【千早ちゃんの評判に深刻なエラー】 氷純 ／どぅーゆー 電撃文庫
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根暗な彼女は”爆弾魔”!? 痛快×異世界コメディ登場!
根暗なぼっち少女・千早ちゃん。将来の夢は若隠居。
重度のコミュ症で就職できずにいた彼女はある日、完全リモート勤務という言葉に釣られ人型工作機械《アクタノイド》での異世界開拓に従事することに。
『新界』と呼ばれる異界へのゲートが開いたこの世界では、各国が資源開拓でしのぎを削り合っていたのだ!
何でも一人で解決する(他人に聞けないだけ)千早ちゃんはなるべく安全な仕事をこなしていく! ……はずだった。
「――なんなんだ、あのボマーは!?」
行く先々で天才的な操縦センスと爆発オチで数多の陰謀を退ける彼女は、知らずのうちに戦争屋としてみるみる悪評が広まってしまい――?
「真面目に働いているだけなのに……。うぇ……なんでぇ!?」
同じ単語を入れ替えただけみたいな似たようなタイトルが今なお目立つ昨今ですが、本作みたいなのは一発で目を引きますよね。
表紙絵を含めて掴みはOKなんじゃないかと。
そうして作品の中身の方を読んでみると、地球と異世界が繋がって限定的にも行き来できるようになった世界観で、ニューフロンティアに対して現代側から資源を求めて異世界を探索、開拓していくという設定自体は珍しくはないと思うのですが、異世界側に今の所知的生命体が確認されていないのと、生身の人間を送り込むのではなく、遠隔で操作できる人型ロボット、アクタノイドで異世界を探索する、という設定は新鮮でしたね。
これって、仮想空間へのフルダイブ型ゲームと様式としては非常に似通っているんですよね。その上でプレイヤーのアバターが仮想空間上のデータではなく、現実の異世界に送り込まれた実体のある人型ロボットである、というのがとても面白い。
実体があるから、壊れたらちゃんと物理的に修復しないといけないし、汚れや部品の劣化などにも対応しなくてはならない。一方で、異世界もちゃんと現実に存在するから、そこで入手したモノ、採掘採取したものはゲームと違ってそのまま持って帰ってこれるわけで。
それでいながら、あくまでアバターであるロボット……アクタノイドはプレイヤーが中に搭乗しているとか装着している、というものではなく、もちろん電脳に意識を移して自分の身体から抜けちゃっている、という代物でもない。あくまで遠隔操作、一応コントローラーや操縦桿などの操作じゃなく、モーションキャプチャーがメインになっているみたいで、身体を動かさないといけないのだけれど……そう考えると技術としてはフルダイブ型みたいなのや電脳とかと違ってローテクなんだよなあ。
でも、電波による操作にも関わらず、操作する人間の動きをダイレクトに反映してロボットを動かせる、という技術がローテクな分未来技術過ぎてよくわからない電脳とかよりも、とんでもない技術だなあ、という実感が湧いてきたり。
作中の表現からしても、ほぼほぼ素人でも普通に動かせるみたいですしね。歩く走る掴むと、人間とほぼ変わらない動作を、素人が動かしてもその動き通りに再現できる、って超技術じゃないですか？
そんでもって、型落ち品で政府支給の汎用レンタルとはいえ、２００万円で機体が賄えるという。
２００万円ですよ。２０００万円じゃなくて、２億じゃなくて。軽トラより多少高いかなあ、くらいじゃないですか。重機とかだったらミニサイズの中古品くらいでないと買えないんじゃない？ バックホーとかタイヤショベルとかけっこう値段しますよ？
破格の値段設定である。いや、ちゃんと型落ちじゃない機体やハイスペックモデルは相応にお高いんですけどね。
まあそんなこんなで、異世界探索業界も人手不足が深刻らしく、政府が手厚い支援を引っ提げて熱心に探索者となってくれる人を求人しているサイトに引っかかったというか、飛びついてしまったのが主人公の千早ちゃんなのでありました。
