【俺の背徳メシをおねだりせずにいられない、お隣のトップアイドルさま 2】  及川 輝新/緋月 ひぐれ MF文庫J

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背徳メシのライバル、「道徳メシ」登場!? メシ堕ちラブコメディ第二弾!

お隣どうしの《メシ堕ち》バトルを続ける優月と鈴文。そこへ優月が所属するアイドルグループのリーダー・衛本留々が襲来する。優月の自称・姉として鈴文にライバル意識を燃やす留々は、超絶ヘルシーな《道徳メシ》で宣戦布告! 毎日の優月のご飯係を奪い去ってしまう。「俺のメシが恋しいんじゃないのか?」「そ、そんなわけないじゃん! 全っ然平気だし?」と強がる優月。でも本当は、鈴文の背徳メシじゃないとメシ堕ちできない──! 優月の一番でいるため、鈴文は一世一代の勝負に挑む。休日デートの公園、お忍び旅行のホテル、いつものマンションの部屋。二人の日々で、メシ堕ちもラブコメもさらに加速する第二巻!

メシ堕ちという言葉に恥じない、凄まじい陥落っぷりでありました。
ガチでメシという快楽に堕落させられてるよ。

普通、ヒロインがアイドルとなるとどうしても主人公というのはヒロインのアイドル人生を守りサポートする側にまわってしまう……とは一概には言えないのかな? あまり類例を読み込んでいるとは言えないので。
しかし、この作品に関しては主人公の鈴文は優月のお世話係を自認していて、本人はたまに思う存分美味しいごはんを作ってあげているだけ、程度の認識だけれど、やってる事見ると食事だけじゃなくて生活全般お世話してるぞ、こいつ。お隣さんだから、しかも出入り自由にしてもらっているからといってヘルパーさんでもそこまではするまい、という生活サポートをこまめにやっておられる。優月が普段から芸能活動で私生活、特に普段の生活で手が回っていない所を完全にフォローしてやがる。なんだこいつ?
まあここまでしてる、お世話係となるとまさに優月がアイドルとして存分に活動できるようにサポートしている、と普通はなるんだけれど、彼はその点大きく異なっている。
彼はアイドル有須優月ではなく、あくまで佐々木優月という個人を応援しているのだ。だから、彼女の有須優月としての活動に支障が出るのだとしても、佐々木優月に必要だと思えばガンガンとカロリー爆弾的な食事を食わせてヒンヒンと哭かせることを厭わない。
別にアイドル活動を否定してるわけじゃないんですけどね。彼女が本当に心からやりたい事としてアイドルを頑張っている事自体は応援しているのだけれど、それはそれとして体型維持やらに支障が出まくるメシを食わせる事は厭わないどころか嬉々として食わす、そして快楽堕ちさせる。
理性トバして本能のままに、快楽のままに喜悦の叫びとやたらと詳細な食レポを撒き散らしながら食い倒す優月の姿はまさにメシ堕ち。メス堕ちとどう違うんだ?と聞かれるとさほどの違いはありません、と応えてくなるほどの有り様は、鈴文お前さんちょっとエロス目的でハマってませんか?と訪ねたくなるほどのお姿である。
飯を食う姿はエロい、というのはある種の真理かもしれない。

さても優月である。抵抗している風を装っているけれどこの女、すでに一巻でもう完堕ちしている。口先だけ抵抗しているが、だいたい速攻メシの顔になっている。まあ、一巻であれだけ心身ともに救われたし抱きしめられたからねえ。
胃袋だけじゃなくハートすら鷲掴みにされてしまっても仕方あるまい。
というわけで、もう実のところメシ云々を抜きにしても、ふたりとももう相思相愛、いや昨今の言い方だと両片思いという方が相応しいのかな。想いを確かめあったわけではないので。
ただ、優月の方がこれ明らかに気持ちのライン超えちゃってるんですよね。あんた、自分がアイドルやっているというのをちゃんと覚えているんですか? という表沙汰になったらスキャンダル上等というあれこれに、あえて踏み込んでいる。
まあ普段からしてこれもう半同棲じゃね? という状態で既にスキャンダラスなのだけれど。
でも、体裁だけでも鈴文のことをアイドル・有須優月のファンにしてやる、という建前だったのが、メイド服をはじめとした様々な衣装を着て鈴文に個人撮影会をさせてあげたり、鈴文が用意してくれたホテルでの歓待では、帰る鈴文を引き止めて彼と一泊したり……はい、後者はアイドル的に完全にアウトですねw
どちらにしても、アイドル・有須優月としてではなく、佐々木優月という少女として鈴文にべったりになっちゃってるんですよね。
彼女の中のアイドル像では、そのへんの恋愛関係は世間的にはバレてはダメだけれど、絶対ダメというわけではないらしい。
アイドルものの物語の中には、アイドルとはファン全員にとってのアイドルたるべきで、プライベートでも個人の特別な存在になってはいけない、みたいな信念を持っていて、男性との恋愛物語で大きな障害になっていく、みたいな話もあるのだけれど。優月の目指すアイドルの方向性というのは、歌やダンスなど自分を高める方向性みたいなので、プライベートを消し去り偶像性を純化させていく方向ではないみたいなので、そのへんは構わないのだろう。
もしかしたら、一巻で優月がメシ堕ちせずにストイックさを極めていっていた場合、私人としての色を消した純粋な偶像となっていたのかもしれないけれど。でもあの優月はアイドルになりたい、という欲望すら摩耗しはじめていたので、あのまま言ってもアイドルとしての輝きや活力すら失って潰れていたのでしょうけどねえ。

