3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 東京競馬場1,600メートル(芝・左)

香港の大英雄ロマンチックウォリアー、アウェーだろうが関係なし!
並み居る本邦のマイルのスペシャリストたちの悉く、無双の豪脚にて蹴散らし候。


此度の安田記念、話題はなんといっても「ロマンチックウォリアー」が来るぞーーー!!でした。
歴史的名馬と呼ばれるような超大物海外馬が日本のG1に参戦してきたのも今は昔、昨今ではこちらから海外のレースに乗り込んでいって大暴れしてくる、という方が常になってしまい、逆に向こうからくるというのは本当に少なくなっていました。
来るにしても、あまり知名度のない馬が大半で、実績はあってもその実力をどう推し量って良いものかわかりかねる馬が多かったんですよね。エリ女を連覇したスノーフェアリーくらいが最後なんじゃないだろうか、鳴り物入りで参戦してきたのって。
しかし、ロマンチックウォリアーはモノが違いました。近年、伝説的な強さを誇り海外、日本にまでその雷名鳴り響く馬が香港に二頭存在したのです。
それが短距離のゴールデンシックスティであり、そしてこの中距離のロマンチックウォリアーでした。
これまでに19戦して15勝。うちG1を7勝。G1を7勝ってテイエムオペラオーとかシンボリルドルフ、ディープインパクトといった名だたる面々と同レベルってことですからね?
しかも、負けているうちの2敗は伝説を通り越して神話になっているゴールデンシックスティとの勝負に敗れたもの。相手が悪かったとしか言いようがない敗戦だったわけです。
そしてこのロマンチックウォリアー。香港でのレースで暴れまわる日本からの参戦馬たちを片っ端からぶち倒し、ただの一頭も先着を許さなかった馬でもあったわけです。
そう、既に日本の馬との対戦成績は山とあって、その全てで勝利しているバケモノだったわけですよ。
強い強いと実績を残していても日本の馬と戦ったことがないだけに、実際どんなもんかわからないよねえ、という未知の強豪馬とは一線を画した馬だったわけです。
ついでにいうと、香港の競馬場は日本の馬が毎年遠征して活躍しているように、まるで別次元の馬場であろうヨーロッパとは異なっていて、こっちの馬たちの走りとマッチする馬場でもあります。
つまり、香港の馬だって日本の馬場なんの問題もないわけですよ。
ヨーロッパの強豪馬が来日! とは桁の違う大怪獣襲来! だったのです。

とはいえ、日本の競馬場でもそれぞれ傾向や質が違うように、香港の競馬場にベストマッチするからといって府中ではどうなんだ? という話でもありました。
主戦場であるシャンティ競馬場は洋芝なんだそうで。あれってわりと粘りのある力のいる芝で、そうですね、どちらかというと阪神や中山タイプの馬場なのかもしれません。
実際に走破タイムを見ると東京競馬場で求められる高速競馬からすると少々物足りない時計ではあったんですよ。また、ロマンチックウォリアーの主戦距離というのはおおむね2000メートルで固定されていて、1600メートルというのは経験も実績もあるけれど、若い頃で最近はずっと中距離戦線だった、というのも注目ポイントでした。
果たして時計それほど早くない浪漫勇士が、さらに距離短縮の1600メートルで高速馬場となるだろう東京競馬場の早い流れに乗っていけるのか。
むしろそれなら、同じく香港から参戦。1600のG1タイトルを獲っている上にゴールデンシックスティの2着にも来たことのあるヴォイッジバブルの方が侮れないんじゃないのか? という言説もあったわけです。
何しろ現在の香港短距離界は世界でもまさにトップもトップ最上位の魔境。そこでG1獲ってる。魔神ゴールデンシックスティに迫った、とかは絶対に無視できない強調要素でありました。

