【バスタード・ソードマン ４】 ジェームズ・リッチマン／マツセダイチ エンターブレイン
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薄着の美女と水辺でバカンス!? そんなことよりヌシ釣りだ!
異世界にも暑い夏がやって来た! シュトルーベの里帰りから戻ってきたモングレルはライナから、"アルテミス"と一緒にザヒア湖へ旅行に行かないかと誘われる。なんでも日頃の慰安をかねて、大自然の中で存分に水鳥狩りを楽しみに行くのだという。湖なら本格的な釣りができると考えたモングレルも二つ返事で参加を決め、自作の釣り具一式を抱えてウキウキで"アルテミス"に同行する。もちろん狙うは湖に生息する(かもしれない)幻の巨大魚<ヌシ>! 一方、ライナはウルリカに唆され、この旅行でモングレルとの距離を縮めるためにアプローチ作戦を実行するのだが――!?
おお、前回が男二人の表紙だった反動か、今回は薄着の美女二人という色気たっぷりの表紙絵に。
アルテミスのシーナ団長とナスターシャ副団長、こんな格好でキャンプしてたんか。
今回は巻の中盤はガッツリとアルテミスとのキャンプ旅行編でした。旅行と行っても、この時代だとただの移動だったり一時的に狩り場を変えて野宿しもっての魔物狩り出張だったりするんだけれど。
本作では、ガチの行楽旅行だからなあ、凄えよなあ。
それも、モングレルさんがあんなに山程のキャンプ用具を持ち込まなかったら、もう少し遊びのないただいつもと違うところで水鳥を射て野宿して、というだけの多少ゆっくりはするけれど、という程度の時間になったのかもしれないけれど。
モングレルさんが自作の釣具も大量に持ち込むわ、キャンプ用の寝具や料理道具なども持ち込むものだから、アルテミスの面々が水鳥射って、それをいろんな調理法で料理したり、テント張ってキャンプ地整備したり、時間が出来たら湖にボート浮かべてみんなで釣りをして、釣れた魚をこれまたいろんなアレンジで料理して、とほんとにただキャンプして遊んでるだけーー、これがまた楽しそうで楽しそうで。
魚釣りなんかしたことない面々ばかりなので、モングレルさんから釣具借りてワイワイとはしゃぎながらあの針に魚がくいついた時のグッと引き込む感触の初体験にテンションあがったり、と醍醐味を堪能してやがります。ゴリリアーナさんが釣りに夢中になっていく様子が、なんか可愛いのよｗ
モングレルさん、ちゃんとリールで巻けるような現代仕様に近づけた釣り竿とか、ルアーとかも作ってるからなあ。針も色々とサイズ変えたりと工夫して……ほんと、どんだけ持ってきたんだ？
食器や調理器具も自分の分だけじゃなく、みんなも使えるようにそれなりに数持ち込んでるし。彼って自分の人並みはずれた怪力をほんと有効活用してますよね。
普段の中堅以上のギルドマンが受けないような街の中や郊外の肉体作業、木の切り出しや採掘など犯罪者奴隷がやるような仕事も、たまに汗流しながらやってますし。
そういう仕事も怪力任せでガンガン進捗させますし、礼儀正しく丁寧に仕事するもんだから、評判も上々で普通のギルドマンが交友ないような変な所に人脈あるしなあ。
今回も行き帰りの護衛依頼は愛剣のバスターソード一丁で、あとは殆どキャンプのための道具類でしたからねえ。普通はそんなに持ち歩けないってのに。
で、こういうキャンプなんかをしていると、何か事件やトラブルが舞い込んでくるのが普通の作品なんだけれど、本作はガチでなんにも起きないからなあ。行き帰りの都市間を移動する商人たちの護衛に関しても、マジでなんにも起きないまま平穏に終わるし。それでいて盛り上がりも何もなくて面白くない、なんてことは一切なくて、なにもないのがちゃんと面白い話になっている、というのが本作のすげえ所だと思います。徹底してスローライフ貫き通してるもんなあ。
