【人生二周目の鏑木先輩】 としぞう／Bcoca GCN文庫
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「今までも、これからも、ずっとキミが好き」
超積極的な美人先輩との甘々ラブコメ！
▼あらすじ
「私は鏑木美春。キミの未来のお嫁さんさ！」
どこにでもいる普通の高校生・日宮友樹は、ある日誰もが認める天才美少女・鏑木美春から突然告白を受ける。
どうやら鏑木先輩は人生二周目のようで……！？
面識がないはずなのにグイグイ迫ってくる鏑木先輩に、ドキドキが止まらない――！
イレギュラーから始まる一途すぎる甘々ラブコメ！
人生二周目中だという鏑木先輩。出会って速攻で、キミの未来のお嫁さんさ、と大胆の告白してきて、婚姻届の紙を差し出しながら結婚できる年齢になったら結婚しようね、と迫ってくるくらいだから、人生順風満帆、やることなすこと自信満々、かと思ったら……。
話が進むにつれて、この人意外とかなり繊細だぞぉ！？ と、なってくる。
自信満々どころか、不安で神経痛めてるんじゃないか、と思えるくらい、最初の万能超人のイメージが崩れてくる。
そもそも、一周目の人生で二人がお付き合いしだしたのって、お見合いがきっかけでしかも二人とも不惑…四十歳に差し掛かろうか、というくらいになってからだという。それから老境まで随分と仲睦まじい夫婦生活を送ったようだけれど、子供は出来ず、青春時代どころか２０代３０代の若いさかりもともに出来なかったわけです。
なんの因果か、お婆ちゃんになってから亡くなって、目が覚めてみたらもう一度人生を繰り返していて……てっきり、これはチャンスだ。若い旦那を捕まえにいくぜーー、と張り切って二周目の人生を送ってきたのか、というとどうも違うみたいで。
小さい頃にはジュニアのモデルなんかをやったり。二周目の人生ではそれなりに大人になってから開花させた小説家の才能。これは祖父も文芸の人間で、一周目の人生ではなかなか目が出ずに祖父からはあまり良い扱いをしてもらえないまま祖父はなくなってしまったそうだけれど。そんな祖父に認めてもらうために一周目の経験を活かしてJKで売れっ子小説家としてデビュー。
文武に優れ、女子高生にしてすでに社会的な功績を幾つもあげて、これを順風満帆と言わずしてなんという、という人生を送っている彼女ですけれど。
それは、同時に一周目とは全然違う人生を歩んでしまったということ。鏑木先輩、祖父に良い扱いを受けなかったこと以外は特に人生に不満なく、中年になってからだけれど愛する人と出会えて幸せな人生を送れた、と思ってるんですね。
ところが、この二周目では全然違うルートを行っているために、果たして愛する旦那様ともう一度添い遂げられるのか、というのが全然見通し立たなくなっちゃったわけだ。
鏑木先輩、当初は二周目ということもあって、すべてお見通しだよ、とばかりに万端の計画立ててるような頭の良い人に見えるんだけれど……話が進んでくると、この人かなり勢い任せで深く考えない人なんじゃないか？ 計画性の欠片もない人何じゃないか？ と思えてくる。
家事がまったく出来ずに、一人暮らしのタワーマンションの一室が汚部屋と化そうとしている、なんてことはその一端で。主人公の友樹くんと高校生で出会うことになったのも、全然計画したものじゃなくて思いつきと偶然だったりするんですよね。
また、友樹くんを自分だけが所属する文芸部に引き込んで二人きりで青春を謳歌しようとか、いきなり自分が二周目だと暴露した上に、自分達は夫婦であり、今世はもっと早く結婚したい、とぶちまけてしまったのとかも、早期に友樹くんをゲットするために入念に立てた計画、とかでは一切なく……これ、思いつきの衝動ですよね。
いきなり、そんな妄言つきで結婚を迫ってくる女に対して、初対面の男子がどう思うか、というかどれだけドン引きされるか、というのをまったく考慮していなかった模様。
いや、普通こんな風に迫られたら、この人頭やべえわ、となって逃げる、距離を置く、となりそうなもんである。
二周目だという話を信じさせるための証拠が、芸能人のスキャンダル、とかなんかネタが微妙だしなあ。自然災害の情報とか、未来の新技術とか、宝くじや競馬で大儲けとか、未来ではこんなのが流行るんだよ、というような未来の小話、未来ネタなんかが全然出てこないもんだから、友樹くんもずっと半信半疑、というか半信どころかほとんど信じてなかったですね、これ。なんか小説のネタ出しなんじゃないか、と疑われる始末。それに付随して、好きだとか結婚しようとかいうのも果たして信じて良いものか、と思ってたくらいだ。
完全に、出だしやつかみがただのヤバい人である。
むしろ驚いたのは、若干引きつつも、そして別に鏑木先輩の言葉を信じているわけではないにも関わらず、グイグイくる彼女から逃げ出さずに、この少年、二人きりとなる文芸部に入部することもすんなりOKするし、何かとあれこれアピールしてくる鏑木先輩に付き合うのも嫌がらないし、お誘いを受けても原則断らない。
都合の良い男子か！！ というくらい、グイグイくる鏑木先輩に仰け反りながらも一歩も退かないのである。
受け止めるのか、これを！？
元々、学校でも有名人な鏑木先輩に憧れを抱いていたとはいえ、なんか訳わからなんことを言いながら迫ってくる恐ろしさを味わわされても、実生活を見るとかなり中身ポンコツだと発覚しても、この少年ばっちこーいとばかりに受け止めるのである。むしろ食い気味なんじゃないか、と思えるほどに。
好かれてるということすら信じきれていないのに、これだけ彼女のことを避けず逃げず全部受け止めてる彼、なんか精神的にタフなのか、それともこの時点でよっぽど彼女のことが好きなのか。かなり謎な部分があるんですよね。本人、戸惑いっぱなしなのは内心の様子から明らかなんですけど。彼女に好意は持っているけれど、まだはっきりとしない段階でもありましたし。
いい加減自分の先走りに気づいて、友樹がどういうつもりで自分に付き合ってくれているのかわからなくなって、彼が１周目のように自分を好きになってくれる保証なんてないことに気づいて、そもそも彼と育まれるはずだった縁を自分が盛大にぶち壊してしまった一気に不安定になってしまった鏑木先輩を、なんだかんだと揺らがずに支え続けたのも彼ですし。
彼女が二周目なのかどうなのかは、友樹くんにとって気になるところではあっても本質的にはどっちでも良いことだったのかもしれない。いつもうろたえてるし、グイグイくる先輩には振り回されてるし、なんとも頼りない風に見える友樹くんだけれど、あくまでそう見えるだけで実際はめちゃくちゃ頼りになる男なんじゃないだろうか。先輩の見る目は確かだったんだろう。出会いはお見合いだったみたいだけど、彼女が惚れ込むだけのものがあったんだろう。或いは、相性ピッタリ、先輩のダメな部分を完璧に支えサポートしてくれるような、そういう人だったのだろう。そりゃ、出来うる限り速攻で仕留めとかないとダメですよね。ってか、計画性があるなら幼い頃に近づいて幼馴染枠ゲットは実行していても良かったんじゃないだろうかｗ
Ａｍａｚｏｎ
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