去年は年末にまとめて1年分しかやれなかったけれど、今年は半年ごとにやるぞー!
と言ってもどうも新作を発掘できていなくて(それよりも早く積んだ本を崩していけってなもんで)、新しい作品ってだいたい今まで読んでる作家さんの新シリーズになっちゃいがちなのです。
あとは歴史ものが多いなあ、やっぱり。好きなので。根っからの仮想戦史好きなのであります。

とりあえず、今回ともう1回その2を書く予定。その2も途中までまとめてあるので近い内に出せるはずです。






これが前回、というか去年の記事ですね。
これ系統の記事をまとめたタグがこちらになります。




「どこにでもいるつまらない女」と言われたので、誰も辿り着けない場所に行く面白い女になってみた 〜最強ポーター令嬢は好き勝手に山で遊ぶ〜 (富士伸太)

貴族令嬢カプレー=クイントゥス、通称オコジョは、山や旅が好きなこと以外はこれといって特徴の無い地味な娘であった。だがあるとき「どこにでもいそうなつまらない女」と婚約者のケヴィンに言われて捨てられてしまう。

そのショックでオコジョは前世のことを思い出した。彼氏に浮気されて婚約が白紙になり、そこから登山に目覚めて様々な山を制覇し、だが崖崩れに巻き込まれて死んだ日本人だった頃の自分を。

そして決意した。「だったら、なってやろうじゃない。誰も辿り着けない場所に行く面白い女に」と。

ただしこの世界の山には危険な魔物が存在しており、屈強な冒険者でなければ攻略できない。だが地球の知識や登山スキルを持ったオコジョにとっては、魔物を避けて登山をするなど簡単なことだった。

オコジョは靴や登山用品、アウトドアファッションを開発したり、山小屋グルメや温泉を楽しみながらマイペースに名山、霊峰、冒険者でさえ撤退するラスボスがいそうな山々を攻略し、世界の人々を驚かせていく。
最近アニメ化もされた【人間不信の冒険者たちが世界を救うようです】や前のこの紹介記事でも取り上げさせてもらって書籍化もされた【バズれ、アリス】の作者さん富士伸太さんの新シリーズですね。ファンタジーの世界でガチの登山を目指すというコンセプトもさることながら、そのための登山用具の開発を巡ってなぜか自分から婚約者を寝取った女を口説き落として登山靴作りの仲間に引き入れ無二の親友となっていき、実質婚約者を寝取った女を婚約者から寝取り返す、という錯綜したことしてるんですよね。また登山に対しても世界観としてある一定のルールみたいなものが規定されていて、ただ登るだけじゃなくそのルールに則った試行錯誤を山ごとにやっていくのがまた面白い。個人的には富士先生の心に来る壮大な風景描写が山から見る景色とまた素晴らしくマッチングしていて好きなんですよねえ。



ザ ライジング ドラゴン 〜ボンクラ大名斎藤龍興の剣豪への道〜 (桶屋惣八)

戦国時代、一色龍興という武将がいた。後世には斉藤龍興の名で知られている。

戦国三悪人の一人にして織田信長の岳父として知られる斎藤道三の孫であり、弟と父が病死したことで期せずして美濃50万石を継ぐことになった。
しかし彼の最も有名な逸話は、「酒色に溺れる龍興を諫めるために竹中半兵衛がたった17人で難攻不落の稲葉山城を乗っ取った」というものである。
そしてその3年後、織田信長は稲葉山城を攻略し龍興は美濃から追われることになった。

ここまでが彼について広く知られる"風説"である。
だが実は、彼は美濃を去った後も戦いを続けていたのだ。

 一向一揆の拠点伊勢長島を巡る長島合戦
 信長の不在時に将軍足利義昭を襲撃した本国時の変
 浅井の裏切りにより信長が窮地に立った金ヶ崎の退き口
 信長が摂津で三好・本願寺と戦っている間に浅井・朝倉が京を目指して攻め上がった志賀の陣
 浅井・朝倉と織田・徳川が激突した姉川の戦い

彼はこれらの名だたる戦いに信長の敵として参戦し続けた。……負けたけど。

そして武田信玄が上洛の兵を挙げた。誰もが信長の敗北を信じ、あの足利義昭さえもが挙兵した。だが突然信玄は死に、武田軍は撤退してしまった。
それを知った時、龍興は信長の持つ天運を確信した。そして信長に抗うしかないかった自分の生まれを呪った。

――大名など馬鹿らしい。そのような立場に縛られず、曾祖父のように一介の武士として生きたかった。

そして彼は刀根坂の地で奮戦の末に討ち死にした。


 ……はずであった。

気付けば彼は若返り、父の葬式に参列していた。桶狭間の戦いの翌年、清洲同盟の前年である。
つまり翌年から織田は後顧の憂い無く攻め寄せてくるのだ。このままではまた同じ事になってしまう。

