
【サイレント・ウィッチ VIII 沈黙の魔女の隠しごと】 依空 まつり/藤実 なんな カドカワBOOKS
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父の死の理由、第二王子の過去。真相に辿り着いた魔女が下す決断とは……?
公爵邸への潜入で輪郭を表した、第二王子に関する仮説。その答え合わせのため帝国の魔術師と対峙し、重大な交渉を行ったモニカは、父の本当の処刑理由をついに突き止める。
亡き父の冤罪を晴らせるかもしれない。そのチャンスを前に動揺を隠せないモニカ。一方の第二王子は、古代魔導具の一件で孤立した宝玉の魔術師に、取引を持ちかけて……?
終局へと向かう第八幕。第二王子を護衛せよーーその極秘任務が破綻する時、全ての命運は沈黙の魔女に託される。
ふおおおおおおおおお!! うわああ、ひゃああ、やった。やった、来たやった!
いやあ、いいですわ。凄いですわ。感動ですわ、ビリビリですわ。
ついに、沈黙の魔女モニカ・エヴァレットがその正体を皆に明かすシーンが。到来。
これまでずっと親しい人たちにもその本当の姿を隠していた主人公が、皆にその正体を明かすというシーン。特に皆が知らない正体のほうが、伝説的な活躍をしているヒーローだったり、国中の人が憧れ英雄視しているような人物だったりした場合なんか、尚更にこの正体を明かすシーンって盛り上がるわけですよ。もう作品そのものの一番のクライマックスシーン、そこが一番肝要で、そここそが一番描きたかったシーンになるんじゃないか、ってくらいにカタルシスが得られるシーンになるわけです。
それだけ期待値もあがる。あがるだけに、実のところ中々その期待したところまで実際に盛り上がるかどうか、というと意外とあれ? こんなもんか? とテンション上がりきらずに中途半端な気分で終わってしまう作品って珍しくないんですよね。
悪くないよ?悪くはないけれど、まあ普通。普通に良かった。普通に面白かった。普通に盛り上がったね♪ ……じゃあ、物足らないじゃないですかぁ! ここのシーンにたどり着くまでにどれほど貯めて貯めて溜め込んでたと思ってるんですかぁ! と、肩透かしになってしまう作品って案外あるんですよ。
むしろ、期待値を上げすぎてしまってごめんなさい、という所なのかもしれませんけれど。
それだけ、こういう展開って難易度そのものが高い、と言えるのではないでしょうか。まさに王道ではあるんだけれど、教科書通りにテンプレートを敷くだけじゃあそれなりにしかならないんですよ。
だからこそ、だからこそ、これがキマった時にはもうテンションが爆上がりになってしまう。ちょっと訳わからないくらい盛り上がって興奮してワハーーーー!!ってなってしまう。
ヤベえ代物なんですわ。
そういう意味では、モニカが関係者皆を集めたところでその正体を明かすシーンは。バレるんじゃなくて、あのモニカが自分から皆に告白するシーンは。
ワハーーーー!! だったよ!!
ふおおおおおおおおお!!でひょーーーー!!で背筋がブルっと来て、ひゃーーーー!でしたよ!!
……語彙w
Web版は読んでなかったんですけれど、書籍版ではさらに描き方が濃くなっているらしく、沈黙の魔女としての正装であるローブをまとって、あの綺麗な星のような身の丈を超える杖を携えて、皆に協力を希うモニカ・エヴァレット。
これ、イザベル・ノートンがモニカに付き従って後ろに控えているの、地味に大きいと思うんですよね。
モニカ独りだけだったら、このシーンって例え正装してたとしても、それまでのモニカの印象からそこまで風格みたいなものが出ないんじゃないかと心配になるんだけれど、モニカを立てるようにして大貴族の娘でありモニカをイビってイジメているという評判のイザベルが、従者の如く粛々とモニカの背後に控えている。それがモニカがモニカ・ノートンではない……本物の七賢人の一人なのだという事実を突きつけるような、地味ながらクリティカルな威力を発してるように感じたんですよね。
イザベルって、ほんとどんなシチュエーションでもどんな場合でも、見事なくらいその役割を果たしきっていて、毎度毎度出るたんびにMVPですわ、この娘。十全モニカを助け続けている。凄い娘だ。
この巻では、これまでずっと謎であったものが、真実が、事実が一気に詳らかになっていった。
モニカの父がどうして、クロックフォード公爵によって目をつけられ、冤罪で処刑される羽目になったのか。
第二王子フェリクスをあれだけ慈しんでいたアイザックが、どうして唯々諾々とフェリクスに成り代わったまま公爵に従っていたのか。
特に重要に思われたその2点が、ここで一気に螺旋のように絡み合って浮かび上がってきたんですね。
