【バスタード・ソードマン 3】  ジェームズ・リッチマン/マツセダイチ エンターブレイン

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一泊二日の春キャンプ。酒の肴は二人だけの秘密の話……!?

春は目覚めの季節である。この時期のギルドマンたちは皆、硬くて不味い干し肉を放り投げ、冬眠から目覚めた獣を狩りに森へと出かけていくのだ。もちろんモングレルも例に漏れず新鮮な肉を求めてライナやウルリカらと共にキャンプへと繰り出し、楽しい毎日を送っていた。そんな彼にある日突然ギルド長から直々の呼び出しがかかる。なんとその要件とは「シルバーウルフを全く傷つけずに狩猟しろ」というあまりにも滅茶苦茶な仕事の依頼で……!?


モングレルのモングレル。
あかん、このフレーズだけで噴く。
モングレルさんもなんで自分のモングレルをモデルに張り型を作っちゃったんだよ。そして売ってしまったんだよw しかも、使うのは男w
今日もどこかでモングレルさんのモングレルと同じ形をしたものが……って、下ネタすぎて失礼。いやだって本編でっそういう話がw
そりゃ笑うよ。バルガーさん爆笑するのも当然だよ、ネタとして面白すぎんだろそれ。

というわけで季節は移ろいて、もうすっかり春ですよ。
冬の間は仕事も減り、森からも魔獣の姿が消えてしまい、みんな引きこもって内職するか酒場で管を巻くか、という塩梅だったのだけれど、春ともなれば農村から飛び出してきた新人ギルドマンも増え、ギルドマンへの依頼もましまし、活況を迎え、てなもんである。
と、この3巻では春到来で気分もあがって浮かれていた時期もお祭りの終わりとともに少々落ち着いて、より落ち着いた普段ののんびりとした日常風景、みたいな話がメインの巻となってましたね。
いやまじで、モングレルさん今回はサイクロプスだなんだという大物モンスターともかち合わないで、どちらかというとギルドの酒場でぼちぼちとなんか工作して作ってるパターンが多かったぞ。
あらすじにあるシルバーウルフ討伐任務は、あれも結構倒すとなると人数多めで囲んでやらないといけないそれなりの大物らしいのですけれど、あの任務はシルバーランクに上がりたくないモングレルさんと、没落貴族からろくでもないけど断れない依頼を押し付けられて困ってたギルドがお互いWIN WINを得るための談合依頼みたいなもんだったからなあ。
ってか、シルバーなりたくねえっ、とごねてるモングレルさんの希望を何だかんだと通してくれる副ギルド長いい人だよなあ。こうして名目もちゃんと作ってくれた上でギルド側も助かる構図を作るあたり大変に有能な人だし。

