【オーク英雄物語 ６ 忖度列伝】 理不尽な孫の手／朝凪 富士見ファンタジア文庫
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オークの英雄はデーモンの国でドラゴンと相対する――
デーモンの国に辿り着いたバッシュはデーモン族の長シーケンスと交渉し、ドラゴンが住む巣へと向かうことに。生き残りのデーモン女を妻にするため、『オーク英雄』と『ドラゴン』伝説となる戦いが幕を開ける……。
これ、最初に表紙絵見てあらすじ読んだ時に、ああ今回はドラゴンが相手なのね、と思ったんですよね。
……ヒロインとして。
いや、表紙でバッシュに抱きかかえられている女の子、普通にドラゴン娘だと思ったんだよなあ。第一印象、意識せずに直感でそう感じてそう思ったわけですよ。
ところが、カラー口絵ではこの娘、デーモンの女って紹介されてるじゃないですか。あれ？そうなの？ でも、他の口絵で描かれているデーモンの女性となんか違うくない？ 肌の色とか？ てかなんで名前表記されてないの？
とは思ったんだけれど、でもちゃんとデーモンの女と紹介されているし、さらに違う口絵で傷ついて助けてと訴えかけているイラストを見て、ああ確かにこれは説明文通りドラゴン討伐に失敗してひどい目にあったんだなあ。デーモン娘なんだろうなあ、なるほどなるほど。
と、素直に納得したわけですよ。私、素直なので。わりと騙されやすい方だと自負しています！
なので、今度のヒロインはデーモンデーモン♪と素直に受け入れてルンルンと読んでたわけですよ。
……やっぱりドラゴンじゃねえかぁ！！！
ずるいよ、デーモンの女って書いてたじゃん！ 騙したんじゃないかーーっ！
悔しい、自分のピュアさが悔しいっ。
というわけで、わざわざ隔離されているデーモンの国に嫁さがしに訪れて、なぜかドラゴン討伐に突撃してドラゴンと結婚の約束をするオークヒーローの物語である。
ついにようやくちゃんとプロポーズしてちゃんとOKもらえたのに、相手ドラゴンかよ！！
しかし、バッシュってば先の大戦でドラゴンを倒したみたいな話はしてたけど……してたっけ？ 地上に落とされていたとはいえ、ガチで真正面からぶち殺したんだな、ドラゴン。
そりゃ、オーク種族を見下しているような他種族からも、畏敬の念を持って扱われるわ。
さらに言うと、大戦後デーモン族が逼塞させられた土地には、この巻で登場するドラゴンが巣食ったために、度々ドラゴンに襲われることになったデーモン族は辛うじて先の魔王が建てた砦に立てこもることで生存していて、幾度か送り込んだ討伐隊も全滅の憂き目にあってしまったわけだ。
ドラゴンという存在の脅威、恐怖を魂まで刻まれたのが、今のデーモン族なのである。そこには、かつて自分たち以外の種族を睥睨し見下していた尊大にして傲慢な彼らの姿は見るべくもなく……。
サキュバスとはまた違う形で、彼らもまた種族としての在り方を変える岐路に立っていたんですね。それでも、見苦しく自分たちこそが頂点の存在であるデーモンなのだ、という矜持にしがみついていたデーモン族の前に現れたのが、自分たちを破滅させようとしているドラゴンを殺した男。オークヒーロー・バッシュだったわけだ。
バッシュはデーモンの領域に入るや、即座にドラゴンによって壊滅した討伐隊の生き残りを、ドラゴンの目をかいくぐって救出して連れ帰り、さらにデーモン族の窮状を知るや颯爽と自らドラゴンの討伐に向かったのである（デーモン族側視点）。
こんなん、デーモンでも惚れるやろう。
バッシュからしたら、まだいるかも知れない討伐隊の生き残りに女が居たら、それを嫁にしてもいい、という族長の言質を取ったので、じゃあ行ってきます、とばかりにひょいひょい向かっただけで……いや、そんな理由でひょいひょいとドラゴンの根城まで妖精一匹連れて突入して、コソコソ捜索どころかいきなり巣穴にドラゴンブレスを真っ向から突き抜けて飛び込んで戦い出す、というかなり訳わからないことしている時点で規格外も良いところなのですが。