フェリクスの正体がアイクだと、あの時名乗ったアイクという名前こそが本当だったのだと悟ったモニカが、そしてようやく父の死の真相にたどり着いたモニカが。アイクに、自分の父の名前を告げて、その名を忘れないで、囁いたときにいったいどんな想いを渦巻かせていたんだろう。
モニカ本人にも言い表せない、この切なくも狂おしい衝動。恨み辛み、或いは憎しみ或いは怒り、そう言った激しい負の感情を纏いきれない、でも切なく哀しく、自分のこの遣る瀬無い気持ちを、貴方にはどうか知っていてほしい、というこの祈り。
モニカは呪いだと独白していたけれど、それは果たして祈りのように思えたのだ。
モニカがアイクの本当の願いを知るのは、もう少し後のことになるのだけれど。モニカもアイクも、目的を果たすためならば何も顧みないという、非人間的な器物めいた冷徹さを垣間見せるときが時折ありました。アイクの場合は、その異様な冷たさが果たしてモニカに見せていた年相応の無邪気さと余りにもかけ離れていて、果たしてどちらが本当の彼なのか。彼に不気味さ、底知れ無さを感じさせる要因になっていたのですけれど。
こうして真実が明らかになったあとに二人の様子を振り返ってみると、彼ら二人は知らず知らず似た者同士であったのではないでしょうか。でも、モニカはモニカ・ノートンとして、ただ数学が得意の引っ込み思案な学生としてこの学校で得た多くの親しい、大切な人達と出会うことで、人間になってしまった。
そしてアイクもまた、一度捨て去ったはずの人間としての情を、いやアイザックという少年の心を、モニカとの交流のなかで取り戻してしまった。
モニカはもう、自分の願いのために今の大切な人達を犠牲にはできなくなって。アレクは、自分の願いのためにモニカの大切な人を、彼女の人生を犠牲にしてしまった事実に、もう完璧なフェリクスでは居られなくなってしまった。
今のモニカには、父の遺産だけじゃない、たくさんの宝物がある。この学校で出会った友達たちからもらった、かけがえのないものを、大切に大切に宝物として持っている。それはみんな、沈黙の魔女ではないただのモニカに送ってくれた、気持ちの象徴、想いの形だ。
それらがモニカを強くした。それらがモニカを人にした。それらが、モニカを成長させてくれたのだ。
だから、本物のフェリクスからアイクへの想いが籠もった王子の日記帳を手にしたとき、モニカの願いは決意に変わる。
彼女が戦う意志を決めたのは、復讐でも父の名誉を回復させるためでもない。友達に、届いていない想いを届けるため。
そして、彼女は独りで戦うのではなく、シリルに教えてもらったように、助けてくれる多くの人達一人一人に頼って、戦うすべを整えていく。
その必死さが、かつてのモニカには有り得なかった自ら選び動き、追い求める姿が……なんかもうたまらなくなってくるのだ。
その末での、あのクライマックスシーンですからね。そりゃあ、もうたまらなくなっていた気持ちが噴火してしまいますよ。吹き上がっちゃうよ。
あの最後のシーンにまで駆け上っていくまでの道程が、この一巻丸々かけた加速加速加速加速が、本当に凄かった。
クロックフォード公爵、沈黙の魔女を味方に引き入れようとした時の、あのモニカの事を何も知らない的外れの、権力と俗欲を餌にした勧誘を見たときは、この人ただの俗物で大したことないよな、小物だよな、と思ったのですけれど……。
この巻を読んでいて、印象が大幅に変わりましたね。この人は俗物なんだろうけれど、信念や信仰のようなものを一心に貫いてそれをやっているタイプのやつだ。権力を至上のものとしているけれど、それを振るうことに喜悦や充足を抱いているタイプではないようなんですね。
だからか、損切りに躊躇がない。不要、邪魔、むしろ損害を与えてくる側になった、と思った瞬間にどれほど時間や手間や金銭や利益を注ぎ込んでいたとしても、あっさりと切り捨ててしまっている。
アイクの成り代わりに、どれだけのリソースを注ぎ込んだかわかったもんじゃないのに、あんな簡単に切り捨てるなんて。クロックフォード公爵が誰も逆らえない怖い人だ、というのが今まで実感感じることなかったんですけれど、ようやくこの公爵の恐ろしさがわかった気がします。
これは、モニカやアイクが成り切れずこぼしてしまった非人間的な在り方を、極限にまでそのものにしてしまった、なってしまった人間なんじゃなかろうか。
次巻は、どうなるんでしょうね。ちょっと尋常じゃないくらいドキドキしています。待ち遠しい。
いやあ、いいですわ。凄いですわ。感動ですわ、ビリビリですわ。
ついに、沈黙の魔女モニカ・エヴァレットがその正体を皆に明かすシーンが。到来。
