【転生王女と天才令嬢の魔法革命 ８】 鴉 ぴえろ／きさらぎ ゆり 富士見ファンタジア文庫
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アニスとユフィ、キレる。大人気王宮百合ファンタジーの第8巻!
魔学都市の責任者として過ごすアニスのもとに、王城のレイニから手紙が届いた。
その要件は、ユフィが療養中になったということらしい。
そこには、西部貴族の思惑が絡んでいて――
「どうして私は、貴方を虐げる国なんか守っているんだろう。そう、思ってしまったんです」
「もう、西部は潰しちゃおっか」
二人の革命に、真っ向から対立する新たな勢力の存在。
王になる意味を問われたユフィと、彼女に王を背負わせたアニスが出した、未来へつながる答えとは!?
未来を想う二人VS過去にすがる貴族。
王宮百合ファンタジー、矜持をかけた戦いが始まる!
ストレスで人間として振る舞う余裕がなくなって、食欲や睡眠欲が消失してしまうって、精霊契約者ってそこまで人間性がなくなってしまうものなのか。単に不老の存在になるってわけじゃないのね。
いずれ、超常の存在になっていくとしてもそれは人間としての寿命を超越して精神的に摩耗しだしてから、と思っていたのでここまで短期間に露骨に人間としての機能が喪われる形になるとは思わなかった。
幸いにして、精神の余裕を取り戻したら回復、というか取り繕えるそうなので……って、じゃあもうアニスとあんまり会えない出張状態とか一番アカンやつやないですか。
王国西部の貴族たち。長年放置状態であったのといいことに、好き勝手やって不正の横行、外国との違法な取引などを繰り返して自分たちでがんじがらめになり、自浄の余地を失ってしまったものたち。
その対応をしているうちに、過激派精霊主義の若い貴族からユフィを持ち上げんとしてアニスを貶める暴発を起こされ、ブチ切れてしまったユフィ。
いや、それでもその場で処断、といかずちゃんと我慢したものの、そこでストレスフルになって人間としての振る舞いが崩れちゃったんですね。
そんなユフィのピンチの一報に駆けつけて……ユフィよりもさらにブチ切れるアニスたん。
西側の貴族、全部潰そう。族滅だね、と真顔で言い出すアニスたん。
振れ幅が、振れ幅が極端しゅぎるっ。いや、あなた混乱を招きたくない、荒っぽいことはしたくない。穏当に、急速すぎる改革が内乱や破壊を引き寄せないように、とそればっかり苦慮考慮してやろうとしてきてたじゃないですか。
それを、一部を粛清どころじゃない、西部地域全部族滅だぁぁ！ って、極端すぎですよぅ。
それをやるなら、そもそも誰にも遠慮せずに自分が女王になって、やりたい放題やってしまえば済む話だったんですよね。ユフィに女王を押し付けて、精霊契約者なんかにしてしまって、こんなつらい思いをさせずに済んだのに。
いや、その後悔が今更ながらもう許せん、ぶち壊す、になってしまったんでしょうけど。
結局、アニスは自分がその立場にならないと、アニスが我慢して苦しんでいるのを見て、どんな想いで苦しみ悩んでいたか、というのを本当の意味で実感出来ていなかったわけだ。
アルくんのときと同じである。あの時もアルくんがどんな想いをしているか察せられずに継承権を降りた外野から好き勝手言ってしまって、そのあと自分がアルの代わりに後継者になったら彼が背負っていた苦しみを一新に浴びるようになって、自分のアルに投げかけた言葉がそのまま帰ってきて、苦しみ抜いたじゃないですか。
今回もまた、普段アニスが我慢を強いられながら堪えていたのを、周りの親しい人達がどんな風に思い煩っていたのか。同じようにユフィが我慢を強いられて辛く苦しみぬく想いをしているのを目の当たりにすることで、ようやく実感したわけだ。
即、ブチ切れてしまいましたが。
あなた、それでユフィのストレスさらに爆上げしてたら元も子もねーじゃねーですか。
