【我輩は猫魔導師である ６ ~キジトラ・ルークの快適チート猫生活~】 　猫神信仰研究会／ ハム サーガフォレスト

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トマト様を布教する足がかりとして、ペーパーパウチを作れるクロスローズ工房との提携を果たし、何だかんだあって会社を作ることになった転生猫のルーク。 もうこれペットの仕事じゃなくない？と思いつつも、会社の後ろ盾になってもらおうと王弟（次期国王）ロレンスに挨拶に伺うのだが……!?　 様々な出会いを得た王都編、ついに完結！ チートな猫さんは懐かしきリーデルハイン領への家路につく！

前巻の終わりに引き続いて、新進気鋭の拳闘士であるユナさんと、魔族の若き俊英ウィルヘルムくんの恋模様のお話が。これWeb版にはなかった加筆分だと思うんですけれど、意外なことにユナさんの方が一目惚れで、アプローチも彼女の方からなんですよ。とにかく拳闘バカで試合かトレーニング、暇が出来たらさらにトレーニング、みたいな頭拳闘脳な娘さんで色恋沙汰なんか一番縁遠そう、遠いどころか自分からは見向きもしなさそうな娘だったのに、初々しくもう少しお話してみたい、とルークさんたちに間を取り持ってくれるようお願いしてくるあの積極性にはびっくりしました。
いきなり色めき立ってガツガツと食いついてくる、みたいな感じではなく、熱に浮かされて眼の前がピンク色になっているという風でもなく、でも自分の中に生じた気持ちに戸惑うとか迷うとか怖気づくみたいな躊躇は一切なく、ひたむきにウィルヘルムくんの人となりを訪ねてきたり、もう一度会えないかと頼んでくるあの一気呵成っぷりは、ユナさんの激しい感情の揺れは見せないのに不屈でダメージを恐れず突き進んでくるバトルスタイルに良く似合っているのかも。
ウィルヘルムくん、あれで二十代半ばなのかー。姉や妹に振り回されて非常に出来た人となりで苦労人の青年ですけれど、傍目にはクロードくんと同じくらいかなあ、という印象だったんですよねえ。
このユナさんの社交界でのサポートや恋模様の応援などで、Web版よりもさらにユナさんやノエルとの仲も深まって、この王都編ではほんとルークさんの正体を知る人増えましたよねえ。だいたいルークさんの方からバラす教える形になっているのですが、もう必要とあらば正体明かすことに躊躇がなくなってきたな、ルークさん。まあちゃんと相手の人を見てのことで、明かしても大丈夫な良い人たちばかりでもあるのですけれど。
そんな中で、ほぼ独自にルークさんが只者の猫ではない、と辿り着いたノエルはちょっと特別感ありますよねえ。

そして、王位継承に纏わる内乱寸前のネルク王国をその献身で救ったロレンス王子。クラリス様と変わらない年齢、一つ年下なんでしたっけ？　まだ９歳にも関わらず、とても賢くて謙虚で英邁で大人びていて。かわいい。そう、賢くてかわいい男の子なんですよ。ほんともう賢いの。
その人品が知れた途端に、ルークさん周辺で評価がうなぎのぼりの滝登りになってしまった少年というにもまだ幼い男の子である。
でも、まだルークさんやリーデンハイン子爵家の面々のことは全然知らなかったんですよね。
今度、ロレンス様と王妃の護送をリーデンハイン家が担当することになったのを機会に、リオレット陛下が将来的にロレンス様を後継者にして国王の座を退くつもり、という方針を聞いていたこともあり、またトマト様普及のためにルークさん会社を作ることになったわけですけれど、周囲に相談した結果それじゃあ現状権力中枢にはいないけど王族で、将来国王になるロレンス様に後ろ盾となるよう名義貸してもらうのが一番じゃない？　と、いう結論が出たので。護送の挨拶のタイミングでルークさんの正体を明かして仲間に引き入れることに。
ああ、反応が年相応の男の子らしい初々しさで、可愛い。ほんと賢可愛いｗｗ
ここで同世代ということで、クラリス様も一緒にロレンス様の侯爵領への護送に同行して付き添うことになったのですけれど、ちょうど表紙絵のシーンですね。宮中で実質孤立していたロレンス様は元より、クラリス様も同世代の年頃の子供とはあんまり縁がなかったんですよね。それにふたりとも精神年齢が大人過ぎて、ぶっちゃけそこらの大人顔負けどころか、上澄みレベルの大人たち並に、もしかしたらそれ以上に賢いんじゃないの？　という二人である。とても同世代の幼い子供とは話が合いそうにもない……いや、この二人って本当に賢いから周りに合わせて話するのは造作もなさそうなんだけれど、それでも相手に気を使って相手に合わせて話をするんじゃなくて、そのままの自分で話が合う同世代はいなかったでしょうからねえ。
もう見るからにお似合いなんですよ。
そのうえで、ロレンスさまってばクラリス様のこと、すごく初々しい感じで意識しちゃって、気になってしまっていて、ちょっと恥ずかしがりながら時々顔を赤くしながらクラリスさまのこと見てるんですよ。
もう、めっちゃかわいい。初恋だーー！！　本人大人びているけれど、そういう所は年相応でまだ色恋とか全然わかんない年齢ですよ。だから、自分の中に生じている淡い熱の意味、全然わかってないんですよね。かわいい、それが初恋だよ男の子ーー！！
一方でやべえのがクラリスさまの方でありました。この子、内面でどう考えているのかあんまりはっきりと感情の起伏を見せないので伺い知れないところがあるのですけれど……。
なんかロレンスさまのこと、琴線に触れたのは間違い無さそうなんですよね。わかりやすい感じのロレンスさまと違って、明確な反応は示していないのですけれど、なんかこうがっつり狙いを定めた、みたいな気配を感じる！！　クラリスさん、ロレンスさまのことロックオンしてません！？
なんか唸り声一つ立てずにひっそりと佇んでいる狼が、視界の端でジーッと獲物をターゲットに見定めたような触れてもいないのに完全に食らいついているようなヤベえ気配が。
クラリスさま、まだ幼女なのにちょっと魔性すぎません？　クールで淡々としているのに、肉食系なんですかもしかして？！　この肉食、猛烈な勢いで追いかけてきたり、襲ってきたり、飛びかかってきたり、とかいう激しいアクションは一切ないまま、ひたひたと足音もなくでも堂々と真正面から歩いてきて、なんでかピクリとも動けないまま気がつくとゆっくりと喉元を噛みつかれて仕留められてそうなヤバさがあるんですが。絶対勝てそうにないんですけどｗ