これまでずっと親しい人たちにもその本当の姿を隠していた主人公が、皆にその正体を明かすというシーン。特に皆が知らない正体のほうが、伝説的な活躍をしているヒーローだったり、国中の人が憧れ英雄視しているような人物だったりした場合なんか、尚更にこの正体を明かすシーンって盛り上がるわけですよ。もう作品そのものの一番のクライマックスシーン、そこが一番肝要で、そここそが一番描きたかったシーンになるんじゃないか、ってくらいにカタルシスが得られるシーンになるわけです。
それだけ期待値もあがる。あがるだけに、実のところ中々その期待したところまで実際に盛り上がるかどうか、というと意外とあれ? こんなもんか? とテンション上がりきらずに中途半端な気分で終わってしまう作品って珍しくないんですよね。
悪くないよ?悪くはないけれど、まあ普通。普通に良かった。普通に面白かった。普通に盛り上がったね♪ ……じゃあ、物足らないじゃないですかぁ! ここのシーンにたどり着くまでにどれほど貯めて貯めて溜め込んでたと思ってるんですかぁ! と、肩透かしになってしまう作品って案外あるんですよ。
むしろ、期待値を上げすぎてしまってごめんなさい、という所なのかもしれませんけれど。
それだけ、こういう展開って難易度そのものが高い、と言えるのではないでしょうか。まさに王道ではあるんだけれど、教科書通りにテンプレートを敷くだけじゃあそれなりにしかならないんですよ。
だからこそ、だからこそ、これがキマった時にはもうテンションが爆上がりになってしまう。ちょっと訳わからないくらい盛り上がって興奮してワハーーーー!!ってなってしまう。
ヤベえ代物なんですわ。
そういう意味では、モニカが関係者皆を集めたところでその正体を明かすシーンは。バレるんじゃなくて、あのモニカが自分から皆に告白するシーンは。
ワハーーーー!! だったよ!!
ふおおおおおおおおお!!でひょーーーー!!で背筋がブルっと来て、ひゃーーーー!でしたよ!!
……語彙w
Web版は読んでなかったんですけれど、書籍版ではさらに描き方が濃くなっているらしく、沈黙の魔女としての正装であるローブをまとって、あの綺麗な星のような身の丈を超える杖を携えて、皆に協力を希うモニカ・エヴァレット。
これ、イザベル・ノートンがモニカに付き従って後ろに控えているの、地味に大きいと思うんですよね。
モニカ独りだけだったら、このシーンって例え正装してたとしても、それまでのモニカの印象からそこまで風格みたいなものが出ないんじゃないかと心配になるんだけれど、モニカを立てるようにして大貴族の娘でありモニカをイビってイジメているという評判のイザベルが、従者の如く粛々とモニカの背後に控えている。それがモニカがモニカ・ノートンではない……本物の七賢人の一人なのだという事実を突きつけるような、地味ながらクリティカルな威力を発してるように感じたんですよね。
イザベルって、ほんとどんなシチュエーションでもどんな場合でも、見事なくらいその役割を果たしきっていて、毎度毎度出るたんびにMVPですわ、この娘。十全モニカを助け続けている。凄い娘だ。
この巻では、これまでずっと謎であったものが、真実が、事実が一気に詳らかになっていった。
モニカの父がどうして、クロックフォード公爵によって目をつけられ、冤罪で処刑される羽目になったのか。
第二王子フェリクスをあれだけ慈しんでいたアイザックが、どうして唯々諾々とフェリクスに成り代わったまま公爵に従っていたのか。
特に重要に思われたその2点が、ここで一気に螺旋のように絡み合って浮かび上がってきたんですね。
フェリクスの正体がアイクだと、あの時名乗ったアイクという名前こそが本当だったのだと悟ったモニカが、そしてようやく父の死の真相にたどり着いたモニカが。アイクに、自分の父の名前を告げて、その名を忘れないで、囁いたときにいったいどんな想いを渦巻かせていたんだろう。
モニカ本人にも言い表せない、この切なくも狂おしい衝動。恨み辛み、或いは憎しみ或いは怒り、そう言った激しい負の感情を纏いきれない、でも切なく哀しく、自分のこの遣る瀬無い気持ちを、貴方にはどうか知っていてほしい、というこの祈り。
モニカは呪いだと独白していたけれど、それは果たして祈りのように思えたのだ。
モニカがアイクの本当の願いを知るのは、もう少し後のことになるのだけれど。モニカもアイクも、目的を果たすためならば何も顧みないという、非人間的な器物めいた冷徹さを垣間見せるときが時折ありました。アイクの場合は、その異様な冷たさが果たしてモニカに見せていた年相応の無邪気さと余りにもかけ離れていて、果たしてどちらが本当の彼なのか。彼に不気味さ、底知れ無さを感じさせる要因になっていたのですけれど。
