【マスケットガールズ！〜転生参謀と戦列乙女たち〜】 漂月／sakiyamama PASH！ブックス
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前世であっけなく死んだ俺が転生したのは、戦列歩兵が撃ち合う近世風の戦争世界だった。平民少尉の俺は部下の戦死が多いため「死神のクロムベルツ」と疎まれていた。そんな中、女性しかいない第六特務旅団に参謀として配属される。何か企んでいる旅団長もお気楽な下士官も女性、歩兵は素人同然の女の子ばかりだ。この世界では戦わないと殺される。ならばこの俺がどうにかしないと……だがどうやって!?
【人狼への転生、魔王の副官】の作者さんのシリーズですね。
タイトル通り、時代は戦列歩兵華やかなりし時代。マスケットを携えた歩兵たちが、軍楽隊のラッパや太鼓に合わせて横一列で並んで行進してくるアレですね。銃弾を打ち込まれても大砲の弾が飛び込んできても、隊列を崩さず抜けた穴にはすかさず後列から穴埋め要員が欠員を埋めて、斉射を続けるという恐ろしい時代です。
そんな時代に、前線指揮官として生きてきたユイナー・クロムベルツ歩兵大尉。部下の死者がやたらと多いために死神なんぞという異名を得てしまっているわけですが、これ普通自分もろとも部下もなんもまとめて死んでる事が普通な状況で、それでも部下を生かし自分も生き残っているわけで、決して部下の死亡率高いわけではないと思うんですよね。
彼の特技は転生による前世の知識、以上に死神の鎌と自分で呼んでいる、自分が死にそうになると感じ取ることのできる死の気配。これを察知することで、こっちのルートを選ぶと死ぬなー、というのがわかったり、咄嗟の場合でも砲弾が飛んでくるのを避けられたり、というこれは確かに便利な能力なんですよね。
その保証を利用して、のちの砦の防衛戦ではここには砲弾は飛んでこないから、と大砲が雨あられと上手の要塞から飛来してくる中で、平然と砦の屋上でティータイム、なんかしてたりしますからね。一方的に攻められている状況の中での士気向上のためとはいえ、そりゃあ目立ちますよ。あまりのくそ度胸に歴戦の将兵も一目置きますわー。
というわけで、彼の武器って幾ら死の気配を感じ取れるからといって、平然と死地に飛び込んでしまえるそのくそ度胸なんでしょう。根性がめちゃくちゃ据わっているのである。指揮官として、この人についていけば大丈夫だ、と思わせてくれる安心感が半端ないんですよね。また参謀としても突拍子もない案を出しても、こいつなら大丈夫だと信じられる安心感を与えてくれる。
この人間の権利など欠片も保障されない旧態とした時代の中、さらに貴族ですら無い平民で、さらにさらに女性という力で黙らせられる弱者に、せめて生きていける場所を作ってあげたい、と一人の貴族女性が作り上げた女性だけで構成される部隊。第六特務旅団、そこに何人目だかの士官として左遷されることになったユイナーが出会ったのが、女性の中でも一際小柄でちっちゃい女上司アルツァー・メレディン大佐だったのです。ほんとにちっちゃいよ！
まあアルツァー大佐も大当たりも大当たり、一等２０億円くらいの大当たりくじ引いちゃったんですよねえ。
この部隊、このままだと女性の駆け込み寺として機能を果たしきれないまま、貴族間の権力争い政争の具として良いように使われてひどいことになる未来しかなかったわけですから。
それが、現れた死神参謀は女性だけの部隊をきっちり精強な実戦部隊に鍛え上げつつ、ちゃんと軍隊組織として機能するように後備もてきぱき整備してくれて、その上女性たちだけの部隊という特殊性への配慮もばっちり。おまけに、実戦では戦果をあげることよりも皆が生き残ることを最優先してくれる上に、陰謀に対してのアンテナも高く、貴族間のパワーゲームに対しても的確に対処を続けてくれて、アルツァー大佐をはじめとしたこの部隊を守り続けてくれることになるわけですから。大当たりも大アタリですよ。
