【魔導細工師ノーミィの異世界クラフト生活 ２ ~前世知識とチートなアイテムで、魔王城をどんどん快適にします!~】 くすだま琴／かるかるめ カドカワBOOKS
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冷え冷えグッズで熱中症対策&ペットの見守りアイテムで魔王城防衛!?
魔王国の細工師として大活躍のノーミィ。地下ダンジョンの罠整備ついでに転移エレベーターを導入したり、ドライヤーに洗濯機、キッチンカーにアイスクリームメーカーと、お役立ちアイテムを次々と作り出していく。
一方その頃、地下ダンジョンには勇者を名乗る侵入者一行が現れて――!?
海でのバカンスに新食材お披露目のお祭り、楽しいことが盛りだくさんのチートなモノづくりスローライフ第2弾!
細工師とは？ と、思ってしまうほど多岐に渡る分野の開発を行い、次々と魔王城の居住環境を快適にしていくノーミィ。
モノ作り系の作品は珍しくないのだけれど、本作ってまず魔王城という限定された空間の環境をどんどんと改善していくので、わかりやすく箱庭的ゲームの充足感があるんですよね。
作りたいものを次々と作っていく、自分だけの住まいの住居環境を整えていく、のとは違う感覚がある。
実際に、そこで働いている人達が困っていること、不便に思っていること、当人たちが仕方ないと諦めていること、そもそも不便不都合と気づいていないことを、ノーミィが見聞きし考え、ときに要望を受けて改善策に頭を捻り、ときにハッと発想が生まれ、ときにあれ？これってこうすれば良くなるんじゃない？ と、思いついた事に次々と挑戦し、それらを改善するための道具を生み出していく。
そうして、目に見えて居住環境、働くための環境が改善され、快適になっていく。この足りないものを埋めていく、見違えさせていく感覚が実にスピーディーで面白い。
夏休みに職場で出来た友人と遊びに行く、という展開もあってその出先の街でまたあれこれと作ってしまったり、と同じ箱庭の中だけで活動するのではなく、場所が広がっていったりするのだけれど、それもレベルが進むにつれて移動可能なフロアが広がっていく感覚なんですよね。
地下のダンジョンの老朽化した罠などの復旧作業なんかもそうですし。
これだけバリバリ働いているのに、ちゃんと労働時間や休暇、福利厚生についても非常に厚く考慮されていて、魔王城の労働環境はピュアホワイトです！というのが伝わってくるお話でもあります。
もうノーミィ無しではやっていけない状態になっているにも関わらず、ちゃんと長期休暇も確保できるようにしてくれているの、何気に凄いなあ、と。
しかし、本当になんでも作れるなあ、この子。基本的に彼女の技能の根幹には魔術紋を刻んだ魔術基盤があり、前世の知識も応用した発想を実現させるのにこの魔術紋が活用されています。これが省エネと小型化、さらに遠隔化にも活用されていて既存の魔導具とは技術の世代が一桁くらい違ってるんじゃないでしょうか。
今の所、この魔術紋の知識については彼女の亡くなった母親から受け継いだもので、世間では全く知られておらず、辛うじて古代文明に纏わるものとして遺跡やごく一部の民族が秘儀として独占しているもののようで、魔王城の外までその名が伝わりだしたノーミィですから、彼女を狙って余計な茶々が入るのは時間の問題なのかも。
まあそんな彼女が暮らすのは、世界有数の要塞であり魔王を筆頭に実力者が多数詰める魔王城なのですが。
とまあ、魔導具の完全新規開発も手掛けるノーミィですけれど、一応あくまで名目上彼女は細工師なので、道具を作るにしても一から全部彼女がガワからなにから作るわけにもいかず、ドライヤーにしても洗濯機にしても外装や器なんかは外注しないといけないわけで、そういう所から他の職人との縁も広がっていくわけですな。
故郷では虐げられ搾取され続けていたノーミィですから、誰かと一緒に共同作業、や仕事を分担して、という経験がなかったのですけれど、そこは優れた職人同士、お互いリスペクトし合ってより良いものを作るための連帯が生まれていきます。ドワーフの親方が送ってくれたスタンド式拡大鏡なんかはその粋ですよね。
また、新しい料理を作るときも料理長と相談しながらになりますし、上司に許可を求め（ここの上司はどんどんやってくれ、責任も持つし資材資金もガンガン出します、というホワイトっぷり）、商会と交渉し、と人の和は広がっていき、そうして作り上げた成果は眼の前の魔王城の人達が喜んでくれて目に見えて環境が改善していく。これはやりがい感じますよ。
でも、何でも出来るノーミィですけれど、彼女にとっての一番のお仕事ってやっぱり宝石の加工なんでしょうね。前世のお仕事だった宝石細工師。友達に送りたいと思って宝石を加工している時のノーミィが一番キラキラしているように見えました。
隣国から送り込まれてきてダンジョンに侵入してきた勇者一行。さくっと追っ払う事になりましたけれど、そのメンバーの一人がノーミィと見た目そっくりだった、というのは今後の波乱要素なんでしょうね。ハーフドワーフのノーミィの母親は一体何者だったのか。次回はそのあたりにスポットが当たりそう。
しかし、夜行性の種族が住人の大半を占める魔王国なのに、日光を浴びて生成されるビタミンが足りなくて国全体に体調不良が蔓延しているって、よく今まで種族としても国としても滅びなかったよなあ。
しいたけは美味しいです。きのこの中では一番好き。
