
【エルフの渡辺】 和ヶ原 聡司/はねこと 電撃文庫
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これは“恋”それとも“変”? ありふれた日常に潜む小さなファンタジー。
渡辺風花は園芸部の部長である。クラスでは目立たないものの、笑顔が魅力的な心優しき少女。
「俺、好きだ。渡辺さんのことが!」
「じ、実は私も……」
こうして悩める高校生・大木行人の青春の1ページは無事に彩られる――はずだった。
初恋が成就する寸前、彼女の姿が一変。目の前に現れたのは《エルフ》!?
「もしかして私の……見えちゃった?」
渡辺風花はエルフである……らしい。とある事情で異世界《ナチェ・リヴィラ》から現代日本の東京へ逃げてきた呪われしサン・アルフ族の少女。
「じ、実は私も……ずっと大木くんが、気になってたの。大きな木で行人、ユクト。……なんだかユグドラシルっぽいな、って!」
「告白、仕切り直していいかな!?」
かくして大木は“エルフの渡辺”とのちょっと不思議な現代日本ライフ、そして異世界の命運を巡る大スペクタクルに巻き込まれることになり――。
渡辺風花が出展した切り花の菊を、写真部の大木行人が目に止めて撮影した事をきっかけに知り合った二人。これ、半年くらいかけてじっくりと関係育んできたんですねえ。高校生の半年ってのは高校時代の6分の1ですから十分なくらい密接な関係ですよ。
それも、どうも最初からお互いに好印象だったわけですしね。
そうして、写真のモデルになって貰ったりと二人の距離感が縮まって、ついに勇気を出した行人が告白、風花の方も喜んでそれを受けようとした、その瞬間。
風花にかけられていた魔法が解けて、彼女の本性、エルフとしての渡辺風花が行人の前に現れてしまったのでした。
これ、最初は単に風花の髪の色や目の色が変わって、耳が長くなっただけの変化だと思ってたんですよね。
人間に化けてた狐が尻尾を出してしまったみたいな感じで、隠していた長い耳が飛び出てしまった、みたいな。
だから、動揺しまくって一度自分から言い出した告白を一旦取り下げて、ちょっと考えさせて、と尻尾を巻いてしまった大木くんには、いやあ告白しといてそれはないんじゃないですか、と幻滅しそうになってしまったんですが……。
よくよく話を聞いてみると……あれ? 単に耳が長くなったとかじゃなくて、顔の作り自体が全然別人になってるの?! 印象操作などでその美貌が頭に残らない感じに魔法とかで幻術とか幻惑していた、というわけでもなく。本当に全く今までの渡辺さんの顔とは別人の顔で大木くんには見えてしまったようなんですね。
うん、そりゃ動転するし動揺するし、半ばパニックになるわ。
別に変化した顔がエルフとかドワーフみたいなありえない特徴的な異種族の容貌じゃなかったとしても、これまで半年間一緒に居て馴染んで、好きになった娘の顔が、今まで見ていたものとまったく違う人の顔になっちゃったら、その顔が普通の人間の顔でもすぐには受け入れがたいですよ。
それはエルフとかいう幻想の存在になってしまったとか、今まで顔を偽られていた騙されていた、とかそういうことじゃなくて、本当にシンプルに……全然違う人の顔になっちゃった! というのがショックなんですよ。あ、顔が別の人に変わったけどそのまま気にせず付き合えるから! とか言い出す方がよほど狂ってますよ。
そういう意味では、大木くんの一旦保留は大いに理解できますし、同情してしまいます。
ただでさえ、大木くんは写真家志望。被写体を写すためにも、普通の人より遥かに相手の顔を強く意識して見てきた人間でしょうからね。混乱もひとしおだったでしょう。
なかなか複雑なことに、渡辺さんのエルフ顔が見えているのは大木くんだけで、それもカメラ越しだと前までの渡辺さんのまま、という塩梅ですからね。ややこしいのは、これ渡辺さんたちエルフが意図して姿を偽装しているわけではない、というのが先々も問題の混乱に拍車をかける要因になっていくのですけれど。
ともかく、当初は大木くんにとってはエルフ云々はさておいて、顔が違う! というのが兎に角最大の問題だったんですよね。どうしてエルフがこの日本に、とかエルフってどういう存在なの? というファンタジー的な存在の出現に対して当然抱くだろう疑問や好奇心、渡辺さんの事情や思惑など、大木くんそこまで頭回らないんですよ。
