【僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場 ５】 赤城 大空／タジマ 粒子 ガガガ文庫
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クロス、攫われる!?
【満月が最も高く昇る晩に”アルメリアの至宝”をいただきに参上する】
大怪盗セラスから学長宛に届いた予告状。
バスクルビアは騒然とし、勇者の子孫エリシアに厳重な警備がつくことに。クロスたちアラカルト派も護衛任務につくのだが――セラスの狙いは、まさかのクロスだった!!
「君の身体だけじゃなく……心も盗んでみせるよ、少年」
「はいっ!?」
当然、ぽっと出の“泥棒猫”に女師匠たちが黙っているわけもなく――。
いま、アルメリアを股にかけたクロス争奪戦が幕を開ける!
てっきり、少人数しかいないS級冒険者の全員がクロスくんのお師匠候補で、全員と言わなくても何人かは師匠枠で参入してくるのかなあ、とは想像していたのですが、別にS級冒険者に限らないのか、頂点職って。
というわけで、盗賊職の頂点である怪盗を極めるセラスに攫われ、強制的に弟子にされてしまうクロスくんでありました。これで盗賊・斥候系のスキルも積み上げていくことになるのか。本気で万能頂点型に仕上がっていくのか、この少年。
こんな成長を眼の前でずっと見続けてたら、ジゼルが自分の成長の方向性を見失うのも無理ない所なんじゃないだろうか。これだけあらゆる方面に枝伸ばしてったらねえ、ついついついていこうとしたらあれもこれもと手を出して中途半端になってしまう。
かなり早く自分の行き詰まりの原因に気づいて修正にかかれたのはジゼルの人の意見を聞くことのできる柔軟さ故でしょう。助言をくれた相手がたとえ、恋のライバルであるエリシアであったとしても。
これ、初対面でしかもクロスと実質デートしている最中なのを目撃して、こいつは敵だ！ とお互いに火花バチバチ飛ばし合ってる状態で、ですからね。ここで意地を張らなかったジゼルは本当に凄いと思う。
この子は本気でクロスに追いつき、その横に並び得る存在になろうとしている、というのが伝わってくるじゃないですか。
一方で、師匠たちは新参のセラスも含めて、大胆なのか臆病なのか、クロスにアプローチしているようで全然出来てないんですよねえ、この人たち。エリシアという強大な敵の存在にようやく気が付き、さらにセラスという師匠枠ですら横入りしてくる奴が現れたというのに、これといって効果的な策を打てない師匠たち、マジ恋愛弱者である。肝心のセラスも、わりとビビリっぽいしなあ。
一応、三人の師匠たちはセラスよりもクロスには贔屓にしてもらってるはずなんですけどね。師匠としては本当に目いっぱいに敬愛されて、三人の師匠にこそ育てて貰いたい、と思われている事は、セラスの誘いを決然と蹴って師匠たちのもとに戻ろうとしたことからも明らかです。
でも、恋愛対象としては本当に欠片も見てもらえてないのが、現状なんだよなあ。エリシアが圧倒的本命すぎる。ジゼルも一番身近な女の子として、まだまだ食らいついているし。どう考えてもメインヒロインってこの二人がツートップなんだよなあ。
……ギムレットさん、ここに割って入ろうとしないでくださいｗ
いや、この人いつの間にか作中でも随一のクロスガチ勢になっちゃったからなあ。ただ狂信者になってるってだけじゃなくて、冒険者の先達として、年上として、そして貴族として、それぞれの見地から助言や注意指摘もちゃんとしてくれるので、何気に大変助かる頼もしい仲間になっちゃってるんだよなあ。
一応、後半には師匠から代表してリオーネが、単独でクロスを連れてS級冒険者としての仕事を見せてくれたわけですが、クロスもわけわからんスピードで強くなっているのだけれど、まだまだ師匠には追いつけていないよなあ、というのを実感させてくれる話でした。追いつく追いつかないという次元じゃなく、未だにこの三人の師匠は上限が全然見えない遥か彼方にいる、という事しかわからないとも言えるのですけれど。
国崩しの怪物ですら、まともに相手にならなかったもんなあ。
さて、次回はこれまでもずっと話題の渦中であったエリシアの勇者としての覚醒と、それ以上に婿取り問題がピックアップされてきそう。いやあ、ますますエリシアメインヒロインロード驀進じゃあないですかァ。