――信長には勝てない。ならば……

こうして龍興は、(10年ちょっとだけの)未来知識を使って新たな歴史を紡ぎ出すのだった。

「弾正殿、なにとぞ教えを賜りたい」
  龍興は朝倉氏滅亡時に死んだので、松永弾正が三度も謀反を起こした上に自害(爆死)することを知らない
「荒木殿、謀反など止められよ」
  龍興は朝倉氏滅亡時に死んだので、荒木村重が謀反した挙げ句に説得に来た黒田官兵衛を石牢に閉じ込めることを(以下略
「さすが光秀、見事な腕じゃ!」
  龍興は(以下略
【太陽の姫と黄金の魔女】の桶屋惣八さんが新作引っ提げて帰ってきなすったよ。懐かしい、懐かしい。これ斉藤龍興は現代人の転生じゃなくて龍興本人の過去への回帰なのが味噌なのです。
龍興って仮にも戦国大名の当主、しかも美濃という大国の主だった身の上からすると尋常じゃない流浪と戦いの人生を送っているだけに、価値観の激変という意味合いでは当人の歩んだ人生だけで相当に若い頃からすると変わってても不思議ではない、と思わせられるわけで。苦労した分、なんぞファンキーになってる気もしますが、それ故にフットワークが軽く面白いんですよ。



あれ?曹操いなくね? 〜曹操・劉備・孫策 三将不在の三国志?盧植の息子の英雄伝〜 (巽未頼)

三国志に描かれた時代に生まれたのに、いるはずの劉備・曹操・孫策がいなくなった世界。そんな世界に転生したことに気づいた現代人が黄巾の乱の時期に活躍した名士・盧植の子どもとして、三将不在の戦乱の時代を一部知識チートと植物の種だけもらってなんとか生き抜こうと戦い抜く物語です。曹操や劉備がいないから黄巾の乱や董卓の動きを自分が能動的になんとかしないと状況が悪化するので、なんとかしないといけないと必死に頑張る主人公をお楽しみください。

通説以外にも物語に使いやすい説は一部採用しますが、基本演義のエピソードは使いません。人物に関する情報が少なすぎる場合などで一部参考にする程度で、基本は史実ベースになります。
これも【斎藤義龍に生まれ変わったので、織田信長に国譲りして長生きするのを目指します!】の巽未頼さんの新シリーズ。【平民宰相の世界大戦】の方は時代が近い分資料精査が大変らしくなかなか話書くの大変だったみたいで、こちらは三国志の後漢末期ですよ。
劉備の存在が見当たらず、曹操や孫策は名を天下に知らしめる前に早世してしまい歴史を動かす重要な要が幾人か不在のまま歴史が進めばどうなるのか、というのを本来存在しない盧植の息子を主人公として描いていくお話です。歴史の改変されたあとの歴史、というのを懇切丁寧にこうなればああなる、という軸を幾つも精査しながらじっくり描いていくのはお手の物の作者さんなので、このIFの歴史がまた面白いんですねえ。



銀河悪役令嬢伝説〜破滅したツンデレ悪役令嬢に転生して二人の天才と渡り合い、二分された銀河をなるべく平和的に統一しろと無茶ぶりされました〜 (マット岸田)


「目覚めよ!私の中の孫子!トゥキディデス!クラウゼヴィッツ!」
ある日事故であっけなく死んだ歴史と戦略論好きの女子高生、日高かなみは目の前に突然現れた横柄で理不尽な自称女神に命じられ、人類が帝国と連盟の二つの勢力に二分されて銀河規模での終わらない抗争を続ける未来世界を救うために、地位と権力と見た目以外にとりえが無いろくでなしの貴族令嬢ヒルトラウトに転生する事になる。帝国と連盟にそれぞれ現れた圧倒的な才能を誇る二人の用兵家が歴史を動かそうとする中、自分の拙い軍事知識と、悪役令嬢の未来の記憶と、人の能力が数字で見える目と、そして実は異常なほど優秀だったヒルトのイケメン副官の四つを頼りに、果たしてかなみは女神が予言した「真の危機」が来る前に激動の銀河をなるべく平和的に統一する事が出来るのか?
思いっきり銀英伝、銀河英雄伝説を下地にしたような宇宙観世界観なんですけれど、だからこそわかりやすいというか馴染みやすいというかとっつきやすいというか。もちろんストーリー展開は下地のそれとは全然違いますし、キャラクターも全然違います。いや、お前元ネタあの人やろっぽいのは帝国と連盟の輝く一等星となるあの人達も含めているんですけれど、全然人間の根幹となる部分が違ってますし何なら帝国の方は女性ですし、そして二人の間には語ってはいけない因縁みたいなものまであって、主人公のお嬢様完全に部外からの横入りになってる!! それでも本来の誰も救われないあかん結末を回避するため、頑張る悪役令嬢。スペオペとしてなかなかの一品となっております。


処刑大隊は死なせない 〜帝国が崩壊しても俺たちは生き残りたい〜 (漂月)

革命前夜の帝国。処刑部隊に所属する転生者よ、生存への道標を洗い出せ。
勅命による死刑執行を専門とする帝室儀礼大隊のフォンクト中尉(コードネーム「洗濯屋」)は、現代日本からの転生者だった。
「このままだと帝国は崩壊して、嫌われ者の俺たちは全員殺される……」
動乱の時代を生き延びるため、彼は生存ルートを模索し始める。
【人狼への転生、魔王の副官】や【マスケットガールズ! 〜転生参謀と戦列乙女たち〜】の漂月さんの新作です。この方、シリーズだいたいちゃんと完結させてくれるから安心感があるんだよなあ。今度は処刑部隊のくせ者班長って役どころで、これがまた単に戦いに勝つとかじゃない難しい判断を毎度迫られる中で、実にくわせものでくせ者らしい仕事っぷりを見せてくれるのが楽しいです。そして周囲の女性陣がまたいつもにも増して怖いというか病んでるというか。主人公気づいていないっぽいのがまたなんともはや。