徒然雑記 : 妄想好き転生令嬢と、他人の心が読める攻略対象者２ ~ただの幼馴染のはずが、溺愛ルートに突入しちゃいました!?~　★★★☆

【妄想好き転生令嬢と、他人の心が読める攻略対象者２ ~ただの幼馴染のはずが、溺愛ルートに突入しちゃいました!?~】　三日月さんかく／宛 Dノベルf

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健全な乙女ゲーム『レモンキッスをあなたに』の世界で、モブキャラに転生した私・ノンノ。
エッチな妄想に胸をときめかせる日々の中、他人の心が読めてしまう幼馴染のアンタレスから求婚され、婚約まですることに!
ただの幼馴染だったアンタレスに恋心を自覚してからというもの、超絶美形な彼にドキドキさせられっぱなし。
ついに憧れだった初キスまで交わし、その先に思いを馳せるけど――ここは健全な乙女ゲームの世界だからその先は……強制終了!?!?
一方のアンタレスは、そんな私の気持ちも知りつつもグイグイ迫ってきて――。
エッチな妄想もつつ抜け!?
〈妄想お嬢様×エスパー美少年〉の笑撃ラブコメ、笑いも甘さも2000%の第2弾!

他人が心のなかで何を考えているかがわかってしまう、サトリのような呪いを持ってしまい、原作ゲームでは人間不信のヤンデレに成長してしまうはずだったアンタレスくんを、前世でお行儀よく過ごしてそのまま死んでしまった未練から、幼女の頃からドスケベ妄想を逞しく思い巡らせまくって、それを幼児アンタレスくんに見せつける、という変態露出プレイをかまして彼の性癖を歪めてしまった大罪人ノンノちゃんの、イチャラブストーリーである。
あんまりと言えばあんまりなノンノの妄想を見て育ってしまったアンタレス。人の心の闇に気を取られる暇もなく、ノンノのドスケベに振り回されて悩ましい少年時代を過ごした彼ですけれど、幸いにして頭ノンノ状態に染まらずに、彼女の妄想をときに窘め、ときに説教して、ときに周りにバレないように隠蔽し、ときに公共の場でぶちまけないように上手いこと誘導発散させ、と苦労は絶えないけれどそれなりに真っ当に育ったと思ってたんですよね、アンタレスくん。
さりとて、この強制的に健全を強いる世界に染まって潔癖だったり無知無垢になったりもせず、それなりにバランスの取れた落ち着いた、ノンノの暴走を制御できる青年に育ったと思ってたんですけどねえ……。

でも、冷静に考えると、幼い頃からこの健全世界ではあり得ない知り得ない存在し得ないドスケベ妄想を、それはもう多感な子供時代から見せつけられ続けた男の子の性根が、性癖が、果たして健全でいられるものだろうか！？
そう、ノンノはこの健全世界には存在してはいけない、ドスケベエロエロモンスターを生み出してしまったのではなかろうか。
その傾向は、もうあのねっとりキスでだいぶ証明されていたような気もするけれど、更にはノンノ方からキスするように迫るだけならむしろ可愛いけれど、猫がハムスターを甚振るようにネットリとキスするように仕向けてくる、あれは絶対Sだな。そして相当にねちっこい。
結婚するまではえっちい事禁止、というのを世界の摂理として定められてしまって、その一線を越えようとすると強制的に阻止されてしまう、という環境の中で可能な限りのエロスを欲望の限りを尽くそうとしているんですよね、この青年。普段はノンノの奇行に振り回されてばかりなのに、いざスイッチが入るとこれだからなあ。
幸いにして、そのねちっこい愛情の向ける先はノンノ限定なので、このエロエロモンスターが野に解き放たれることは絶対にないので、そういう意味では安心安全のドスケベモンスターである。ただしノンノ、てめえは例外だ（自業自得
お前が生み出し育てちゃったんだからなあ、責任持ってなんとかしろよー。
意外にもあれだけドスケベ妄想して生きてきたくせに、いざ実践となるとほぼほぼエロ耐性がないことが発覚してしまっていましたからね、前巻ですでに。だから、本巻でもいざアンタレスに攻めに回られると完全に籠の中のハムスターである。
変な薬を飲んだせいで、エロスへの求道心を失いこの健全世界に相応しい純情な子へと変身してしまった際に、自分のこれまでのドスケベに対して恥ずかしさでどうにかなりそうになってしまっていたの、あれってむしろ純情さを植え付けられたというよりも、元のエロ耐性のなさを前面に引っ張り出された感じもあるんですよね。
しかし、自分のドスケベさをアンタレスに見られることに、恥じらいはあっても全然隠す気はないし見ても全然オッケーだよ、恥ずかしいけど。というのは、ある意味露出狂の一種ではなかろうか。
それで救われたとはいえ、アンタレスの性癖が歪むのもこれ仕方ないよね。まあ原作ゲームの様子を見ていると元から歪んでいたところに新たな性癖を植え付けられた、というべきなのかもしれないけれど。
ちょっとノンノが純情になって恥ずかしさのあまりアンタレスから距離置いただけで、一瞬で病んだからな、この男。ノンノ、そんなに精神安定剤効果あったの！？
この男、結婚してドスケベ解禁になったらあっという間にノンノをドスケベ調教して開発してしまいそう。なかなかヤバげである。ほんと、ノンノ限定で良かったね（自業自得

一方でどちらかというと原作ゲームっぽく健全かつ真っ当に愛を育んでいくゲームの主人公のスピカと、呪い持ちのプロキオン。負の感情を抱くと身体に激痛が走る、という呪いを生まれた時から持ってしまい、それが故に生来感情の発露薄く何を考えているかわからないその立ち居振る舞いと、呪い持ちへの偏見から周囲から恐れられ嫌悪されて生きてきたプロキオン。でも、その心根は無垢と言っていいほど純朴で、良く知ってみると無感情ではなく茫洋とした穏やかでおおらかな性格の持ち主で、恐ろしく動物に好かれているような優しさだけを塗り固めたような人物で、人の心を勝手に読んでしまうアンタレスをして、一緒にいても苦痛に感じないどころかとても穏やかな気持ちになる好青年なんですよね。
ノンノに避けられて病んで荒みかけてたアンタレスが癒やされるほどですから、よっぽどである。
でも、なかなか周囲や社会と馴染めず、お互いに愛しているはずなのにすれ違ってしまっている両親との関係も含めて、人の世界から一歩外に外れてしまい孤立していた彼を、その人となりを知ったスピカが一生懸命橋渡ししていく、という話の展開が実に乙女ゲームの本道のようで、見ていて純愛だなあ、安心できるなあ、とほっこりしてしまいました。
スピカさん、ノンノと仲良くなった影響で妙にアグレッシブになっていたり、プロキオンがスピカだけじゃなくてアンタレスやノンノとも親しくなることでさらに彼の世界が広がっていく、などこの作品らしいコメディなドタバタのノリに染まってるような部分もありましたけれど、よりハッピーエンドな方向へと進んでいて、実に微笑ましい顛末でした。スピカもプロキオンも変な影響でちょっと前のめりになった分、普通の恋心や愛情を頭が理解する前に情緒で突き進んでしまったために、深い絆で結ばれながらもまだ恋愛感情を置き去りにしてしまった、というかすでにもうそれは心のうちにあって燃え盛ってるんだけどまだ理解が追いついてない、みたいな状態になってしまっていましたけれど、これはすぐに追いついてくるだろうから、心配はなさそうですね。