【陰キャだった俺の青春リベンジ ７ 天使すぎるあの娘と歩むReライフ】 慶野 由志／たん旦 角川スニーカー文庫
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ハッピーエンドの延長戦! 春華と心一郎のその後を描いた後日談
文庫本に未収録の短編と、その後の彼らを描いたエピソードを収録した短編集!
図書室での甘酸っぱい一幕、文化祭の準備中に猫耳を着けてみた春華、心一郎の家にお泊まりした翌日の恥じらいの報告、ナンパを避けるため春華の彼氏のフリをするドキドキの海水浴や、儚くも尊い海辺の線香花火――。
心一郎と春華が過ごした高校生時代の青春の1ページを完全収録。
そして大学生になった心一郎は春華と共に過ごす未来のため、紫条院家の最後の試練に立ち向かうことになって――。
過去に戻らなかった「if」世界のあったかもしれない未来と共に
描かれた、タイムリープ青春ラブコメのアフターストーリー。
６巻で完結！ となって、実際見事なハッピーエンドになってたわけですけれど、さらにこの７巻では店舗特典や電子書籍版の特典SSに幾つかの書き下ろし短編。そして後日談となる書き下ろし中編を揃えて、ハッピーエンドのその後で、となる正真正銘の完結編を送り出してくれました。
好きなシリーズ、ここまでやり尽くしてくれると嬉しいという意外ないですねえ。
しかも、この特典SSって読んでいると本編の合間、幕間の補完やその時の登場人物の心境の掘り下げにもなっていて、思いの外読み応えがあるというか、読んでたらあのエピソードの合間でこの子らそんな事してたのかー、とかあああのシーンの前ではこの子はそんな心境を抱いていたのかー、と本編の解析度解像度があがるような思いを味わわせてくれて、これは読めてよかったなー、と思ったのでした。
またシンプルに、ただ楽しかった遊ぶシーンや学校での一幕なんかもあって、これはこれで彼らの高校時代の青春が謳歌されてるんだなあ、と感じさせてくれてジワジワと幸せな気持ちにさせてくれました。
こういうなんでもない高校生としての楽しい時間こそが、春華が望んでいたものでもありますしね。ちゃんとこの子は欲しかったものを思いっきり堪能してたんだなあ、と。
あとあと、大学生になり、また社会人になり、というその未来が描かれているだけに、尚更高校時代のエピソードがこうやって巻の時系列に沿ってズラズラと並べられていると、尚更に青春時代というものを感じさせられるんですよねえ。
この１巻から最終巻までの時系列にそってSSが並んでいるのが肝で、春華の心一郎に対しての気持ち、想いの形が変わっていく推移が、掌編の集合体で時間経過がどんどん進んでいくからこそ、よく分かるんですよね。
元々、春華の好感度は高めだったわけですけれど、だからこそその好感度が上限突破していく様子も、完全に恋に昇華していくさまも余すことなく感じることが出来て、大変満足です。
この春華の気持ちの一部始終を堪能したうえで、後日談ですからねえ。さらっと大学進学後は半同棲状態に移行してしまったのも宜なるかな。むしろ納得でありました。
そしてトドメに、春華の親父さんを上回る強敵である本家の春華の祖父へのご挨拶。紫条院家の権威そのものであるお祖父様に認められてこそ、春華と添い遂げられるというもの。いやでも、強敵という意味では駄々っ子ですらあった春華パパの方が強敵だったよなあ。むちゃくちゃだもん、この親父さん。
ただ、それだけのパワフルな強引さがあってこそ、格式ある紫条院家の息女であるママさんをあのお祖父さんから奪い取れたのですから、心一郎よりも過酷な激闘を戦い抜いて奥さんと添い遂げた人なので。さらにいうと、紫条院グループの救世主となった人なので、とんでもないなんというか前作主人公みたいなパパさんなんだよなあ。
それにしても、パパさんお祖父さんと仲悪すぎであるｗ いや、仮にも義父で婿入した家の家長で、グループの先代相手にタメ口の喧嘩腰である。どんだけ長年バチバチやりあってきたんだｗ
年代的にも世代的にも、立場も年齢も家族関係的にも上の人に対してこういう態度取って、なおかつ認められてきたって、ほんと相当の怪物だったんだなあ、パパさん。
そんなパパさんに、ついに全面的に認められて、認められた以上に息子として受け入れられ可愛がられるようになった心一郎。懐への入り方がもはやぬらりひょんではないか、というくらい居て当然みたいな顔して家族になりましたからね、この主人公。肝の太さ半端ないですよ。
そりゃもう、こいつ絶対将来うちの社長を継がせちゃる、とパパさん思うのも当然だよなあ。
二人の娘として生まれた咲良ちゃん、なんかすごいバイタリティ溢れた娘になりそうなので、この娘のラブコメも見れたら楽しいだろうなあ。
ブラック企業の社畜となってしまったタイムリープ前の世界の方も、春華と心一郎の関係を結末まで描いてくれて、これで本当に綺麗に完結。ハッピーエンドの向こう側まで実に幸福な光景が広がっていました。満足、満足です。ほんとうに素敵な作品をありがとうございました、と拝みたい。なむなむ。
慶野 由志作品感想
Ａｍａｚｏｎ
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