【Landreaall 42】  おがき ちか ZERO-SUMコミックス

Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス
救出隊によって無事に地上への帰還を果たしたDXたち。
ダンジョンから誰一人欠けることなく戻り、日常生活に戻れるかと思いきや…!?
大人気ファンタジー、最新第42巻登場です!


入院! 深々度ダンジョンの長期滞在による影響調査! 実験! 検疫! あとレポート! レポート提出ね! 簡単に帰れると思うなよ!?

というわけで、日常生活に全然戻れないDXたちでありました。
日光に当たるとダンジョン成分が抜けていくのか……なるほど?
実際汚染とまでは言わないものの、DXたちへの直接の接触は見舞いに来た人達も禁止されてたみたいで、病室のベランダ越しに会いに来たイオンとの再会は微笑ましいことこの上ないものでした。
なにその、アバター抱きつき?
同じ部屋に入れないものだから、フィルに自分の代わりに動きをトレースさせてDXに抱きつかせて自分は一緒に来ていた六甲にぎゅーっと抱きついて、擬似的にお兄ちゃんをハグする妹の図。……なにこれ?
いやこれ六甲が普通に約得なんじゃない? そしてDXは男のフィルにギューッとはぐされて嬉しいのか? と思ったら、イオンに自分に抱きつかれてるつもりになって!と請われたので、普通にイオンに抱きつかれた気になってふにゃふにゃしてやがるぞこやつ。

療養所でユスタスと再会……え? ユスタスって誰? って、スピンドルのときに天恵使いすぎてヤバいことになった子!? あのときティ・ティのメンタルに結構ダメージあったんですよね。うわー、スピンドルってもうどれくらい前のエピソードでしたっけ。
ここで出てくるノーマというそばかすの女の子、いいなあ。ってか、このエピソード胸がきゅんきゅんするんですけれど! このあたりの貴族としての自覚って、凄いよね。いや何が凄いんだって言われると言葉に迷うのだけれど。いやここだけじゃないか。この前のエピソードの、ドクター・カレンの話でもそうだったんだけれど、あの誤解させる物言いの女史ね。彼女が最初、ライナスとルーディをDXたちから引き離して療養所から出そうとした件、DXたちはまあ彼女の物言いが悪かったのもあるんだけれど、身分差をあげつらって同じ待遇に居させるわけにはいかない、と言ってると思い込んだんですよね。実際は、騎士団所属のDXやティ・ティたちには研究の材料として協力してもらう責任があるけど、一般人の彼らにはそんな責任ないんだから、そろそろ家に帰してあげないと、って話だったわけだけれど。
DXたちが重きを置かれるのって、身分が高貴だからじゃなくて、立場として責任を負って果たさなきゃならないから、という考え方がベースにあるわけです。
ノーマのお話にもその件は関わってて、自分は貴族だからユスタスを護るべきだったのに、スピンドル事件の時に何もしなくて、結果としてユスタスが負担負いすぎて天恵が発露しなくなるまで後遺症を負ってしまった事をずっと後悔していたわけだ。これはスピンドル事件の際に指揮を取っていて結果としてユスタスに限界を超えさせてしまったティ・ティの後悔もにたところにあるんだけれど。
貴族って偉いわけじゃなくて、責任ある立場って考え方なんですよね、この貴族の子供たちって。うん、前々からこのシリーズではそういう側面を常に描いてきていましたけれど。
でも、責任があるからといって上下があるわけじゃなく、ノーマがずっとユスタスに花を送っていた張本人だとDXたちによって明かされたあと、ノーマとユスタスが二人で話すシーンはお互いの家族の話であったり、天恵をどんなふうに使っていたか、とかそんな話をまあこのユスタスくんイケメンすぎない?とか思わせるちょっとキュンキュンきてしまう雑談だったのですけれど、そこに身分差とか立場の上下とかなくて、対等なんですよね。ほんと対等。ただ貴族の子らは強く自分たちの責任を意識している節がうかがえるだけで。
今回のダンジョン遭難事件で、ノーマが積極的に関わって天恵を使ったダンジョン内部との通信ですごく活躍してたらしいのですけれど。こういう責任感を、自分を追い込みすぎずにしっかりと果たそうと頑張っている姿は、心浮き立つなあ。
と、この責任感というか、貴族や騎士の在り方ってのはこの後のティ・ティのダンジョン深部での武勇伝をフィルが女性陣に語ってるシーンでもちょいと関わってくるわけで。
ダンジョンボスとの戦いで動けなくなったフィルたちを庇って、戦う力なんて殆どもたないティ・ティが立ちふさがった件。この守らなきゃって、意識ねえ……ふぅむ。いやこの場合、守られる側になった平民であるフィルの意識のほうがちょいと問題になってくるんだろうか。従騎士となってる以上、責任はフィルにもあるわけだけれど、彼の自分への価値の付け方に関しては未だ根深いものがあるんだよなあ。ここはなかなか変わらん。

