【フルメタル・パニック! Family ２】 賀東 招二／ 四季童子 富士見ファンタジア文庫
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懐かしき戦友との再会は……弾丸とともに――!?
衝撃づくしの「フルメタ」新シリーズ、待望の第二弾!!
家族四人での平和な日常――“普通の生活”を求めて引っ越しを繰り返す相良家が、とある田舎で再会を果たしたのは……
「こうして三人だけでそろって話すのって、いつぶり?」
「二人とも、こんなおじさんになっちゃって。えらいわよ」
かつて最強の秘密軍事組織〈ミスリル〉にて、宗介と戦闘チームを組んでいたクルツとマオ(と愛娘のクララ)。しかし、そんな彼らの元に物騒なトラブルが舞い込まないハズもなく――
「やっちゃうわよ? 久々に……野郎ども、準備はいい!?」
約20年の時をこえて、伝説のチームが復活! 懐かしき友との再会と共闘――相良家は平穏な日々を手に入れられるのか!?
ウルズチーム再び。ああ、やっぱりこのメンツが揃わないとフルメタル・パニックって感じしないですよねえ。
別シリーズのアナザーでもメインを張っていたマオたち一家だけれど、あのシリーズからも１０年近く経っているんだったか。
マオ姐さんはもうアラフィフ。あのちびっ子クララももう成人ですよ。色んな意味でデッカクなったなあ、クララ。
そしてアナザーの頃よりも見るからにうらぶれたオッサンになってるクルツ。もう見た目からだらしない無職の親父、って感じが出ているのがいっそ素晴らしいですよ。
実のところ、こういう年代のベテラン世代ってさ、子供や若者が主人公の作品だともう別次元の意味わからんレベルの達人で、まさに今が全盛期って感じに若者たちからは見えるんだけれど、本作ではそれこそ彼らが若い頃からその活躍を描いていただけに、そこに衰えや気力能力の減退というものが本人にも自覚がある形、あるいは無自覚に現れているのを見せられるの、ちょっと寂しいですよねえ。
カリーニン少佐やマデューカス中佐はあの頃も現役バリバリだったじゃないか。
しかし今となってはマオとクルツも、宗介とかなめも家庭を持ち子供がいる親となっている。一人で生きていて、その手で愛する人を守れればそれで良かった時代はもう遠く、家族を養い子供を健やかに育てて行かなくてはならない悩みを抱える大人になったんですねえ。
でも、昔の同級生と顔を合わせたらあの頃、いや宗介なんかは社会の中を歩み、人生を重ねた積み重ねもあってか、高校の頃の浮世離れした世間知らずの少年とは違う、相応の良識を備えながら、でもあの頃のようなただ眼の前の友人との楽しさに興じる、子どもたちが知らない顔を見せる。
大人になっても、親になっても、実際のところ何にも中身は変わってないもんなんだよなあ。
でも、着実に変わってもいる。
結局独身で、独り身を謳歌している風間だってわりとしんどい時期があったみたいだし。
でも、風間が精神的にダメになってた時期を、自分たちも余裕がなくて何も力になってやれなかった、って宗介悔やんでるんですよ。そうやって、友達のことで悔やめるって、力になってやりたかったって高校の頃の友だちに思えるって、滅茶苦茶イイ事だと思うんですよ。
宗介にとって、あの陣代高校の時代は、一生涯の友達を得られた宝石のような時間だったんだなあ。
そして、唯一無二の関係というのはかつてのウルズチームの三人も一緒で。
そうかー、ミスリルが崩壊して以来、マオとクルツと宗介の三人だけでつるむ時間ってなかったのか。わざわざそうやって三人だけの時間を作ろう、という発想が出ないくらい、いい家族ぐるみの関係だった、とも言えると思うんですよね。カナメや子供たち、他にも同僚や友人たちか。そういう連中が混ざって一緒にいる事に何の違和感も感じてなかったんだから。それはそれで、素晴らしいことだと思いますよ。