まあこうしてみると、優月と鈴文二人の関係としてはもう安定軌道に入っていたのだが。
そこに割って入ってきたのが、姉を自称する不審者、じゃなくて……いや実は不審者だった気も後々明らかになる優月マニアっぷりを見ると。
ともかく、同じアイドルグループのメンバーであり、結成当初から優月を目にかけて姉代わりとして面倒を見てきた衛本留々が、優月のお世話係は自分である、貴方はお役御免だっと現れたのでありました。
面白いのはこの衛本留々、鈴文の存在がアイドル・有須優月のスキャンダルになるから危険因子として排除する、というふうに割って入ってきたのじゃなくて、あくまで優月の世話は自分が見るんだい、という優月に対する独占欲で鈴文と優月の接近を妨害しに掛かっていた、という所なんですね。
そこには、衛本留々のアイドルとしてのアイデンティティ、優月との姉妹と定義した関係に対する不安や依存など、彼女個人の精神的な問題が寄与していたようでした。
先日の優月がストイックを突き詰めすぎて肉体的にバランスを崩し、また鈴文との距離感を拗らせて精神的に追い詰められていた時、両方でなにも出来なかったことが拍車をかけていたようです。
それらをいつの間にか解決してしまった鈴文への嫉妬、自分への焦り、どんどんとアイドルとして完成して売れていき自分を置き去りにしていく優月との距離感の取り方の喪失。
それらが暴走に繋がって強引な干渉を続けた結果、優月との関係自体が揺らぎ始めてしまった、というのがこの巻のお話の前半部分でありました。
優月にとっても、田舎から出てきて前のめりになりすぎていた自分を受け止め、ずっと支えて守ってくれていた留々は、アイドルとしても佐々木優月としても大事な人であり、その人と距離感を見失ってしまう事は優月も不安定にしてしまうんですね。
まあその分、さらに鈴文にベッタリとなった部分が多分に見受けられるのですが。

ここでこれ幸い、と優月を自分だけのものにしてしまう、なんて事を鈴文がお世話係としてするはずもなく。うまいこと優月の、そして留々の方もメンタルケアして二人の仲を取り持ち、含みを持たない本当に親密な姉妹同然の関係へと発展させていくのでありました。

ふたりともメシ堕ちさせることで。

留々さんまでメシ堕ちさせてどうするんだコイツw
完全に違法のやばいものを摂取しにくる依存症の人みたいになっちゃってるじゃないか。
カツカレーで二人を完堕ちさせたときのあの優月と留々さんの二人の様子、どう見てもヤバいものキメちゃって理性トバしちゃってる状態じゃないですか。なんかヤバいもん入れてないだろうなw
合法でそれだけ頭おかしくなるほど美味しいメシを作れる、というのは料理人として鈴文本人が依存性のある違法薬物みたいな存在になりそうなんだけどw
ガチでこいつ、実父をはじめとした何人もの人生を料理で変えちゃってるからあながち間違ってもない気がする。

ラスト、アイドル云々は置いておいて、告白から両片思いが両想いになって万事めでたし、という締めだったんですけれど、書き下ろしに別のアイドルグループの子の話が出てるんですよね。
続きが出るなら、新キャラ登場の予告になるんですかね? 貧乏メシキャラって、明らかに鈴文がお腹いっぱい食べさせたくなるヤツじゃないですかw