しかも、やり方がほぼアルくんと同じ方向性の過激さである。西部限定とはいえ、まとめて汚物は消毒じゃーー！ というのはこれ、ほとんどアルくんが独裁的にやろうとしていた粛清と変わらないんじゃないだろうか。
さすがは姉弟である。ってか、アルくんなこんな憤怒をずっと煮えたぎらせて維持していたんですよね。そりゃあんな暴挙になってしまう、というのも今となっては理解できるかもしれません。
もう、一度まっさらにしてゼロからはじめよう、というのも間違った方法ではないのでしょう。本来なら、先代のアニスパパたちの代でやれてしまえばよかったんでしょうけれど、そこまでは踏ん切れなかったんだよなあ。既にパパさんが国王の座についた時点で大貴族や王族の大半が対立の果てに消滅していたので、もう国の維持が出来るギリギリまで粛清がされてしまっていた、という感じみたいですし。
ほんと、先代たちがみんな友達同士で本当の意味で同志で一致団結し続けていたから、国がここまで持った、というレベルだったのでしょう。それでも、とんでもない血が流れる事を恐れなければ、やってやれない事はない人材の集結っぷりだったとは思うんですよね。でも、彼らが選んだのはこれ以上の戦乱を退けた平和な道だった。それを日和った、というのは外野の意見でその調整にどれほど心血を注いできたかは、どれほど苦労を重ねてきたかは伝わるものがあります。
でも、その結果として王家は侮られ、アニスは必要以上に虐げられ、その現状を目の当たりにしてアルが歪んで……とまあ、先代たちも親としてこれで良かったのか、というのはずっと解決しない悩みなんでしょうなあ。
だからこそ、アニスとユフィには思うようにやれるようにずっとサポートしてくれているわけで。
そんなアニスとユフィ、そして先代たちの苦悩と孤独に共感し、自分たちは彼女らを孤独にさせない、彼女たちだけに背負わせない、と奮起するレイニたち次世代が育ち、アニスたちに並び立とうとする気概を見せてくれたのは、まさに次代への希望といえるのでしょう。
非定命となったアニスとユフィは、いずれ王座から去る存在。彼女たちが安心して重荷をおろして自分たちの道を歩き出せるように、彼女たちの分も背負えるものになりたいと次世代の若者たちがメキメキと頭角を表していく様子は、この国が一つの山場を越えたようにも見えました。
西部地域も、国替えで一新ということになりましたし、一気に改革も進むのではないでしょうか。
でもやっぱり、権威と暴力は絶大な力として機能しますねえ。これが背景になければ、西部も大人しく粛清人事に従わなかったでしょうし。やはり力、力こそパワー。
いずれ、超常の存在になっていくとしてもそれは人間としての寿命を超越して精神的に摩耗しだしてから、と思っていたのでここまで短期間に露骨に人間としての機能が喪われる形になるとは思わなかった。
幸いにして、精神の余裕を取り戻したら回復、というか取り繕えるそうなので……って、じゃあもうアニスとあんまり会えない出張状態とか一番アカンやつやないですか。
王国西部の貴族たち。長年放置状態であったのといいことに、好き勝手やって不正の横行、外国との違法な取引などを繰り返して自分たちでがんじがらめになり、自浄の余地を失ってしまったものたち。
その対応をしているうちに、過激派精霊主義の若い貴族からユフィを持ち上げんとしてアニスを貶める暴発を起こされ、ブチ切れてしまったユフィ。
いや、それでもその場で処断、といかずちゃんと我慢したものの、そこでストレスフルになって人間としての振る舞いが崩れちゃったんですね。
そんなユフィのピンチの一報に駆けつけて……ユフィよりもさらにブチ切れるアニスたん。
西側の貴族、全部潰そう。族滅だね、と真顔で言い出すアニスたん。
振れ幅が、振れ幅が極端しゅぎるっ。いや、あなた混乱を招きたくない、荒っぽいことはしたくない。穏当に、急速すぎる改革が内乱や破壊を引き寄せないように、とそればっかり苦慮考慮してやろうとしてきてたじゃないですか。
