【学校一の美少女と親友同士の恋愛相談に乗っていたら、いつのまにか彼女が誰よりも近い存在になってた件】 鉄人じゅす／たん旦 ダッシュエックス文庫
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高校生の小暮涼真は、幼馴染で親友の平沢獅子から恋愛相談を受ける。
モテモテなのに恋愛事には無関心だった獅子の唐突な告白に涼真は驚くのだが、
好きな相手がクラスメイトの大人しい女子である大月雫だと知り、その手助けをすることに…!
親友のために雫の情報を探っていた涼真だったが、突然学校一の美少女である朝比奈アリサに呼び出されてしまう。
雫の親友である彼女は、涼真が雫のことを好きだと勘違いしていて…!?
アリサの勘違いで涼真は奔走! そして次第に近づく涼真とアリサ、親友同士の恋の先に待つ自分たちの結末は――。
親友同士の恋の応援から始まる青春ラブコメ!
この子ら、自分の幼馴染好きすぎだろ！？
これ、四人とも自分の幼馴染（同性）のこと、メチャクチャ好きなんですよね。作中でも、もし相手が女の子だったら、男の子だったら結婚してる！ と明言しているくらいですし。
これ、もしレオが雫に、アリサが涼真に出会わなかったら、一生幼馴染同士で結婚も誰とも付き合わずにイチャイチャしてたんじゃないだろうか。
雫はアリサの兄の静流に懸想してたみたいだけれど、これはみちならぬ恋だったみたいだし、どういう要因で「アリサの兄」に恋していたのか。ちょっと穿っちゃうんですよね。
レオもアリサも学校では超人気者。誰からも好かれ、コミュニケーション能力も抜群。それぞれ得意分野では突出した力量を示して、とにかく目立ち人目を引く。場を明るくさせる雰囲気の持ち主だ。
でも、レオもアリサもこれ私生活では生活能力ゼロに近いダメ人間なんですよ。しかもこれ、相当の依存体質でもあり、一度頼るともう全身全霊脱力して寄りかかっちゃうタイプ。つまり重い、ひたすら重い。自分が重いと気づいていない、なんもかんも自分の全部を預けちゃうタイプですわ。
これ、普通の人はとてもじゃないけど耐えられないでしょ。誰かに支えてもらわないと、まともに行きていけないタイプ。しっかり甲斐甲斐しく支えてもらっているからこそ、外ではビシッと決めることが出来るタイプなんですよね。レオもアリサも両方とも。
幸いにして、ふたりとも自分が重いとは理解していなくても、自分にとって涼真が雫がなくてはならない絶対に必要な存在だとは理解しているし、それを最上級にありがたく思っていて感謝していてリスペクトもしている。無二の大切な存在として、多分ほかとは一線を引いてるくらいなんじゃないだろうか。
そして、涼真も雫も、どれだけ幼馴染に寄りかかられても全く負担に感じないタイプなんですよね。これは幼少期から慣らされたというか馴致されたというか、むしろ自分から自己改造していったというべきか。負担にも不満にも思わずに、むしろやり甲斐を感じ世話することが楽しくて嬉しくて、人生の生きがいみたいになっている。もう比翼の鳥というべきコンビなんですよね。
何より、もう感情としてこの四人、自分の幼馴染が大好きでたまらんのですわ。
まあそういう事もあってか、彼らにとって自分の好みのタイプって、自分の幼馴染なんですよ。これ、誰かがTSしたら元同性だという躊躇は一切なく、襲うでしょうね。
まあそういう子たちなもんですから、自分の大好きな幼馴染とほぼ全く同じベクトルの性格を持っている異性に出会う、というのは運命に等しいわけですよ。
もちろん、それは同性である幼馴染の身代わりではなく、ちゃんとその人個人と向き合って好意を爆発させてしまっているので、代償行為ではないのでご安心を。でも、好みが針の穴を通すくらい精密にどストライクだった影響は間違いなくあるでしょう。
