3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 京都競馬場2,200メートル(芝・右 外)

やったぜブローザホーン、やったぜ菅原くん!!
すげえな、今年G1を初めて獲る騎手がこんなにたくさん出るなんて。いや、だいたい菅原くんはもっと早く取れてても不思議じゃない騎手だったんですよ。って、今年G1初戴冠した騎手たちはみんなそんな感じのあと少しもうちょっと、の人ばかりだったんで凄く良かったなあ、と思うばかりなんですけどね。
おまけに今年はこの宝塚記念で前半終了ですけれど、全G1全部違う騎手が勝ったそうでこんなん滅多ないでしょう。大概、ルメールと川田が3つ4つ獲ってくのに。

さて、今年の宝塚記念は宝塚記念なのに宝塚市の阪神競馬場ではなく、京都競馬場開催となりました。
阪神競馬場が来年前で改装に入っているため、代替開催になってるんですね。
おかげでいつもよりレース開催が多く、馬場状態もかなり厳しいことになっているところにさらにトドメで雨! しかもざーざーぶりの大雨が土曜日から。
幸いにして不良まではいかなかったものの、重馬場発表とあいなりました。

競馬場ってのは各場で全然特性が違い、同じ2200メートルでも阪神と京都ではまったく条件が異なってきます。例年の宝塚記念のデータは殆ど役に立たないと見るべきでしょう。

今年は出走馬が13頭。香港の英雄ロマンチックウォリアーが宝塚参戦を匂わせていましたけれど、安田記念をゲットしたものの疲労を理由に回避。リバティアイランドは怪我で春は全休、菊花賞馬ドゥレッツァと春天のテーオーロイヤルは剥離骨折、ダービー馬のタスティエーラは見送り。ブレイディヴェーグやスターズオンアースも調整で秋まで出走は見送りとなりました。
それでも、イクイノックスの後を継ぎ現役最強を張るドウデュース。
去年の春天、そして宝塚記念でイクイノックスに迫ったジャスティンパレス。
去年覚醒して以来、心房細動で競走中止になったレース以外全てで3着以内に入るブローザホーン。
4歳世代で古馬になっても気を吐く大阪杯勝馬のベラジオオペラ。
そして復活なるかの皐月賞馬ソールオリエンス。
G2無双のプラダリア。
同じく、無冠の帝王ディープボンド。
去勢手術以来3連勝。G2も連勝してこの舞台にあがってきたシュトルーヴェ。
エアグルーヴの末裔にして大阪杯2着と一気に有力候補の一角にあがってきたローシャムパーク。
重賞勝ちがないものの、エリ女、大阪杯で2着3着とここぞの脚を持つルージュエヴァイユ。

現役メンバーでは実績馬が相応に出揃ったんじゃないでしょうか。
まあ今回はとにかくポイントは雨と京都。この中で露骨に雨が全然ダメ、というメンバーは見当たらなかったのですが……ローシャムパークあたりはダメなんじゃない?と言いたい所だったのですけれど、陣営は行ける行ける!と主張していましたね。このあたりの陣営のコメントってあんまり信じられないというか、参考にならないというか。取捨選択はよほどコメントを発する人の内容の傾向を把握してる人でないと無理なんじゃないかな。
ドウデュースは難しいところで、血統的にはそれほど問題はないとか。あかんかったフランスの重馬場は日本の競馬場の重馬場と質が全然違うから参考外、という意見が大半でまあ問題は少なかろう、という塩梅でした。
ジャスティンパレスは、できんことないけれど晴れた良馬場の方が良いパフォーマンスを出せる馬。でも気難しい馬って馬場悪いとそっちに集中してむしろ落ち着くらしいので、パレスも不得意というほどではないだけに割引材料というほどではなかったかと。

逆に馬場悪いと無類に強さを発揮するのが、ブローザホーンであり、プラダリアであり、ディープボンドあたりだったわけです。特にディープボンドは、上がりがかかりつつ京都の下り坂を利用して勢いをつけられる、という事で今回の宝塚記念は降って湧いたような好条件だったんですよね。
また、今日の京都の馬場はとにかく外、外、外だったのは間違いない模様。土曜から日曜のレースで騎手たちはよほど痛感していたみたいで、各所でそのへんのコメントがレース後に飛び出してました。