ちなみに、まだ９歳とか１０歳とかの年齢から親密に日々を過ごすようになったら、それはもう幼馴染ですよね！！
ルークさんのお手軽移動法でどれだけ離れててもあっという間に会える上に、最低でも毎月一回はお茶会することになりましたし、月一回と言わずそっこうで何かあったらポンポンとすでにこの巻の中でも遊びに行ってますし。
完全に幼少期から一緒に過ごす幼馴染ルートに入りましたよね。

新規幼馴染カップル誕生、ご案内！！

最古参の幼馴染作家たる渡瀬先生が、ついに幼馴染という関係の始まりから描く最強の幼馴染カップルが世に生み出されてしまったかもしれない。
すでにクロードくんとサーシャさんという熟年夫婦めいた幼馴染カップルが居るというのに、たまんないなあ。
にしても、クロードくんとサーシャさんってサーシャさんの方、凄くちゃんとメイドとして控え目に振る舞っているのに、王都での二人を見ているとむしろクロードくんの方が甲斐甲斐しく見えるの不思議ですよねえｗ


王都のトラブルも漸く収束。これで王都編終了で領地であるリーデンハイン子爵領に帰る、という話になってますけれど、ルークさんほんと移動簡単にしちゃうんで、あんまり距離関係なくあっちこっちに場面が飛ぶから、位置関係あんまり意味ないですよねｗ
会社設立の案件で王都にも度々顔を出すことになりますし、今度はネルク王国にとどまらずにあっちこっちの隣国にも首を突っ込むはめになりますし。この猫、猫らしくのんびりする暇なくずっと大忙しじゃねえ？

しかし、ネルク王国の貴族社会も大衆も巻き込んだ一大興行となっている拳闘……ボクシングだけじゃなく、聖教会関係で開催されている音楽会……宗教色が強いのかと思ったら、むしろ逆でこれアイドル・ロックフェスじゃないですかーー！！　アイドルユニットみたいなのが歌って踊ってしてるｗｗ

面白いのが、ボクシングといい音楽フェスといい、ルークさん以前の転生者たちが持ち込んだ文化なんですけれど、それが上っ面じゃなくてちゃんと国や街の文化やお祭りとしてしっかり根付いている様子なのがいいんですよねえ。拳闘なんか、関連企業がわんさとあって一つの経済の根幹になっていますし、選手たちも大衆や貴族のスターとして国家や地域文化の中でしっかりとした役割を得ている。
音楽会の方もあれ、色々と裾野広く文化として根付いているのでしょう。異世界産のこういう文化って、どうも浮いて見える事も多いので、これだけ歴史感のある地元の人達が育ててきた文化として感じられるケースはあんまりないだけに、こういう所に世界観の奥深さを感じさせられます。
こういうところ、ほんと好きだなあ。








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