ボコられて涙目で逃げ出すドラゴンちゃん、かわゆ。
結局、バッシュの方はこの身を隠すために人間に化けたドラゴン娘をデーモンと勘違いして、色々と話し込んでプロポーズまでしてしまうわけですが、何気に今までで一番バッシュの拙い話術をキャッキャと楽しんで（無表情）、その武勇伝に目を輝かせ（無感情）聞いてくれた、というのを考えると、今まで出てきたヒロインの中では一番バッシュと話が合った、会話が弾んだ娘だったんじゃないだろうか。
問題が在るとすれば、バッシュの方がまったくドラゴン娘の反応を読み取れていなくて、自分の話が全くウケていないと思いこんでしまったところでしょうけれど。
いやあ、マジで今までで一番手応えのある、というか真っ当にプロポーズ届いたケースだったのに、最後まで意思の疎通がうまいこといかなかったのは非常に残念。ドラゴン娘もあそこで元に戻らなかったら、会話も噛み合ってた可能性なくはなかったんじゃあなかろうか。
ただそれだけじゃなくて、ドラゴン娘ちゃん、なんでよりにもよって巣作りの場所にオークの国を選んじゃったの！？ いや、場所はバッシュの実家の近くだから良いとして、なんで卵生むための栄養をつけるためにバクバクとオーク摘んで食べちゃってるの！？ それバッシュと同族だから！！ 食べちゃだめな種族だから！ バッシュの英雄譚を聞くことで、人の理を何も知らなかったドラゴン娘が名誉という概念を知ったことで、彼女もまた単体だけれどもドラゴン種族としての在り方をバッシュによって変えられた一人となる、と思ったし確かになったんだろうけれど、でもやっぱりオークパクパクしてたら一緒だよね！？
これ、オーク的にはどうなんだろう。人間だと人を襲って喰うようなドラゴンを嫁にする、となると大揉めに揉めそうだけれど、オーク的にはむしろ強さの象徴として有りになるのかな？
さて、それとはまた別、バッシュとは預かり知らぬところでなんでかバッシュの正妻ヅラして動き出したデーモン族のアスモナディア。この女、バッシュがデーモンの領に入ったときにドラゴンに殺されかけて虫の息だった討伐隊の生き残りだった娘ですけれど、大やけど負ってたし意識もなかったからバッシュとは面識ないんですよね。そして、バッシュはドラゴン戦のあとデーモンの砦に立ち寄ることなくそのまま去ってしまったので、彼女の存在自体知らない。
知らない内に嫁どころか正妻が出来てしまっている罠。そしてそのアスモナディアは自領にとどまらずに、バッシュの旅を遡るようにして彼が立ち寄った他種族の街を周り、バッシュが育んで収穫しそこねて置いてきてしまっている各種族の嫁候補たちと連絡を取り、さらにはオーガ種族のバッシュの弟子となったルドとその妹のルカまで連れて旅することになる。それは、バッシュハーレム構築の旅！
って、なんか勝手にえらいことし出してるんですけど！？
結局、バッシュが最後の押しをしないまま旅立ったしまったせいで、想い募らせつつも動きようがなく停滞してしまっていたヒロインたちの状況を、一人でひっくり返し引っ掻き回しはじめたわけですからね。再びバッシュと会う、遭遇するまで他のヒロインたちの動きはサンダーソニア以外は早々ない、と思ってたらそれどころじゃなくなったんだけど！？
このアスモナディア、死にかけたからか知らないけれどデーモン族としてはルドやルカへの接し方を見ても、下心あるとはいえ非常に柔らかいというか、そんな傲慢で下郎相手の存在な扱いじゃなくて、ちゃんと上下関係あるとはいえ家族候補として扱っているのを見る限りでは、まじで正室としての資質もありそうなんだよなあ。
あとがき読んだら、最初名前もないポッと出の急遽出すことにした娘だった、と書いててひっくり返りましたよ。なんでそんなキャラが物語の土台ごと揺り動かすような役回りになってんの！？
こういうところ、作者の筆捌きを感じますよねえ。面白い！
