【まきなさん、遊びましょう １】 田花七夕／daichi HJ文庫
Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス
怪異研究会の部室には美しい怨霊が棲んでいる
「まきなさん、遊びましょう。そう唱えると、愛と正義の美少女怨霊が助けてくれるんだ」
霊障に悩む親友を救うため、三鏡高校怪異研究会の部員となった少年・戸川諒介。そこには『まきなさん』と呼ばれる少女の怨霊の力を借りる呪文が伝わっていた。
怪異研究会に次々と舞い込む奇妙な相談・事件――「棚の隙間からのぞく視線」「吸血鬼による殺人動画」そして「鏡の中から襲い来る怪物」。美しくも妖しき『まきなさん』に気に入られた諒介は、彼女と共に人智を超えた力をもって謎に挑む!!
ゆるいドタバタコメディ風の学園怪異モノかな、と思ってたんだが、これ中々硬派で予想以上に真面目に怪異によって起こったトラブルで苦しんでいる依頼者のために走りまわるお話でした。
学校の怪異研究室で出会った先輩にいざという時に使いなさい、と渡されたカードを使ったらその先輩が怨霊「まきなさん」として登場、颯爽と助けてくれる。という流れをあらすじや口絵なんかから見ていたんで、あれ？魔法少女じゃないけれど、変身モノみたいなやつかな？ 怨霊まきなさんに変身する上級生の先輩とドタバタ怪異を解決していくコメディかな？ と思っちゃったわけですよ。
いやだって、希那子先輩ふつうに生きてる先輩だと思っていたから。
本編読み始めても、とりあえず諒介が怪異研究室に相談にいって希那子先輩に初めて会った時も怪しい様子は全然なくて、真摯に真面目に相談に乗ってくれた、という感じでしたからね。普通じゃなくても普通に在籍している先輩だと思いますよ。
まさか、研究室で昼寝してお菓子食べてる時から普通に幽霊だったとは。しかも、霊感のない余人には見えない。
諒介がそれまで自分に霊感がある、という事すら全然自覚なかったが故の錯綜でもあったわけですけれど。
いきなりはじまった、全国大会に行くようなサッカー部にレギュラーとして在籍する幼馴染の親友（男だ！）からもたらされた、霊障の相談。一人暮らしのアパートの部屋で一ヶ月前から突然現れるようになった幽霊によって苦しむ彼の話を、心からは信じなかったものの彼が本気で苦しんでいる事はわかるので何か原因があるのだろう、と幼馴染・修平とともに彼の部屋に様子を窺いにいったら……見事に遭遇してしまったわけですよ。本物の怪異に。
この幼馴染の修平くんが、男なんだけれど幼馴染なのに男なんだけれどまあイイ奴なんですよ。諒介の方も事情合って両親が長期帰ってきておらず、中学生の妹と二人で家に住んでいるんですけれど、妹ちゃんの世間体を心配して恐ろしく憔悴しきっているのに諒介の家に泊まり込む事は遠慮したり、今回の相談も諒介に心配をかけるつもりはなく、解決を求めたりなんかも別にしていなくて、それでも本当に疲弊しきってこれが本当に霊障なのか一緒に確認して欲しい、というお願いだったわけです。
こういう切羽詰まった状態だからこそ、つい弱音を吐露してしまえるくらい修平にとって諒介って信頼に値する人物であり。
つまり、この主人公の戸川諒介くんも滅茶苦茶イイ奴なんですよね。
実際、本物の怪異霊障を目の当たりした諒介は……この場合、隙間女ってやつだったんですね。そのガチの恐ろしさ、ヤバさに震え上がりながら、これは修平が持たないっと自分でも真剣にこの問題の解決法を探すために走り回るのである。
その後の事件でも、親友である修平相手ほどではないにしても、怪異や霊障によって本気で困り果て、苦しんでいる依頼人たちに親身になって、トラブル解決に奔走する姿は篤実と言って良い彼の性質を垣間見ることになります。
そんな奔走の結果として、諒介は文化棟の中に埋もれていた怪異研究室という場所に行き当たり、そこで希那子先輩という女性と出会って、詳しい今回の霊障の内容とその対処法の相談に乗ってもらうことになったわけだ。
