【ブレイド&バスタード ３．金剛石の騎士の帰還】 蝸牛くも／so-bin DREノベルス
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古ぶるしき、鋭き刃。彼女だけの剣。
それは、伝説の帰還。
<あらすじ>
「お前、レーアの娘を探してるんだろ?」
イアルマスたちと冒険を続けながら、かつての知り合い、レーアの少女の死体を探し続けていたララジャ。そんな彼の前に、かつて所属していたクランの連中が現れる。ララジャは彼らの持っている手掛かりを得るため交換条件に応じ《迷宮》に単身で潜り始める。
一方、戦闘で愛用のだんびらを失い新しい得物を探していたガーベイジには、運命的な邂逅が待ち受けていた。
「お前が……そうなのか」
陰謀渦巻く《迷宮》に古の伝説が蘇る、ダークファンタジー第三弾!
宝剣ハースニールってそんなふうに普通に落ちてるの！？
いや、その普通に落ちていた剣を誰もこれまで拾わなかった。それが、転移で飛ばされたガーベイジの元に現れた、という時点でそれは確かに選ばれた、というべきかもしれない。
本作のベースともなっているウィザードリィの世界観について、自分は殆ど知らないのでざっと調べた程度しかわかっていないのだけれど、ハースニールって小説ウィザードリィの【風よ、龍に届いているか】にも重要な武器として登場していたんですね。本作、読んで凄く感動した覚えがあるのですけれど、詳しい内容についてはやっぱり忘れちゃってるなあ。
ただこの小説内でのハースニールの扱い、ベイキ姫が貸与されてあとにガッシュが引き継いで二人が結婚しているのを鑑みると、ガーベイジの出自に関して以前言及されていたのがここに繋がってくるのか、とちと納得した。
ガーベイジ当人は血筋もハースニールの由来も金剛石の騎士の伝説も、なんも知ったこっちゃないって感じなんでしょうけどね。
愛用していた「だんびら」が竜との戦いで折れてしまったあと、どんな名剣を手にしてもしっくり来ずに戦闘でも思ったような戦いが出来なくてずっと不機嫌でしたからね。だんびらが良くて、真っ二つの剣やカシナートの剣でも納得いかない、て単に自分の身長くらいあるでっかい剣がお気に入りだったんじゃないの？ というのが伝わってくるムズがりっぷりでしたからね。ガーベイジの戦い方って小さな身体が大剣の方に振り回されてるような、だからこそ破壊力満点という少女に大剣という組み合わせに相応しい豪快な戦闘方法でしたから、スマートな？カシナートの剣とかではどれほど切れ味よくても、なんか剣を振り回した時の重心の持っていかれ方、そのコントロールが全然うまくいかなくて、もどかしさに地団駄踏んでいる様子がよく伝わっていたので、ハースニールのバカでっかさにこれよこれっ！とばかりに大はしゃぎしているガーベイジの様子は、伝説の宝剣を手に入れたみたいな高揚とは全く異なる子供がお気に入りのオモチャを手に入れたみたいな微笑ましさが感じられて、ただただ良かったねえ、ようやくイイのと巡り会えたねえ、という感覚しかなくて、ほっこりしてしまった。
イアルマスは、あれでなくした記憶にけっこう期待みたいなものを抱いていたんだろうか。自分が何者であるかについて。ハースニールを手に現れたガーベイジを見たときの、いつも余裕を見せていた彼の初めて見るような衝撃を受けた様子と、複雑に入り乱れる感情。ようやく彼の心底を覗き見たような心地でもあり、同時にそれらの感情を飲み込んでそれに左右されず、元のイアルマスに戻ってくれるんだろうな、という信頼を改めて感じるのでした。
アイニッキって、わりとそんなイアルマスに示唆を投げかけてちゃんと方向性を与えているの、聖職者らしいというかシスターらしい事してるんだよなあ。普段、アレな人なんだけど。
ってか、アイニッキの両手ってあれもう回復しないの？ いやでも、あの剣を使った際の効果というか、代償についてはアイニッキ自身もイアルマスも知っていたみたいだし、あれは以前も使ったことがある、ということなんじゃなかったんだろうか。
なんなら、アイニッキあの剣竜退治の時も持ってたら良かったなあ、とやたら使いたそうにしてたんだけれど、どういうことなの？ 使ったら最後二度と手が戻らなくなる、ってならそんな使いたがるの完全にヤバい人じゃない。……まあアイニッキってその類のヤバい人な雰囲気をニコニコと飛ばしまくってたので、そうなんだよ、と言われるとそうなんだ、と納得してしまいそうなんだが。