にしても、モングレルさん、シルバーにはあがらない、自分はブロンズでいいのっ! とのたまっているわりに、力は全然隠してないんですよね。いや、マジの切り札的なスキルやら何やらは完璧に隠しきっているんだけれど、怪力やら一人でやべえモンスター倒せる力持ってるのとか全然隠してない上に、なんならランクはブロンズだけど、実力はシルバー以上あるんだぜ、と自分で堂々と主張して回ってるし。
こいつ隠す気全然ないじゃないか。おかげでシルバーに頑なに上りたがらずずっとごねてるのを知っているベテランはともかくとして、モングレルの事よく知らない人たちはなんであの人シルバーじゃないの? とむしろギルド側になんで上げないんだ?と不信感抱き出すくらいになってるからなあ。
むしろギルド側からすると、もう試験とかいいからシルバーなってよっ!と頼み込むくらいの塩梅にまでなってきているのに、今回の依頼みたいにギルド側からあがらなくても言い訳できるような理由付けをわざわざ用意してくれる、というのはやっぱり親切以外のなにものでもないと思いますよ。
モングレルさん、シルバーに上がりたくない以外は街の清掃や緊急の泥臭い力仕事とかも嫌がらずに面白そうっと自分からどんどん受けてくれたり、塩漬け依頼みたいなのも頼んだらやってくれたりする事も、今回の依頼も裏見るとかなり面倒くさい話になってて、こうやって受けてくれるのギルド側としてはだいぶ助かってるんですよね。そういう意味では大変優良なギルドマンなので、こうして配慮やらしてくれるんだろうなあ。
強さに関しても、シルバー以上の名のあるギルドマンがみんな、まああいつ自分より多分強いよ、と口を揃えて認めているあたり、ほんとこいつ全然隠してないじゃん!
そのうえで、みんな口を揃えて面と向かって言うとあいつ調子に乗ってむかつくから言わないけど、みたいな前置きしてるの、ほんと草生えます。
これで妙に顔が広いというか、交友関係が広いというか、友達多いんですよねえ。
30歳になった記念日、というか誕生日ですね。そのお祝いを、40代のバルガーのおっさんとまだ20代だけど三十路までカウントダウンなアレックスと三人でぐだぐだ飲みながら、ひたすら歳をとることについて駄弁りながら酒飲みまくるという、この男くさくて酒臭い誕生日会よw
作中でもモングレルさん自分で言ってますけれど、こんなおっさんの誕生日ちゃんと祝ってくれるやつがいる、酒臭いおっさんと兄さんですけれど、それでも一緒に酒のんで乾杯してくれるやつがいるってのがいいですよねえ。
それに、なぜか同じギルドマンだけじゃなく、普通の一般人相手でもなんでか知り合い多いんですよねえ。菓子屋やってる菓子職人とかどういう伝手で知り合うんだよ。
一般人サイドでも特に奇矯なキャラクターで人気……人気? かはわからないけれど、なんかやたらと個性的で存在感があるためか、わりとこの人メインの話が多かったりするパティシエのケンさん登場回である。職人としては天才なものの、職人としての才能に全振りしてて性格も変だし経営の才能も皆無なため、お菓子は尋常じゃなく美味しいのに店は閑古鳥鳴いてて閉店のピンチを迎えているケンさんのお菓子屋を、モングレルがコンサルするぜー、なお話ちゃんと面白いのがなんか悔しいw
いや、ちゃんとコンサルタントとして店が流行ってない原因を指摘して、改善させて、おまけにアルテミスやギルドの受付のお姉さんたちに実際にケンさんの店で買ったお菓子をばらまいて宣伝して、とまずケンさんのお菓子がいかに美味いか、そんなお菓子を提供する店がこの街にはあるんだよ、というのを認知させるところからやってるのは、ちゃんとコンサルしてて偉いのよ。
ただ安定してリピーター確保するための、店の内装のアドバイスなんかは女性視点からアルテミスの面々からがっつりとした意見が出てて、モングレルさんそのへん何も考えてなかったし内装とか意識もしてなかったぜ、みたいに抜けてるのがまた面白し。

他にも、マメに街なかの清掃依頼をうけて掃除して回ったり、ぬかるみにハマって動けなくなった荷車をなんとかしてくれ、という緊急依頼にえっちらおっちら走って助けにいったり、製材所で材木運んだりと地味な仕事をほんと楽しそうにこなしているの、ほっこりしてしまいます。こういう普通つまらない仕事と忌避されそうなのを、心から面白がってやってるの、人生彩りあるだろうなあ。
仕事してない時は、やたらとなんか作って遊んでますし。わりとDIYな話も多かった。虫型魔物の殻を使った初心者用の防具作ってたりはまだいいんだけど、いやそれも完全に趣味で売るためとかじゃないからなあ。それはそれとして、露天で見つけたクジラのヒゲを使って釣具をコツコツ作る話とか、普通考えても何が面白い話なのかよくわからないんだけれど、読んでるとやたらとなんか面白いのよねえ。
釣り竿のしなる部分作ってるだけの話なんですよ?w
その後、できた竿を試しに街の外に釣りに行って、一匹だけ釣れた魚を焼いて食べて帰る、というだけの話なんかもあるし。
でも面白いのだ、これが。
他にもいろんな葉っぱとか種殻を使ってアレックスといろんなお茶作って味を検討するお話とか、ほんと何の山も谷もない話も多いのだけれど、なんでこんなに面白いんですかね?

今回の目玉はなんといっても、名物猥談バトルっ! は、当然面白いとして。
前巻ライナと一緒に二人で泊まりで森に狩りに行く話をやったわけですけれど、今回はウルリカと一緒に二人で森に狩りに行く話をやってましたが……だが男だ。なので、単に男二人で狩りに行き野営して一緒に寝る話になっておるw でも、相手は男の娘だから趣が違うのかw

3巻にしてようやくというべきか。モングレルさんの里帰り、両親のお墓参りの話が入りまして、毎年モングレルさんが滅びた故郷の開拓村で、そしてその周辺である国境地域で何をしているのか、という事実が明らかになります。モングレルさん、自分の真の力に関してはガチで誰にも明かさず秘密をちらりともに匂わさずに隠しきってるのが、この話でよくわかるんですよね。
その力をおおやけにお披露目することは絶対にないであろうという事も。

それにしても、モングレルさんもついに30歳かー。これで文句なしにオッサンですよね、やったぜ。