
【図書館の天才少女 ~本好きの新人官吏は膨大な知識で国を救います!~】 蒼井 美紗/緋原ヨウ カドカワBOOKS
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王宮の本を読むため官吏になったのに、国の頭脳として頼られています!?
本が大好きで、ひたすら本を読みふけり、ついに街中の本を全て読み尽くしてしまったマルティナは、まだ見ぬ王宮図書館の本を求めて官吏を目指すことに。読んだ本の内容を一言一句忘れない記憶力を持つ彼女は、高難易度の試験を平民としては数年ぶりに、しかも満点で突破するのだった。
そして政務部に配属されたマルティナは、特殊な記憶力を存分に発揮して周囲を驚かせていくが、そんな時、魔物の不自然な発生に遭遇し……!?
書き下ろし【番外編 政務部の同期会】も収録!
この主人公のマルティナは完全記憶能力の持ち主である。
って、昨今ではこの完全記憶能力持ちって珍しいってほどではないんですよね。ちょくちょく見かける能力ではあるんだけれど、その能力が物語の主題になるというケースは今まで殆ど見たことはないですね。
登場人物のなかのひとりの特技、或いは大きな武器、くらいの要素が大体なんじゃないかな。
でも、本作ではまさにこのマルティナの完全記憶能力こそが、この物語の主体となって大きい流れを生みだして、そこに推進力を与えていくのです。
マルティナ自身、ビブリオマニアともいうべき書痴であり、平民が通える図書館の蔵書をすべて読みきってしまうほど。後々のエピソードを見る限り、本に限定されず数字主体の資料でもかぶりつくように読んでいるので、とにかく情報を取得すること自体に悦楽を感じるタイプの情報フェチなんじゃないだろうか。
一度記憶したらそれでお終いではなく、同じ本を何度も繰り返し読んでいる、という話もしているので、とかく本好きというのは間違いないのでしょう。小説や童話などの物語系の本も好んでいるみたいですしね。
というわけで、この時代における最大の情報媒体である本や資料を片っ端から読んで、脳内に保持している彼女は、超越的なデータベースと化している。望めば、どの本のどのページに該当する記述があるか、あっという間に教えてくれるんで、曖昧で適当な検索結果しか出してこないそのへんのAIよりよっぽど有能である。
いや、彼女が本当に有能なのは、彼女って完全記憶能力をパッシブ、受動的にしか使えない、ただ請えばデータを出してくれるだけの存在じゃない、という所なのでしょう。
このコ、自分の完全記憶能力を素晴らしく能動的に扱えるんですよね。具体的に言うと、問われたことだけを思い出して答えるのではなく、自分の中にあるデータをぴったり一致しなくても、ファジーで曖昧な内容であろうと膨大な情報を比較検証、検討して正誤真贋や該当する情報、必要と思われる周辺情報を引っこ抜いてこれる、ってことなんですよね。場合によっては、それらの情報を分析することによってまったく新しい結論も導き出せる。
突如魔物の発生源として現れた黒い物体の正体を、幾つかの史料から伝承、おとぎ話などの小さな記述から比較検証して、あっという間に仮説を立てて、そこから実物の検証から対策案の確立までやっていく流れは圧巻ですらありました。
膨大な情報から求める答えをあっという間に引き出してきてくれるというだけでも有能なのに、その持ち得る膨大な情報を主体的に活用、運用してクリエイティブ……創造まで持っていけるわけです。
なにこの、超未来型AIみたいな娘。
でも、恐るべきはこのちょっと理解するのも難しかろう特異な能力を持つ平民の新人官吏を、十全能力を震える形で活用してしまえるこの国の柔軟性なんですけどね。
元々、貴族社会で王族と貴族で国家を運営していた国のはずなんですけれど、昨今平民に対しても官吏登用試験を開放して、官僚の仕事に関しては役職が優先されて身分の上下は問われない、という方針を明確に掲げているんですよ、この国。それどころか、女性の官吏も試験さえ通ればどんどん採用しているのです。マルティナの新人同期には、貴族出身だけれどナディアという女性も居て、同じ女同士すぐに仲良くなるのですけれど、決して女性官吏自体はそこまで珍しいものではないようなんですよね。
平民の官吏はさすがに下々まで教育を受ける環境が整っていないのか、試験突破して採用される数が極めて限定されているみたいなんですけれど。
勿論、旧来の社会体制に固執する層、貴族の既得権益にしがみついて、身分の低いものを見下す人もいるようなのですけれど、全体の雰囲気としてむしろそういう女性や平民の登用に関して官庁の人間たちが歓迎している様子なのが見て取れるんですよねえ。
これに限らず、大きな問題が起こった時には各所の専門家を集めてきて意見を聞いたり、縦割り行政なにそれおいしいの?というくらい、柔軟に各所から人員集めてきてタスクフォースまがいの対策チーム作って大きな指揮権与えたり、とめちゃくちゃ柔軟なんですよねえ。