オルレアの失われた片目も含めて、冒険が終わった後にすぐにちゃんと治療したら治して貰えると思っていたので、そのままというのは結構ショックだった。いやでも、部位復元できるよね？ でないと、アイニッキ完全に今後戦闘離脱になってしまうのだけれど。
僧侶ポジはオルレアが司教として新たに加入したら埋まるよね、と思うかも知れないけれど、そもそもアイニッキいつも前衛だったじゃん！
このままだと、まだ魔術師のはずのベルカちゃんが引き続きなんでか前衛に入ることになっちゃうぞｗ
さて、今回の主役は誰かと言うと間違いなく盗賊のララジャくんであったのでしょう。
彼の本来の目的は、前の奴隷同然に扱われていた悪徳パーティーで同じ立場で仲間であったレーアの少女、そのダンジョンに打ち捨てられているだろう死体を見つけること。
イアルマスに拾われ、彼ととも一緒にダンジョンに潜りはじめることで、自分の自分としての矜持を取り戻し、自信を得て、一端の冒険者として歩みだした少年。向こう気が強くとも、イアルマスの薫陶から耳を背けず、若さと裏腹の冷静さで物事を見る彼は、どちらかというと保護者役のイアルマスの代わりにガーベイジとベルカナンの面倒を見る、リーダーとは違うんだけれど結構世話役みたいなポディションになってきてたんですよね。
しかし、彼は自分の道を見つけて歩みだしながらも、レーアの少女の事は片時も忘れたことがなかったわけです。ベルカがもやっとするくらいには。してたかな？ この子控え目なんでそういう感情見せなかったかもしれないけれど、違う子のことを考えてるララジャの事を気にしてはいましたよね。
んで、前の悪徳パーティーのリーダーに取引を持ちかけられて、レーアの少女の情報と引き換えにソロでのダンジョン探索をするはめになったわけだ。
かつての何もなかった、何者でもなかった頃にたった一人でダンジョンを彷徨っていた頃と違い、ドラゴンスレイヤーのパーティーの一人、というのはおこがましいけれど、一端の冒険者となったララジャにとって、このソロでの探索行というのは彼のセンスと経験を磨き上げる時間にもなったみたいなんですよね。この間、一度も逸らず判断を急がず忍耐を破綻させなかっただけでも、もう彼がどこに出しても恥ずかしくない一流の冒険者と言ってもいいんじゃないでしょうか。彼の我慢強さって大したもんだと思うぞ、これ。
ただ、彼が立派になればなるほど、悔しく思う子もいたってことだ。
ゲルツの気まぐれによって、一足先に死体から復活していたレーアの少女オルレア。しかしそれは、ひたすら虐げられ良いように使い潰される奴隷の境遇が続いていたということ。冒険者と名乗ることなんて出来ない惨めで不甲斐なく哀れな存在として地べたをはいずり続けていた、ということ。
そんな彼女が、同じ境遇であったはずのララジャが一端の冒険者として立派に一人で立ってみるのを見てどう思ったか。しかも、同じパーティーには彼を慕う（！？）女の子が周りを囲んでいて。
誤解もあっただろう。ゲルツによる思考誘導もあっただろう。でも、自分を虐げるゲルツの言うことをそのまま間に受けて騙されるほど、オルレアも愚鈍な子ではない。別にやつの言葉を信じてララジャを見る目を曇らせていたわけじゃないはずだ。
ならば何が彼女をしてララジャに反発を覚えさせたか。
自分は勲章（トロフィー）になりたくない！ 彼女の血を吐くような独白がその一端を物語っていた。
かつて同じ境遇にあり、それ以上に同じ夢を見る仲間であったララジャが、自分を置いてはるか遠くにまで行ってしまった。はたして、自分は惨めに蹲り這いつくばった状態から、助けに来た王子様にありがとうと微笑んで、救われ守られる存在になる。めでたしめでたし、の出汁になる。それを自分で許せるのか、って話だったんですよね。
どれほど哀れな身の上になろうとも、彼女にも冒険者としての矜持があった。ララジャとは仲間であったからこそ、対等で居たかった。彼に対する思いの深さが、逆に反発に繋がったんじゃないでしょうか。
無様でも愚かでもあさましくても、それでも自分は冒険者なのだ、という矜持がただ救われるお姫様な末路を受け付けなかった。本物のお姫様もアレですしねえｗ
ともあれ、そんな彼女に歩み寄り続ける、どれほどキツイ態度とられても裏切られたと思わないララジャの健気さと一途さですよ。
一緒に冒険しようぜ。かつて自分が言われて嬉しかった言葉を、今度は自分が彼女に返す。
いいなあ、男の子。