バッシュの嫁探しの旅も種族一巡りして原点ともいうべきニンゲンの街に戻ってくるみたいですし、魔王復活のために暗躍している連中も本格的に動き出しているみたいだし、先がどうなるかわからない分楽しみも深いです。
……ヒロインとして。
いや、表紙でバッシュに抱きかかえられている女の子、普通にドラゴン娘だと思ったんだよなあ。第一印象、意識せずに直感でそう感じてそう思ったわけですよ。
ところが、カラー口絵ではこの娘、デーモンの女って紹介されてるじゃないですか。あれ？そうなの？ でも、他の口絵で描かれているデーモンの女性となんか違うくない？ 肌の色とか？ てかなんで名前表記されてないの？
とは思ったんだけれど、でもちゃんとデーモンの女と紹介されているし、さらに違う口絵で傷ついて助けてと訴えかけているイラストを見て、ああ確かにこれは説明文通りドラゴン討伐に失敗してひどい目にあったんだなあ。デーモン娘なんだろうなあ、なるほどなるほど。
と、素直に納得したわけですよ。私、素直なので。わりと騙されやすい方だと自負しています！
なので、今度のヒロインはデーモンデーモン♪と素直に受け入れてルンルンと読んでたわけですよ。
……やっぱりドラゴンじゃねえかぁ！！！
ずるいよ、デーモンの女って書いてたじゃん！ 騙したんじゃないかーーっ！
悔しい、自分のピュアさが悔しいっ。
というわけで、わざわざ隔離されているデーモンの国に嫁さがしに訪れて、なぜかドラゴン討伐に突撃してドラゴンと結婚の約束をするオークヒーローの物語である。
ついにようやくちゃんとプロポーズしてちゃんとOKもらえたのに、相手ドラゴンかよ！！
しかし、バッシュってば先の大戦でドラゴンを倒したみたいな話はしてたけど……してたっけ？ 地上に落とされていたとはいえ、ガチで真正面からぶち殺したんだな、ドラゴン。
そりゃ、オーク種族を見下しているような他種族からも、畏敬の念を持って扱われるわ。
さらに言うと、大戦後デーモン族が逼塞させられた土地には、この巻で登場するドラゴンが巣食ったために、度々ドラゴンに襲われることになったデーモン族は辛うじて先の魔王が建てた砦に立てこもることで生存していて、幾度か送り込んだ討伐隊も全滅の憂き目にあってしまったわけだ。
ドラゴンという存在の脅威、恐怖を魂まで刻まれたのが、今のデーモン族なのである。そこには、かつて自分たち以外の種族を睥睨し見下していた尊大にして傲慢な彼らの姿は見るべくもなく……。
サキュバスとはまた違う形で、彼らもまた種族としての在り方を変える岐路に立っていたんですね。それでも、見苦しく自分たちこそが頂点の存在であるデーモンなのだ、という矜持にしがみついていたデーモン族の前に現れたのが、自分たちを破滅させようとしているドラゴンを殺した男。オークヒーロー・バッシュだったわけだ。
バッシュはデーモンの領域に入るや、即座にドラゴンによって壊滅した討伐隊の生き残りを、ドラゴンの目をかいくぐって救出して連れ帰り、さらにデーモン族の窮状を知るや颯爽と自らドラゴンの討伐に向かったのである（デーモン族側視点）。
こんなん、デーモンでも惚れるやろう。
バッシュからしたら、まだいるかも知れない討伐隊の生き残りに女が居たら、それを嫁にしてもいい、という族長の言質を取ったので、じゃあ行ってきます、とばかりにひょいひょい向かっただけで……いや、そんな理由でひょいひょいとドラゴンの根城まで妖精一匹連れて突入して、コソコソ捜索どころかいきなり巣穴にドラゴンブレスを真っ向から突き抜けて飛び込んで戦い出す、というかなり訳わからないことしている時点で規格外も良いところなのですが。
ボコられて涙目で逃げ出すドラゴンちゃん、かわゆ。
結局、バッシュの方はこの身を隠すために人間に化けたドラゴン娘をデーモンと勘違いして、色々と話し込んでプロポーズまでしてしまうわけですが、何気に今までで一番バッシュの拙い話術をキャッキャと楽しんで（無表情）、その武勇伝に目を輝かせ（無感情）聞いてくれた、というのを考えると、今まで出てきたヒロインの中では一番バッシュと話が合った、会話が弾んだ娘だったんじゃないだろうか。