ところがところが。
天は誰に味方したものか。当日日曜日の東京の天候は……雨! それも金曜日からしとしとと降って、馬場状態も懸念される状況に。
さあ、そうなってくるとパンパンの馬場と比べて走破タイムは時間がかかるようになってくる。しかし、果たしてどれほど馬場が悪くなるのか。ちょっとゆるくなる程度と、グズグズの不良馬場とではまた全然違ってきますからね。
馬にもこうした雨天の馬場への得意不得意というのは顕著にありまして、予想する人達は天気の変化に頭を悩ませるはめになるわけです。
とりあえずヴォイッジバブルの方は馬場が緩むと全然だめ、と陣営が公に述べているので、これほんとにダメだったのでしょう。いやでも、香港の元から時間のかかる馬場の緩んだ不良状態と、日本の馬場の重馬場とはまた傾向が変わってくるかも。陣営の人達が言うほど苦手なことにはならないんじゃないのか? と考えたりもするわけで、ここらへんの判断は非常に難しいことになってくるんですよね。
血統や走り方、蹄の形だとかで重馬場の得意不得意を判別するその筋の人達もいるので、専門家は凄いなあとあんぐりと口を開けるばかりです。まあ血統に関しては特に実際にお父ちゃん雨得意だったら子供も得意、というパターンが結構あるので無視できないのですけれど。

さて、散々語った香港の大英雄の参戦に対して、迎え撃つ日本馬たちですが。
君たち、香港で既にけっこうやられてるよね、特にセリフォスさんw
いや、これまでと違って今度はホーム。我らが庭の府中競馬場でありますよ。返り討ちにしてやるわーっ!
と勇んで立ち向かうのは、現役のトップマイラーたちはほぼ出揃ったんじゃあなかろうか、という面々。
一昨年のマイルチャンピオンシップの覇者であり、去年の安田記念の2着セリフォス。
マイル重賞3勝。G1でも常に勝ち負けの勝負でその強さは現役の頂きにあるソウルラッシュ。
前走こそ海外帰りで体調整わず負けたものの、現マイルの女王として名乗りをあげるナミュール。
日本の大将クラスはこのあたりだったでしょう。
他にG1馬はダノンスコーピオンがNHKマイルを買ってますが、最近は良い成績ではなく前走やっと復調の気配を見せてきたところ、くらい。
あとはダート含めて様々な種類のレースを出まくり、最近ようやっと東京マイルが適正なんじゃない?とか言われ始めたガイアフォース。
ダート界隈を放浪していて、調教師先生の強い願いで芝に戻ってようやく掲示板に乗る走りに戻ってきた皐月賞馬ジオグリフ。
連勝でダービーCTを買って初重賞制覇。マイル戦線に割って入ってきたパラレルヴィジョン。
伝説の21クラシック世代の生き残り、長期休養明けから復活して再度輝きを取り戻してきたステラヴェローチェ。
これらが追いかける形になってますけれど。逆に言うと今のマイル戦線ってこのあたりで精一杯とも言えるんですよね。
マイルの女王ソングラインが去年引退。シュネルマイスター、ダノンザキッド、ソダシ、グレナディアガーズといった古豪たちも揃ってターフから去ってしまったために、やっぱり陣容が薄いんですよね。
実力で言うならソウルラッシュが総大将を背負ってほしいんだけれど、本来なら2つ3つはマイルG1を取っていてほしいのに、G2までなら凄く強いレースをするのに本番G1となると毎回一歩届かないレースをしてしまう、偶にいる馬なんだ、この子。
そのあと一歩分、騎手の腕の問題か、とも思ったのだけれど、名手モレイラをもってしても同じような競馬になってしまっているところをみると、もうそういう馬なんだとしか考える他ないんだよなあ。
血統的にルーラーシップ産駒は東京マイルの成績が良くないって事もあったので、これまでの安田記念の負け方は適正があわない向きもあったのかもしれません。
ただ今回は、馬場が稍重になって重馬場得意のソウルラッシュにとっては最適だった。調教も抜群で、おそらく今までで最高の調子だったと思われる。鞍上には望むべく最高峰の騎手モレイラ。
もうここで勝てないならどこで勝つんだよ、というくらい出目が揃っていたわけです。

にも関わらず、ロマンチックウォリアーには一蹴され、それどころか本調子には程遠かったナミュールにまで躱されての3着。苦手の東京競馬場マイルで3着は立派かもしれませんけれど、ここまで好材料を揃えた上での3着というのは、ここが限界点か、ともとれるわけで。あとはもう本当にマイルCSに賭ける他ないのかねえ。