ということで、今日の宝塚記念は4コーナーで外に出し、大外から一気に突き抜ける。これが最適のコース選択プランだったわけですね。
これに一番合致していたのが、ブローザホーンだったわけです。何しろ、ブローザホーンてば前走の春天でこれと同じ位置取りコース取りを行って2着までぶっ飛んできたんですからね……いや、あの時はなんで内に入らんでそんなロスばっかりのところを、てなもんだったんですけれど、今回に関してはそれが正解だったわけです。
なんせこのブローザホーン、京都では無類の強さを誇っています。京都大賞典で心房細動を起こして一度競走中止している以外は、日経新春杯で勝ち春天で勝っているように2勝2着1回という成績を残してるんですね。また菅原くんは京都を一番得意にしているジョッキーだ。
去年の10月、京都大賞典で心房細動を起こして躓くまで、びっくりするような覚醒具合ですぐに重賞を勝ちG1の勝ち負けまで出来る馬になるだろう、と思ってたのに秋は全休。悔しい間隔が空いてしまいましたが、年明けの復帰戦日経新春杯でいきなり勝って覚醒の勢い衰えず、というのを見せつけ、阪神大賞典、春天で一線級であることを証明し、そしてここで見事にフロックではない堂々3番人気での宝塚記念勝利を見せつけてくれました。
一段一段、着実に成長と強さを見せつけての勝利でありました。また長距離レースを主に出てたブローザホーンですけれど、むしろ母系のスピード血統を活かして中距離も行ける、というか中距離でこそ本領を発揮できそうなんですよね。今日は重たい馬場でしたけれど、晴れてても関係なくいけますし、これは秋さらにパワーアップしてきそうですよ。

しかしそれにしても今日のレースはみんな外外にまわして、京都では滅多と見たことのない外ラチ沿いに全馬が近づいての直線勝負になりました。あんなん新潟の1000直くらいでしかあんまり見ないよ!
それくらい、内側難しい馬場になってたんでしょうね。
また、ちょうどレースが始まると同時に猛烈な雨が降ってきて、雨中のレースとなりましたし。
改装後の京都競馬場は4コーナーの角度がゆるくなって、以前ほど馬群が広がらずに内に固まったまま直線勝負になることが多くなったのですけれど、今日はほんと珍しい形になりました。
ゆえにこそ、今日は内側に入ってしまった、入らざるを得なかった馬は苦しかった。
また、ペースも中盤じっくり緩んで残り800くらいから一気にペースがあがる重馬場には厳しい展開になりましたから、思いの外前が苦しいレースになったなあ。
今回は明確な逃げ馬不在だったので誰が逃げるかは注目点だったのですが、まさかの13番ルージュエヴァイユが逃げる。えっ、エヴァちゃんあんた追い込みでしょ!?
その切れる脚で好走を続けていた馬だったのですけれど、緩い馬場は苦手だそうですし道悪である以上普段の差しは届かないと見て積極的に前に行ったんでしょうか。結果としていつも通り控えた方が良かったんでしょうけれど。初騎乗の川田があんまり後ろから行きたくないタイプなんで、主導権握りに行ったというのもあるのかもしれません。追い切りがバチクソに素晴らしかったみたいなので調子はほんと良かったと思うんですけれど、前に行ってしまった事で展開が向かず、得意の脚も出せず、重馬場でスムーズに走れず、とマイナス要素が重なってしまった感がありますね。8着、本来ならもっと上に行ける馬だったと思います。