時間作ろうと思ったら、三人だけでちょっと飲みに行こう、みたいな事は別に全然普通に出来ないことはなかったんだろうし。
でも、そういう機会はなく、そういう機会を作ろうとも思わなかった。それはそれで、幸せなことで。
今回、偶然こうして三人だけになって、この三人でちょっかい掛けてきたパートタイム傭兵たちを迎え撃つことになり、かつてのウルズチーム再び、となった時。
なんか凄く感慨深く感じるのもまた、尊い話じゃないですか。
いつくたばるかわからない傭兵稼業。何の因果かこの三人で組むようになって、マオがリーダーで弟分二人がへい姐さんっと従って、そうしていつだってこの三人で死地も危地も切り抜けてきた。
そんな三人が誰も欠けることなく、いい歳したオバサンオッサンになって、それぞれに家族が居て子供がいて、またこうして揃ってバカをやれる。
バカやるのはもうきっとこれが最後だったとしても、楽しい祭りはまだまだずっと続くのだ。
……いやあ、でもまた２０年くらいしても、ジジババになってもこの三人、おんなじ事やりそうだけどね。
夏美は、かすかに宗介の衰えみたいなものを感じ取って、いつかその時が来たら、自分がお父さんを守るんだ、と考えているけれど。
いやあ、むしろアラフォー、アラフィフだからこそ衰えみたいなものを自覚してもうアカンなあと思ったりしちゃって元気なくなるもんなんだけどさ、そこからさらにある程度時期経つともう開き直りみたいなのが生じるんですよ。
むしろ、この時期越えたら逆に意気軒昂になるよ、きっと。だから夏美が本格的に大人になって守ってやらないとと思った頃には、今より元気になってるよ。ジジイババアになったらこういう連中はギャーギャーうるさいくらいになってるって。
宗介とかなめは、特に今は親としても色々と思い悩む時期でもあるんでしょう。夏美や安斗といった子どもたちが平穏な人生を歩むことが難しくなるような特異な才能を開花させつつあることもだし。
これまでかなめの病気や、ウィスパードとして安住の地なく世界中逃げ回らなくてはならない生活もあって、子どもたちに不自由させている、という負い目なんかもあり、家族としてちゃんと過ごしてこれなかった不安もあり。
ふたりとも、親としてはかなり子供に気を使っちゃってるんじゃないですかね、これ。子供たちもまた、親のそういう繊細な部分に気づいていて、こっちはこっちで親に対して気を使っている所がある。
なかなか難しいですねえ。
そう言えば、アナザーの頃はクララのあの狙撃の才能の件で、マオやクルツも結構悩んでる部分ありましたよね。
今のこのマオたちの家族の様子を見ていると、子供らが独り立ちしたらある程度解決する問題のようにも思えるんですけどね。親がどう悩もうとも、結局子どもたちは才能があればあるほど、自分で勝手に飛んでいっちゃうでしょ。特に、この夏美と安斗みたいなのは。
まあでも、息子の方はまだ小学生ですしね。十分親として構って鬱陶しがられないと。
だいたい、子供に構う以前にこの夫婦、お盛んすぎるだろｗ やりたい盛りの高校生じゃあるまいし、どんだけ子どもたちのいない隙を狙ってるんだか。子どもたち置いて二人でホテルに、とか出来ない常に護衛されないといけない環境は大変ですねえ。
……三人目、出来ても不思議じゃ無さそうだなこれ。
そして、ラストにはこれはで本編が終わってから一切何をしているのか、今どうしているのか、の情報がシャットダウンされて音沙汰なかったテッサが、満を持して登場！！
うわぁぁ、テッサがついに出たーー！！
満を持しすぎて、右往左往してたみたいですけど、この大佐。美少女だった頃と比べて美魔女となった今、昔よりポンコツになってないか、この人？