闇属性の魔法使いに対しての偏見など、決して偏見がない世界とかではないんですけれど、様々な場面でこの国ってそうした旧弊を打破していこう、古くて自由を阻害する偏見や固定観念を変えていこう、という進歩的な意欲が感じられるんだよなあ。それも個々の有能な個人が裁量を振るって、というんじゃなくて、国のトップから重臣から末端の役人に至るまで大まかにそういう意識が浸透している、みたいな感じで国家という組織として、そういう空気感を形成してる感じがあるんですよ。
いやあ、過去にこの国になにがあったんだ? でっかい戦争があって既存の社会体制がぐらついているとか、革命みたいな出来事でもあったのか、と思ってしまうほどなんか自発的な改革の波が押し寄せてる感じなんだよなあ。普通、何もなくて全体がこんな心機一転な空気感にならないですよ。
ともあれそういう、つまらない所にこだわらない柔軟性が、マルティナという扱い方によって如何様にも出力が上下するだろう逸材が、フルに能力を揮える環境が整えられていくさまは、なかなか凄いものがありました。
とはいえ、いきなり門外漢のマルティナが軍の編成に口を出したり、いきなり新人で部下を持ったことのない、人に対して指示をしたこともないだろうマルティナをリーダーにしたり、とそこらへんはさすがに無茶だったんじゃない?と思うところも散見されたんですけどね。
ただ、とにかく直属の上司のロランさんがマルティナの扱いが上手い人であった上に、他の人達もとにかく物わかりが良くて、マルティナが動きやすい環境を作る努力をしてくれて、フォローもサポートもしっかりやってくれる、まあこっちもこっちで有能な人たちばかりだったので、マルティナもうまく動けたんでしょうけれど。
いやでも、ほんと新人の平民の娘に対策チームのリーダーというのは、責任重大すぎてちょい可哀想ですよ。ちゃんと王族の貫目があるソフィアンさまが外務担当しつつ押さえ効かせてくれてましたけれど、そこはソフィアン様がトップでよかったんじゃないだろうか、流石にw
まあともあれ、魔物が湧き出す黒い物体がいきなり現れ、最初のそれは何とかマルティナの献策に基づいて立てた方法で終息できたものの、他の地にもどんどんと同じものが現れはじめ、その対応に各部署がてんてこ舞いになりながらも一致団結して動き出し……っと、なんだかプロジェクトX的な勢いが感じられるお話になってて、面白かったです。
って、昨今ではこの完全記憶能力持ちって珍しいってほどではないんですよね。ちょくちょく見かける能力ではあるんだけれど、その能力が物語の主題になるというケースは今まで殆ど見たことはないですね。
登場人物のなかのひとりの特技、或いは大きな武器、くらいの要素が大体なんじゃないかな。
でも、本作ではまさにこのマルティナの完全記憶能力こそが、この物語の主体となって大きい流れを生みだして、そこに推進力を与えていくのです。
マルティナ自身、ビブリオマニアともいうべき書痴であり、平民が通える図書館の蔵書をすべて読みきってしまうほど。後々のエピソードを見る限り、本に限定されず数字主体の資料でもかぶりつくように読んでいるので、とにかく情報を取得すること自体に悦楽を感じるタイプの情報フェチなんじゃないだろうか。
一度記憶したらそれでお終いではなく、同じ本を何度も繰り返し読んでいる、という話もしているので、とかく本好きというのは間違いないのでしょう。小説や童話などの物語系の本も好んでいるみたいですしね。
というわけで、この時代における最大の情報媒体である本や資料を片っ端から読んで、脳内に保持している彼女は、超越的なデータベースと化している。望めば、どの本のどのページに該当する記述があるか、あっという間に教えてくれるんで、曖昧で適当な検索結果しか出してこないそのへんのAIよりよっぽど有能である。
いや、彼女が本当に有能なのは、彼女って完全記憶能力をパッシブ、受動的にしか使えない、ただ請えばデータを出してくれるだけの存在じゃない、という所なのでしょう。
このコ、自分の完全記憶能力を素晴らしく能動的に扱えるんですよね。具体的に言うと、問われたことだけを思い出して答えるのではなく、自分の中にあるデータをぴったり一致しなくても、ファジーで曖昧な内容であろうと膨大な情報を比較検証、検討して正誤真贋や該当する情報、必要と思われる周辺情報を引っこ抜いてこれる、ってことなんですよね。場合によっては、それらの情報を分析することによってまったく新しい結論も導き出せる。
突如魔物の発生源として現れた黒い物体の正体を、幾つかの史料から伝承、おとぎ話などの小さな記述から比較検証して、あっという間に仮説を立てて、そこから実物の検証から対策案の確立までやっていく流れは圧巻ですらありました。
膨大な情報から求める答えをあっという間に引き出してきてくれるというだけでも有能なのに、その持ち得る膨大な情報を主体的に活用、運用してクリエイティブ……創造まで持っていけるわけです。
なにこの、超未来型AIみたいな娘。
