【Tier1姉妹 有名四姉妹は僕なしでは生きられない】 紙城境介／成海七海 角川スニーカー文庫
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才能も可愛さも《最上級》!! そんな四姉妹と一つ屋根の下で共同生活!?
校則違反のバイトがバレた苦学生・君永織見。退学免除のために理事長宅の家事代行をすることになったのだが――
その吉城寺家には、誰もが憧れる才能を持つ美少女四姉妹が住んでいた!
絵師VTuber・長女菊莉。人気配信者・次女蘭香。プロゲーマー・三女梅瑠。天才声優・四女竹奈々。
しかし才能の代わりに、食事はデリバリー、下着は脱ぎっぱなし、気づけば織見と同じベッドで寝ていたりと生活面は自由奔放で!?
姉妹の“素の顔”に惑わされつつも、その家事能力で信頼を得ていく織見に、1通のメッセージが届く。
『今度も、私を選んでくれるよね?』
一つ屋根の下、四姉妹を巡る運命が動き出す!
Tier1姉妹ってなんぞ？ 「Tier」がタイトルで巻数表記が１姉妹 ２姉妹って数えるのか？と混乱してしまいましたが、「Tier1姉妹（ティアワン・しまい）」で合っている模様。
「Tier1」てのは色々と業界によって異なる意味があるみたいですけれど、この場合は階層とか格付けで最上位って意味でいいみたいですね。
つまり最上位格付け姉妹？ 上流階級姉妹？ みたいな感じでいいのかしら。
四人ともに、今世間で評判の有名人姉妹。この有名人として扱われる四人の職種がそれぞれ、絵師でVTuber、動画配信者、プロゲーマー、声優、というのはなんというか時代を感じさせます。
一昔前だとテレビのアイドルとかモデルとかトップアスリートとかだったのに。
いや、一昔前じゃなくても最近でもこのへんのラインナップは王道な気もしますけどね。週刊少年サンデーで今連載中の【帝乃三姉妹は案外、チョロい。】なんかも、俳優・格闘家・女流棋士というあたりで……いやこれもちょっと方向違うか？
ともあれ、四人ともこれアバターを介していたり違う自分を演じたりしている娘たちである、というのはなかなか意味深だと思う。次女の蘭香は自分で動画出てるんで自分を曝け出している、とも言えるけれど、素の自分を曝け出しているのとはまた少し違いますしね。
そういう意味で、主人公の君永織見は家事手伝いということで彼女たちの私生活に介入することになり、アバターや画像の向こう側ではない生の彼女たちと接することになるわけだ。
まあ織見くんは苦学生という事もあって、四姉妹の仕事をこれまで直接見ることはなく関心も興味もなかったので、ギャップに戸惑うなんてことはないのだけれど。
それでも生の彼女たちと接することで惹かれる面もあるけれど、生身の人間ゆえの生々しさにも直面する事になる。それは、きれいに繕われた彼女たちの外面と違って私生活ではだらしなく家事も出来ていない、とかそういう生活能力に乏しいとかいう面だけじゃなく……性格の歪み、というより人間が人間であるからこそ必然的にあるだろう卑しさとか愚かしさとか、醜い部分浅ましい部分だって目の当たりにする事もある。
人を好きになる。恋愛する。付き合うってのは、そういうネガティブな部分も含めて向き合うもんだ、ってのは【連れカノ】の方でもトコトンやってる所で、本作でも後半に進むにつれて、ヒロインや主人公の掘り下げ、彼らの過去を浚い暴いていく過程でそのへんも浮き上がってくるんですよね。
これ、かなりドロドロの粘っこい話なんじゃないのか？ そもそもこれ、一旦破綻して大破炎上してるじゃないですか！！ 四姉妹の正体というか素性もこれ一筋縄では行きませんし。姉妹ゆえの絆というものには、無条件の信頼を寄せない方がいいかもしれない。
だいたい、四人ともこれ自覚的か無自覚かの違いはあるかもしれないけれど、湿度と粘度が思いの外高すぎる！！ ヤンデレとまでは行かなくても、相当にネチャっとしてる資質があるぞ。
四人とも、織見に固執する理由は多分に持ち合わせているわけですし。露呈していないだけで。露呈していない段階で密かに目論んでいるやつもいたわけですし。
こうしてみると、リスタートから一番真っ当に恋のし直しをしてるのって四女の竹奈々くらいなんじゃないの？