ただまあ、今回は本当にDXたち主人公一同だけじゃなく、遭難した彼らを救うために尽力したすべての人達が、やり切った感があるんですよね。それも性別年齢立場を超えて、一致団結してやり遂げた、という。
石化を解除されたサー・ジャックが大人気で大歓声で大喝采を浴びながら、本人石化でずっと意識途切れていて目が覚めたらいきなり式典に引っ張り出されて最大の功績者として勲章もらってびっくり仰天していらっしゃったわけですけれど。
いや、石化中とはいえサー・ジャック大活躍だったからなあw 
それはそれとして、自分は何もしてないと恐縮しつつも、サー・ジャックは勲章を貰ったことを卑下せず、本当に本当に嬉しそうに誇らしそうにそれをDXたちにも見せてくれるわけですよ。
それは、彼が胸を張って誇らしく思えることを成したから。

これまで、長きに渡って王国の騎士団は誉れとは程遠い戦いに足を浸からせていました。DXの父であるルッカフォート将軍やサー・ジャック自身含め多くの騎士たちが、先の戦いでは勲章を戴いていたそうですが、誰もあまりその事について語ったり触れたりしたがらなかったそうなんですよね。それどころか、勲章についてくる恩給を戦死者の遺族に譲ったりなど、決して誉れだとは考えていなかったみたいで。
ずっと、騎士団は鬱屈を抱えていたんでしょうな。未だDXたちは詳しくは知り得ていないのだけれど、長く王を不在にした内乱からこっちずっとこの国の騎士たちは忸怩たる思いでいたのでしょう。
でも、今回のダンジョン遭難事件での騎士団の働き、巨災を討つまでに至った活躍は、遭難したものたちを助け、ダンジョンを正常化させるという、何の後ろ暗いこともない胸を張って、自分たちはこんな頑張ったんだぞ!と子供たちに誇れる仕事だったわけですなあ。
式典で国王陛下が、麦の女神のシンボルに向かって語りかけるシーン。
これが我が国の騎士団である
王の言葉に、騎士たちは万感の思いだっただろうなあ、と彼らの表情を見て胸が熱くなりました。
ある意味、アトルニア王国の騎士団にとって、これが新生の瞬間だったんじゃないか、と思えるほどに。

そして、今回の一件って騎士団がメインではあったけれど、ダンジョンの異変に巻き込まれたアカデミーの学生たちも、救出されたらはい終わり、ではなくてそのまま見習いとしてずっとダンジョン潜って捜索に協力してたんですよね。それも騎士候補生だけじゃなく、様々な立場の子らが。
また学生だけじゃなく、学者や傭兵、教会の人間などもとにかくいろんな立場の人達が立場を超えて協力したわけです。ほんとに全力を尽くせたんですよね。どっかで足を引っ張ったりせず、皆ができることを全力でやれた。この経験、この体験はちょっと今後の国の在り方や方向性にすら影響を与えるかもしれないくらいのものだったんじゃないでしょうか。
その一旦として、メイアンディアが女性騎士の発足を議題にあげて通ったんですね。
この世界、決して女性が社会的な地位を持っていないわけじゃない。これまでも外交官や傭兵隊の隊長、医療関係や学者など女性でもバリバリ働いてとびっきり優秀、そして偉い立場に立っている人も結構登場してたわけです。
一方で、アカデミーでイオンがその戦闘力を隠さなきゃいけなかったように、淑女は守られるべき存在、女性に統率や経営に関する知識は不要、というある種の守られる存在である以上出しゃばらずに守られていなさい、みたいな価値観が間違いなくある。イオンなんか身分隠して忍者見習いという建前でダンジョン潜ってましたしね。
でも、今回のダンジョン遭難事件でその淑女たちが、事件解決の鍵といっていいほどの大変な活躍を示した。前線で走り回ってたイオンや、ダンジョンに関する古文書の解読に奔走していたメイアンディアだけじゃなく、ティティと通信してずっと連絡を取り合って情報を送り続けたトリクシーに、天恵でダンジョン内部の意思疎通をつなぎ続けたノーマ、他にも長期に渡るダンジョン捜索の人員のやりくりについてついに最後まで破綻させずに調整しきった運営管理の天才アメリ。
彼女や他にもモニカたちなどを勧誘して、これまで存在しなかった女性の騎士候補生として女性が学べなかった、実行できなかった、発言できなかった、能力を発揮できなかった機会を、得られるように。
女性にとっての可能性を広げるための、新たな扉が開いた。
イオンが、大っぴらに活躍できる機会が思いの外早く訪れるかも知れない。ワクワクですよっ!
面白いのは、ディアが誘っている面々で実際に斬った張ったができるのはイオンだけなんですよね。その点からも、ディアが目指しているものの形が見えてくるかも知れない。

あと、巻末のプチリオール。五十四さんが淑女の皆様に語ってくれた東の国・ウルファネアの逸話。「亡国の姫と100人の侍」もそれに関わってきている話なんだけれど。
ってかこのおかげで、アカデミーの女性陣いろいろと自分でなにかとできるように努力したのかー、なるほどなあ。
いやこの逸話、最後五十四さん、わかりやすく侍を騎士に言い換えてお話してくれてたんですけれど、生き残った3人の騎士は姫たちを隣国に逃がしたあと、騎士をやめて出家して神に身を捧げました、と語ってるんですけれど、その時手に持って広げてる絵巻物には、地中から生えた穴の空いた竹の棒が3つと漢字で「即身仏」って書いてあるんですけど!!??
五十四さん、お嬢様方漢字わかってないからといって凄いもの見せてません!?
まあ最初の方のページから死んだ侍が刀の墓標で示してあって、えぐい絵巻物なんですけれどw