そんなララジャのソロ探索を、毎回毎回せっせと世話して道具類とか健気に準備して、欠かさずお見送りしていたベルカの健気さと献身ですよ。ちょっとこの娘、甲斐甲斐しすぎないですかね！？
オルレアも、ベルカも、ララジャも、可愛いったらありゃしない。駆け出し冒険者トライアングル、これはもうずっと見てても飽きないですよ。ラブコメか！？ ラブコメかよぉ！？
いや、その普通に落ちていた剣を誰もこれまで拾わなかった。それが、転移で飛ばされたガーベイジの元に現れた、という時点でそれは確かに選ばれた、というべきかもしれない。
本作のベースともなっているウィザードリィの世界観について、自分は殆ど知らないのでざっと調べた程度しかわかっていないのだけれど、ハースニールって小説ウィザードリィの【風よ、龍に届いているか】にも重要な武器として登場していたんですね。本作、読んで凄く感動した覚えがあるのですけれど、詳しい内容についてはやっぱり忘れちゃってるなあ。
ただこの小説内でのハースニールの扱い、ベイキ姫が貸与されてあとにガッシュが引き継いで二人が結婚しているのを鑑みると、ガーベイジの出自に関して以前言及されていたのがここに繋がってくるのか、とちと納得した。
ガーベイジ当人は血筋もハースニールの由来も金剛石の騎士の伝説も、なんも知ったこっちゃないって感じなんでしょうけどね。
愛用していた「だんびら」が竜との戦いで折れてしまったあと、どんな名剣を手にしてもしっくり来ずに戦闘でも思ったような戦いが出来なくてずっと不機嫌でしたからね。だんびらが良くて、真っ二つの剣やカシナートの剣でも納得いかない、て単に自分の身長くらいあるでっかい剣がお気に入りだったんじゃないの？ というのが伝わってくるムズがりっぷりでしたからね。ガーベイジの戦い方って小さな身体が大剣の方に振り回されてるような、だからこそ破壊力満点という少女に大剣という組み合わせに相応しい豪快な戦闘方法でしたから、スマートな？カシナートの剣とかではどれほど切れ味よくても、なんか剣を振り回した時の重心の持っていかれ方、そのコントロールが全然うまくいかなくて、もどかしさに地団駄踏んでいる様子がよく伝わっていたので、ハースニールのバカでっかさにこれよこれっ！とばかりに大はしゃぎしているガーベイジの様子は、伝説の宝剣を手に入れたみたいな高揚とは全く異なる子供がお気に入りのオモチャを手に入れたみたいな微笑ましさが感じられて、ただただ良かったねえ、ようやくイイのと巡り会えたねえ、という感覚しかなくて、ほっこりしてしまった。
イアルマスは、あれでなくした記憶にけっこう期待みたいなものを抱いていたんだろうか。自分が何者であるかについて。ハースニールを手に現れたガーベイジを見たときの、いつも余裕を見せていた彼の初めて見るような衝撃を受けた様子と、複雑に入り乱れる感情。ようやく彼の心底を覗き見たような心地でもあり、同時にそれらの感情を飲み込んでそれに左右されず、元のイアルマスに戻ってくれるんだろうな、という信頼を改めて感じるのでした。
アイニッキって、わりとそんなイアルマスに示唆を投げかけてちゃんと方向性を与えているの、聖職者らしいというかシスターらしい事してるんだよなあ。普段、アレな人なんだけど。
ってか、アイニッキの両手ってあれもう回復しないの？ いやでも、あの剣を使った際の効果というか、代償についてはアイニッキ自身もイアルマスも知っていたみたいだし、あれは以前も使ったことがある、ということなんじゃなかったんだろうか。
なんなら、アイニッキあの剣竜退治の時も持ってたら良かったなあ、とやたら使いたそうにしてたんだけれど、どういうことなの？ 使ったら最後二度と手が戻らなくなる、ってならそんな使いたがるの完全にヤバい人じゃない。……まあアイニッキってその類のヤバい人な雰囲気をニコニコと飛ばしまくってたので、そうなんだよ、と言われるとそうなんだ、と納得してしまいそうなんだが。
オルレアの失われた片目も含めて、冒険が終わった後にすぐにちゃんと治療したら治して貰えると思っていたので、そのままというのは結構ショックだった。いやでも、部位復元できるよね？ でないと、アイニッキ完全に今後戦闘離脱になってしまうのだけれど。
僧侶ポジはオルレアが司教として新たに加入したら埋まるよね、と思うかも知れないけれど、そもそもアイニッキいつも前衛だったじゃん！
このままだと、まだ魔術師のはずのベルカちゃんが引き続きなんでか前衛に入ることになっちゃうぞｗ