問題が在るとすれば、バッシュの方がまったくドラゴン娘の反応を読み取れていなくて、自分の話が全くウケていないと思いこんでしまったところでしょうけれど。
いやあ、マジで今までで一番手応えのある、というか真っ当にプロポーズ届いたケースだったのに、最後まで意思の疎通がうまいこといかなかったのは非常に残念。ドラゴン娘もあそこで元に戻らなかったら、会話も噛み合ってた可能性なくはなかったんじゃあなかろうか。
ただそれだけじゃなくて、ドラゴン娘ちゃん、なんでよりにもよって巣作りの場所にオークの国を選んじゃったの！？ いや、場所はバッシュの実家の近くだから良いとして、なんで卵生むための栄養をつけるためにバクバクとオーク摘んで食べちゃってるの！？ それバッシュと同族だから！！ 食べちゃだめな種族だから！ バッシュの英雄譚を聞くことで、人の理を何も知らなかったドラゴン娘が名誉という概念を知ったことで、彼女もまた単体だけれどもドラゴン種族としての在り方をバッシュによって変えられた一人となる、と思ったし確かになったんだろうけれど、でもやっぱりオークパクパクしてたら一緒だよね！？
これ、オーク的にはどうなんだろう。人間だと人を襲って喰うようなドラゴンを嫁にする、となると大揉めに揉めそうだけれど、オーク的にはむしろ強さの象徴として有りになるのかな？
さて、それとはまた別、バッシュとは預かり知らぬところでなんでかバッシュの正妻ヅラして動き出したデーモン族のアスモナディア。この女、バッシュがデーモンの領に入ったときにドラゴンに殺されかけて虫の息だった討伐隊の生き残りだった娘ですけれど、大やけど負ってたし意識もなかったからバッシュとは面識ないんですよね。そして、バッシュはドラゴン戦のあとデーモンの砦に立ち寄ることなくそのまま去ってしまったので、彼女の存在自体知らない。
知らない内に嫁どころか正妻が出来てしまっている罠。そしてそのアスモナディアは自領にとどまらずに、バッシュの旅を遡るようにして彼が立ち寄った他種族の街を周り、バッシュが育んで収穫しそこねて置いてきてしまっている各種族の嫁候補たちと連絡を取り、さらにはオーガ種族のバッシュの弟子となったルドとその妹のルカまで連れて旅することになる。それは、バッシュハーレム構築の旅！
って、なんか勝手にえらいことし出してるんですけど！？
結局、バッシュが最後の押しをしないまま旅立ったしまったせいで、想い募らせつつも動きようがなく停滞してしまっていたヒロインたちの状況を、一人でひっくり返し引っ掻き回しはじめたわけですからね。再びバッシュと会う、遭遇するまで他のヒロインたちの動きはサンダーソニア以外は早々ない、と思ってたらそれどころじゃなくなったんだけど！？
このアスモナディア、死にかけたからか知らないけれどデーモン族としてはルドやルカへの接し方を見ても、下心あるとはいえ非常に柔らかいというか、そんな傲慢で下郎相手の存在な扱いじゃなくて、ちゃんと上下関係あるとはいえ家族候補として扱っているのを見る限りでは、まじで正室としての資質もありそうなんだよなあ。
あとがき読んだら、最初名前もないポッと出の急遽出すことにした娘だった、と書いててひっくり返りましたよ。なんでそんなキャラが物語の土台ごと揺り動かすような役回りになってんの！？
こういうところ、作者の筆捌きを感じますよねえ。面白い！
バッシュの嫁探しの旅も種族一巡りして原点ともいうべきニンゲンの街に戻ってくるみたいですし、魔王復活のために暗躍している連中も本格的に動き出しているみたいだし、先がどうなるかわからない分楽しみも深いです。
Ａｍａｚｏｎ
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