とにかく、顔が変わってしまった渡辺さんとどう接すればいいのか、自分はどういう態度をとるべきなのか。告白した件、どうしたらいいんだろう。この混乱とどう折り合いつければいいの!? と、まあそこまで考える余裕なんて一切なさそうで、でもだからこそ真剣に渡辺さんとの関係が何より大事なことというのが伝わってくるパニックでもあり、これはこれで誠実な態度と言えたのではないでしょうか。
いや、顔が変わろうとも渡辺さんは渡辺さんなんだから、そこは何とか折り合いをつけていこう、と自分自身を納得させることに成功しだした段階で、じゃあエルフってなんなのさ!? という所に周回遅れで追いついてくるわけですけれど。
肝心の渡辺さんの方も……これ、エルフはエルフなんですけど、彼女の代で急に日本に来て潜伏していた、というわけじゃなくて、相当の昔から日本人に紛れて生きてきた見た目はエルフだけれど中身は生粋の日本人、なんですよね。
それでいて、ちゃんと元の異世界とも普通に行き来もしているので、微妙に異世界とかエルフという存在がどれほど非現実的存在なのかを理解していない節があって……、異世界やエルフの事情や世界観など誰もがかぶり付きで知りたいような話をその辺のスーパーで投げ売りしているワゴンセールの靴下程度の扱いでざっくりと話すだけで、それはさておき、とばかりにどうでもいいような話を熱心に語りだしたり、真面目な娘なんだけれどどっか抜けてて変だよね、渡辺さんw
はじめて大木くんを、自分の故郷である異世界に連れてきた際も、旅行のパンフレットの説明文みたいな感じでザッと流して異世界の事を語った上で、異世界の空の下で熱心にエルフが日本に行った際に選びがちな苗字五選を熱く語る渡辺さん。
まあこれが、本当に何の意図もなく単に異世界と繋がっていて、こっそりエルフの人達が移住してたりする、だけならば単なる異文化コミュニケーション……にもならないか。すでにだいぶ昔からエルフたち日本に住んでたわけで、文化的な衝突は通り過ぎた過去の話だろうし。
ただ、エルフたちには明確な目的があって日本に何かを探しに来ているという事情があり、エルフの姿を隠蔽しているのは彼らの意図するものではなく、呪いの類である。それを、大木くんの持つ亡きプロカメラマンだった父が残した謎のカメラが、一部解呪してしまった、ということから、これ大木くんがエルフの事情に巻き込まれていく、という話になるんだろうか。
あんまりエルフたちも無体な真似はしないでしょうし、渡辺さんはそもそもこちらの事情に彼を巻き込むことを拒絶していらっしゃるので、そこまで強引に揉めることはなさそうなんだけれど。
結局、大木くんがエルフの顔の渡辺さんをもう一度ちゃんと好きになれるか、という話なんですよね。いや、そこはもうある程度クリアしているのか。もう顔は違って見えても彼女が渡辺さんだという事は受け入れられているみたいですし。
ただ、その顔。エルフの顔、自分のエルフとしての顔を、風花自身見られないし見たことがない、というのは結構衝撃的な情報でしたね。エルフとしての本当の顔を自分が知らないのに、親友である泉美や好きになった人である大木くんだけは見ている、というのは当人としては複雑だろうなあ。
自分だけどころか、母親や他のエルフたちのエルフ顔も見れないし見たことがない、というのはこれエルフとしてのアイデンティティを保てるんだろうか。既に渡辺さんはその辺持っていないようにも見えるんだけれど、それでも異世界側と行き来出来て、さらに魔法や異世界の法則を使えたり則ったり出来ている以上、自分が日本人であるという自意識だけに寄りかかる事が出来ないのもわかる気がする。どうしたって自分はエルフなのだ、という自覚がついてくるわけだ。
でも、だからこそ顔が自認出来ないというのは自分の足元がふわふわしているようなものだから、しんどいですよね。
少なくとも、自分を愛してくれた人にはエルフとしての姿が見える、というのは考え方によってはエルフとしての自認を助けてくれる支えにもなり得るのかもしれませんね。渡辺風花のお母さんは、自分のほんとうの姿を見つけてくれた唯一の人、つまり風花の父親になるのかな。その事については随分と思い入れあるみたいですし。
そんでもって、魔力を吸収できるカメラ。そしてそのカメラによって渡辺さんたちエルフの本当の姿を写真に写せる、という大木くんは彼女らエルフにとって失った自分を取り戻せる鎹になりえるのかもしれませんね。それがどこまで必要とされている自分なのかはわかりませんけれど。