次女の蘭香はなんというか、振れ幅が大きすぎる。あそこまで完全に依存体質のズブズブになってしまうとは。いや、逆にあそこまでズブズブになるまで織見くんが甘やかしてしまった方が異常なんですよね。織見くんの性格からして、ダメなもんはダメだときっぱり突き放しそうなものなんだけれど、実際本当にダメになる寸前でバッサリ断ち切ってしまうのだけれど、そこまでひどくなる以前に止められなかった、というのがこれ、どちらかに原因があるのかそれとも両方の相乗強化が発揮されてしまったのか。
面倒見は良いけれど、織見くんって若くして苦労してきただけあって、割り切りはしっかりしているし、決断力はあるし、なあなあで流さない意思がガッチリ固いタイプだと思われるのだけれど、あそこまで甘やかしてしまったのは……なんでだろう？
いや、彼もおかしいっちゃおかしいんですよ。もう中学生の妹とまだ普通にお風呂入ってるとか、妙に常識がぶっ壊れた所がある。男女関係について、なんかしらネジが飛んじゃっている可能性もあるんだよなあ、幼少期の経験から。失われた記憶の向こうで、相当の何かがあったみたいだし。その概要らしきものは、長女によって明らかにされたけれど、まだ詳しいところはわかってないし。
あの妹との関係も完全におかしいですもん。シスコンとかいうレベルじゃないぞ。しかも、織見くんそれなりの年齢になってからの養子だから、お互い血が繋がってないことは知っているのに。
長女の菊莉は菊莉で、アレでしたからね。いやいやいや、それは全然想像していなかった。ってか、これはわかって然るべきだったのか？ 最近、予想外くらいことが多くって以前と比べて想定の幅が狭まってるんじゃないか、と危惧してしまう。
織見くんのあの学校のぼっちさ加減を目の当たりにしてしまうと、一人だけやたらと距離感近い親友がいる、というのは途中から凄まじい違和感を覚えていて、ガチでイマジナリーフレンドか特殊能力とか異能の産物みたいな可能性を考えてしまったんだが、そ、そ、そう来たかーー。
そっからの怒涛の過去展開がすごかったわけですけれど、この四人プラス織見くんの関係性が絡まりすぎてて、一度完全にぶっ壊れた挙げ句に今度は癒着しそうってなもんで、ひえええ、ってなってますよ。
これ仕組んだのが全部覚えてた菊莉さんだったというのなら、まだ話はスッキリするのですけれど、菊莉さんは何も知らなかった、というし。
ええ、黙ってずっと何考えてこの状況を構築したんだ、あの人？ 怖い、ドロドロしててかなりハラハラドキドキさせられてしまいます。ただ、先々を見通して謀略を組む、みたいなのはこの人には似合わないんですよね。その掘り下げられ方を見ると、不器用ですらある。不器用だからこそ、出来ることを愚直にやろうとしてこうなっているのだとしたら、この娘が主導権を握っているってわけじゃないと思うんですよね。そう想像すると、なんかグッと来てしまいました。わたし的にはこの娘が一推しかも。いやまだ実際どうなのか描かれてないのでわかんないんですけどね。
「Tier1」てのは色々と業界によって異なる意味があるみたいですけれど、この場合は階層とか格付けで最上位って意味でいいみたいですね。
つまり最上位格付け姉妹？ 上流階級姉妹？ みたいな感じでいいのかしら。
四人ともに、今世間で評判の有名人姉妹。この有名人として扱われる四人の職種がそれぞれ、絵師でVTuber、動画配信者、プロゲーマー、声優、というのはなんというか時代を感じさせます。
一昔前だとテレビのアイドルとかモデルとかトップアスリートとかだったのに。
いや、一昔前じゃなくても最近でもこのへんのラインナップは王道な気もしますけどね。週刊少年サンデーで今連載中の【帝乃三姉妹は案外、チョロい。】なんかも、俳優・格闘家・女流棋士というあたりで……いやこれもちょっと方向違うか？
ともあれ、四人ともこれアバターを介していたり違う自分を演じたりしている娘たちである、というのはなかなか意味深だと思う。次女の蘭香は自分で動画出てるんで自分を曝け出している、とも言えるけれど、素の自分を曝け出しているのとはまた少し違いますしね。
そういう意味で、主人公の君永織見は家事手伝いということで彼女たちの私生活に介入することになり、アバターや画像の向こう側ではない生の彼女たちと接することになるわけだ。
まあ織見くんは苦学生という事もあって、四姉妹の仕事をこれまで直接見ることはなく関心も興味もなかったので、ギャップに戸惑うなんてことはないのだけれど。
