
【恋愛ランキング】 慶野 由志/雪丸 ぬん 角川スニーカー文庫
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Sランク美少女と恋を攻略! 恋愛&レベルアップラブコメ!
この世は大恋活時代。
政府の恋愛推奨政策により全高校生が学校専用マッチングアプリで気軽な恋愛を楽しんでいる。
そんな中、女子相手に緊張して全身カチコチになる久我錬士はアプリ内でFランクの烙印を押され絶望的な日々を送っていた。ある日偶然錬士はランキング1位Sランクの星ノ瀬愛理を助けることに。
愛理に家事を教える代わりに恋の個人レッスンを受けることになった錬士は、持ち前の生真面目さと学習意欲でみるみるうちに恋愛力レベルアップ!
錬士を側で見守るうち愛理の心も解けてきて…….
「私の弱いところがバレちゃったのが、君で良かった」
Sランク美少女と恋を攻略する青春ラブコメ!
キュゥゥン!! うひゃあ、キュンとしちゃったよっ、キュンとしちゃったよっ!
この主人公の久我錬士くん、ちょっと性格イケメンすぎやしないだろうか。というかね、この男の子、とてもストレートに相手の良いと思った所を言語化するんですよね。それも本心から、衒いなくお為ごかしもなく、お世辞や適当に言葉を飾るのでもなく、本当に素直に心からそう思ってるんだろうなあ、と伝わってくるような姿勢で。
思わずポロッとこぼすように、褒めるんですよ。いや、錬士くんは別にかしこまって褒め称えてるつもりはないんでしょうね。素敵だなあ、と思えばそのまま告げる。良いなあと思った所を飾り立てず率直に、でも言葉を尽くして伝えてくる。
好意を伝えようとか、自分の思ってることを知ってほしい、という前のめりの発言じゃないんですよね。だからこそ、心からそう思ってると伝わってくる。心から、本心から、上から目線とか下から仰ぎ見るようにとかじゃない、手の届く対等の隣から、ありがとうという感謝が伝わってくる。褒める言葉がすっと胸に染み通ってくる。
そりゃ、こんなふうに言われたら照れますよ。
それどころじゃなく、私生活ではポンコツな事を偶然知ることになった愛理の生活を、恋愛を教えてもらう対価としてサポートする事になるのですけれど、これが心憎いくらいに行き届いてるんですよ。
他人には弱い部分を見せようとしない、完璧であろうとし続ける愛理が、ついつい頼ってしまうくらいに。
そして、そんな周りに対して壁を作る愛理への心遣い。彼女の弱さや心の柔らかい部分を、そっと労るように心を配り、時として崩れそうになる彼女を護るように障害となって立ちふさがり、愛理の苦しみの片鱗を知ったうえで彼女の為に怒り、彼女を支えてくれる。
自身を守るために完璧であろうとし続けた愛理を、グズグズにしてしまうくらい、ポイントポイントで錬士くんの言動、なさりようがイケメンすぎるんですよぉ!
もう愛理が顔を真赤にして胸を押さえてキュンッ、となっている後ろで、腕組みして後方読者ヅラしていたこっちまで一緒になって胸を押さえてキュンッ!! となってしまいましたわ!
やべえ、自分まで恋に落ちるところだった。
こんなん同性だろうと異性だろうと、当事者じゃなくてただの傍観者であっても、キュンっとなってしまいますわっ!
それが当事者である愛理ともなれば、これキュンっ!だけで済むもんじゃないんじゃないですか?