特に目立つのが女性に対する配慮で、女なんて殴って言う事聞かせてりゃいい、という時代に現代の人権意識や本物のフェミニズムを価値観として有している彼は、まさにジェントルマンというような紳士的な態度を部隊の女性陣に対して取り続け、配慮と気遣いを見せ続けるんですね。彼としては当たり前のことをしているだけ、という意識かも知れませんが、この時代の特に虐げられてこの部隊に流れてきた女性の多いところですから、たった一人の男性という警戒感は一挙に拭い去られ敬意を集めていくことになります。
一方で、指導教官として厳しい態度は崩さず、甘えも許さない姿勢を見せ続けるので舐められることは一切ありません。ぬるいことをしていたら死ぬのはこの子たちだ、というこれまで全然で戦い続けた歴戦の指揮官としての意識もきっちりあるんですよね。自覚を持って鍛えないと死ぬのは君たちだぞ、というのを繰り返し繰り返し叱責とともに叩き込んでいきます。直接ぶん殴ることはありませんけれど、指導の厳しさは折り紙付きで、でもちゃんといちいちその指導の理由、内容の意味を伝えてから行うので反発は最小限になるんですね。これは、女性相手のみならず、これまで彼が率いてきた部隊でも適応したものなんでしょう。
この人、ユイナーってこの女性部隊だけじゃなくて、応援で合同で戦うことになった砦の守備隊の兵士たちに対しても、パッパと口八丁で士気あげて指揮しやすくしているので指揮官適正も相当高いんでしょうねえ。
ただ、今まで良い上司に当たらず理不尽を強いられ続けてきたので、賢く聡明でこちらの意見をちゃんとくんでくれる、理解してくれる、悪巧みも一緒にしてくれるし、ヤバいところでも丸投げせずに一緒に危険に踏み込んでくれるし、責任は自分で取ろうとしてくれる。いちいち、上司の理想像にヒットするんで、ユイナーもこの人のためなら頑張るぞー！ と、その度にやる気アップ！！しているのは微笑ましいというかなんというか。
しかし、初戦は野戦にならずに砦のこもっての防衛戦。しかも、元の守備隊との合同での戦いになる、というのは面白いですし慧眼でしたなあ。普通に野戦やったら、どれだけ鍛え上げた部隊だろうと戦列歩兵なもんですから、部隊半壊するくらいは当たり前の被害でますから、とても部隊維持できるかわからない酷い状態になってしまいますし。その点、籠城戦はやり方次第で被害は極力減らせますし。ただ、そのためには本当に色々と大胆な作戦をとっていかないといかないわけで、あれこれ工夫をこらしてやらかしまくる、死神参謀の面目躍如、大いに面白い戦いになってて見どころたっぷりです。
タイトル通り、時代は戦列歩兵華やかなりし時代。マスケットを携えた歩兵たちが、軍楽隊のラッパや太鼓に合わせて横一列で並んで行進してくるアレですね。銃弾を打ち込まれても大砲の弾が飛び込んできても、隊列を崩さず抜けた穴にはすかさず後列から穴埋め要員が欠員を埋めて、斉射を続けるという恐ろしい時代です。
そんな時代に、前線指揮官として生きてきたユイナー・クロムベルツ歩兵大尉。部下の死者がやたらと多いために死神なんぞという異名を得てしまっているわけですが、これ普通自分もろとも部下もなんもまとめて死んでる事が普通な状況で、それでも部下を生かし自分も生き残っているわけで、決して部下の死亡率高いわけではないと思うんですよね。
彼の特技は転生による前世の知識、以上に死神の鎌と自分で呼んでいる、自分が死にそうになると感じ取ることのできる死の気配。これを察知することで、こっちのルートを選ぶと死ぬなー、というのがわかったり、咄嗟の場合でも砲弾が飛んでくるのを避けられたり、というこれは確かに便利な能力なんですよね。
その保証を利用して、のちの砦の防衛戦ではここには砲弾は飛んでこないから、と大砲が雨あられと上手の要塞から飛来してくる中で、平然と砦の屋上でティータイム、なんかしてたりしますからね。一方的に攻められている状況の中での士気向上のためとはいえ、そりゃあ目立ちますよ。あまりのくそ度胸に歴戦の将兵も一目置きますわー。
というわけで、彼の武器って幾ら死の気配を感じ取れるからといって、平然と死地に飛び込んでしまえるそのくそ度胸なんでしょう。根性がめちゃくちゃ据わっているのである。指揮官として、この人についていけば大丈夫だ、と思わせてくれる安心感が半端ないんですよね。また参謀としても突拍子もない案を出しても、こいつなら大丈夫だと信じられる安心感を与えてくれる。
