【現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変 ６】 　二日市とふろう／じゃいあん オーバーラップノベルス

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成田空港テロで、お嬢様大ピンチ！なシリーズ第6弾！

現代社会を舞台にした乙女ゲームに転生し、悪役令嬢として日本経済再生を進める桂華院瑠奈のもとに、不穏な一報が届く。
桂華グループの幹部が集う食事会で瑠奈の前に現れたのは、桂華商会大阪本社の天満橋満。
大阪の会合で目立っていた天満橋を思い出す瑠奈に、グループ内部でお嬢様を下ろすクーデターが進んでいることを天満橋は進言する。
クーデターの鍵を握るのは樺太銀行とムーンライトファンドであることを知った瑠奈は、グループ内の組織統合を進め、藤堂と天満橋を要職に据えて事態の収束にあたらせる。
しかし、クーデター勢力は本丸である瑠奈以外にも標的を定めており、不穏な動きはグループ内に蠢いていた。
そんな中、成田空港に向かう臨時特別列車の中で、瑠奈がテロの標的になっているとの情報が届くのだった。
現代悪役令嬢による日本再生譚、成田空港のテロでお嬢様大ピンチ！な第６幕！

なんかちょうど、アメリカの半導体メーカーの「エヌビディア」が一日の株価下落したのがニュースになってたんですが、アメリカの一銘柄で最大の2789億ドル（約40兆5460億円）が吹っ飛んだとか言ってやがるんですが。
この間、岡崎とお嬢様が火遊びした仕手戦でかっぱらってきた４８兆円とさほど変わんねえじゃねえですか。
……いや、どっちも訳わからん金額なんですが、一企業で一日でこの金額吹っ飛ばすってさあ、経済規模の大きさもうわけわっかんねえよ。
まさに瑠奈お嬢様はこの規模のお金がブンブンと動き回る世界で小さな女王様として暴れまわってるんですよねえ。
ちょうど、漫画の方も刊行されていたので読んでたのですが、ちょうどお嬢様の資産が１兆円を超えたあたりだったんですよねえ、この頃。しかし、作中でも１兆円程度日本経済全体から見れば大した額ではない、と語っていたのですが、こうして桁が本当に二つ三つ違い額の金が飛び交っている国際経済と、そのなかで台風の目となっているお嬢様が扱っている金額を目の当たりにしてしまうと、この時言ってた通りだったんだなあ、と改めて実感する次第。
そんな勇躍するお嬢様も、前回恋住首相にイラク戦争への関与を掣肘され、傍目にも今まで無敵だったお嬢様の進撃が止められたように見えたことで、水に落ちた犬を叩くように様々な勢力、派閥が蠢き彼女の資産に群がってきた。
それが今回の桂華グループ内のクーデター騒ぎだったのです。
これ、一つの意思統一されたグループが黒幕として動いていたわけじゃなく、本当に雑多多種多様な集まりがそれぞれ勝手に動いていたために、本当にわかりにくく当事者である瑠奈お嬢様陣営からしても相手の実像が見えてこない、どう対処すべきかも難しい問題になってたんですよね。
意図がバラバラだから、四方八方からそれぞれの思惑に寄ったちょっかいを掛けられてきて、各個撃破というわけにもいかなかったですし。
何より、瑠奈お嬢様側の味方陣営の人材が少なすぎる問題。これは当初からずっと言われていた事だけれど、桂華グループ内も信用できず桂華院一族の者たちは尚更ハイエナみたいな連中ばかりでどうしようもない。
となると、本当の腹心というべき人達しか頼れない。
しかし、執事の橘は実権を剥がされて桂華鉄道の会長に。金庫番だった一条も、お嬢様の本丸である桂華金融ホールディングスのCEOから退任の流れになっている。地方銀行出身者である一条は、結局主流のメインバンク派閥に対抗できる後継を作れず、CIAの紐付きだけどお嬢様の側近として忠誠心の塊でもあるアンジェラ・サリヴァンを次期CEOに据えないといけなくなってしまった。彼女自身は最良の人材なんだけれど、外様、それも外国人となるとどうしても国内組が反発してくる。おまけに、この人CIAですしねえ。
結局、最初期からの絶対に信頼できる、お嬢様の意図を汲んで動いてくれる腹心である橘と一条の二人がグループの頭から降りざる得なかった、というのはただでさえ拡大してお嬢様の目も手も届きにくくなっている桂華グループの統制がさらに乱れる、ということで。それがクーデターの動きを見逃すことにも繋がっていたわけだ。
新体制は、桂華商会の藤堂さんとアンジェラと桂華電機連合のCEOに招いたカレン・ビオラ。そしてまだ貫目が足りてないけれど、将来グループを背負って立つ事を求められている山師の岡崎。
そこに、クーデターの情報を手土産にお嬢様のもとに馳せ参じてきたくわせものの天満橋のおっちゃんが主軸となってくるわけだ。
この人達は、お嬢様の目的が金儲けや名誉欲や承認欲求、存在証明などではなく、本気で日本経済の救済を目指している。世界になるべくの安定を求めていることを知っているメンバーであり、同時に桂華院瑠奈が自分の安全や安定、将来について何も求めていないどころか、いざとなったら全部投げ捨てる覚悟を持っている事を知っていて危惧している面々である。
それは童話「幸せの王子」に例えられるほどの、自己を顧みない世界に対する献身。そう、献身なんですよ、彼女の時代への復讐って。
お嬢様の本当の幸せを願っているメンバー、とも言えるでしょう。でも、お嬢様の意思を無視して彼女をただの子供に戻すことを良しとしているわけでもない。

