【学芸員・西紋寺唱真の呪術蒐集録 2】 峰守 ひろかず/カズアキ   メディアワークス文庫

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呪いでお困りの方は当館へ、専門家がご対応します。人気の伝奇ミステリ続編

北鎌倉にあるアンティーク博物館。その主任学芸員である西紋寺唱真は、実践的呪術を研究する、呪いの専門家だ。
実習を終えた大学生の宇河琴美と西紋寺のもとに持ち込まれた奇妙な出来事。呪いの絵馬に名前を書かれた人物が祟りに見舞われたというのだ。
調査のすえ二人はある「呪術」に辿り着く。膨大な知識に裏打ちされたそれは、かつて西紋寺が発案し、その危険性から自ら封印したものと酷似していた。さらに呪いの方法を斡旋する謎の「コンサルタント」の存在が浮上し――。

奇奇怪怪なる呪いの世界へ「専門家」がご案内します。北鎌倉の博物館が舞台の、伝奇ミステリ第2巻!




今回も西紋寺さんの求める本物の呪詛や呪術の話には行き合わず、それどころか今回は主に「呪詛や呪術に見せかける詐術」がメインのお話となっていました。
どうやら、そうした呪いに見せかけるための技法めいたものを裏で拡散している怪しげな黒幕がいるらしく、どうも西紋寺さんがそれに心当たりがあるみたいな、拡散しているネタ本のタイトルを知った時の彼の反応が尋常じゃなく驚いた様子だったので。
これは西紋寺さんの行方不明とかになってる学問の師匠筋とか先輩の人とかが絡んでいるのか、それとも彼がこの道にどっぷりとハマる原因となった本物の人関係がうごめいているのか。
などと想像してこれは手強い相手との対決が待っていそうだ、とドキドキして先を読んでいたら……。
待てぃ、そのネタ本の著者って西紋寺さん本人ですかい! あんたが書いたんかい、その呪術に見せかける手法読本みたいなの!?
この人、めちゃくちゃヤバい本書いてるじゃねえか。完全に犯罪指南本である。マニュアル本である。
幸いにして、世に出す前に友人たちのソレダメ、アウト! と止められて、ああ確かにこれはマズいですね、と正気に帰って封印したそうですけれど……指摘されなかったら出してたんかいっ、と西紋寺さん何気にヤバい人だというのが発覚するのでした。
そりゃ、自分で本物の呪いを受けてみたい、それで死ぬなら本望、くらいに思っちゃってるヤバい人ですけれど、呪いが好きすぎて夢中になると倫理観もバグるほどだったのか。
まあそれも友人に叱られて冷静に立ち戻れるほどの、ちゃんと自戒できるほどなので大丈夫ではあるんでしょうけれど。
それでもこれ、若干西紋寺さん自身が自分のことあんまり信用してなさそうな所ありますねえ。だからこそ、外付けの良心回路というか、倫理回路を直感的に正しい方向に向くことが出来る琴美の感性に頼ろうとしはじめているのは、面白いところであります。
最初出会った時は思いっきり邪険にしてたのにね。ほだされるを通り越して、なんか一気に頼りだしたというか。西紋寺さんの友人に卒業したらうちの事務所で働かない?と誘われていたときに、自分が優先、ちょっかい出さないで、と釘差してたの、あれかなりマジだったんでしょうね。
西紋寺さんが琴美にその人へのバイト紹介したくせにw

ともあれ、今回は全般的に呪術に見せかけた相手を陥れたり攻撃したり、という危うい事件を解決していくお話が大半でした。最初の事件はむしろこの呪いに見せかけた手管を使っていた側が被害者だったりして、思わぬ蠱毒使いの登場となって、あの毒の使い方は非常に上手いなあ、と関心させられて面白かったんですけどね。
しかしあそこまで自在に催眠とかできると、下手な呪術よりよっぽど怖いんですけれど。西紋寺さんもオモテに出さずに保管封印していた自分の本が知らぬ間に流出していた、とわかったときあれ相当怖かったはずなのに、冷静になぜ自分が完全に管理しているはずの場所から情報が流出したのか、について考察し、ちゃんと対抗策まで用意しているあたり、こっちも怖いよこの人。
犯人については、最初に登場した時点で変な特徴がついていた時点でだいたい怪しい、とは思いましたけれどね。正体を表すと怪しいどころじゃなかったw 
まだ本物の呪術や怪異については遭遇する様子もないまま、どうやらこの2巻で締めみたいなんでちょっと残念。西紋寺さんが子供の頃に助けて貰ったという「本物」の呪術師の人とか面白そうなネタはまだあっただけに。
しかし、当初のあの口の悪さからすると、西紋寺さんの琴美へのデレっぷりはまだ2巻というのを考えると劇的かもしれない。かなり信頼を寄せている素振りでしたもんねえ。