でも、恐るべきはこのちょっと理解するのも難しかろう特異な能力を持つ平民の新人官吏を、十全能力を震える形で活用してしまえるこの国の柔軟性なんですけどね。
元々、貴族社会で王族と貴族で国家を運営していた国のはずなんですけれど、昨今平民に対しても官吏登用試験を開放して、官僚の仕事に関しては役職が優先されて身分の上下は問われない、という方針を明確に掲げているんですよ、この国。それどころか、女性の官吏も試験さえ通ればどんどん採用しているのです。マルティナの新人同期には、貴族出身だけれどナディアという女性も居て、同じ女同士すぐに仲良くなるのですけれど、決して女性官吏自体はそこまで珍しいものではないようなんですよね。
平民の官吏はさすがに下々まで教育を受ける環境が整っていないのか、試験突破して採用される数が極めて限定されているみたいなんですけれど。
勿論、旧来の社会体制に固執する層、貴族の既得権益にしがみついて、身分の低いものを見下す人もいるようなのですけれど、全体の雰囲気としてむしろそういう女性や平民の登用に関して官庁の人間たちが歓迎している様子なのが見て取れるんですよねえ。
これに限らず、大きな問題が起こった時には各所の専門家を集めてきて意見を聞いたり、縦割り行政なにそれおいしいの?というくらい、柔軟に各所から人員集めてきてタスクフォースまがいの対策チーム作って大きな指揮権与えたり、とめちゃくちゃ柔軟なんですよねえ。
闇属性の魔法使いに対しての偏見など、決して偏見がない世界とかではないんですけれど、様々な場面でこの国ってそうした旧弊を打破していこう、古くて自由を阻害する偏見や固定観念を変えていこう、という進歩的な意欲が感じられるんだよなあ。それも個々の有能な個人が裁量を振るって、というんじゃなくて、国のトップから重臣から末端の役人に至るまで大まかにそういう意識が浸透している、みたいな感じで国家という組織として、そういう空気感を形成してる感じがあるんですよ。
いやあ、過去にこの国になにがあったんだ? でっかい戦争があって既存の社会体制がぐらついているとか、革命みたいな出来事でもあったのか、と思ってしまうほどなんか自発的な改革の波が押し寄せてる感じなんだよなあ。普通、何もなくて全体がこんな心機一転な空気感にならないですよ。
ともあれそういう、つまらない所にこだわらない柔軟性が、マルティナという扱い方によって如何様にも出力が上下するだろう逸材が、フルに能力を揮える環境が整えられていくさまは、なかなか凄いものがありました。
とはいえ、いきなり門外漢のマルティナが軍の編成に口を出したり、いきなり新人で部下を持ったことのない、人に対して指示をしたこともないだろうマルティナをリーダーにしたり、とそこらへんはさすがに無茶だったんじゃない?と思うところも散見されたんですけどね。
ただ、とにかく直属の上司のロランさんがマルティナの扱いが上手い人であった上に、他の人達もとにかく物わかりが良くて、マルティナが動きやすい環境を作る努力をしてくれて、フォローもサポートもしっかりやってくれる、まあこっちもこっちで有能な人たちばかりだったので、マルティナもうまく動けたんでしょうけれど。
いやでも、ほんと新人の平民の娘に対策チームのリーダーというのは、責任重大すぎてちょい可哀想ですよ。ちゃんと王族の貫目があるソフィアンさまが外務担当しつつ押さえ効かせてくれてましたけれど、そこはソフィアン様がトップでよかったんじゃないだろうか、流石にw
まあともあれ、魔物が湧き出す黒い物体がいきなり現れ、最初のそれは何とかマルティナの献策に基づいて立てた方法で終息できたものの、他の地にもどんどんと同じものが現れはじめ、その対応に各部署がてんてこ舞いになりながらも一致団結して動き出し……っと、なんだかプロジェクトX的な勢いが感じられるお話になってて、面白かったです。










































































































































































































































































































































































































































































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