【聖剣学院の魔剣使い 15】  志瑞祐/遠坂あさぎ MF文庫J

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――最後の戦いが、幕を開ける。転生魔王のソード・ファンタジー第15弾!

次元城の戦いでもう一人の〈不死者の魔王〉を破ったレオニスは、第十八小隊のメンバーと共に帰還の途についた。しかしその途上、世界を破滅に導く虚無の門――〈ヴォイド・ゴッド〉が出現し、侵攻を開始する。レオニスたち魔王は〈ヴォイド・ゴッド〉を破壊すべく、その根源たる〈剣聖〉シャダルクに決戦を挑む。一方、リーセリアは〈女神〉の魂を狙う〈大魔導師〉ディールーダと交戦。〈第〇七戦術都市〉では、侵攻してくる〈ヴォイド〉を迎え討つべく、咲耶、レギーナ、エルフィーネがそれぞれの戦いに赴くのだった。絶望的な状況の中、最後の要塞〈アルビオン〉が空に飛び立つ――!

ヴォイド側の黒幕として最初期からずっと暗躍していたネフェキス。その肉体は魔王の配下の一人ということで、魔王の部下しかも幹部級とはいえ腹心とも言えない中途半端な地位に居たくらいの人物なのに、それが魔王たちと張り合えるの? とは、ずっと疑問に思っていたところだったのですが。
そうか、中身は〈大魔導師〉ディールーダ。六英雄のひとりだったのか。
他の六英雄たちが皆ヴォイドに取り込まれて、自我も失っていたのにこいつだけは自分の目的を叶えるためにずっと一人で暗躍し続けてたんですね。
彼は一貫してロゼリアの魂を探していたわけですから、だいぶ遠回りしてましたけれどリーセリアの所までたどり着いたのは、この際頑張ったね、とちょっと言いたくなってしまった。
いい加減しつこい、とも言う。

しかし、ほぼクライマックスの決戦にも関わらず、第十八小隊の面々は見事なくらいにバラバラになって戦うことになってるんですよね。
リーセリアは元より、咲夜にもエルフィーネにもレギーナにもそれぞれの戦いが待ち受けている。やるべきこと為さねばならぬ事が待っている。
それぞれに家の事情というとあれなんだけれど、個人で抱え込んだ物語、ストーリーラインがあるものだから、その決着に動くとなると個人個人別れて動くことになるんですよね。
とはいえ、それらはヴォイドの侵攻という脅威の中で個々の思惑を持って暗躍している「敵」を打ち破りその企みを打破せねばならない、という所ではレギーナだけちょっと事情が違うのですけれど、共通はしているので……レギーナもその王族としての血を求められるのはヴォイドとの戦い故、という側面もあるから仲間外れではないはず。
ともかく、戦う相手は違うにしてもその思惑を打ち破ることは、他のメンバーの戦いの助けにもなる。それが顕著に現れたのが、ディールーダの残機性不死能力に苦戦するリーセリアたちの戦いだったわけです。
しかしこれ、しつこくロゼリアの神性を欲して襲ってきたディールーダは排除できたものの、咲夜の方はついに自分たちの一族の仇が現れたけれど取り逃がし、エルフィーネの方も父親の情報は抜いたけれど当人にはまだたどり着いておらず、リーセリアの方はついに行方不明だった父親が何らかの計画を胸に表舞台に再登場、と決着はつけられていない。これは結集してチームとしてそれぞれの敵を討つ流れになるんだろうか。
ヴォイド側、と言っていいのかあやしいんだけれど、人類側に背を向けて独自に自分の目的を叶えるためにヴォイドを利用して?動いている因縁の面々って、それぞれ思惑が私事で別個に動いてるもんだから、全然協力も連動もしてないんですよね。協力くらいはしてたのかな。ディールーダの残機制はその賜物とも言えますし。
相手をまとめてどうこう出来る流れではないだけに、次が最終巻となるらしいのですけれど果たしてこれ一気に決着つけられるんだろうか。

しかしセリアさん、完全にロゼリアの魂の受け皿という事が発覚したためか、立場的にシャーリーより格上になってしまったので、シャーリーの呼び名が師匠からシャーリーちゃんになっちゃったんですがw 

さて、レオの方も因縁というべきか。六英雄は全員因縁ある相手なわけだけれど、セリアさんの歴史介入がなければ本来ならレオを人間の世界に引き入れ勇者として育てた恩人である剣聖は、やはり相手としては強さも何より絡む情も別格のものがありました。
ぶっちゃけ、他の六英雄に対しては別に何も思う所なかったよね、レオニスくん。前世でも敵としてあんまり思い入れらしいものもなかったんじゃないだろうか。ヴォイドに取り込まれた姿をこちらで目の当たりにすることになっても、対して反応してなかったもんなあ。
でも、剣聖だけはやはり感慨深いものがあったのでしょう。お互いに複雑な思いを抱いて殺し合ったもの同士。とはいえ、辛うじて自我らしいものをとどめていたとしても、意思の疎通はもう叶わないくらいまでに怪物とかしてしまった恩師と今更語るべき言葉もなく。
獣王も加えて今まともに動ける四人の魔王を結集しての決戦となりましたが、レオなりに思うところあったんだろうなあ。

さて、これまで断片的にだけ垣間見えていたセリアの父であるクリスタリア公爵と異界の魔王アズラ=イルの企み。企みというか、もう神々すらも敵わず取り込まれてしまった宇宙規模のヴォイドの絶対侵略を何とかするための救世計画みたいなものかもしれないけれど、ようやく登場するなりその宣言をする二人。いや、マジで何をするつもりなんだ? 全然不明なんですけれど!?