面倒くさいのは、本当に善意からお嬢様の幸せを考えて、彼女を引きずり下ろそうと考えているグループもいるって所なんですよね。
お嬢様の願いを知らないから、もう尋常じゃなく儲けたんだからこれ以上冒険せずに現状維持でいいじゃないか、というグループもいるし。
お嬢様がこのグループを築いた事実をよくわかっていなくて、トップである彼女を引きずり下ろすことで自分たちにも権益がこぼれ落ちてくると考えている親族衆の暗躍もある。
ここに外部の思惑による謀略も絡んでくるんですね。
いまだイラク情勢にいっちょかみするつもりなんじゃないか、と疑う勢力。まあお嬢様も怪しい動きしちゃってるのも悪かったのですけれど。
イラク情勢は順調に悪化の一途を辿っていて、泥沼にハマりつつあるアメリカの足掻きがまあ色々と波及することで、そのへんの事情は作中にしっかり説明されてるんですけれど、円高基調が見られるわけですな。そんで、円高で儲けたろうという当時よく名前ばかり聞いてその実体がよくわからなかったあれ。ハゲタカファンドが暗躍。グループ内のクーデターを煽っている動きまで見えてきたわけです。

とどめに、世界的なアンタッチャブルが詰め込まれていた樺太銀行の不良債権処理問題がまたあっちこっちに飛び火して、これがお嬢様が狙われることになる成田空港テロ未遂事件へと発展していくわけですね。
どうしてここの問題がお嬢様の命が狙われる案件になってしまったかについては、本当に入り組みまくってるんですが。世界的なマネーロンダリングのシステムがここにあり、まずその誕生に冷戦時のアメリカの対東側工作予算がぶち込まれていたり、ロシア金融危機を発端にしてオルガリヒ関連で、ロシアン・マフィアがガッツリ噛んじゃってたり。トドメに、資金洗浄にお金に関しては節操なしな事のこの上なしのウォール街が首までつかってたり、トドメに２１世紀のハードカレンシー……ドルによる世界通貨の支配に対する国際通貨システム……ユーロの復権を狙う勢力争いが絡んで、欧州系ファンド。いわゆるユーロの闇。ヨーロッパの魔女たちがシナリオ書いて陰謀の網の中にこの一件をはめ込んでいたり。
あっかんこれ、マジで世界金融の闇鍋。国際経済という舞台のアンダーグラウンドで、基盤ともいうべきヤバいわ規模がもう日本という一国家どころじゃない話だわ、ってとんでもないスケールの陰謀じゃないですか。
桂華院瑠奈にロマノフの血が入っていることが、もうここで凄まじい厄ネタになってきてるんですよね。実際にそういうものがある、ってわけじゃなくて、変なストーリーを紐づけされる要因になってしまっているというべきか。
日本の総選挙やアメリカの大統領選にまで影響力を及ぼし、世界の株式市場が彼女の動き一つでのたうち回る、文字通り世界を動かす女である桂華院瑠奈ですけれど、でも今はまだ中学生になったばかりの子供でもある。
責任を背負えない子供であるからこそ、その動きが掣肘されたにも関わらず、こうして命まで狙われてしまったわけですからね。
子どもの保護者たちからすれば、許せるはずもない。とはいえ、彼女の保護者足り得る大人たちはそれぞれまた立場も違う。橘たちは彼女の部下であり、恋住首相や泉川副首相は日本の政治家であり、合衆国大統領はアメリカの立場を尊重しなければならない。それでもまあ、みんな激怒激怒なんですが。
そんななかで、身内であり家族でもある桂華院の当主清麻呂と、次期当主であり兄代わりの仲麻呂。彼ら二人に関しては一族の複雑な事情はあれど、瑠奈の事はかわいい姪として妹分として本当に慈しんでいたわけですから。これ以上瑠奈を危うい目に合わせないためにも、今の瑠奈の立場を奪って安全な奥に引っ込める、という判断も愛情ゆえに有り得たんですよねえ。次に瑠奈が危険な目にあうような事があったら、世界なんざ知った事じゃない、この子を守るために本家に連れ戻す、と本気でブチギレていた清麻呂と仲麻呂の二人、華族としても財閥グループの主としての立場もどうなろうと関係なく、瑠奈のためにあれだけ怒ってくれる家族がいる、という事実は瑠奈にとって間違いなく幸せの一つなのでしょう。
正史通りに行ってたら、仲麻呂兄さんがアメリカ同時多発テロで亡くなっていただろう事を思えば、今家族が健在というだけでもお嬢様は頑張ったと言えますよ。