それでも生の彼女たちと接することで惹かれる面もあるけれど、生身の人間ゆえの生々しさにも直面する事になる。それは、きれいに繕われた彼女たちの外面と違って私生活ではだらしなく家事も出来ていない、とかそういう生活能力に乏しいとかいう面だけじゃなく……性格の歪み、というより人間が人間であるからこそ必然的にあるだろう卑しさとか愚かしさとか、醜い部分浅ましい部分だって目の当たりにする事もある。
人を好きになる。恋愛する。付き合うってのは、そういうネガティブな部分も含めて向き合うもんだ、ってのは【連れカノ】の方でもトコトンやってる所で、本作でも後半に進むにつれて、ヒロインや主人公の掘り下げ、彼らの過去を浚い暴いていく過程でそのへんも浮き上がってくるんですよね。
これ、かなりドロドロの粘っこい話なんじゃないのか？ そもそもこれ、一旦破綻して大破炎上してるじゃないですか！！ 四姉妹の正体というか素性もこれ一筋縄では行きませんし。姉妹ゆえの絆というものには、無条件の信頼を寄せない方がいいかもしれない。
だいたい、四人ともこれ自覚的か無自覚かの違いはあるかもしれないけれど、湿度と粘度が思いの外高すぎる！！ ヤンデレとまでは行かなくても、相当にネチャっとしてる資質があるぞ。
四人とも、織見に固執する理由は多分に持ち合わせているわけですし。露呈していないだけで。露呈していない段階で密かに目論んでいるやつもいたわけですし。
こうしてみると、リスタートから一番真っ当に恋のし直しをしてるのって四女の竹奈々くらいなんじゃないの？
次女の蘭香はなんというか、振れ幅が大きすぎる。あそこまで完全に依存体質のズブズブになってしまうとは。いや、逆にあそこまでズブズブになるまで織見くんが甘やかしてしまった方が異常なんですよね。織見くんの性格からして、ダメなもんはダメだときっぱり突き放しそうなものなんだけれど、実際本当にダメになる寸前でバッサリ断ち切ってしまうのだけれど、そこまでひどくなる以前に止められなかった、というのがこれ、どちらかに原因があるのかそれとも両方の相乗強化が発揮されてしまったのか。
面倒見は良いけれど、織見くんって若くして苦労してきただけあって、割り切りはしっかりしているし、決断力はあるし、なあなあで流さない意思がガッチリ固いタイプだと思われるのだけれど、あそこまで甘やかしてしまったのは……なんでだろう？
いや、彼もおかしいっちゃおかしいんですよ。もう中学生の妹とまだ普通にお風呂入ってるとか、妙に常識がぶっ壊れた所がある。男女関係について、なんかしらネジが飛んじゃっている可能性もあるんだよなあ、幼少期の経験から。失われた記憶の向こうで、相当の何かがあったみたいだし。その概要らしきものは、長女によって明らかにされたけれど、まだ詳しいところはわかってないし。
あの妹との関係も完全におかしいですもん。シスコンとかいうレベルじゃないぞ。しかも、織見くんそれなりの年齢になってからの養子だから、お互い血が繋がってないことは知っているのに。
長女の菊莉は菊莉で、アレでしたからね。いやいやいや、それは全然想像していなかった。ってか、これはわかって然るべきだったのか？ 最近、予想外くらいことが多くって以前と比べて想定の幅が狭まってるんじゃないか、と危惧してしまう。
織見くんのあの学校のぼっちさ加減を目の当たりにしてしまうと、一人だけやたらと距離感近い親友がいる、というのは途中から凄まじい違和感を覚えていて、ガチでイマジナリーフレンドか特殊能力とか異能の産物みたいな可能性を考えてしまったんだが、そ、そ、そう来たかーー。
そっからの怒涛の過去展開がすごかったわけですけれど、この四人プラス織見くんの関係性が絡まりすぎてて、一度完全にぶっ壊れた挙げ句に今度は癒着しそうってなもんで、ひえええ、ってなってますよ。
これ仕組んだのが全部覚えてた菊莉さんだったというのなら、まだ話はスッキリするのですけれど、菊莉さんは何も知らなかった、というし。
ええ、黙ってずっと何考えてこの状況を構築したんだ、あの人？ 怖い、ドロドロしててかなりハラハラドキドキさせられてしまいます。ただ、先々を見通して謀略を組む、みたいなのはこの人には似合わないんですよね。その掘り下げられ方を見ると、不器用ですらある。不器用だからこそ、出来ることを愚直にやろうとしてこうなっているのだとしたら、この娘が主導権を握っているってわけじゃないと思うんですよね。そう想像すると、なんかグッと来てしまいました。わたし的にはこの娘が一推しかも。いやまだ実際どうなのか描かれてないのでわかんないんですけどね。