まあそういう小難しい話より前に、一旦おじゃんになってしまった大木くんと渡辺さんの交際をとっととリスタートするべきだと思うのだけれど。もうどこからどう見ても両思いじゃないですか。
それも、どうも最初からお互いに好印象だったわけですしね。
そうして、写真のモデルになって貰ったりと二人の距離感が縮まって、ついに勇気を出した行人が告白、風花の方も喜んでそれを受けようとした、その瞬間。
風花にかけられていた魔法が解けて、彼女の本性、エルフとしての渡辺風花が行人の前に現れてしまったのでした。
これ、最初は単に風花の髪の色や目の色が変わって、耳が長くなっただけの変化だと思ってたんですよね。
人間に化けてた狐が尻尾を出してしまったみたいな感じで、隠していた長い耳が飛び出てしまった、みたいな。
だから、動揺しまくって一度自分から言い出した告白を一旦取り下げて、ちょっと考えさせて、と尻尾を巻いてしまった大木くんには、いやあ告白しといてそれはないんじゃないですか、と幻滅しそうになってしまったんですが……。
よくよく話を聞いてみると……あれ? 単に耳が長くなったとかじゃなくて、顔の作り自体が全然別人になってるの?! 印象操作などでその美貌が頭に残らない感じに魔法とかで幻術とか幻惑していた、というわけでもなく。本当に全く今までの渡辺さんの顔とは別人の顔で大木くんには見えてしまったようなんですね。
うん、そりゃ動転するし動揺するし、半ばパニックになるわ。
別に変化した顔がエルフとかドワーフみたいなありえない特徴的な異種族の容貌じゃなかったとしても、これまで半年間一緒に居て馴染んで、好きになった娘の顔が、今まで見ていたものとまったく違う人の顔になっちゃったら、その顔が普通の人間の顔でもすぐには受け入れがたいですよ。
それはエルフとかいう幻想の存在になってしまったとか、今まで顔を偽られていた騙されていた、とかそういうことじゃなくて、本当にシンプルに……全然違う人の顔になっちゃった! というのがショックなんですよ。あ、顔が別の人に変わったけどそのまま気にせず付き合えるから! とか言い出す方がよほど狂ってますよ。
そういう意味では、大木くんの一旦保留は大いに理解できますし、同情してしまいます。
ただでさえ、大木くんは写真家志望。被写体を写すためにも、普通の人より遥かに相手の顔を強く意識して見てきた人間でしょうからね。混乱もひとしおだったでしょう。
なかなか複雑なことに、渡辺さんのエルフ顔が見えているのは大木くんだけで、それもカメラ越しだと前までの渡辺さんのまま、という塩梅ですからね。ややこしいのは、これ渡辺さんたちエルフが意図して姿を偽装しているわけではない、というのが先々も問題の混乱に拍車をかける要因になっていくのですけれど。
ともかく、当初は大木くんにとってはエルフ云々はさておいて、顔が違う! というのが兎に角最大の問題だったんですよね。どうしてエルフがこの日本に、とかエルフってどういう存在なの? というファンタジー的な存在の出現に対して当然抱くだろう疑問や好奇心、渡辺さんの事情や思惑など、大木くんそこまで頭回らないんですよ。
とにかく、顔が変わってしまった渡辺さんとどう接すればいいのか、自分はどういう態度をとるべきなのか。告白した件、どうしたらいいんだろう。この混乱とどう折り合いつければいいの!? と、まあそこまで考える余裕なんて一切なさそうで、でもだからこそ真剣に渡辺さんとの関係が何より大事なことというのが伝わってくるパニックでもあり、これはこれで誠実な態度と言えたのではないでしょうか。
いや、顔が変わろうとも渡辺さんは渡辺さんなんだから、そこは何とか折り合いをつけていこう、と自分自身を納得させることに成功しだした段階で、じゃあエルフってなんなのさ!? という所に周回遅れで追いついてくるわけですけれど。
肝心の渡辺さんの方も……これ、エルフはエルフなんですけど、彼女の代で急に日本に来て潜伏していた、というわけじゃなくて、相当の昔から日本人に紛れて生きてきた見た目はエルフだけれど中身は生粋の日本人、なんですよね。
それでいて、ちゃんと元の異世界とも普通に行き来もしているので、微妙に異世界とかエルフという存在がどれほど非現実的存在なのかを理解していない節があって……、異世界やエルフの事情や世界観など誰もがかぶり付きで知りたいような話をその辺のスーパーで投げ売りしているワゴンセールの靴下程度の扱いでざっくりと話すだけで、それはさておき、とばかりにどうでもいいような話を熱心に語りだしたり、真面目な娘なんだけれどどっか抜けてて変だよね、渡辺さんw
