【聖剣学院の魔剣使い １６】 志瑞祐／遠坂あさぎ MF文庫J
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大人気シリーズ堂々完結!転生魔王の超無双ファンタジー最終巻!
激闘の末、虚無の〈門〉となった〈剣聖〉を倒したレオニス。全てが終わったかと思われたその時、姿を現したのはリーセリアの父、エドワルド公爵だった。
〈異界の魔王〉と契約した彼は告げる。〈魔王〉の力によって人類を救済する、と。〈魔王計画〉――その計画はしかし、この世界に生きる人々の多くを犠牲にするものだった。
父を止めるため剣をとるリーセリア。だが、その時、破壊したはずの〈門〉の中で〈虚無の女神〉が目覚めはじめる。
世界の命運をレオニスに託し、最後の力を使うロゼリア。
破滅の運命に抗うため、第十八小隊は〈第〇九戦術都市〉に乗り込み、最後の決戦へ――!
シリーズ完結！！ って、あれ！？ 完結なの！？
そんな予兆ありましたっけ？ 話の展開的にもまだまだ続くと思ってたんですけれど、まだ解決していない問題なども多々ありそうでしたし。
いやでも、桜蘭の話もヴォイドの真実もどうして歴史が一度途絶えたのかも、世界の秘密もだいたい明かされたんだったか。
ただ世界観の設定の方はだいぶ明快になったんだけれど、人間関係の方はわりと放置な案件が多かったような気がする。現代で目覚めたエルフの勇者ちゃんとか、復活したはいいもののほったらかしにされてる影の女王とか、レオニスくんほぼ忘れてただろ。エルフの勇者の方は剣聖の弟子ということもあり、前回の剣聖との決着に何らかの形で噛んで彼女なりの心の決着や整理みたいなものがつけられたら良かったのだけれど、この子結局魔王討伐のために過去から送り込まれてきた時から状況の理解が進んでいなくて、目的についてもアップデートの機会がないまま、とにかく目の前のヴォイドから周りの人たちを守らねば、と応急的場当たり的に助けてまわるばかりで、物語の本筋に殆ど絡めないままラストでも結局放置状態になってしまったので、可哀想だったなあ、と。影の女王さまについては、さらにガチで放置でしたし。
いやそもそも、あのラストはレオくんとセリアさんたち、投げっぱなしも良いところなんじゃないかな。いや、ちゃんと引き継ぎとか伝言とか別れとかそういうの済ませてる暇もなかったとはいえ、一言もなく異界へと旅立っちゃった挙げ句に１０００年経つまで帰ってこなかったわけですから、コールドスリープで待ってた小隊メンバー除いて他の人達はもう非定命種以外はあれっきりだったわけですから、それぞれの問題や人間関係も全部投げっぱなしですもんね。孤児院の仲良かった子らとも、一瞥もなし。同じ学院の面々にしてもそれっきり。というか、ヴェイラをはじめとした他の魔王たちは、生きてたとしてもさすがに激おこなんじゃなかろうか。リヴァイアはともかくとして、ヴェイラはさすがにあの扱いは可哀想じゃないか。ほんとに一言もなく、でしたもんね。
打ち切りなんじゃないか、というくらいの巻き展開だったような気がします。
本作って、敵性存在であるヴォイドがそもそも知性もない存在自体が破壊で破滅というやつなので、色々と企むのは人間だったり、ヴォイドに汚染された英雄や神だったりするので、敵として黒幕的な暗躍をするやつ、ラスボスとしてすべてを動かしている存在、みたいなのが居なかったんですよね。いや、厳密には居たんだけれどあいつラスボスにはなり得なかった小物だったしなあ。それにもう何巻も前に倒されちゃったし。そういう意味では、ラスボスが日替わり弁当みたいに交代で移っていくようなところがあって、敵側に貫目が足りてなかったんですよね。
ヴォイドという存在自体があまりにも強大で、本当の意味で世界を滅ぼす災厄だったので、それを食い止める方法を突き詰めて総力戦になっていく、というのが最終盤の流れだと思ったのですが、そこに食い込んできたのが、犠牲を許容して少数の人間を生き残らせようという救世計画を持って唐突に突っ込んできたセリアさんのパパの公爵閣下と異界の魔王が一番最後の主人公たちに立ちふさがる相手になってしまったので、結局ヴォイドにどう対処するかの方針の食い違いによる対立が最終決戦になってしまったのは若干盛り上がりにくいものがあったと思います。
ヴォイドから人間を生き残らせるために、ヴォイドを使役しているというのもなんか微妙でしたしね。
それに、レオくんが過去に君臨した魔王だった、という秘密が仲間たちにバレるときのシチュエーションというのは、このシリーズの一番の醍醐味だったと思うのですけれど、なんか普通に告白して普通にそうだったんだ、で受け入れられてしまってあっさり片付いてしまったのはちょっと肩透かしでしたよ！？
いや、いまさら小隊の面々がレオくんの正体を知って葛藤したり、ということをする理由もないので受け入れられるのは全然いいんですけれど、もうちょい格好良い正体バレ、絶体絶命の危機に魔王として姿を表す、という定番の燃えるシチュエーションとかも一切なしでしたからね。
この正体がなんであろうと、お前は皆からおこちゃま扱いで可愛がられる弟分なんだよ、というあたりに徹底していたのは、本作らしいのかもしれませんが。
結局レオくん、１０歳で年齢固定されてしまって成長しなくなる、という永遠のショタになってしまったからなあ。
なんかまじで急遽巻いて締めました、という後半特に急ぎの展開だった気がしたのは長く続いて楽しんできたシリーズだっただけに、ちともったいなくて余韻が味わえなかったなあ、という思いです。
しかし、最終的にセリアさん、魔王まで昇格するのか。一応、レオくんとは下僕から対等の立場になったのね。麾下眷属のアンデットでありつつ、ずっと主従じゃなくて姉と弟という意識だったセリアさんなので、別に同じ魔王になって対等になろうが、レオくんは弟、というのはもうセリアさん的には変わらなかったのかもしれませんが。永遠にショタになってしまいましたしね！ まあ弟分からあんなにえちぃ血の吸い方をするのははしたなくて教育に悪いと思いますよ、お姉さん。