もはや社会生活を営むのにも支障ありまくりなくらいに、対人恐怖症というかコミュニケーション障害な千早ちゃん。これ普通にコンビニやスーパーで買い物するのも苦しいんじゃないだろうか。ましてや美容室とか病院とか、無理じゃね？ 髪とか見た感じからも放置してそうだもんなあ。
普通なら実家で引きこもりになってそうなものの、よっぽど地元で嫌なことがあったのか都会に出て一人暮らしをしていますし、もう何としても就職しないと、ということで就職活動に勤しみ爆死する毎日。
普通でも就活とかメンタル死にそうなのに、千早ちゃんレベルのコミュ障がやろうってんだから、もう頑張ったなあと労る気持ちというか、お労しやという気持ちというか。
それでも就活嫌だ、と逃げてしまわずに何だかんだとやり続けるのは偉いですよ。人と接するのどうしてもダメなわりに、諦めが悪いというか変なところでめげないというか。意外とアグレッシブになんでもやる、逃げずに半泣きになりながらもやってみる、という所は後のアクタロイドでのお仕事でもその傾向が見受けられるんですよね。毎回うまいこと行ってるんだか行ってないんだか、メンタル追い詰められていく状況の中、安全で無難な依頼をと腰は引けているものの、ビビって逃げたり投げ出したりせず、それでもすぐに次の依頼を探して「やる」。こういう所、地味にバイタリティあると思うよ千早ちゃん。
そこが母親曰くの、妙に生存性が高い、というあたりに繋がってきている気がします。
見てた感じ、たった一人で誰ともコミュニケーションを取らずに出来る、アクタノイドを使っての個人による様々な任務。この仕事だから、千早ちゃんの秘めたる能力が開花した！ とかいう感じはしないんですよね。新人らしく、突然のトラブルが発生した際に、わけもわからないまま夢中で応戦したり、逃げ回ったり、自分が出来ることを必死でやってたら切り抜けて生き残ることが出来た……いや、生き残れてはいないのか？ アクタノイドボロボロになってるときもあったし。
とはいえ、周囲がドン引きするような状況を起こしつつ、彼女自身だけはなんとか切り抜ける、という状況が連発されてしまうんですね。そこに突然の覚醒、とか自分でも知らなかった能力が開花！ みたいな華々しい要素はなく、偶然性が非常に高い……それでも、素人新人がやらかすにはえげつなすぎる被害を撒き散らしているあたり、千早ちゃんにはそこらの新人とは違う資質みたいなものがあるんだろうけれど……いや何があるんだろうね、千早ちゃんに。傍から見ていてもなんかそのあたりよくわからない、判断し辛いところがあるのが妙に面白い。こんなの、千早ちゃん当事者だから尚更わからないんだろうし、いつも「なんでーー！？」と半泣きになるのもよくわかる。なんでこうなったのか全然わからないもの。
被害を食らった悪徳業者たちや、その戦果を傍から見ることになった他の探索者たちからすると、ボマーという異名がつくほどに異様な戦果を悪辣なやり方であげているヤバいヤツ、という風な認識となり、風評が広まっていってしまっているのですが。勝手な憶測も深読みされて、えらい人物像が出来上がってしまってるぞ。
個人情報の保護が異様なほど徹底、異世界関係の省庁ですら担当職員でも以前に意図的な情報漏洩など悪質な犯罪に使われたこともあって、触れないようになっているので、現実世界側で千早ちゃん個人が突かれることはない、という設定がしっかりしているので、ある意味やりたい放題出来るんですよねえ。千早ちゃんは全然やりたい放題できてない、というかしてもいないのですが。
ただ追い詰められると、なりふり構わず手段を問わず後先考えずに出来ることはなんでもやる。仲間との連携を考えてないので、周りの被害とか最初から考慮せずにやれる。そして千早ちゃん個人のあのどれだけ追い詰められていても、「やる」というコミュ障の割に変なアグレッシブさが、この異世界での個人事業における異様な戦果……ついには悪徳企業を一つ飛ばしちゃいましたからね。をあげる結果に繋がっているようにも感じます。
いやでも、ここまで他人とコミュニケーション取れないようでは、これから仲間が増えたりとか、連携して大きな案件を、とかいう展開にはならなさそうだなあ。あくまで周囲を勘違いさせつつ、ひたすら千早ちゃんが半泣きになりながら「なんでーー！？」と叫びつつ、被害を撒き散らしていく方向になるのだろうか。
