【異世界のすみっこで快適ものづくり生活 3 ~女神さまのくれた工房はちょっとやりすぎ性能だった~】  長田 信織/東上文 電撃の新文芸

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ものづくりで生活を豊かにしていく異世界スローライフ、第三弾!

神器〈クラフトギア〉で、魔境で快適生活を送るソウジロウ。今回はちょっと複雑な釣り用リール作りに挑戦したり、久々にソロキャンで羽を伸ばしたり。さらには、ミスティアの旧友のダークエルフさんがやってくる!?


拠点の設備が充実してきて、一緒に暮らす住人も増えてきて、そこで暮らすことが快適な日常になってくると……確かに当初あったサバイバル感というか、人里離れた所で自然のなかでキャンプしてるなー、という感覚は薄れてきますよね。
ソウジロウって、便利で快適な環境を求めていたわけじゃなくて、セカセカさせられない人気のない場所でのんびりとモノづくりしながらキャンプして過ごしたい、という願いがあったわけですから、いっとき立派なログハウスなどの設備があるログハウスから離れて、なにもない所で一人でキャンプして過ごしたい、という思いに駆られるのは自然のことなのか。
ハマる人はハマる、自作の釣り竿づくりなんかしちゃったりして。
あれは竿の製作とか年単位でやるみたいだけれど、ソウジロウの場合はまずリール作りからやっちゃうあたりに、彼のモノづくりの興味の範疇がどのあたりにあるか、というのが見えてきます。
日常で使い込む刃物なんか、結局街の商人の奥さんだったドワーフの練達の職人さんに任せちゃいましたからね。別にプロの職人と張り合って素晴らしい逸品を量産したい、彼らの仕事に割って入ろうという考えは端からないわけだ。あくまで身の回りの手作りを、神様からもらった神器でガンガン作っちゃうぞ、みたいな感じなのね。
でも、釣具のリール作るために、極小のベアリングまで手作りで作っちゃうのはちょっとドン引きレベルで凄すぎるよ。ベアリングって手作りでできるの?
サンプル、ブラウンフォルスの街で懇意にしている商人のドラロさんたちに預けちゃったけれど、同じもの作れるんだろうか。まあ概念さえ分かればなんとかなるか。
かくのごとく、ソウジロウって職人というには自分の欲しいもの使いたいものを自由に作っているだけだし、かといって森の主なんて言われているけれど、森の中の一角を切り開いて拠点を作っただけで別に森の中を支配しているわけでもない。たとえ、この神樹の森が並の人間では立ち入る事の出来ない危険地帯だとしても。
だから、別に国を作ってるわけでもないから王様ってわけでも全然ないんですよね。村というほど、拠点も大きいものでもない。住人は増えたけれど、ぽつんと一軒家なのは相変わらずですし。近くに鬼たちが集落作ったから、余計に村と名乗る感じではなくなりましたしね。
かといって、鬼の集落と一緒に引っ括めるには物凄く良いご近所付き合いしているけれど、別々の拠点であることは間違いないし。
ソウジロウが有名になる、というかブラウンフォルスの街も含めて大きな影響を与えるようになったことで、じゃあソウジロウってどういう人なの? というのを一言で表す肩書きを求められる、というのは自然な流れだったのかもしれない。
そのうえで、じゃあソウジロウの肩書きって一番何が相応しいの? 何が似合っているの? と問われると、当の本人含めてなんだろねー? と首を傾げるくらいには定まっていないのが面白く自由である。
とはいえ、拠点の名称くらいはつけておかないと、なにかと不便、という事で肩書きの件も含めてソウジロウ頭を悩ますことに。
そんなこんなしているうちに、イルェリーというダークエルフの錬金術師がミスティアを尋ねてくる。わりとどっかの国でも偉いポディションだったみたいで……チグサも、外では有名な魔術師だったんだよなあ、あれでも。あれでも。訪れる人、知り合った人みんな、なんでこいつがここにいるの?とギョッとするの、どんだけ外で名前轟かせてたんだよって感じですよね。悪名混じってそうなんですが。
あと、いい加減もう成人してるくらいの年齢なのに、未だに女子高生感だそうとするなw
ミスティアと知り合い、というより友達? ハイエルフとダークエルフだとまた価値観とか違うみたいで、20年ぶりという再会の時間間隔でもお互いなんか微妙な違いがあるようで、仲がいいのか変に緊張感が混じっているのか、妙な距離感でつつき合っている間に、刺激されてか若干ミスティアの方からソウジロウを意識するような素振りがあるような無いような。でも、完全にエルフサイドからはソウジロウってミスティアのお相手と見做されてるっぽいなあ、これ。あっけらかんとして何も気にしていないようで、わりとミスティアも満更ではないようですし。ヒロインしてるじゃないですか。
チグサの方はもうヒロインというよりもソウジロウとミスティアのペットくらいの扱いでいいんじゃなかろうか。ミスティアも可愛がってるしw

ソウジロウたちの影響もあって、ブラウンフォルスの街も活性化していて、若い世代がどんどん新しい事にチャレンジしていく風潮になっていってるんですねえ。
創意工夫で身近なところから新たなモノづくりを、という観点がどんどん広がっていっている。いいねえ。

さても、最後にソウジロウが決めた拠点の名前は、◯◯村とかなどの風情のないものと違って、キャンプ好きらしいソウジロウらしい命名で、なんかこれはしっくり来た。よく人里離れた森とか山のなかでキャンプ施設とか野外休憩場とかである名前だ。
あ、いいなあ、と瞬発で思える名前でありました。となると、ソウジロウの肩書きってそこの長って感じかしら。