意外なことに、彼女の提示した怪異への対処法の一つには「話し合い」というものがあって、本当に意外なんだけれど、これが以降の事件でも結構重要になってくる。これ、案外馬鹿にしたものではなくて話し合いによって解決する事件もあったりするんですよね。
まきなさんを呼び出して、怪異とバトルしてぶん殴って終わり、みたいな話の展開じゃないんですよ、本作って。
最初の事件、隙間女に関しては話し合いも何もあったもんじゃない問答無用の相手だったんですけれど、その問答無用にも相応の深刻な理由があったものだから、その解決は意外な方向に流れていくのであります。
隙間女の出現の際の鬼気迫るホラーな描写はゾッとするようなもので、これ本格ホラー！？ ダークメルヒェン！？とビビったものですけれど、まきなさんが陽気な上に非常に理知的で聡明な人で場を明るくしつつ勢い任せで無茶苦茶しない、むしろ真実を真っ先に見抜いて事件をソフトランディングさせるためにちゃちゃっと解決案を出したり自ら動いて場を収めたり、とまさに切り札助っ人的な立ち回りをしてくれるものだから、この人が出てきてくれるだけで非常に安心感を得られるのである。
怨霊なのに。ピンチに颯爽と現れる絶対無敵の暴力装置なのに。暴力で解決しようとしないし、恨み言も言わないんだよなあ。
なので、事件一つ一つを見ると扱い方を間違えると惨劇、悲劇に繋がってもおかしくなかったんですけれど、どの案件も血を見ることなく穏やかに解決してるんですよね。もちろん、どれもきれいにスッキリ解決、とは行かないんだけれど。こじれてしまった人間関係をきれいにヨリ戻してめでたしめでたし、なんて行くわけがない。でも、それでも最大限穏当に解決してる、といえるんだよなあ。
そういう話を、ふざけてたりコメディタッチに描いている事でもなく、どれも真剣に事件に向き合い、真面目に解決に向けて奔走するので、なんかこう凄く読み応えあって面白いのですよ。
こういう落ち着いた地に足のついた怪異ものってあんまり覚えのない味わいで、思わず物語に没頭してしまうほど面白かったのでありました。
これ、同じ学校内に収まる話でもなくて、まきなさんって警察とも繋がりがあって、そっち関係の未解決事件なんかは怪異研究室に相談してきたり、なんてケースもあるんですよね。この警部がまた実に立派なオトナであり警察官なんで、変なちょっかいかけてこないのも有り難いですし。
って、振り返ってみるとこのお話、オモテに出てくる人は大概イイ人で出来た人物なんですよね。
でも、世の中良い人ばかりではないのも確かで、怪異トラブルの裏には人間の愚かさや悪意みたいなものがこびりついていたのが原因、みたいなものがありましたし、まきなさん自身も怨霊と呼称しているのは間違いではなく、確かに怨みあってこの世に残っている怪異でもある事を自分で宣っている。その片鱗を見せることは殆どないんですけどね。でも、確かにあることは、何度か見せてくれている。
それどころか、究極の爆弾がすでに主人公の家庭で炸裂していて……むしろこの諒介、なんで闇抱えていないの？ こんな篤実な人間性でいられるの？ というくらいの家庭環境なんですよ。彼の家庭の事情が明らかにされたとき、それはもうなんかゾッとするような人間というものの気味の悪さを感じさせる経緯で、今彼があの明るい妹ちゃんと支え合って二人で生きているのが、なんだか奇跡に思えるくらいなのだ。
果たして諒介は、そして妹ちゃんは歪みを抱えていないんだろうか。彼らの二人の日常風景からは、兄妹らしい仲の良さしか伺えない。自由奔放に甘えてるようで兄任せにならず自分もちゃんと家の事やる妹ちゃんのあの気遣いとか、すごく上手く支え合ってるなあ、というのが伝わってくる姿で、そこに暗黒面とか感じないんだけれど。
怨霊でありながら、世に怨みを撒き散らさず、むしろ世の苦しむ人を救うために怪異によって起こるトラブルを解決しているように見える希那子先輩。