逃げはベラジオオペラが押し出される形で行くんじゃないか、という予想が多かったみたいですけれど、結局ルージュエヴァイユが引っ張りカラテ、プラダリアが続く形。ベラジオオペラはその後に控えることが出来ました。ディープボンドがその後、やや遅れて中団先頭。プボくんとしてはベストポジでしょう(レース後の幸さんのコメントだとここでも後ろすぎたらしい)。復調の気配ありだったソールオリエンスがそのやや外の後ろ。ローシャムパークがさらにもう一段その後ろで……ちょっと後ろ過ぎましたね。本当ならソールの位置のその少し前あたりがローシャム的には最適だったのではないかと。大阪杯でも後ろから途中で押し上げて、という競馬で2着に入っていましたけれど、今日の馬場だとローシャムの適性的にそれをやるとさすがに消耗がキツイ。
逆にブローザホーンは、そこがベストポジションだったんですよね。
問題はドウデュースとジャスティンパレスですよ。ドウデュースは出足がつかずにそのまま最後方。パレスはソールの内側にいたんだけれど、どうも手応えが悪い。1番のシュトルーヴェはさらにその内ラチ沿い。シュトルーヴェはもう1枠1番がとにかくあかんかった。
ローシャムは3・4コーナー中間で早々に押し上げていき、やっぱりこれ早かった気がするなあ。いやタイミング遅くしても届かないだろうし、あの位置取りで前半走ってた時点で余力残らなかっただろう。脚が残っていなくて上がりも遅く5着。
ブローザホーンは下りに差し掛かったところで一気に加速。タイミングもばっちりで直線に入ったところで大外も大外で加速が乗ってバッチリの騎乗でした。
プボくんは下りで思ったよりも加速出来なかったなあ。前には行ってるんだけれど、プボくんからして直線入ったところで先頭近くに立っていたかったが、この時点で横並びで馬場の真ん中外あたり。こっから伸びたのは外も外を走った馬ばかりだったので、プボくんくらいから内側の馬は全然伸びなかった。そして、プボくんよりも外に出せた馬ってそれだけ加速乗ってた馬なんですよね。
ここで強烈に食らいついたのがベラジオオペラ。先行集団側にいたのにきっちり手応え残して4コーナーに入って、グイグイ伸ばしてきたんだからやっぱり相当に強いですよ、ベラジオオペラ。
しかし、ブローザホーンの脚色が明らかに違っていて、大外の外の外をぶっちぎり道悪と思えない軽やかな差し脚で2馬身ちぎって完勝のゴール。
2着はそのまま粘るプラダリアを抑えてベラジオオペラが食いつくか、と思ったらさらにその後方からまさかのソールオリエンスが急追。ゴール前で躱して菊花賞以来久々の馬券圏内2着入線を果たしたのでした。
ソール、ブローザホーンがぐいぐい上がっていったとき、全然反応のないドウデュースと共に置いていかれたんで、あこれあかんは、と目線を切ってたんですけれど、よー追いついてきたなあ。よく見たら残り600くらいでギア入ってブローザホーンの後ろまで食いついてきてましたわ。そのままほぼ同じ勢いで追いすがってきていた模様。あれだけの脚が仕えるなら、復活したと言っても大丈夫でしょう。
弱い弱いと言われた4歳世代ですが、なんとかここで皐月賞馬と大阪杯勝ち馬が2着3着に入って面目を保った、と言えるんじゃないでしょか。
プラダリアはこれだけ良条件揃ったものの4着。先行としては彼らしく最後まで良い所を譲らない根性を見せましたけれど、やっぱりG1だと掲示板までですかねえ。
ドウデュースは結局外に出せずに内に切り込むしかなく、馬場の悪い所を通らざるを得ず反応も鈍く、6着惨敗。調教では最高潮くらいまでいい感じに仕上がってたみたいなんですけれど、それだけ仕上がってても勝てないときがあるんだよねえ。敗因はなんなんでしょう。雨? 初めての京都競馬場? 前走のドバイに引き続きスタートが悪くて望む位置取りを取れなかった、というのも大きそうですし、分析が待たれるところです。
ジャスティンパレスはさらに悪く10着。テンション高いのはずっとルメさんがうまいことなだめてたと思うんですけれど、これはもう馬場でしょうねえ。相当に緩い馬場になってたみたいですし、合わなかったかあ。まあこっちはわりと敗因はっきりしてるだろうし、次回あまり気にしないでいいんじゃないでしょうか。

なにはともあれ、菅原くんG1ジョッキーの仲間入りおめでとうございます。
そしてブローザホーン、名実ともにG1馬。貫目も得ました。現役トップランナーの一角に名乗りをあげて、秋も主役の一頭になりそう。そして、逆襲の4歳世代。
しばらく夏競馬になりますけれど、秋のG1シーズンが楽しみになるレースでありました。