そして、黒幕の一つであった海外のハゲタカファンド相手には、徹底的に殲滅戦。このお嬢様、樺太銀行の件で真実を知ったら絶対に攻撃するから教えない、と釘を差されて引き下がってたのに、結局大暴れしてやがる。
恋住首相が内閣改造に踏み切ったのに合わせて、兼ねてからの恋住政権との徹底抗戦という噂、これ背後から各勢力が煽って企んで仕掛けてしてたのもあるわけですけれど、それに乗った風に見せて円高煽った末に、泉川さんに手伝ってもらって歴史的和解を演出。
アメリカの戦費調達を引き受ける体で、一兆ドルのドル買いの噂をぶち撒け、実際一日一兆円規模のドル買いを勧めて、円高を見込んで動いていたハゲタカファンドが逃げられなくなっている状態で、怒涛の円安。トドメに、狙い定めていた日銀が日銀砲を炸裂させ、ハゲタカどもは焼け野原。
ここらへんの詳しい仕組みに関しては、作中に詳しく在るのでどうぞ。うははは、ハゲタカどもがゴミのようだーー！　てなもんですぜ。
アンジェラ先生、ここで丸焼けになって青息吐息になってるファンドたちにサブプライム勧めてまわってるの、ちょっと鬼畜すぎるｗ　わかっててやってるのよね、この人！？

ここで色々しがらみなんぞもあって、石油の方にも足を突っ込むことになるんですなあ。石油はヤバいですよ、世界の中でも一等泥沼の業界だ。
そして本格的に欧州の方の金の流れにも絡んでくる、と。
このあたりから、本格的にお嬢様も好き勝手動けなくなってくるんですよねえ。

それ以前に十分身動き取りづらくなって、ストレスたまりまくったお嬢様が鬱憤晴らしにやらかしたのが、ハリウッドで「サムライサメ亡霊VS水着公爵令嬢」なんてサメ映画をなんか自分のオファー出してきた最底辺製作所に乗り込んで、某監督と一緒にノリで作って遊んじゃった案件でらっしゃるｗ
主演自分で出演も自分だけでギャラ要らず。監督も呼んだらただで来てやってくれて、制作費も自腹。やったね、ただ同然で映画が一本出来ちゃったｗ
めっちゃウケてしまってるしｗ
このお嬢様、ハイスペックすぎて芸術芸能関係も天才だもんで、そっちの道進んでも超一流間違いなしなんだよなあ。結局、成田テロ事件では自身が映画さながらの活躍をしちゃう羽目になりますし。

さて、最後の嫌がらせというなの一兆ドル案件。あれ、実際に１００兆円を現ナマで用意して、なんてことは勿論なく、ここらへんは金融の仕組みってやつですねえ。
でも、ここで荒稼ぎして泡銭稼いだのは間違いなく。そのお金で、買うわ買うわの出た、お嬢様必殺の無駄遣いシリーズ。IBMのPC事業とかMローズ社ってモトローラ社のことか。あとスクエニとか、第二青函トンネルってマジですか。福島駅改良工事に新板谷トンネルって米沢トンネルってやつ？
桂華鉄道関連だけで、およそ１兆５千億円って、相変わらずスケールが。もう鉄道事情に関しては完全に正史から変わってますよね、これ！？



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