そして、女所帯のアルテミスとの旅行ってことで、ウルリカという男の娘という例外はいるものの、基本モングレルさんだけが男、という構成になっているにも関わらず、全然色っぽい話にならないのがまた面白い。全力でキャンプ楽しんでいるばかりで、むしろシーナとナスターシャが二人でイチャイチャしてるのが目立っているくらいで、ライナが頑張ってモングレルさんに添い寝してみたり、なんて事をしても朝ごくごく自然な勢いで簀巻きにされてましたからねえ。
モングレルさん、こういう所実はかなり意図して距離感保ってるんだろうけれど、作為を感じさせない自然な立ち振舞いによる距離を感じさせない一線の引き方は上手いを通り越してちょっと凄いなあと思うくらい。
こういうモングレルさんだからこそ、シーナも女所帯のアルテミスに彼を本気で勧誘してるんだろうけど。ライナのため、というのもあるんでしょうけどね。
ってか、シーナとナスターシャってそういう関係だったのか。駆け落ちだったの、この二人。
ともあれ、一度レゴールの街から一時的にでも外に出てみると、今のレゴールの急速な発展ぶりがなんとなく伝わってくる。人も多く集まってきているみたいですしね。そして、王都でも評判の発明の街として名が知れ渡りはじめているみたいですし。
そんな発明ブームの機運に乗る、というよりもハマってしまっているのが有力パーティーの「若木の杖」のリーダーである魔法使いサリーの娘、モモである。発明少女の本格デビュー一作目として、モングレルさんにレビュー・添削をお願いしてきたのが、泳ぐ時に足につける足ヒレ。
モモちゃん、これ結構モングレルに懐いてますよねえ。呼び捨てであたりキツイですけど、真面目な子なんだよなあ。作中でも頭一つ抜けて不思議ちゃんなサリーが、父親もモモが生まれてすぐに亡くなっているという境遇にも関わらず、よくこんなしっかりした子供を育てられたものである。というのは作中でもモングレルを筆頭にみんなが言ってることだけど。場合によってはモモちゃんの方がサリーよりもしっかりしてるもんなあ。でも、不思議ちゃんな分、サリーって人と見えてるものが全然違うようで……これ、モングレルがケイオス卿って薄々気づいてるんじゃない？という反応をさらっと見せてましたよね。こういう自分の力に関する隠蔽は完璧に近いモングレルだけど、薄々でも察しているのって彼女だけなんじゃないだろうか。察しているだけで関心も持ってないので、モングレルのアンテナにも引っかかってないんだろうけど。
と、他にもゆるいこのレゴールの街の日常、って感じのエピソードが介在しつつ、街の外では徐々に戦争の気配が近づいている、というのを匂わせる王国の決戦戦力である月下の死神と呼ばれる特務騎兵の到来。
モングレルたちとは偶々すれ違った、くらいの接触なんだけれど、それでモングレルたちの方での日常話を広げられるの、うまいよなあ。ってか、モングレルさん、観賞用で死神がつかってる特殊武器の中古品、無駄買いしてたの？ そりゃ金なくなるよ。そして、本物を間近で見たことで自分が持っているそれが間違った修理がされた不良品であることが発覚。いやもう、使わないんだったら別にいいじゃんｗ
酒場での笑い話のネタにもなったし。でも、ここで本気で悔しがるからこそ、皆も盛り上がるんですけどね。
しかし月下の死神の人、身分としても役職としても相当高い騎士のはずなのに、平民と行き違う時でもちゃんと礼儀払って挨拶していく所といい、レゴール伯爵との会談を見ていてもすごく良い人だｗ
レゴール伯も、貴族嫌いで貴族恐怖症のモングレルをして、この人は立派でちゃんとした人だ、と認めてるくらいなものだから、ほんと出来物な人物だよねえ、というのが伝わる話でした。