さて、今回の主役は誰かと言うと間違いなく盗賊のララジャくんであったのでしょう。
彼の本来の目的は、前の奴隷同然に扱われていた悪徳パーティーで同じ立場で仲間であったレーアの少女、そのダンジョンに打ち捨てられているだろう死体を見つけること。
イアルマスに拾われ、彼ととも一緒にダンジョンに潜りはじめることで、自分の自分としての矜持を取り戻し、自信を得て、一端の冒険者として歩みだした少年。向こう気が強くとも、イアルマスの薫陶から耳を背けず、若さと裏腹の冷静さで物事を見る彼は、どちらかというと保護者役のイアルマスの代わりにガーベイジとベルカナンの面倒を見る、リーダーとは違うんだけれど結構世話役みたいなポディションになってきてたんですよね。
しかし、彼は自分の道を見つけて歩みだしながらも、レーアの少女の事は片時も忘れたことがなかったわけです。ベルカがもやっとするくらいには。してたかな？ この子控え目なんでそういう感情見せなかったかもしれないけれど、違う子のことを考えてるララジャの事を気にしてはいましたよね。
んで、前の悪徳パーティーのリーダーに取引を持ちかけられて、レーアの少女の情報と引き換えにソロでのダンジョン探索をするはめになったわけだ。
かつての何もなかった、何者でもなかった頃にたった一人でダンジョンを彷徨っていた頃と違い、ドラゴンスレイヤーのパーティーの一人、というのはおこがましいけれど、一端の冒険者となったララジャにとって、このソロでの探索行というのは彼のセンスと経験を磨き上げる時間にもなったみたいなんですよね。この間、一度も逸らず判断を急がず忍耐を破綻させなかっただけでも、もう彼がどこに出しても恥ずかしくない一流の冒険者と言ってもいいんじゃないでしょうか。彼の我慢強さって大したもんだと思うぞ、これ。
ただ、彼が立派になればなるほど、悔しく思う子もいたってことだ。
ゲルツの気まぐれによって、一足先に死体から復活していたレーアの少女オルレア。しかしそれは、ひたすら虐げられ良いように使い潰される奴隷の境遇が続いていたということ。冒険者と名乗ることなんて出来ない惨めで不甲斐なく哀れな存在として地べたをはいずり続けていた、ということ。
そんな彼女が、同じ境遇であったはずのララジャが一端の冒険者として立派に一人で立ってみるのを見てどう思ったか。しかも、同じパーティーには彼を慕う（！？）女の子が周りを囲んでいて。
誤解もあっただろう。ゲルツによる思考誘導もあっただろう。でも、自分を虐げるゲルツの言うことをそのまま間に受けて騙されるほど、オルレアも愚鈍な子ではない。別にやつの言葉を信じてララジャを見る目を曇らせていたわけじゃないはずだ。
ならば何が彼女をしてララジャに反発を覚えさせたか。
自分は勲章（トロフィー）になりたくない！ 彼女の血を吐くような独白がその一端を物語っていた。
かつて同じ境遇にあり、それ以上に同じ夢を見る仲間であったララジャが、自分を置いてはるか遠くにまで行ってしまった。はたして、自分は惨めに蹲り這いつくばった状態から、助けに来た王子様にありがとうと微笑んで、救われ守られる存在になる。めでたしめでたし、の出汁になる。それを自分で許せるのか、って話だったんですよね。
どれほど哀れな身の上になろうとも、彼女にも冒険者としての矜持があった。ララジャとは仲間であったからこそ、対等で居たかった。彼に対する思いの深さが、逆に反発に繋がったんじゃないでしょうか。
無様でも愚かでもあさましくても、それでも自分は冒険者なのだ、という矜持がただ救われるお姫様な末路を受け付けなかった。本物のお姫様もアレですしねえｗ
ともあれ、そんな彼女に歩み寄り続ける、どれほどキツイ態度とられても裏切られたと思わないララジャの健気さと一途さですよ。
一緒に冒険しようぜ。かつて自分が言われて嬉しかった言葉を、今度は自分が彼女に返す。
いいなあ、男の子。
そんなララジャのソロ探索を、毎回毎回せっせと世話して道具類とか健気に準備して、欠かさずお見送りしていたベルカの健気さと献身ですよ。ちょっとこの娘、甲斐甲斐しすぎないですかね！？
「負けないからっ！」ベルカに対してオルレアが言い放ったセリフに、もうニヨニヨが止まりませんよ。いやー、もうなんですかこれ、いやいやおやおや。
オルレアも、ベルカも、ララジャも、可愛いったらありゃしない。駆け出し冒険者トライアングル、これはもうずっと見てても飽きないですよ。ラブコメか！？ ラブコメかよぉ！？
Ａｍａｚｏｎ
Ａｍａｚｏｎ