星ノ瀬愛理という少女は、この恋愛ランキングという制度に適応できなかった娘である。この制度を活用して、青春を謳歌することが出来なかった人である。
前作の【陰キャだった俺の青春リベンジ】のヒロインであった春華もかなり似たようなキャラクターだったんだけれど、自身の美貌や品格、性格や身体性能が高すぎる故に周囲から受ける大きな圧力や干渉をうまく処理できるような人付き合いのスキルに欠けてるタイプの少女だったんですね。
春華の場合は受け身に回って消極的になっていく事で周囲の干渉から逃れようとしていた傾向があるんだけれど、愛理は性質は似ている割に春華とは真逆の方針に出たところがまた面白いんですよね。
攻性防禦、或いは機動防御という風に言ってもいいかな。
敢えて完璧に振る舞うことで、万能の超人となることで、恋愛ランキングでS級1位となるような高嶺の花となることで、自分の内側に踏み込ませない壁を作り上げたわけである。
誰に対しても好感を持たれるような、和気藹々と明るく賑やかに振る舞い、老若男女問わず好かれるようにしながら、その実一定の距離感を保ち続ける。本当の自分は見せようとしない。
前に踏み出すことで、常に進み続けることで、しかしそれは徹底して防御行動、秘められた拒絶であったわけです。
そうしてしまうほどのトラウマを、人間関係に対する不安を、愛理は中学時代に植え付けられてしまっていたわけで。この大きな壁を、あの本物の陽キャで光のギャルである小岩井さんですら乗り越えられていなかった。このギャル、誰も気づいていない愛理の拒絶を察していた上に、その壁を崩そうとまめに仕掛けてたっぽいので、只者ではないんだよなあ。
錬士くんの、あの努力の化け物っぷりも恋愛授業でその片鱗を見てすぐに要注目して、何くれとなく後押ししてくれていたあたりなどを鑑みても、作中随一の強キャラなんじゃなかろうか。
ともあれ、そんな人知れず人間関係を拒絶していた愛理の内側に、偶然隣室になったこと、さらに愛理の料理のやらかし、ボヤ騒ぎを収めたことなどタイミングが重なったにしても、錬士くんはスルリと入り込んだわけだ。しかも、家事など壊滅的だった事を鑑みても、錬士の押しかけじゃなくてむしろ愛理の方から求める形で、愛理は弱みを錬士に隠さず見せていくことになるわけです。
そこには、錬士に恋愛のやり方を教える、という対価を与えることで、貸し借りなしの対等の契約関係、という立ち位置を演出はしているものの、愛理が抱いていた人に対する不安感の大きさを過去回想や、昔の友人と出会ったときの精神的な不安定さを露呈した場面を見せられると、錬士に素の自分を晒している愛理がどれだけ彼に心を開いていたか、というのがわかって驚かされるんですよね。
いや、そんな愛理の不安感を吹き飛ばしていく、錬士の性格イケメンっぷりだったわけですけれど。彼の言葉や行動にキュンっ、とさせられるたびに、どうぞお通りくださいと門扉がバッコーーンッと勢いよく開いていくようなもんよ。
このわかり味……ッ。
主人公のキャラクターにおいて、生真面目さや誠実さってともすると描き方によっては面白味のなさ、人間性の硬質さ、余裕や拡張性の無さに繋がってしまって、ある種の個性の消失に連動してしまうこともままあるんですけれど、前作の主人公の心一郎にしてもそうなんですけれど、慶野さんの描く真面目で誠実な主人公って、まさにその真面目さや誠実さが暴力的なまでの、怪物的なまでの魅力になっているの、これどういう絡繰りなんでしょうね? 描き方の技術的なことはどうしてもわからないんだけれど、ほんとこれは描き方の妙としか言いようがない。
錬士くんの真面目さ、誠実さがその言葉にしても行動にしても、トンデモナイ破壊力を生み出しているのは間違いないでしょう。嘘の無さ、本心からの素の思い、相手を思いやる心の発露、こういうのがホント、ダイレクトにぶっ飛んでくる。
超弩級戦艦の艦砲射撃かよ、というくらいの威力である。
愛理も錬士くんも、お互いに人間関係に対してのトラウマ持ち。しかし、錬士くんは自ら前に踏み出し、自分を変えようと努力している。努力の怪物が本気で今、一つのことに集中している。
そんな彼に教えを与える立場ながら、それ以上に彼に触発され、感化され、バチバチにときめかされて、かつての恐怖を、不安を、怯えを、彼の温かさ、真心によって塗りつぶされようとしている愛理。
もうこれ、完全にラブコメ始まってますよね。準備運動というには、ちょいと温まりすぎなくらい温まってますよね、これ!?
新シリーズも最高の出だしだったんじゃないでしょうか。もうキュンキュンですよ?










































































































































































































































































































































































































































































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