ともあれ、一見してそこまで自分の幼馴染と同じベクトルの人間って傍から見てもわかんないじゃないですか。アリサも雫も、そして涼真も実際に身近に接するようになってようやく気づいたことを、いち早くちゃんと喋ったこともない状態から気づいてずっと注視して、雫のことを好きになったレオくんはさすが涼真自慢の幼馴染なだけあると思いますよ。
いの一番に動き出したのも彼でしたしね。
それはそれとして、なんとか雫とお話できるようにセッティングしてほしい、と涼真に丸投げで頼んちゃうあたりが、実にダメなんですけどね、レオくん。いや、自分が無神経で空気読めない強引な所があって自分が動いて雫に近づこうとしても怖がらせるだけで絶対に上手くいかない。でも涼真に頼んだら全部うまいことやってくれる、と自分への正確な評価と涼真への絶大な信頼が故なんでねえ。
それを十全理解している涼真も、むしろ喜んでーとレオのためにやる気満々で近づくんで、この幼馴染たちは……と、苦笑を浮かべざるを得ないわけです。
んで、雫に近づこうとすると当然セットのアリサが出張ってくるわけで……。このアリサさんがまたレオと全く同じベクトルの子なもんだから、お互いに噛み合う噛み合う、尋常じゃなく噛み合ってしまって、初対面に近いのになんか幼馴染みたいに息ぴったり、というかアリサのダメっぷりの露呈とそれに対する涼真のフォローやお世話がフィットしまくるものだから、普段異性に対して壁作っている涼真もアリサも、お互い引き寄せられるようにしてズブズブにプライベートに踏み込んでいってしまうのである。
お世話され慣れているのと、お世話し慣れている二人が出会ってしまったら、まあ甲斐甲斐しくしちゃうし甲斐甲斐しくされちゃいますねえｗ
アリサの、底なし沼にハマってしまったような、涼真への怒涛の墜とされっぷりにはむしろ感服させられました。堕とされた、というよりも完全に自分からズブズブハマってしまってたんですけどね。だめ、これもうだめ〜〜、しゅき〜〜、てなもんである。
それに関してはレオと雫の方もまあ似たようなもので。最初はレオを怖がっていた雫ですけれど、一度ちゃんと話して人となりを知ってしまったら、あとは二人して転げ落ちるようにお世話し放題、お世話され放題のイチャイチャ関係ですよ。
まあ内向的な雫と控えめな涼真が、この二人同士になるとお互いマウント取り合って近親憎悪なのかやたら仲悪くなるのは笑ってしまいましたけれど。自分の方がもっと丁寧に深くお世話できるんだからっ、といういがみ合い、嫉妬の張り合いは微妙に醜いｗ
最初はお互い気に入らなくて肩肘張り合っていたアリサとレオの方が、あとになるとそれなりに普通に認め合う関係になってたのに。涼真と雫のいがみ合いに関しては、お世話される側なのであまり口出しできず大人しくしている二人であるｗ
いやあ、でもここまで見事にレオと雫が付き合いだしてうまくいったんだから、アリサと涼真の方ももうやべえくらい親密になってて、アリサなんかもう溺れて息できてないんじゃないか、というくらい涼真の事好きになってしまっているのに、最後告白するのかと思ったらこの娘……親友という名目に日和やがったｗ
そこでヘタれるか、この娘。いやもうあんた絶対に好きじゃん！！
これに関しては最初から最後まで逃げずに前向きに雫とお付き合いしたい、と積極的で有り続けたレオの方が偉いですわ。同じタイプにも関わらず、レオの方が勇気ある獅子でありました。
ただ、涼真の方がなんか異性と付き合うことに関してトラウマがあるっぽいので、ここで告白していた場合ちょっと地雷を踏む形になっていたかもしれないので、アリサ神回避、かもしれないんですよね。
これに関してはアリサ、なにか感じ取っていたんだろうか。涼真が異性に拒絶感を持っていることは彼はアリサには何も言ってないし、伝えてはいないんだけれど、もう幼馴染レベルでフィットしてしまったが故にアリサ、なにか感じ取って踏み切れなかった、という事もあるかもしれないですね。
でも、ここで涼真とレオのもう一人の幼馴染（異性）がエントリーなんだよなあ。さて、話がどう転んで誰がどう地雷を踏むのか、まだまだおもしろくなってきそうぞ。