っと、なんかいきなり話飛ばしてソウルラッシュ3着の話に流れてしまいましたが。
勝ったのはロマンチックウォリアー。文句なしの横綱相撲でありました。力の差を見せつける完勝でした。返し馬からやたらテンション高くなってて大丈夫か、と心配されたんですけれど、レースに入ったらこの馬本番の集中力パないですわ。道中囲まれて決して楽な展開ではありませんでしたし、進路があくまで堪えて堪えて、空いた途端にモノの違う足でほかを置き去りにしていってしまいました。
並走していたステラヴェローチェがあっという間に置いていかれちゃったもんなあ。
彼がこれまで速い時計を残していなかったのは、そういう馬場でしか走った事がなかったからで。府中で走れば相応に対応できるだけの適応力が備わっていた。勇士は戦場を選ばない、ということだったのかもしれません。
それでもパンパンの良馬場よりも稍重の馬場が良かったのは間違いないでしょうけどね。そういう意味では運も備えてたというべきなのでしょう。文句のつけようのない圧倒的な痺れる強さでした。
安田記念の結果次第では、宝塚記念に参戦すると以前から仰ってたみたいですけれど、これはもう来るでしょう。来るー、きっと来るー!
おいおいおい、中距離戦線の方がホームグラウンドなんだぜ、ロマンチックは。2200はまだ走ったことないとはいえ。この大英雄に勝てる馬が今の日本にいるかい?

ドゥデュースがおるではないか。

おいおい、じゃあ宝塚記念はロマンチックウォリアーVSドゥデュースになるんですかぃ!? そいつはえれえことになりますよ!?
プログノーシスちゃん、あんたもここは自分もいるぞって殴り込んでこないとあかんぜ。香港の復仇という意味ではあんたが一番ロマンチックに悔しい思いしてるんだからさ。

追報:なんかもう既に調教師さんが疲れてるからやめときます、と言ってるみたいで、宝塚記念は回避するみたいですね、残念無念。


さて2着に入ったのは、まさかのナミュール。いや、実績考えたら全然まさかではなく4番人気だったんですけどね。海外転戦から帰厩しての所詮のヴィクトリアマイルでまさかの8着大敗。その時もう全然いつもの体調ではなかったのは明らかで、ナミュールほどの実績がありながら2番人気になっていた時点でみんな強い時のナミュールに戻ってないよねこれ、と見てたんですよね。
そこからたった中2週。元々ヴィクトリアマイルから安田記念の路線は厳しいことこの上なく、あのアーモンドアイですら勝てなかったほど。勝ったの、ウォッカだけなんでしたっけ?
そんな中で多少は復調の様子をみせたものの相変わらず本調子とは程遠い、という評価が飛び交っていたナミュールです。また馬場も緩むとカミソリの切れ味の末脚は活かしづらく、雨が降ったら評価が下がる馬の側でした。
ソウルラッシュとは真逆で、もうマイナス要素ばっかりしかない状況だったんですよね。
にも関わらず、ソウルラッシュを競り落としてハナ差の2着に食らいつく根性を見せてくれたのでした。
これはもう、今の日本のマイル戦線、ナミュールが筆頭として引っ張っていくと見て間違いないでしょう。あれほど体が弱くて脆かった馬が、今や多少体調整わずとも実力で押し切れるだけのタフさと根性を見せつけてくれたわけで。彼女の覚醒、本格化が本物だというのを改めて証明してくれたんじゃないでしょうか、これは。

4着にはガイアフォース。毎度イイところまではきてるんだが、G1となると掲示板までというイメージしか出てこないのがさらに強化されてしまった感がある。一度どっかの重賞もぎ取って勝利の味を思い出させて上げて欲しいな。セントライト記念から随分と勝ち星から遠ざかっているわけだし。
5着にはセリフォス。ちょっと中間集中欠いてたみたいなので、今回はこのあたりが妥当かなあ。川田騎手は相変わらず東京マイルはなんでか全然あかんのですねえ。セリフォスはこの先ちょっと上積みあるか怪しくなってきたかもしれない。
他人気はというと、パラレルヴィジョンが13着と良いところなく。ルメールさん、府中のG1でここまで大負けしたの久々じゃない?
ヴォイッジバブルは17着とブービー。これほんとにちょっと緩むと全然あかんかったのかしら。或いは速い時計に全然ついていけなかったのか。


ともあれ、世界最強の一角であるロマンチックウォリアーがロマンチックウォリアーらしく勝つところを、この東京競馬場で見られた、というのはなんか感無量の思いがありました。
日本の馬たちが負けて悔しいというのはありますけれど、伝説的に強い馬がちゃんとリアルに強いという事を堂々と証明してくれるのを見るのは、感動がありますよ。ええものを見た。