【黄金の経験値 3 特定災害生物「魔王」迷宮魔改造アップデート】  原純/fixro2n カドカワBOOKS

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ダンジョンと転移システムが実装! レアがこれを悪用しない訳もなく……?

最強軍団を従える魔王レアは、人類側に仇なすプレイヤーとも協力し、ヒルスとオーラル、二つの王国を掌握した。

次なるお楽しみは、支配地域を持つプレイヤーに解禁されたダンジョン経営!
レアの領域はどれも高難易度の魔境で、訪れた人類側プレイヤーを次々と経験値へ変えていく――。

しかし前回イベントで顔が売れた魔王は、皆の注目の的。
もっと自由に遊びたいレアは、他所の高難易度ダンジョンを肉弾戦(ストレス発散)で単騎攻略するため、ある一計を案じ……?


ヒャッハー、レア様がまたレイドで自分を負かしたプレイヤーに、こそこそやり返してご満悦に浸ってらっしゃるぜぇ。相変わらず、何時までも根に持つ執念深いネチネチした陰湿さが輝いているぜ。
しかも、これからも自分を負かしたプレイヤーたちは見つけたら優先的に狙っていく所存です。しかも、魔王である自分の本体じゃなく、各地に配置した臣下に憑依してこっそり手ずからデスペナルティを与えていくつもりなのがさすがレア様といったところである。
こういう所ほんと器がちっちゃいというか、小物臭いというか。

でもそこがいい。

誰とも交流せずに独りで魔王プレイをやっていた時は、どんどんと内に籠もるというか鬱屈を溜めていくというか、楽しいは楽しいんだろうけれどなんか暗い愉悦みたいな、感情が先鋭化していくような危うさや粘度があったんだけれど、同じ魔物プレイヤーをしているブランと仲良くなり、また勝手に負の感情を抱いていた姉のライラとブランのお陰で誤解が解けて仲直りして、兎にも角にも一緒にゲームで遊べる友達…一人はお姉ちゃんだけれど。ができて、レアの纏う雰囲気の淀んだ感じもなんかカラッと解消された感が出てきました。
もちろん、根っこの陰湿さは変わんないんですけれど、そういう性格の悪さを悪びれず明るくあっけらかんと発せられるようになった、というのかな。
ライラはともすればレアよりもよほど性悪で性格歪んでますし、ブランはぼややんですけれどその分倫理観もぶっ飛んでいて、レアの悪逆プレイも喜んでいっしょに遊んでくれるような子です。余計な茶々を入れて止めようなんてやつはいないし、むしろ一緒に悪巧みして大想像を引き起こそうというトリオだ。そりゃ、俯いて暗く歪んだ笑みを見せながら他の誰かに嫌な思いをさせることを楽しいと思うようなプレイに染まりだすより、よっぽどいいじゃないですか。まあ、他のプレイヤーたちがえらい目にあうのはあんまり変わらないかもしれませんけれど、一応運営から依頼されて魔王やってますし、ルールの隙間を突くことは率先して探し出してやってますけれど、ルールを破って悪意を振りまくような真似はしていないので、十分ゲームプレイとして健全に楽しんでいるといえるでしょう……健全?とは言い難いかもしれませんが。
それに、心から楽しく笑って遊べているおかげで、その器のちっちゃさも性格の陰湿さもなんか微笑ましく感じるんですよね。ある種の愛嬌というか可愛げみたいになっていると思う。ラスボスとして大物らしい完璧で器の大きいプレイをしているよりも、普段は賢く頭の回転も速いのに良く失敗し良く油断し、と隙が多いほうがやっぱり可愛げがあるじゃないですか。
それに、レアって凄く普通の子らしい感性していると思うんですよ。普段はゲーム内のNPCなんかまともに人格のある存在として認めていない、というかそもそも意識すらしている様子はありません。平気で「使役」なんてもんを配下の連中にも使わせて、一般市民だろうとなんだろうと平気で人権とか人格とか無視したことやってます。まあこれ、ゲームの運営側からして設定見てもNPCってそういう扱いっぽいのだけれど。
でも、いざNPCの人間とちゃんと面と向かって会話して、その他大勢のNPCじゃなく、一人のキャラクターと認識すると、普通にその子に対してお礼言ったり、その娘の意思を慮ったり気遣ったり、してるんですよね。
魔王である本体を表立って動かせないので、自分が使役した領主の娘に、アバターとして冒険者になってもらって自分が憑依してその身体を動かそう、となった時にその娘に対して色々と配慮したり、事前にちゃんと説明してやること受け入れてもらったり、とちゃんと一個の人格ある存在として対応してるんだ、これが。
このNPC全体の扱いと、直接交流した個々のNPCに対する対応が全然違うことに対して、レアってまるで無自覚なんですよね。意識して対応変えてるわけじゃないのだ。
でも、これって普通の感性じゃないですか? 普段はどうでもいいゲームの中の一要素に過ぎないNPCと捉えていても、いざ直接面と向かって会話したら意思疎通が出来る以上無意識に普通にコミュニケーション取ってしまう、って全然普通の人の感覚だと思うんですよね。
こういうところも、レアさまの事を嫌いになれない、というかむしろ一般人過ぎて可愛いなあ、と思っちゃうところなんですよね。
現実のレアってなんか格式高い武道の家で子供の頃から厳しい鍛錬を積んできた女性らしいんだけれど、精神面全然鍛えられていないっぽいの妙なリアリティあって好きですわー。現実じゃそうそうぶん回せない薙刀を、ゲーム内で思いっきり振り回したい、という願望もこれはこれで素朴というか、そりゃそう思うよね、という所も。

さて、次のイベントまでに新たに見つけた他の魔物プレイヤーを襲ってみたり、あれこれと支配領域の人事と整備。あれこれと支配領域に関するルールの確認実験にかまけていたレアだけれど、ブランとライラとの会議というかお茶会で、ブランから配下の魔物の融合実例の存在を告げられて、なにその悪魔合体!? と、新たにあれこれと試行錯誤の実験ができそうな話にレアとライラ姉妹は大盛りあがり。
いや、楽しそうで何よりなんだが、融合合体させられそうな眷属の子ら、大丈夫か? え? まじで合体しちゃうの?!w