親も世の中も全部怨んで憎んで生きていても不思議ではなさそうなのに、何の恨み言も抱かず怒りも持たず、妹のために日々篤実に生き、誰かのために奔走できる諒介。
こうしてみると、二人にはどこか共通点のようなものもあるような気がするし、そうだとすると希那子先輩の中に絶対に許せないもの、怨念の拠り所がどうやら存在するかのように、諒介の中にもなにかあるのかもしれない、と思えてくる。今のところ、本当に何も見えないのだけれど。
でも、あの両親の血を引いているということは、その性質を引き継いでいるかもしれない、という事でもあるんですよね。妹の明日香は、あの母親と似ているようには見えないけれど……でもそのふわふわとした溌剌っぷりに母の行状を重ねようとすれば見れない事もないわけで……。
諒介に至っては、あの調査報告書を確認していない以上、血の繋がりが不明というのがまた怖いんだよなあ。あの父親と似た魂の形質を持っていたとしたら、あの盲目の献身が諒介の在り方にどんな形で伝わっているのか。諒介のその篤実さすら、何らかの歪みの発露なのかもしれない、と疑念がよぎってしまう。今までの彼の姿に、中身の空虚さなんて一切感じないんですけどね。
どうしたって幽霊である希那子先輩への、あの寂しさを紛らわしてあげるための優しい気遣いとか、諒介の人となりを凄く感じさせてくれるわけですから。
あ、ダメ大学生のダメ人間な唯さんについて一切言及していなかったことを思い出した。このヒトも、関係もないのに修平がヤバいことになっているときに助けようとしてくれたり、その後も諒介の手伝いしてくれたりとホントにイイ人なのはわかるんですけれど、いい人であってもダメ人間なのは両立できるよね、というのが大変よくわかる人でありました。この人、透明人間にして良かったんだろうか。いや、生まれついての能力みたいだから仕方ないし、それで家族関係破綻してるみたいだから、苦労重ねてきた人なんだろうけれど。でも駄目な人だよね、うん。
どうやら、いずれの事件も背後で糸を引いている、というか原因をばらまいて事件の発生を誘発させているような存在がいるようで、それは果たして悪意を持って動いているのか、暗躍しているのか。なかなか先に興味を引っ張る要素もあり、希那子さんが亡くなる事になった事件、どうしてまきなさんの名前が今のように伝わっているのか、色々と気になる点も多いので、これは次の巻が非常に楽しみなシリーズがはじまりましたよ！
学校の怪異研究室で出会った先輩にいざという時に使いなさい、と渡されたカードを使ったらその先輩が怨霊「まきなさん」として登場、颯爽と助けてくれる。という流れをあらすじや口絵なんかから見ていたんで、あれ？魔法少女じゃないけれど、変身モノみたいなやつかな？ 怨霊まきなさんに変身する上級生の先輩とドタバタ怪異を解決していくコメディかな？ と思っちゃったわけですよ。
いやだって、希那子先輩ふつうに生きてる先輩だと思っていたから。
本編読み始めても、とりあえず諒介が怪異研究室に相談にいって希那子先輩に初めて会った時も怪しい様子は全然なくて、真摯に真面目に相談に乗ってくれた、という感じでしたからね。普通じゃなくても普通に在籍している先輩だと思いますよ。
まさか、研究室で昼寝してお菓子食べてる時から普通に幽霊だったとは。しかも、霊感のない余人には見えない。
諒介がそれまで自分に霊感がある、という事すら全然自覚なかったが故の錯綜でもあったわけですけれど。
いきなりはじまった、全国大会に行くようなサッカー部にレギュラーとして在籍する幼馴染の親友（男だ！）からもたらされた、霊障の相談。一人暮らしのアパートの部屋で一ヶ月前から突然現れるようになった幽霊によって苦しむ彼の話を、心からは信じなかったものの彼が本気で苦しんでいる事はわかるので何か原因があるのだろう、と幼馴染・修平とともに彼の部屋に様子を窺いにいったら……見事に遭遇してしまったわけですよ。本物の怪異に。
