【僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場 2】 赤城 大空/タジマ 粒子   ガガガ文庫

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強くなるのが恩返し。過保護な修行継続中!

「駆け出しの冒険者が危険度4のモンスターを倒した」
そんなニュースが要塞都市バスクルビアを駆け巡り、クロスとジゼルを注目の的としていた。
ジゼルとの仲もどことなく改善できたクロスは、パーティに加わり新しいクエストに。
だが、その話題に目を付けた貴族の子女、カトレア・リッチモンドが、歪な思惑をクロスたち孤児院の面々に向けていることを2人はまだ知らない。

一方、世界に9人しか存在しないと言われるS級冒険者の師匠たちの、過保護で過激な修行は次の段階へ。
クロスに魔法を覚えさせ、本物の魔法剣士の育成をはじめようとしていた。
そんなことをしながらも、一緒に闘技場に観戦にいったり、夜のお店で不思議な雰囲気を味わったり、たまには洗濯のお手伝いをしてみたり、クロスの日常は師匠たちによってどんどん充実したものに。

そしてしばらく、準備の整ったカトレアたちが、クロスたちの前に立ちはだかる。
新たな試練。
だがクロスには最強の師匠たちと培った、確かな力。
そして、ようやく得る事のできた、仲間との絆が今はある!

レベル0のまま駆け上がる、ヒロイックファンタジー第二弾!
女師匠たちのお婿さん育成計画は順調です!

あかん、このお師匠様たち人類最強かもしれないけれど、恋愛に関しては雑魚だ。
少なくとも上から目線で、婿候補を育成する、とか言ってるのが恥ずかしいくらい男慣れしてなくて、ちょっとしたクロスくんの仕草や言葉に挙動不審になって動転して内心ドギマギして頭真っ白っぽくなっている時点でどうよ?ってなもんである。
別にクロスくん、甘い言葉を囁いたりとか女心を擽るような振る舞いをしてるわけじゃなくて、普通に師匠たちに対して感謝と敬愛を示しているだけなのにね。それでデレデレしてる一方で自分たちに女性としての興味を持ってもらおう、というのが大体ベタベタとひっつくスキンシップばかりというのが大概アレですし、自分のキュンキュンしている気持ちを制御できずにオロオロしているだけだからなあ。
なんかダメっぽいなあw
そりゃわからなくもないんですよ。クロスくん、きゃわいいですしね。彼の純真さというのは同性でも思わずドキドキしてしまくらいのキラメキがありますし。普通にニコニコしているだけで可愛い。
思いの外、師匠としてはちゃんと指導が行き届いてるんですよね。自分たちが異様に強いものだから、力任せの強引にクロスくんを引っ張り回して無理やり強化していく大変な修行を課すのかと思ったら、三人ともそれなりにロジックを組み立ててクロスくんに肉体的にも精神的にも無理がないように、それでいて最強師匠ならではの他では真似できないような強化プランを実施していて、これは確かにクロスくんの特異なスキルがなかったとしても伸びるだろうなあ、という内容でした。
ちゃんと師匠として優秀なんだよなあ。三人ともそれぞれに抜け駆けは狙っているものの、一巻でも触れたようにわりと三人の間で調整して修行のプラン立ててますし。思ってたよりもずっと理性的だ。
どんな酷い想像をしていたのかは言うまでもありますまい。だって、タイトルからして揉めて修羅場とか言ってるんですからねえ。

ところがどっこい。本格的に揉めかねない険悪な空気が流れても、クロスくんが間に入ってちゃんと収めてるんですよ。収拾して場を和ませて、気を立てていた師匠たちもクロスくんに毒気を抜かれたみたいに落ち着いて、冷静に話し合えるようになる。
あれ? なんかもう既にクロスくん、師匠たちを尻に敷き始めてません? 当人、全然無自覚みたいですし、師匠たちが自分を奪い合っているという状況自体気づいていないみたいですけれど。
あの瞬間、間違いなく場を支配してリードしていたのはクロスくんなんだよなあ。ちょっとこの主人公、侮れないところがあるぞ。

一方で、やっぱり同世代のジセルや勇者ちゃんであるエリシアとはいい雰囲気。同じ年頃故の気安さというか立場の対等さが、甘酸っぱさを醸し出してるんですよね。
ジゼルの方はまだツンを拗らせていて、クロスにうまく本音をぶつけられずにひねた態度取っちゃってますけれど、お世話好きでクロスの事も何だかんだと面倒見て自分のチームに引き入れたり、とクロスからは好感抱かれていますし、何よりまだまだ若いジゼルの素直じゃ無さは初々しさがあって実によろしい。
そしてエリシアの方はというと、なんか順調着実にカフェデートを重ねていて、こっちもわりと友達とか居なさそうだったエリシアにとって、話がはずんでいっしょにいると楽しくて仕方がない無二の友達、みたいな所にどんどん重さが増してってるようなきらいもある。何しろ最初からして、いつだって助ける側の自分が命がけで助けられた、超格好いい姿を見せられた、って所から始まってますからね。
そしてクロスくんの方もエリシアには憧れていて、彼女とのデートのために一生懸命お金貯めているくらいですから、お互いに仄かにドキドキしながら楽しい時間を過ごす仲になっている。
……あれもうこれ、特別いい雰囲気になってません?

さても、今回はジゼルが懸念していたとおり、無職であるクロスに敗北したことによって舐められ潰される最優先ターゲットにあてられてしまったジゼルたちが、傲慢で夜郎自大な貴族令嬢とその取り巻きたちが理不尽にジゼルたちを搾取しようと狙ってくる話。典型的なパターン入りましたけれど、実にヘイトが溜まりやすい悪役令嬢っぷりでありましたね、カトレア嬢は。まさに噛ませ犬の鏡のような微妙に実力はあるけれど卑怯で自己肥大したメンタルは超小物という磨き抜かれたスタンダード。
わりとクロス抜きでもジゼルに初っ端からチームごとぶっ飛ばされて、涙目で焦っている様子は見事でありました。
今回は予想外のモンスターとか強敵が登場するような回ではありませんでしたけれど、クロスの順調な成長と彼の存在が及ぼす学内の影響が目に見えて大きくなってくる、ステップアップの回でありましたね。
カトレアのチームに完勝したことで単に無能の雑魚、と見られる事はなくなったでしょうけれど、それがもたらす混乱がさてどう波及してくるか。