【異世界に来たけど、生活魔法しか使えません】 梨香 ／HIROKAZU マッグガーデン・ノベルズ
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転生先は貧乏貴族！？
可愛い弟たちのため、才能を生かして学園生活を送ります！日本でOLをしていた青山薫は、ある日目覚めるとグレンジャー子爵家の長女ペイシェンスに転生していた。
貧乏な生活に不便な思いをするペイシェンスだったが、授かった生活魔法を活かして徐々に環境を改善していく。
10歳になったペイシェンスは、王立学園の寮に入るため可愛い弟たちとお別れに……。
しかし、そこでも生活魔法や前世の知識を生かして成り上がってゆく――！
教師からも才能を褒められ順調に進んでいく学園生活だったが、あるとき王妃から厄介な手紙が届き……。
可愛い弟たちの健やかな成長と、家の復興のゆくえ、そして同じクラスの意地悪王子との関係や如何に！？
この主人公のペイシェンス。貧乏さ故に寝具もままならずに寒さの余り体調を崩してそのまま亡くなってしまい、代わりに薫が中に入るという過程を辿ったわけですけれど、あとで薫が調べてみたら使用人用の毛布とかは余ってたんですよね。にも関わらず貴族令嬢としての品格、振る舞いを優先するあまり死んでしまったわけで、優秀だったみたいだけれど頭でっかちで現実と折り合いをつけられないタイプの子だったのだろう。
ちなみに、学者系貴族らしい父も全く似たようなタイプらしくて、もう生活もままならず使用人が内職したり外にバイトに行って食べ物を確保して来てくれたりしている現状を認識しているのかいないのか。金にもならない研究を未だに続けて、子供達の食い扶持の確保も何も出来ていないっぽいんだよなあ。そういう意味では似た者親子だったんじゃないだろうか。
そして、死んでしまったと薫は認識しているのだけれど、死者のわりにペイシェンスになった薫にあれこれと口出ししてくるんですよね。ただのペイシェンスの記憶、というには貴族らしからぬ行動を取ろうとすると体を硬直させたり頭痛を与えたり、積極的にダメ出ししてくるし、これは弟達のためと説得したりすると渋々OK出してきたり、とこれ絶対意志みたいなものあるだろ！？ 会話は出来てないみたいだけど、意思疎通は成り立ってるぞこれ。
ともあれ、本物のペイシェンスに成り代わって、カワイイ二人の弟をちゃんと育てるために、献身的に身を削って働いてくれている使用人たちを助けるために、実家の立て直しをはかるペイシェンスだけれど、無い袖は振れないし貴族らしからぬ事をしようとするとペイシェンスの記憶が攻め立ててくるし、と苦戦続き。それでも、出来る範囲で改善、とにかく凍え死なない程度の家の整備や１０歳の誕生日を機に教会で授けてもらった生活魔法、これがなんか浄化か時間操作じゃないの？ というような古着でも新品同然にしてしまうような便利な力を発揮してくれたおかげで、それを利用して生活環境の改善や資金の確保をしているうちに、学園に通う年齢になって……と、学園編にさっさと突入していくわけですね。
当人は弟と離れ離れになりたくないから、行きたくないとごねてたのですけれど認められるはずがなく。
そこで、優秀な……というかぶっちぎりにトップクラスの成績をとって、飛び級などして（とっとと学校卒業して弟のもとに帰りたいので）いるうちに、何から母と親交があったという王妃さまからの推薦で、今度一人で寮暮らしをすることになったマーガレット王女の側付きになるように任じられる。これがペイシェンスにとっての大きな転機だったのです。
当人はめっちゃ嫌がっていましたが。別に立身出世に興味のない彼女は、弟達を健やかに成長させるだけのお金さえあればよかったわけで、将来は結婚とかいいので文官になって働きたい、と思ってたくらいなので、王族とはむしろ関わりたくない、そういうややこしいのは縁なく生きたい、と願うも裏腹に、大きく関わっていくことになるのです。
とまあ、学校生活にしても王族との関わり合いにしてもペイシェンスとしては、完全に嫌々なんですよねえ。身分上逆らえないので仕方なくやってる、という感じがひしひしと伝わってくる。
マーガレット王女、別に悪い子でもなんでもなく、むしろ王女としては気さくなくらいで、王族らしく傲慢で自分優先なところはあるけれど、決して傍若無人でも嫌味な所があるわけでもない人で、ペイシェンスも別に嫌ってるわけじゃないのだけれど……あんまり打ち解けていかないね、ペイシェンス。
いやペイシェンスって誰に対しても塩対応なんで、王女相手だけ特別愛想がないってわけじゃないんだけれど、積極性の欠片もない嫌だな、帰りたいなあ、というのが伝わってくる人付き合いは、マーガレット王女の方はわりと本気で友達と思っているだけに、もうちょっとだけでも情寄せてあげて？と思ってしまうんだが。
王女サイドの方に何の問題もないのに、こんなに主人公側が仲良くなろうとしないガール・ミーツ・ガールも珍しいんじゃないだろうか。今のところほぼ完全に仕事だから、という関係に徹しようとしている主人公である。
しかし、父親はなんで仕事クビになったんだろう。未だに学園含めて王国の教育関係者には尊敬されているかなり偉大な学者系の人みたいだし、王妃さまはじめとした王族がたも職を解いた側のはずなんだけれど別に悪いようには思ってないみたいなんですよねえ。だいたい、こんな貧乏しているとは思ってもないみたいですし。
いや極貧状態になってるのは、完全に父親の金銭感覚の問題なんだろうけど。この人、稼がないと生活するための金がない、という現状をこの期に及んでわかってないんじゃないだろうか。衣食住まったく興味関心ないみたいだし。
ほんと、よく使用人の人達残ってくれてたよなあ。給料も未払いだったんじゃないのこれ？
Ａｍａｚｏｎ
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