はじめて大木くんを、自分の故郷である異世界に連れてきた際も、旅行のパンフレットの説明文みたいな感じでザッと流して異世界の事を語った上で、異世界の空の下で熱心にエルフが日本に行った際に選びがちな苗字五選を熱く語る渡辺さん。
まあこれが、本当に何の意図もなく単に異世界と繋がっていて、こっそりエルフの人達が移住してたりする、だけならば単なる異文化コミュニケーション……にもならないか。すでにだいぶ昔からエルフたち日本に住んでたわけで、文化的な衝突は通り過ぎた過去の話だろうし。
ただ、エルフたちには明確な目的があって日本に何かを探しに来ているという事情があり、エルフの姿を隠蔽しているのは彼らの意図するものではなく、呪いの類である。それを、大木くんの持つ亡きプロカメラマンだった父が残した謎のカメラが、一部解呪してしまった、ということから、これ大木くんがエルフの事情に巻き込まれていく、という話になるんだろうか。
あんまりエルフたちも無体な真似はしないでしょうし、渡辺さんはそもそもこちらの事情に彼を巻き込むことを拒絶していらっしゃるので、そこまで強引に揉めることはなさそうなんだけれど。
結局、大木くんがエルフの顔の渡辺さんをもう一度ちゃんと好きになれるか、という話なんですよね。いや、そこはもうある程度クリアしているのか。もう顔は違って見えても彼女が渡辺さんだという事は受け入れられているみたいですし。
ただ、その顔。エルフの顔、自分のエルフとしての顔を、風花自身見られないし見たことがない、というのは結構衝撃的な情報でしたね。エルフとしての本当の顔を自分が知らないのに、親友である泉美や好きになった人である大木くんだけは見ている、というのは当人としては複雑だろうなあ。
自分だけどころか、母親や他のエルフたちのエルフ顔も見れないし見たことがない、というのはこれエルフとしてのアイデンティティを保てるんだろうか。既に渡辺さんはその辺持っていないようにも見えるんだけれど、それでも異世界側と行き来出来て、さらに魔法や異世界の法則を使えたり則ったり出来ている以上、自分が日本人であるという自意識だけに寄りかかる事が出来ないのもわかる気がする。どうしたって自分はエルフなのだ、という自覚がついてくるわけだ。
でも、だからこそ顔が自認出来ないというのは自分の足元がふわふわしているようなものだから、しんどいですよね。
少なくとも、自分を愛してくれた人にはエルフとしての姿が見える、というのは考え方によってはエルフとしての自認を助けてくれる支えにもなり得るのかもしれませんね。渡辺風花のお母さんは、自分のほんとうの姿を見つけてくれた唯一の人、つまり風花の父親になるのかな。その事については随分と思い入れあるみたいですし。
そんでもって、魔力を吸収できるカメラ。そしてそのカメラによって渡辺さんたちエルフの本当の姿を写真に写せる、という大木くんは彼女らエルフにとって失った自分を取り戻せる鎹になりえるのかもしれませんね。それがどこまで必要とされている自分なのかはわかりませんけれど。
まあそういう小難しい話より前に、一旦おじゃんになってしまった大木くんと渡辺さんの交際をとっととリスタートするべきだと思うのだけれど。もうどこからどう見ても両思いじゃないですか。










































































































































































































































































































































































































































































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