千早ちゃんが成長して人と関われるようになっていく、みたいな傾向は今の所一切ないですし。そちら方面での変化の予兆みたいなものは一切ないですし。この子、自分が生き残れる環境を求めてサバイバルしていますけれど、環境に自分が適応して変化しよう、自分が変わろうというという方向の考え方は
全然無さそうなんですよねえ。千早ちゃんというキャラクターは固定でずっとこのまま行きそう。
表紙絵を含めて掴みはOKなんじゃないかと。
そうして作品の中身の方を読んでみると、地球と異世界が繋がって限定的にも行き来できるようになった世界観で、ニューフロンティアに対して現代側から資源を求めて異世界を探索、開拓していくという設定自体は珍しくはないと思うのですが、異世界側に今の所知的生命体が確認されていないのと、生身の人間を送り込むのではなく、遠隔で操作できる人型ロボット、アクタノイドで異世界を探索する、という設定は新鮮でしたね。
これって、仮想空間へのフルダイブ型ゲームと様式としては非常に似通っているんですよね。その上でプレイヤーのアバターが仮想空間上のデータではなく、現実の異世界に送り込まれた実体のある人型ロボットである、というのがとても面白い。
実体があるから、壊れたらちゃんと物理的に修復しないといけないし、汚れや部品の劣化などにも対応しなくてはならない。一方で、異世界もちゃんと現実に存在するから、そこで入手したモノ、採掘採取したものはゲームと違ってそのまま持って帰ってこれるわけで。
それでいながら、あくまでアバターであるロボット……アクタノイドはプレイヤーが中に搭乗しているとか装着している、というものではなく、もちろん電脳に意識を移して自分の身体から抜けちゃっている、という代物でもない。あくまで遠隔操作、一応コントローラーや操縦桿などの操作じゃなく、モーションキャプチャーがメインになっているみたいで、身体を動かさないといけないのだけれど……そう考えると技術としてはフルダイブ型みたいなのや電脳とかと違ってローテクなんだよなあ。
でも、電波による操作にも関わらず、操作する人間の動きをダイレクトに反映してロボットを動かせる、という技術がローテクな分未来技術過ぎてよくわからない電脳とかよりも、とんでもない技術だなあ、という実感が湧いてきたり。
作中の表現からしても、ほぼほぼ素人でも普通に動かせるみたいですしね。歩く走る掴むと、人間とほぼ変わらない動作を、素人が動かしてもその動き通りに再現できる、って超技術じゃないですか？
そんでもって、型落ち品で政府支給の汎用レンタルとはいえ、２００万円で機体が賄えるという。
２００万円ですよ。２０００万円じゃなくて、２億じゃなくて。軽トラより多少高いかなあ、くらいじゃないですか。重機とかだったらミニサイズの中古品くらいでないと買えないんじゃない？ バックホーとかタイヤショベルとかけっこう値段しますよ？
破格の値段設定である。いや、ちゃんと型落ちじゃない機体やハイスペックモデルは相応にお高いんですけどね。
まあそんなこんなで、異世界探索業界も人手不足が深刻らしく、政府が手厚い支援を引っ提げて熱心に探索者となってくれる人を求人しているサイトに引っかかったというか、飛びついてしまったのが主人公の千早ちゃんなのでありました。
もはや社会生活を営むのにも支障ありまくりなくらいに、対人恐怖症というかコミュニケーション障害な千早ちゃん。これ普通にコンビニやスーパーで買い物するのも苦しいんじゃないだろうか。ましてや美容室とか病院とか、無理じゃね？ 髪とか見た感じからも放置してそうだもんなあ。
普通なら実家で引きこもりになってそうなものの、よっぽど地元で嫌なことがあったのか都会に出て一人暮らしをしていますし、もう何としても就職しないと、ということで就職活動に勤しみ爆死する毎日。
普通でも就活とかメンタル死にそうなのに、千早ちゃんレベルのコミュ障がやろうってんだから、もう頑張ったなあと労る気持ちというか、お労しやという気持ちというか。