この幼馴染の修平くんが、男なんだけれど幼馴染なのに男なんだけれどまあイイ奴なんですよ。諒介の方も事情合って両親が長期帰ってきておらず、中学生の妹と二人で家に住んでいるんですけれど、妹ちゃんの世間体を心配して恐ろしく憔悴しきっているのに諒介の家に泊まり込む事は遠慮したり、今回の相談も諒介に心配をかけるつもりはなく、解決を求めたりなんかも別にしていなくて、それでも本当に疲弊しきってこれが本当に霊障なのか一緒に確認して欲しい、というお願いだったわけです。
こういう切羽詰まった状態だからこそ、つい弱音を吐露してしまえるくらい修平にとって諒介って信頼に値する人物であり。
つまり、この主人公の戸川諒介くんも滅茶苦茶イイ奴なんですよね。
実際、本物の怪異霊障を目の当たりした諒介は……この場合、隙間女ってやつだったんですね。そのガチの恐ろしさ、ヤバさに震え上がりながら、これは修平が持たないっと自分でも真剣にこの問題の解決法を探すために走り回るのである。
その後の事件でも、親友である修平相手ほどではないにしても、怪異や霊障によって本気で困り果て、苦しんでいる依頼人たちに親身になって、トラブル解決に奔走する姿は篤実と言って良い彼の性質を垣間見ることになります。
そんな奔走の結果として、諒介は文化棟の中に埋もれていた怪異研究室という場所に行き当たり、そこで希那子先輩という女性と出会って、詳しい今回の霊障の内容とその対処法の相談に乗ってもらうことになったわけだ。
意外なことに、彼女の提示した怪異への対処法の一つには「話し合い」というものがあって、本当に意外なんだけれど、これが以降の事件でも結構重要になってくる。これ、案外馬鹿にしたものではなくて話し合いによって解決する事件もあったりするんですよね。
まきなさんを呼び出して、怪異とバトルしてぶん殴って終わり、みたいな話の展開じゃないんですよ、本作って。
最初の事件、隙間女に関しては話し合いも何もあったもんじゃない問答無用の相手だったんですけれど、その問答無用にも相応の深刻な理由があったものだから、その解決は意外な方向に流れていくのであります。
隙間女の出現の際の鬼気迫るホラーな描写はゾッとするようなもので、これ本格ホラー！？ ダークメルヒェン！？とビビったものですけれど、まきなさんが陽気な上に非常に理知的で聡明な人で場を明るくしつつ勢い任せで無茶苦茶しない、むしろ真実を真っ先に見抜いて事件をソフトランディングさせるためにちゃちゃっと解決案を出したり自ら動いて場を収めたり、とまさに切り札助っ人的な立ち回りをしてくれるものだから、この人が出てきてくれるだけで非常に安心感を得られるのである。
怨霊なのに。ピンチに颯爽と現れる絶対無敵の暴力装置なのに。暴力で解決しようとしないし、恨み言も言わないんだよなあ。
なので、事件一つ一つを見ると扱い方を間違えると惨劇、悲劇に繋がってもおかしくなかったんですけれど、どの案件も血を見ることなく穏やかに解決してるんですよね。もちろん、どれもきれいにスッキリ解決、とは行かないんだけれど。こじれてしまった人間関係をきれいにヨリ戻してめでたしめでたし、なんて行くわけがない。でも、それでも最大限穏当に解決してる、といえるんだよなあ。
そういう話を、ふざけてたりコメディタッチに描いている事でもなく、どれも真剣に事件に向き合い、真面目に解決に向けて奔走するので、なんかこう凄く読み応えあって面白いのですよ。
こういう落ち着いた地に足のついた怪異ものってあんまり覚えのない味わいで、思わず物語に没頭してしまうほど面白かったのでありました。
これ、同じ学校内に収まる話でもなくて、まきなさんって警察とも繋がりがあって、そっち関係の未解決事件なんかは怪異研究室に相談してきたり、なんてケースもあるんですよね。この警部がまた実に立派なオトナであり警察官なんで、変なちょっかいかけてこないのも有り難いですし。
