
その想いが胸でいっぱいになって溢れ出てしまったときに、総二が思い出すのがほかでもない、ドラグギルディがかつて最期に贈ってくれた言葉だった、というのがまたイイんですよね。
最初の強敵にして、最後の最後まで最良の好敵手で在り続けてくれたドラグギルディ。最初のライバルが貴方だったからこそ、この物語はこれほどまでの高みへと駆け上がってくれたんじゃなかろうか。
エレメリアンという敵が、これほどまでに愛すべき最高の敵で在り続けてくれた契機だったんですよね。

最後のエレメリアン大幹部たちである、終の零星の4人も最後の最後でやっぱりこいつらもエレメリアンだったなあ、という最高で最良の敵たちに相応しいラストを飾ってくれました。特にデウスギルディとポセイドンギルディの最期はぐっと胸にくるものがありました。ずるいよ、その最期は。

唯乃は絶対に死んでなくて、絶対に一番いい場面で復活してくると信じていましたけれど、本当に一番イイところで現れてさー。そんでもって、無の領域から戻ってこれた理由が、彼女の親友であったペガサスギルディと、スワンギルディの導き、というのがまた……やっぱりスワンギルディはあれで終わりゃじゃなかったんですねえ。
果たしてこれ、このシリーズ戦隊モノに含まれているのはか定かではないですけれど、最後の最後に登場した合体ロボットトゥアールオーはちょっとビジュアルどんなのか観てみたかった。でも語られているデザインのアレさを考えるとこれって怖いもの見たさの領域になっちゃいますね。あまり実際に絵にしてはいけない類のものかもしれないw

さても最大の見せ場でありクライマックスであり盛り上がりのシーンこそ、冒頭でも告げたようにあの

俺、ツインテールになります!!

でしょう。
ここからの、見開きイラストの連続展開による、ツインテールズ総勢9人による変身シーン。
これを観れただけでも、感無量の素晴らしさでありました。
そしてテイルレッドちゃん、一際ちっちゃいっ!
全員変身前後で並ぶと、テイルレッドちゃんのちっちゃさが一際よく分かるんですけど!

物理も科学も全てを超越し――最後に、ツインテールが残った


相変わらず冷静になってみると何言ってるのかさっぱりわからないツインテール迷言が当たり前のように飛び交う実にツインテールズらしい首領との最終決戦。
最高でした。

こうしてみると、本当にツインテールとは?というゲシュタルト崩壊に襲われ続けて、それが常態化してしまい、ツインテールとはツインテールなのだ! という大悟が得られるところまで到達している事に気付かされるシリーズでしたけれど、それはそれとして特撮ヒーロー物、或いは変身ヒロインものといての常道もまた極めていて、色んな意味でとんでもなく、それ以上に最高のエンターテインメント作品でありました。
途中でも語っていますけれど、本作の一番素晴らしかったところは敵であるアルティメギルの怪人たちエレメリアンたちが最高に愛すべき敵たち、場合によっては尊敬に値する変態たちばかりであったところでしょう。ほんと、これほどまでに愛おしくなる敵たちはいませんでしたよ。彼らに会えたことこそが、もっとも素晴らしい体験だったかもしれません。

まだもう2冊ほど続くみたいですけれど、大まかな本筋はこれにて終幕。完膚なきまでの大団円でありました。
なにより。
ツインテール、最高でした!!

でも、私はポニーテールの結翼唯乃派なんだよなあ、これがっ。