でもこの人才気煥発って感じじゃなくて、もっと柔らかくて野心もあんまりない、おとなしめの人なんですよねえ。彼に関するエピソードはまだまだ増えてくるので、こっちの方も楽しみ。
そして、ついに戦争の影が迫ってくることで、モングレルさんが頑なにシルバーにあがらない理由にがっつり絡んでくるんですよね。ちょうど、ライナもシルバーに昇格するタイミングにもなりますし、彼らののんびりとした日常譚がどうなっていくのか、楽しみ楽しみ。
アルテミスのシーナ団長とナスターシャ副団長、こんな格好でキャンプしてたんか。
今回は巻の中盤はガッツリとアルテミスとのキャンプ旅行編でした。旅行と行っても、この時代だとただの移動だったり一時的に狩り場を変えて野宿しもっての魔物狩り出張だったりするんだけれど。
本作では、ガチの行楽旅行だからなあ、凄えよなあ。
それも、モングレルさんがあんなに山程のキャンプ用具を持ち込まなかったら、もう少し遊びのないただいつもと違うところで水鳥を射て野宿して、というだけの多少ゆっくりはするけれど、という程度の時間になったのかもしれないけれど。
モングレルさんが自作の釣具も大量に持ち込むわ、キャンプ用の寝具や料理道具なども持ち込むものだから、アルテミスの面々が水鳥射って、それをいろんな調理法で料理したり、テント張ってキャンプ地整備したり、時間が出来たら湖にボート浮かべてみんなで釣りをして、釣れた魚をこれまたいろんなアレンジで料理して、とほんとにただキャンプして遊んでるだけーー、これがまた楽しそうで楽しそうで。
魚釣りなんかしたことない面々ばかりなので、モングレルさんから釣具借りてワイワイとはしゃぎながらあの針に魚がくいついた時のグッと引き込む感触の初体験にテンションあがったり、と醍醐味を堪能してやがります。ゴリリアーナさんが釣りに夢中になっていく様子が、なんか可愛いのよｗ
モングレルさん、ちゃんとリールで巻けるような現代仕様に近づけた釣り竿とか、ルアーとかも作ってるからなあ。針も色々とサイズ変えたりと工夫して……ほんと、どんだけ持ってきたんだ？
食器や調理器具も自分の分だけじゃなく、みんなも使えるようにそれなりに数持ち込んでるし。彼って自分の人並みはずれた怪力をほんと有効活用してますよね。
普段の中堅以上のギルドマンが受けないような街の中や郊外の肉体作業、木の切り出しや採掘など犯罪者奴隷がやるような仕事も、たまに汗流しながらやってますし。
そういう仕事も怪力任せでガンガン進捗させますし、礼儀正しく丁寧に仕事するもんだから、評判も上々で普通のギルドマンが交友ないような変な所に人脈あるしなあ。
今回も行き帰りの護衛依頼は愛剣のバスターソード一丁で、あとは殆どキャンプのための道具類でしたからねえ。普通はそんなに持ち歩けないってのに。
で、こういうキャンプなんかをしていると、何か事件やトラブルが舞い込んでくるのが普通の作品なんだけれど、本作はガチでなんにも起きないからなあ。行き帰りの都市間を移動する商人たちの護衛に関しても、マジでなんにも起きないまま平穏に終わるし。それでいて盛り上がりも何もなくて面白くない、なんてことは一切なくて、なにもないのがちゃんと面白い話になっている、というのが本作のすげえ所だと思います。徹底してスローライフ貫き通してるもんなあ。
そして、女所帯のアルテミスとの旅行ってことで、ウルリカという男の娘という例外はいるものの、基本モングレルさんだけが男、という構成になっているにも関わらず、全然色っぽい話にならないのがまた面白い。全力でキャンプ楽しんでいるばかりで、むしろシーナとナスターシャが二人でイチャイチャしてるのが目立っているくらいで、ライナが頑張ってモングレルさんに添い寝してみたり、なんて事をしても朝ごくごく自然な勢いで簀巻きにされてましたからねえ。