って、振り返ってみるとこのお話、オモテに出てくる人は大概イイ人で出来た人物なんですよね。
でも、世の中良い人ばかりではないのも確かで、怪異トラブルの裏には人間の愚かさや悪意みたいなものがこびりついていたのが原因、みたいなものがありましたし、まきなさん自身も怨霊と呼称しているのは間違いではなく、確かに怨みあってこの世に残っている怪異でもある事を自分で宣っている。その片鱗を見せることは殆どないんですけどね。でも、確かにあることは、何度か見せてくれている。
それどころか、究極の爆弾がすでに主人公の家庭で炸裂していて……むしろこの諒介、なんで闇抱えていないの？ こんな篤実な人間性でいられるの？ というくらいの家庭環境なんですよ。彼の家庭の事情が明らかにされたとき、それはもうなんかゾッとするような人間というものの気味の悪さを感じさせる経緯で、今彼があの明るい妹ちゃんと支え合って二人で生きているのが、なんだか奇跡に思えるくらいなのだ。
果たして諒介は、そして妹ちゃんは歪みを抱えていないんだろうか。彼らの二人の日常風景からは、兄妹らしい仲の良さしか伺えない。自由奔放に甘えてるようで兄任せにならず自分もちゃんと家の事やる妹ちゃんのあの気遣いとか、すごく上手く支え合ってるなあ、というのが伝わってくる姿で、そこに暗黒面とか感じないんだけれど。
怨霊でありながら、世に怨みを撒き散らさず、むしろ世の苦しむ人を救うために怪異によって起こるトラブルを解決しているように見える希那子先輩。
親も世の中も全部怨んで憎んで生きていても不思議ではなさそうなのに、何の恨み言も抱かず怒りも持たず、妹のために日々篤実に生き、誰かのために奔走できる諒介。
こうしてみると、二人にはどこか共通点のようなものもあるような気がするし、そうだとすると希那子先輩の中に絶対に許せないもの、怨念の拠り所がどうやら存在するかのように、諒介の中にもなにかあるのかもしれない、と思えてくる。今のところ、本当に何も見えないのだけれど。
でも、あの両親の血を引いているということは、その性質を引き継いでいるかもしれない、という事でもあるんですよね。妹の明日香は、あの母親と似ているようには見えないけれど……でもそのふわふわとした溌剌っぷりに母の行状を重ねようとすれば見れない事もないわけで……。
諒介に至っては、あの調査報告書を確認していない以上、血の繋がりが不明というのがまた怖いんだよなあ。あの父親と似た魂の形質を持っていたとしたら、あの盲目の献身が諒介の在り方にどんな形で伝わっているのか。諒介のその篤実さすら、何らかの歪みの発露なのかもしれない、と疑念がよぎってしまう。今までの彼の姿に、中身の空虚さなんて一切感じないんですけどね。
どうしたって幽霊である希那子先輩への、あの寂しさを紛らわしてあげるための優しい気遣いとか、諒介の人となりを凄く感じさせてくれるわけですから。
あ、ダメ大学生のダメ人間な唯さんについて一切言及していなかったことを思い出した。このヒトも、関係もないのに修平がヤバいことになっているときに助けようとしてくれたり、その後も諒介の手伝いしてくれたりとホントにイイ人なのはわかるんですけれど、いい人であってもダメ人間なのは両立できるよね、というのが大変よくわかる人でありました。この人、透明人間にして良かったんだろうか。いや、生まれついての能力みたいだから仕方ないし、それで家族関係破綻してるみたいだから、苦労重ねてきた人なんだろうけれど。でも駄目な人だよね、うん。
どうやら、いずれの事件も背後で糸を引いている、というか原因をばらまいて事件の発生を誘発させているような存在がいるようで、それは果たして悪意を持って動いているのか、暗躍しているのか。なかなか先に興味を引っ張る要素もあり、希那子さんが亡くなる事になった事件、どうしてまきなさんの名前が今のように伝わっているのか、色々と気になる点も多いので、これは次の巻が非常に楽しみなシリーズがはじまりましたよ！
Ａｍａｚｏｎ
Ａｍａｚｏｎ