それを、一部を粛清どころじゃない、西部地域全部族滅だぁぁ！ って、極端すぎですよぅ。
それをやるなら、そもそも誰にも遠慮せずに自分が女王になって、やりたい放題やってしまえば済む話だったんですよね。ユフィに女王を押し付けて、精霊契約者なんかにしてしまって、こんなつらい思いをさせずに済んだのに。
いや、その後悔が今更ながらもう許せん、ぶち壊す、になってしまったんでしょうけど。
結局、アニスは自分がその立場にならないと、アニスが我慢して苦しんでいるのを見て、どんな想いで苦しみ悩んでいたか、というのを本当の意味で実感出来ていなかったわけだ。
アルくんのときと同じである。あの時もアルくんがどんな想いをしているか察せられずに継承権を降りた外野から好き勝手言ってしまって、そのあと自分がアルの代わりに後継者になったら彼が背負っていた苦しみを一新に浴びるようになって、自分のアルに投げかけた言葉がそのまま帰ってきて、苦しみ抜いたじゃないですか。
今回もまた、普段アニスが我慢を強いられながら堪えていたのを、周りの親しい人達がどんな風に思い煩っていたのか。同じようにユフィが我慢を強いられて辛く苦しみぬく想いをしているのを目の当たりにすることで、ようやく実感したわけだ。
即、ブチ切れてしまいましたが。
あなた、それでユフィのストレスさらに爆上げしてたら元も子もねーじゃねーですか。
しかも、やり方がほぼアルくんと同じ方向性の過激さである。西部限定とはいえ、まとめて汚物は消毒じゃーー！ というのはこれ、ほとんどアルくんが独裁的にやろうとしていた粛清と変わらないんじゃないだろうか。
さすがは姉弟である。ってか、アルくんなこんな憤怒をずっと煮えたぎらせて維持していたんですよね。そりゃあんな暴挙になってしまう、というのも今となっては理解できるかもしれません。
もう、一度まっさらにしてゼロからはじめよう、というのも間違った方法ではないのでしょう。本来なら、先代のアニスパパたちの代でやれてしまえばよかったんでしょうけれど、そこまでは踏ん切れなかったんだよなあ。既にパパさんが国王の座についた時点で大貴族や王族の大半が対立の果てに消滅していたので、もう国の維持が出来るギリギリまで粛清がされてしまっていた、という感じみたいですし。
ほんと、先代たちがみんな友達同士で本当の意味で同志で一致団結し続けていたから、国がここまで持った、というレベルだったのでしょう。それでも、とんでもない血が流れる事を恐れなければ、やってやれない事はない人材の集結っぷりだったとは思うんですよね。でも、彼らが選んだのはこれ以上の戦乱を退けた平和な道だった。それを日和った、というのは外野の意見でその調整にどれほど心血を注いできたかは、どれほど苦労を重ねてきたかは伝わるものがあります。
でも、その結果として王家は侮られ、アニスは必要以上に虐げられ、その現状を目の当たりにしてアルが歪んで……とまあ、先代たちも親としてこれで良かったのか、というのはずっと解決しない悩みなんでしょうなあ。
だからこそ、アニスとユフィには思うようにやれるようにずっとサポートしてくれているわけで。
そんなアニスとユフィ、そして先代たちの苦悩と孤独に共感し、自分たちは彼女らを孤独にさせない、彼女たちだけに背負わせない、と奮起するレイニたち次世代が育ち、アニスたちに並び立とうとする気概を見せてくれたのは、まさに次代への希望といえるのでしょう。
非定命となったアニスとユフィは、いずれ王座から去る存在。彼女たちが安心して重荷をおろして自分たちの道を歩き出せるように、彼女たちの分も背負えるものになりたいと次世代の若者たちがメキメキと頭角を表していく様子は、この国が一つの山場を越えたようにも見えました。
西部地域も、国替えで一新ということになりましたし、一気に改革も進むのではないでしょうか。
でもやっぱり、権威と暴力は絶大な力として機能しますねえ。これが背景になければ、西部も大人しく粛清人事に従わなかったでしょうし。やはり力、力こそパワー。