モングレルさん、こういう所実はかなり意図して距離感保ってるんだろうけれど、作為を感じさせない自然な立ち振舞いによる距離を感じさせない一線の引き方は上手いを通り越してちょっと凄いなあと思うくらい。
こういうモングレルさんだからこそ、シーナも女所帯のアルテミスに彼を本気で勧誘してるんだろうけど。ライナのため、というのもあるんでしょうけどね。
ってか、シーナとナスターシャってそういう関係だったのか。駆け落ちだったの、この二人。
ともあれ、一度レゴールの街から一時的にでも外に出てみると、今のレゴールの急速な発展ぶりがなんとなく伝わってくる。人も多く集まってきているみたいですしね。そして、王都でも評判の発明の街として名が知れ渡りはじめているみたいですし。
そんな発明ブームの機運に乗る、というよりもハマってしまっているのが有力パーティーの「若木の杖」のリーダーである魔法使いサリーの娘、モモである。発明少女の本格デビュー一作目として、モングレルさんにレビュー・添削をお願いしてきたのが、泳ぐ時に足につける足ヒレ。
モモちゃん、これ結構モングレルに懐いてますよねえ。呼び捨てであたりキツイですけど、真面目な子なんだよなあ。作中でも頭一つ抜けて不思議ちゃんなサリーが、父親もモモが生まれてすぐに亡くなっているという境遇にも関わらず、よくこんなしっかりした子供を育てられたものである。というのは作中でもモングレルを筆頭にみんなが言ってることだけど。場合によってはモモちゃんの方がサリーよりもしっかりしてるもんなあ。でも、不思議ちゃんな分、サリーって人と見えてるものが全然違うようで……これ、モングレルがケイオス卿って薄々気づいてるんじゃない？という反応をさらっと見せてましたよね。こういう自分の力に関する隠蔽は完璧に近いモングレルだけど、薄々でも察しているのって彼女だけなんじゃないだろうか。察しているだけで関心も持ってないので、モングレルのアンテナにも引っかかってないんだろうけど。
と、他にもゆるいこのレゴールの街の日常、って感じのエピソードが介在しつつ、街の外では徐々に戦争の気配が近づいている、というのを匂わせる王国の決戦戦力である月下の死神と呼ばれる特務騎兵の到来。
モングレルたちとは偶々すれ違った、くらいの接触なんだけれど、それでモングレルたちの方での日常話を広げられるの、うまいよなあ。ってか、モングレルさん、観賞用で死神がつかってる特殊武器の中古品、無駄買いしてたの？ そりゃ金なくなるよ。そして、本物を間近で見たことで自分が持っているそれが間違った修理がされた不良品であることが発覚。いやもう、使わないんだったら別にいいじゃんｗ
酒場での笑い話のネタにもなったし。でも、ここで本気で悔しがるからこそ、皆も盛り上がるんですけどね。
しかし月下の死神の人、身分としても役職としても相当高い騎士のはずなのに、平民と行き違う時でもちゃんと礼儀払って挨拶していく所といい、レゴール伯爵との会談を見ていてもすごく良い人だｗ
レゴール伯も、貴族嫌いで貴族恐怖症のモングレルをして、この人は立派でちゃんとした人だ、と認めてるくらいなものだから、ほんと出来物な人物だよねえ、というのが伝わる話でした。
でもこの人才気煥発って感じじゃなくて、もっと柔らかくて野心もあんまりない、おとなしめの人なんですよねえ。彼に関するエピソードはまだまだ増えてくるので、こっちの方も楽しみ。
そして、ついに戦争の影が迫ってくることで、モングレルさんが頑なにシルバーにあがらない理由にがっつり絡んでくるんですよね。ちょうど、ライナもシルバーに昇格するタイミングにもなりますし、彼らののんびりとした日常譚がどうなっていくのか、楽しみ楽しみ。
Ａｍａｚｏｎ
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