それでも就活嫌だ、と逃げてしまわずに何だかんだとやり続けるのは偉いですよ。人と接するのどうしてもダメなわりに、諦めが悪いというか変なところでめげないというか。意外とアグレッシブになんでもやる、逃げずに半泣きになりながらもやってみる、という所は後のアクタロイドでのお仕事でもその傾向が見受けられるんですよね。毎回うまいこと行ってるんだか行ってないんだか、メンタル追い詰められていく状況の中、安全で無難な依頼をと腰は引けているものの、ビビって逃げたり投げ出したりせず、それでもすぐに次の依頼を探して「やる」。こういう所、地味にバイタリティあると思うよ千早ちゃん。
そこが母親曰くの、妙に生存性が高い、というあたりに繋がってきている気がします。
見てた感じ、たった一人で誰ともコミュニケーションを取らずに出来る、アクタノイドを使っての個人による様々な任務。この仕事だから、千早ちゃんの秘めたる能力が開花した！ とかいう感じはしないんですよね。新人らしく、突然のトラブルが発生した際に、わけもわからないまま夢中で応戦したり、逃げ回ったり、自分が出来ることを必死でやってたら切り抜けて生き残ることが出来た……いや、生き残れてはいないのか？ アクタノイドボロボロになってるときもあったし。
とはいえ、周囲がドン引きするような状況を起こしつつ、彼女自身だけはなんとか切り抜ける、という状況が連発されてしまうんですね。そこに突然の覚醒、とか自分でも知らなかった能力が開花！ みたいな華々しい要素はなく、偶然性が非常に高い……それでも、素人新人がやらかすにはえげつなすぎる被害を撒き散らしているあたり、千早ちゃんにはそこらの新人とは違う資質みたいなものがあるんだろうけれど……いや何があるんだろうね、千早ちゃんに。傍から見ていてもなんかそのあたりよくわからない、判断し辛いところがあるのが妙に面白い。こんなの、千早ちゃん当事者だから尚更わからないんだろうし、いつも「なんでーー！？」と半泣きになるのもよくわかる。なんでこうなったのか全然わからないもの。
被害を食らった悪徳業者たちや、その戦果を傍から見ることになった他の探索者たちからすると、ボマーという異名がつくほどに異様な戦果を悪辣なやり方であげているヤバいヤツ、という風な認識となり、風評が広まっていってしまっているのですが。勝手な憶測も深読みされて、えらい人物像が出来上がってしまってるぞ。
個人情報の保護が異様なほど徹底、異世界関係の省庁ですら担当職員でも以前に意図的な情報漏洩など悪質な犯罪に使われたこともあって、触れないようになっているので、現実世界側で千早ちゃん個人が突かれることはない、という設定がしっかりしているので、ある意味やりたい放題出来るんですよねえ。千早ちゃんは全然やりたい放題できてない、というかしてもいないのですが。
ただ追い詰められると、なりふり構わず手段を問わず後先考えずに出来ることはなんでもやる。仲間との連携を考えてないので、周りの被害とか最初から考慮せずにやれる。そして千早ちゃん個人のあのどれだけ追い詰められていても、「やる」というコミュ障の割に変なアグレッシブさが、この異世界での個人事業における異様な戦果……ついには悪徳企業を一つ飛ばしちゃいましたからね。をあげる結果に繋がっているようにも感じます。
いやでも、ここまで他人とコミュニケーション取れないようでは、これから仲間が増えたりとか、連携して大きな案件を、とかいう展開にはならなさそうだなあ。あくまで周囲を勘違いさせつつ、ひたすら千早ちゃんが半泣きになりながら「なんでーー！？」と叫びつつ、被害を撒き散らしていく方向になるのだろうか。
千早ちゃんが成長して人と関われるようになっていく、みたいな傾向は今の所一切ないですし。そちら方面での変化の予兆みたいなものは一切ないですし。この子、自分が生き残れる環境を求めてサバイバルしていますけれど、環境に自分が適応して変化しよう、自分が変わろうというという方向の考え方は
全然無さそうなんですよねえ。千早ちゃんというキャラクターは固定でずっとこのまま行きそう。
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