こうして真実が明らかになったあとに二人の様子を振り返ってみると、彼ら二人は知らず知らず似た者同士であったのではないでしょうか。でも、モニカはモニカ・ノートンとして、ただ数学が得意の引っ込み思案な学生としてこの学校で得た多くの親しい、大切な人達と出会うことで、人間になってしまった。
そしてアイクもまた、一度捨て去ったはずの人間としての情を、いやアイザックという少年の心を、モニカとの交流のなかで取り戻してしまった。
モニカはもう、自分の願いのために今の大切な人達を犠牲にはできなくなって。アレクは、自分の願いのためにモニカの大切な人を、彼女の人生を犠牲にしてしまった事実に、もう完璧なフェリクスでは居られなくなってしまった。
今のモニカには、父の遺産だけじゃない、たくさんの宝物がある。この学校で出会った友達たちからもらった、かけがえのないものを、大切に大切に宝物として持っている。それはみんな、沈黙の魔女ではないただのモニカに送ってくれた、気持ちの象徴、想いの形だ。
それらがモニカを強くした。それらがモニカを人にした。それらが、モニカを成長させてくれたのだ。
だから、本物のフェリクスからアイクへの想いが籠もった王子の日記帳を手にしたとき、モニカの願いは決意に変わる。
彼女が戦う意志を決めたのは、復讐でも父の名誉を回復させるためでもない。友達に、届いていない想いを届けるため。
そして、彼女は独りで戦うのではなく、シリルに教えてもらったように、助けてくれる多くの人達一人一人に頼って、戦うすべを整えていく。
その必死さが、かつてのモニカには有り得なかった自ら選び動き、追い求める姿が……なんかもうたまらなくなってくるのだ。
その末での、あのクライマックスシーンですからね。そりゃあ、もうたまらなくなっていた気持ちが噴火してしまいますよ。吹き上がっちゃうよ。
あの最後のシーンにまで駆け上っていくまでの道程が、この一巻丸々かけた加速加速加速加速が、本当に凄かった。
クロックフォード公爵、沈黙の魔女を味方に引き入れようとした時の、あのモニカの事を何も知らない的外れの、権力と俗欲を餌にした勧誘を見たときは、この人ただの俗物で大したことないよな、小物だよな、と思ったのですけれど……。
この巻を読んでいて、印象が大幅に変わりましたね。この人は俗物なんだろうけれど、信念や信仰のようなものを一心に貫いてそれをやっているタイプのやつだ。権力を至上のものとしているけれど、それを振るうことに喜悦や充足を抱いているタイプではないようなんですね。
だからか、損切りに躊躇がない。不要、邪魔、むしろ損害を与えてくる側になった、と思った瞬間にどれほど時間や手間や金銭や利益を注ぎ込んでいたとしても、あっさりと切り捨ててしまっている。
アイクの成り代わりに、どれだけのリソースを注ぎ込んだかわかったもんじゃないのに、あんな簡単に切り捨てるなんて。クロックフォード公爵が誰も逆らえない怖い人だ、というのが今まで実感感じることなかったんですけれど、ようやくこの公爵の恐ろしさがわかった気がします。
これは、モニカやアイクが成り切れずこぼしてしまった非人間的な在り方を、極限にまでそのものにしてしまった、なってしまった人間なんじゃなかろうか。
次巻は、どうなるんでしょうね。ちょっと尋常じゃないくらいドキドキしています。待ち遠しい。























































































































































































































































































































































































































































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(形の有無を問わず本人が持っている物という条件はありますが)
八岐
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