この人間の権利など欠片も保障されない旧態とした時代の中、さらに貴族ですら無い平民で、さらにさらに女性という力で黙らせられる弱者に、せめて生きていける場所を作ってあげたい、と一人の貴族女性が作り上げた女性だけで構成される部隊。第六特務旅団、そこに何人目だかの士官として左遷されることになったユイナーが出会ったのが、女性の中でも一際小柄でちっちゃい女上司アルツァー・メレディン大佐だったのです。ほんとにちっちゃいよ！
まあアルツァー大佐も大当たりも大当たり、一等２０億円くらいの大当たりくじ引いちゃったんですよねえ。
この部隊、このままだと女性の駆け込み寺として機能を果たしきれないまま、貴族間の権力争い政争の具として良いように使われてひどいことになる未来しかなかったわけですから。
それが、現れた死神参謀は女性だけの部隊をきっちり精強な実戦部隊に鍛え上げつつ、ちゃんと軍隊組織として機能するように後備もてきぱき整備してくれて、その上女性たちだけの部隊という特殊性への配慮もばっちり。おまけに、実戦では戦果をあげることよりも皆が生き残ることを最優先してくれる上に、陰謀に対してのアンテナも高く、貴族間のパワーゲームに対しても的確に対処を続けてくれて、アルツァー大佐をはじめとしたこの部隊を守り続けてくれることになるわけですから。大当たりも大アタリですよ。
特に目立つのが女性に対する配慮で、女なんて殴って言う事聞かせてりゃいい、という時代に現代の人権意識や本物のフェミニズムを価値観として有している彼は、まさにジェントルマンというような紳士的な態度を部隊の女性陣に対して取り続け、配慮と気遣いを見せ続けるんですね。彼としては当たり前のことをしているだけ、という意識かも知れませんが、この時代の特に虐げられてこの部隊に流れてきた女性の多いところですから、たった一人の男性という警戒感は一挙に拭い去られ敬意を集めていくことになります。
一方で、指導教官として厳しい態度は崩さず、甘えも許さない姿勢を見せ続けるので舐められることは一切ありません。ぬるいことをしていたら死ぬのはこの子たちだ、というこれまで全然で戦い続けた歴戦の指揮官としての意識もきっちりあるんですよね。自覚を持って鍛えないと死ぬのは君たちだぞ、というのを繰り返し繰り返し叱責とともに叩き込んでいきます。直接ぶん殴ることはありませんけれど、指導の厳しさは折り紙付きで、でもちゃんといちいちその指導の理由、内容の意味を伝えてから行うので反発は最小限になるんですね。これは、女性相手のみならず、これまで彼が率いてきた部隊でも適応したものなんでしょう。
この人、ユイナーってこの女性部隊だけじゃなくて、応援で合同で戦うことになった砦の守備隊の兵士たちに対しても、パッパと口八丁で士気あげて指揮しやすくしているので指揮官適正も相当高いんでしょうねえ。
ただ、今まで良い上司に当たらず理不尽を強いられ続けてきたので、賢く聡明でこちらの意見をちゃんとくんでくれる、理解してくれる、悪巧みも一緒にしてくれるし、ヤバいところでも丸投げせずに一緒に危険に踏み込んでくれるし、責任は自分で取ろうとしてくれる。いちいち、上司の理想像にヒットするんで、ユイナーもこの人のためなら頑張るぞー！ と、その度にやる気アップ！！しているのは微笑ましいというかなんというか。
しかし、初戦は野戦にならずに砦のこもっての防衛戦。しかも、元の守備隊との合同での戦いになる、というのは面白いですし慧眼でしたなあ。普通に野戦やったら、どれだけ鍛え上げた部隊だろうと戦列歩兵なもんですから、部隊半壊するくらいは当たり前の被害でますから、とても部隊維持できるかわからない酷い状態になってしまいますし。その点、籠城戦はやり方次第で被害は極力減らせますし。ただ、そのためには本当に色々と大胆な作戦をとっていかないといかないわけで、あれこれ工夫をこらしてやらかしまくる、死神参謀の面目躍如、大いに面白い戦いになってて見どころたっぷりです。
